バカバカしいと言われても他の映画に埋もれない異色の映画を作りたい!《取材》

2016.12.26
インタビュー

Filmarks編集部

フィルマーくま

渡部さんアイキャッチ

今一線で活躍しているドラマ・映画の脚本家が描く「観客の期待にこたえて、裏切るエンターテイメント映画」とは!?

新しい映像クリエイターの発掘と育成を目的に、コンペティションを勝ち抜いた映像企画をTSUTAYAが全面的にバックアップし、制作からレンタル・販売までを総合支援する「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」(以下、TCP)。本コンペにおいて、『哀愁しんでれら(仮)』でグランプリを受賞した渡部亮平さん。

自主制作にて初監督で撮り上げた映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』、またバカリズム氏脚本で話題になったドラマ「黒い十人の女」の監督や来年春公開の『3月のライオン』の脚本家としても活躍中の渡部さんに今回挑戦する映画制作の想いについてインタビューしました。

■参照:
TSUTAYAが「本当に観たい映像作品」の企画を募集中!5,000万円の制作支援
次世代の大物監督が出る!?「TCP2016」最終審査会に密着!

渡部亮平監督『哀愁しんでれら(仮)』ってどんな企画?

渡部さん密着2

不幸のどん底にいた女性が、王子様と結婚し、お城(愛の巣)に住みはじめ、徐々に家族の絆という“毒”に侵食されていく・・・。本作は、誰もが憧れる「シンデレラ」の衝撃のアフターストーリーを描く。幸せな女性の象徴であるシンデレラの恐ろしい行く末を目撃してください。

(『哀愁しんでれら(仮)』企画資料より)

-TCPでグランプリを受賞した瞬間、どんな心境でしたか?

渡部さん密着1

実は「これは取れたかも」という感覚はプレゼンを終えて感じていました。でも、準グランプリなどが発表されていくにつれて、自分が想像していた基準では賞が選ばれていないことに気づき、一気に不安になりました(笑)グランプリで受賞が決まったとき、ほっとしたのと同時にとても嬉しかったです。

渡部さん4

-プレゼンの手応えはありましたか?

手応えはなかったのですが、プレゼンで話す台詞は全部書いて、練習していました。実は、わざと間違えて言い直すというようなところまで全部台詞にしていたんです。そこまで完全コピーしてプレゼンでは再現していたので、いけるのではないかという気持ちになれました。人前に立つのは得意ではないので、もちろん当日は緊張しましたが、失敗しない自信はありました。

渡部さん密着3

結婚はサスペンス。女性に対して「夢」を描かない

-『哀愁しんでれら』という作品を思いついたきっかけは何でしょうか?

『かしこい狗は、吠えずに笑う』でもそうですが、モデルとなった人が身近にいて、今回もそうでした。実は、それは自分が好きだった人なのですが、その人がわずか数ヶ月の間で結婚してしまったんですね。当時まだ23歳で焦るような年でもないと思うのですが、そんなに短期間で結婚を決意されたことに驚きました。その驚きがきっかけとなり今回の『哀愁しんでれら』の企画ができました。

渡部さん1

結婚って、誰にとっても身近なサスペンスであり、人生が変わるきっかけだと思うのですが、それを物語として魅せるときにどうやって展開させるべきか、映画にして何を描きたいのかというのは後から肉付けしていきました。

-Filmarksでも評価の高い『かしこい狗は、吠えずに笑う』やこの秋放送のドラマ「黒い十人の女」をはじめ、女性をテーマ・主人公にした作品が多くあります。本作のテーマも女性ということで、その源泉にあるものは?なぜ女性なのでしょうか。

女性がテーマで主役というのは、たまたまというのもありますが、興味はありました。自分には姉が二人いて、従兄弟にも女性が多く、女性に囲まれて育ったというのもあります。ずっと女性を身近に見ていることもあり、自分が女性について書くと、「本当に夢がないね」と周りからよく言われます(笑)

女性に対して憧れを持つ人たちの映画を見ると嘘に見えてしまうんですね、リアリティがないというか、表面上の姿でしかないというか。

テレビドラマ「黒い十人の女」も脚本はバカリズムさんですが、自分と同じで女性に対して夢がないなと思います。だから妙にリアル。男が思い描いているように、女性はいつだってキラキラしているわけではなく、むしろ人間なんだもん駄目で当然という考え方です。男性だって、現実は駄目なことだらけだし、「女性だけ全てにおいて綺麗でいるわけはないよね」という意味です。

渡部さん3

「女性の気持ちが分かるよね」とよく言われるのですが、自分は単純に「人間の気持ち」を書いているだけです。そこに女性に対して夢がないだけ。女性に対して夢を持っている人は、余計な自分の憧れをプラスしてしまいます。そういうのを描かなくても、人間らしくていいじゃないかと僕は思いますね。

バカバカしいと思われるような異色な映画が撮りたい

-影響を受けた作品やクリエイターの方はいますか?

