ある夜見た夢を映画に。笑いと感動のお父さんムービー始動へ《取材》

2016.12.26
インタビュー

Filmarks編集部

フィルマーくま

金井さんアイキャッチ

柳楽優弥主演『ゆるせない、逢いたい』(2013)やオール和歌山ロケで話題の最新作『ちょき』(2016)の監督・脚本をつとめる気鋭の若手映画監督が、次に撮る映画とは!?

新しい映像クリエイターの発掘と育成を目的に、コンペティションを勝ち抜いた映像企画をTSUTAYAが全面的にバックアップし、制作からレンタル・販売までを総合支援する「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM 2016」(以下、TCP)。

本コンペにおいて、『ファイディング・ダディー(仮)』で準グランプリGreen Funding賞を受賞した金井純一さんを取材。冴えない父親が奮闘する、笑いと涙のストーリーはどのように生まれたのでしょうか。

■参照:
TSUTAYAが「本当に観たい映像作品」の企画を募集中!5,000万円の制作支援
次世代の大物監督が出る!?「TCP2016」最終審査会に密着!

金井純一監督『ファインディング・ダディー(仮)』ってどんな企画?

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娘と血のつながらない父親が、白血病になった娘を骨髄移植で救うために娘の本当の父親(亡き妻の浮気相手)を探す、笑えて泣ける、感動エンターテイメント作品。シリアスなテーマを扱うが、三枚目で冴えない父親の必死な姿を通して、見る者に笑いと深い感動を与えたい。(『ファインディング・ダディー(仮)』プレゼン・企画資料より)

これは映画にできる!と思って、目が覚めてすぐにメモしました

−本作『ファインディング・ダディー(仮)』の着想は「夢」から得たとのことですが?

ある日見た夢がとてもシリアスだったんです。ひとりのお母さんが植物状態で入院していて娘がいるけど、実はその娘と血がつながっていないことがわかって、娘の同級生の女の子が実の娘であることが判明する。そこで血のつながっていない「娘」に葛藤が生まれて…っていう。これは映画にできる!と思って、目が覚めてすぐにメモしました。

−ものすごい夢ですね(笑) 夢から企画に落とし込むプロセスは大変だったのでは?

あとあとメモを見返したらストーリーとしてつながらなくて(笑) 企画するにあたっては、コミカルな要素を入れたいと思って、それで登場人物はお母さんではなくてお父さんの方に変えました。

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−2016年12月に公開された『ちょき』 をはじめ、これまでの金井さんの作風からすると「笑い」の要素は意外に感じます。

2時間映画を観た後に残るものを届けたくて、これまではどちらかというとシリアスさを軸にしていました。

ちょき

(C)2016「ちょき」フィルムパートナーズ

ただ、高校時代にコントのようなことをやったり、卒業後も頼まれて、爆笑系の結婚式ムービーを作ったり。元々そっちも好きなんです。

−本作でやっと自分の映画でコミカルな要素に初トライする感じですね。

そうですね、自分にとって新しいチャレンジです。TCPはTSUTAYAさんのバックアップがあって、より多くの方に作品を観ていただくチャンスですし、笑えるエンタメ要素が重要なのではないかと思ったんです。現実にどんなシリアスな状況でも、笑いが生まれることってあり得ますよね。それを表現できるのが映画のいいところですね。

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▼プレゼンでは役者が登壇し芝居形式でストーリーを紹介

脚本がスゴいと思った『スポット・ライト 世紀のスクープ』

−脚本を書くにあたって参考にした映画はありますか?

お父さんが家を訪ねて行くという点で『ブロークン・フラワーズ』が参考になりました。

ブロークン

主演のビル・マーレイが過去に関係をもった女性たちの家を訪ねて行くわけですが、『ファインディング・ダディー(仮)』もお父さんが(亡き妻の浮気相手の家を)何軒も訪れるんです。作品の尺を測るヒントになりましたね。

それから『パリ、テキサス』。この作品もお父さんのお話ですね。僕が映画を作る上で大切にしている「キャラクターの魅力」という点で、しっかり魅せてくれる独特の強さがあるこの映画はとても参考になりました。個人的にもすごく好きな映画です。

パリテキサス

−最近の映画ではどうですか?