人生を変えた作品はあります。1個目は、高校2年生のとき、野球部を辞めて、なにもやることがなかったときに観た『アイデン&ティティ』という映画です。これを観たことがきっかけで、好きなことをして生きると決意し、気がついたら、脚本を書くことにのめり込んでいました。

その後、ずっと脚本を書き続けていたのですが、なかなか仕事にはつながらず、このままだといけないと思っていたときに、ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』に出会いました。

殺人の追憶

生意気な言い方かもしれませんが、そのセンスの良さに脱帽しました。これまで抱いていたアジア映画に対する偏見が払拭されました。

『殺人の追憶』は、未解決事件を刑事が追うというありふれた話ですが、めちゃくちゃ上手く撮っているんです。簡単にいうとバカバカしさを真剣に描いた演出が素晴らしい。たぶん僕は、バカバカしいことを真面目に描いた映画が好きなんですよ。自分の人生も真剣にバカバカしいことをついしてしまってることが多々あって、だからリアリティがあるように思えるんです。

渡部さん2

これを観たとき、こんなセンスがいい映画を自分も制作できるかもという思い上がりもありました。『殺人の追憶』を観て、エンタメとアートが調和したセンスの良さに感動して自分もそれを目指したいと思いました。

-最後に作品を作る上での意気込みを聞かせてください。

他の商業映画に埋もれてしまう映画は絶対に作りたくないと思っています。今回、TCPという映画を作れる機会をもらったので、その期待に応えつつも他に類を見ない異色なものを作りたいと思っています。「なんでこうなったの?」 と言われるくらいのオリジナル映画を作りたいと思います。

-渡部さん、ありがとうございました。完成を楽しみにしています!

(取材:斉藤聖、撮影・文:柏木雄介)

■TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM公式サイト
http://top.tsite.jp/special/tcp/

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  • ねこ
    3.0
    まあ、実際の未解決事件のお話だからモヤモヤで終わるのはしょうがないかな。ソン・ガンホは良い俳優さんだね。
  • まゆ
    3.8
    観終わった後にモヤモヤ、ザワザワ。色々検索したくなる。途中の音楽の入り方もドキドキする。
  • yumeco
    3.6
    韓国映画の鑑賞はあまりしないのだけど、友人におすすめされたので観ました。 実話が基で、韓国っぽい泥臭さや狂気をミックスさせた映画に仕上がっている。 田舎の村で起きた、若い女性を次々に狙ったアブノーマルな連続強姦殺人事件…の、犯人を追う刑事達だったが、立て続けに捜査を難航させる出来事が起こり、一向に事件の手がかりが得られない。 張り詰めたシーンや、フラストレーション気味のシーンもあるが、刑事同士のふざけたやり取りのセリフもあって、少し和む箇所もあったのが良かった。 電車で轢かれたシーンは「えええええ!!!!!!」ってなった。 突拍子もない出来事が起こり、シーンの切り替えが激しいのは、韓国特有のものではないだろうか? シビアだが、エンタメ性も兼ね備えている作品だった。 エンディングにはハッとさせられた。
  • ゆうと
    3.8
    僕の個人的なアレなんですけど、実話を基にした話って、実話ベースの上に監督の思想なり解釈なりが入ってないと、映画化してもそれはただの娯楽映画になっちゃうと思うんですよ。で、この映画の場合は、笑えるところもあるし完成度も高いと思うんですけど、淡々と実話のみを見せられる感じで、僕の好みではなかったです。
  • へなちょこ
    3.8
    圧倒された 隣の国ではこんなすごい映画が撮られているのか…
  • Hitu
    3.7
    2017.03.26 アマゾンプライム 面白かったー! 長さを感じさせず終始ハラハラ。 これが実際の事件がモチーフってんだから怖い。 最初の雰囲気はまるで北野映画のような 雰囲気で好みでした。 殺人犯も怖いけど同じくらい警察も怖い。 未解決事件が元になった映画といえば ゾディアックが有名だけど、 わたしは断然こっちのが好きです。 ドロップキックが非常に鮮やかだったのも 印象深い。
  • MaruyamaHiroto
    3.3
    韓国版ゾディアック
  • 鹿江光
    3.7
    ≪75点≫:平凡な衝動が、息を潜めて脈を打つ。 物静かな農村で、女性の遺体が見つかった。韓国で実際に起き未解決となった、連続強姦殺人事件を題材にした作品。じわーっと汗が滲んでくるような息苦しい雰囲気の中、物語は度し難く、やるせない展開を迎える。 ノンフィクション要素を巧みに使い、エンタメとしての肉付けをしながら、熱量溢れるドラマに仕上がっている。鬱屈した雨の描写、真相を探っていく謎解き・ミステリ要素、刑事たちの熱意とやり場のない怒り、感情の発露、そして狂気の犯行と犯人の行方……観れば観るほど、その世界に吸い寄せられていく。 メインの刑事2人が対照的なキャラクターであるのも面白い。事件を追うごとに、それぞれの立場が逆転していき、怪物を追う者が徐々に怪物になっていく様は、この手のクライムサスペンスには欠かせない要素だ。「雨の中で感情を爆発させる刑事」……字面だけで既に熱い。カッコいい。 そしてラストがまた何とも後味が悪い。ずば抜けて振り切って悪いのではなく、身体にゆっくりと纏わりつくような悪さである。 ソン・ガンホはやっぱりカッコいいおっさんだった。『渇き』や『スノーピアサー』などとはまた違った演技を観ることができた。彼の演技に外れはない。あとポン・ジュノってドロップキックが好きなのだろうか……笑。格闘目的とは別の、日常の中で繰り出されるドロップキック。やたら派手に観えて気持ちが良い。 兎にも角にも、メディアでは毎日のように事件が報道されているわけだが、これらは決して他人事ではないということが改めて実感できる。いつ、どこに、“特徴のない平凡な殺意”が潜んでいるか分からない。信号ですれ違う人、通勤電車で毎朝見かける人、同じ美容室に通っている人……群衆に紛れた殺人の衝動は、今もなお息を潜めて脈を打って生きているはずだ。そうして彼らは時折、自らの犯した罪を想い出す。アルバムを1枚ずつめくるように、償うためでなく、感慨に耽るために、過ぎた時間に想いを馳せるのだ。暴かれることのない殺人の追憶は、果てしなく続いていく。
  • くりたんご
    3.9
    韓国映画初めて見たけど、 一気に引き込まれてあっという間の2時間だった… 自分でもびっくり。
  • GULEN
    4.7
    わたしが初めてソン・ガンホを観たのがこの映画。こんな役者見た事ない!ストーリーにも震え上がったが、ソン・ガンホの演技の分厚さにも震え上がった。それ以来マイ韓国俳優No.1はソン・ガンホ!大好きな俳優さんになった。 昔の韓国の警察の横暴さ加減が如実に、ここまでさらけ出して大丈夫か?と心配になるくらい酷い有様。暴力こじつけ当たり前。何でもありな捜査で突き進む主人公。ラストのあの表情…忘れられない。
  • TatafumiTakao
    3.9
    記録
  • ならちゃん
    3.9
    雨の日、赤い服を着た美女が殺される。 田舎のちょっと古い捜査のパク刑事と、ソウルから助っ人で来た理系のソ刑事。 この2人の真逆さがよい!! 捜査が難航するにつれて、ソ刑事は感情的で暴力的になり、パク刑事が冷静になったり。 今まで警察が暴力で事件を無理矢理解決してきたことが、今回で無意味だったと気付く。 暴力からは何も生まれない。 悲しい人が増えるだけ。 人を足蹴にすることが得意だった飛び蹴り刑事も、まさかの悲劇が自分の身に返ってきた。 証拠を掴むも、繰り返される残忍な事件。 狭い国なのに捕まえられないもどかしさ。 ラストはショックでした... サイコ野郎は見た目は普通なんですよね。 結局犯人は... リアリティある映画でした。 しかしずっと暗いわけではなく、パク刑事のぶっ飛んだ捜査はちょっと笑いましたw あそこの毛のない犯人探すとか無茶www つんつるてん(´・∀・`)
  • つこさん
    4.0
    きろく
  • すずき
    -
    ふとした時にラストのソン・ガンホを何回も思い出す気がする。印象的。
  • ひろ
    4.1
    ポン・ジュノ監督・脚本によって製作された2003年の韓国映画 ・ 韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞を受賞した ・ 実際に1980年代に発生した韓国史上最初の連続殺人事件を題材にした戯曲を原作としていて、脚色はされているものの、その恐ろしさは伝わってくる内容だ。何よりポイントなのは、この連続殺人事件がすべて時効の成立した未解決事件だということ。事件が解決しない焦燥感に駆られる刑事たちの描写は見事だ。 ・ ポン・ジュノ監督は見せ方が上手い。映画好きが喜びそうな斬新な演出もできるのに、大衆受けもするように絶妙なバランスを保っている。この作品もシリアスになりすぎないように、笑わせる所もあったりしながら、最後まで緊張感を保たせている。「殺人の追憶」というタイトルを指し示すラスト・シーンの表現は完璧と言ってもいい。 ・ 田舎の刑事役をやるために10㎏増量したという主演のソン・ガンホ。元々でかいからあんまり増量が伝わらないが、演技力は確かな役者だ。日本で人気の韓流スターと違って、演技力で評価されてきた役者だから、役者としての格が違う。泥臭い役がハマる役者だ。 ・ 軍事政権下の韓国の描写も興味深く、反政府運動への弾圧に忙しく、本来の警察組織の活動がおざなりになっていたという歴史などが描かれている。未解決事件を題材にしたというのも面白いし、それを見事に映画として描ききったポン・ジュノはやはりすごい。日本の洋画オール・タイム・ベストでも、韓国映画で最初に名前が挙がる作品なので、チェックしておきましょう。
  • MitsuhiroTani
    4.3
    未解決事件の陰には、こうした重く、哀しいドラマがあるのだろうか。 田舎の刑事とソウルから来た刑事。捜査に科学が入りつつあった時代。 それでも、勘や執念が捜査を続ける原動力であることに変わりはない。 公開は2003年。今となっては古い映像が、80年代の空気を感じさせて、結果的に良い効果を生んでいる。 未解決事件という意味では、ゾディアックという映画があるが、私は本作の方が出来の良い傑作だと思う。見応えがあった。
  • ねんやあ
    3.9
    ずっと先の展開が気になって引きこまれた 私のチープな予想もことごとく裏切られる笑 見てよかったです
  • オヤラサ
    -
    終わり方すごいよかった…! セピアトーンから色がつく感じはユリイカを思わせる。ただ、タイトル通り、回想的本編でそのためなのかなあ。韓国映画ってもともとグレートーンなイメージだけれども。 題材はおもしろいのに、暴力で感情をぶちまけるところが多すぎてちょっとうーんとなったけれど、このコンビが気づいたら‪、喧嘩っ早い田舎刑事は重苦しく慎重に、都会キャリアは血熱になってて、お互いのバランスが良くできてた◎ 緻密に練られた展開でとっても気になるなあ、64やゾディアックと同じくらい楽しめた。
  • YOSHEEE
    4.0
    最後まで夢中で観た。最後は悔しくて、苦しくて、そんな思いでラストを迎えちゃうのが韓国映画。映画のあとも、それぞれの人生を想像して余韻が残る。
  • pappo
    4.0
    最初から引き込まれる
  • ShigekiOshio
    3.5
    韓国で起きた連続殺人事件の犯人を追う映画、というより、過程を追う人間の醜い執念を感じる作品。犯人を追えば追う程、泥沼にはまっていく様。
  • zk
    3.7
    記録
  • さち
    3.5
    役者の眼力、よかったです。 昔の取調室の中はあんな感じだったのか?ドロップキック、キレキレ(笑) 取調室の食事シーンも好き。 最後はモヤモヤして終わります、未解決な感じが印象に残る。
  • YunmyeongKim
    3.4
    実話ベースのフィクションで内容は重いし、見終えた後もモヤモヤする。ただ映画として一貫して緊張感もあるし飽きないし上手い。
  • albertus
    5.0
    これはサスペンス?違う。スリラー?違う。刑事もの?違う。最初から最後まで、見事な緊張感を持ったまま、最後まで全力で走り抜ける傑作。韓国映画のベストワンという人もいるのも頷ける。結構ドギツイ描写や、意外なところで出てくるユーモアも含めて、完璧な映画だった。
  • km34
    3.2
    デヴィッド・フィンチャーのゾディアックの様な。結局、未解決なところが映画としては難しい。
  • ariri
    4.0
    一度見たハズなんだけど、全く覚えてなかったので見返し。 重い、しんどい印象だけ頭に残っていたけど、中盤までは何だか笑ってしまう箇所が多かった。田舎の警察の力技捜査というか、無能さも何だか牧歌的にすらw 終盤頭脳系の刑事が遂にキレて、暴力的な刑事が制する、という構図が面白かった。 余談。理不尽ドロップキックはどうしても笑ってしまう。勢いがキレッキレだもの
  • kotonoyeti
    4.0
    取り調べの中での暴力はたくさんあったんだろうし、冤罪もたくさんあったんだろうとそれが一番気になった。それにしてもこれだけ多くの人が殺されどうして犯人は捕まらなかったんだろうか。 グロテスクな事件とは対照的に韓国の田園風景が美しい。
  • siyi
    -
    2017/03/17
「殺人の追憶」
のレビュー(4295件)