脚本としてすごいと思ったのが『スポット・ライト 世紀のスクープ』です。登場人物が多くて、会話量もすごく多いのに2時間でまとめている。巧みだなと思いました。印象も強烈ですよね。脚本を考える上で参考になることがたくさんありました。

スポットライト

(C)2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

「日本のオリジナル映画も面白い!」そのムーブメントを

−準グランプリ受賞の瞬間はどんな心境でした?

プレゼン後の質疑応答で、審査員の犬童一心監督からお話されたことが全部ダメ出しだと思っていて(笑) 完全に落選したと思っていたので、受賞には正直驚きました。とはいえ、グランプリに選ばれなかった悔しさもありつつ、一方で受賞できた安心もあって、いろんな感情がうごめいていました。

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−そもそもTCPに企画を応募したのはなぜでしょうか?

当たり前ですけど、やっぱり映画製作の予算には限りがあります。だからこそやれることがあるし、あきらめざるをえないこともあります。脚本を書いている時に「これは金かかるな」と思って、泣く泣くその部分を削ったり(笑)

−悩ましいところですね(笑)

その点、TCPは受賞作に5,000万円の制作費支援があって、そのバックアップがあることで、今までやれなかったことへ踏みこめるし、映画監督として次のステップへ進めると思ったのが一番の理由です。

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出資者が増えると、潤沢な予算が集まる一方で関係各位の意見も加味して製作を進めなければならない大変さもあるし、ただ、予算がなければないでそれはそれで大変だなという(笑) そういう意味でTCPは、自分のオリジナルの企画に対して面白いという評価をいただいた上で、バックアップをもらいながら映画をつくることができます。当初の企画の狙いからブレずにいいものをつくれる理想的な環境だと思います。

−マンガ・小説原作やドラマの映画化が目立つ日本映画の現況にあって、オリジナルの企画で作品をつくることができるのは魅力ですね。

そうですね。それも1本じゃなくて、他の受賞者の方も含めて、TCP発で4本のオリジナル映画がこれから世に出ます。興行の面でもクオリティの面でも評価を得ることができれば、「日本のオリジナル映画も面白い!」という盛り上がりにもつながるはず。僕も選ばれたうちの一人として、責任をもって取り組みますし、他の受賞監督さんにもいい刺激をもらいながら、このTCPを機に日本映画にムーブメントをつくっていきたいです。

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−金井さん、ありがとうございました。TCP発の邦画ムーブメント期待しています!

(取材・文:斉藤聖/撮影:柏木雄介)

■TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM公式サイト
http://top.tsite.jp/special/tcp/

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  • Snowkuouks
    3.5
    カトリック聖職者間での性的虐待もあったのだろうと匂わせる。
  • すぴもと
    4.7
    各俳優迫真の演技。 それも当然の内容だった 事実に基づくことが辛く、堪らない 日本人の感覚では完全な理解は難しいかもしれないけど、苦しい苦しいテーマ。 権力と信用を持つ巨大なブラックボックスとスポットライトチームの戦い 信念に従う仕事人の姿が格好いい 真面目なことばっか書いてもあれだから書くけど、真剣な顔したレイチェルマクアダムズに取材されたいなあ。
  • ヒトミ
    3.5
    聞いたことはあるけど観たことはなかったシリーズ。こんな話だったのか。
  • わわわ
    3.5
    物語のテンポがよく、飽きることなく見れました。おもしろかった。 カトリックのことはよくわからないのでピンとこなかったけど、こんなことが実際にあったなんて世の中いかれてるなと思いました。 マスコミ関係は、大体他の映画とかだと嫌味だったり、いけ好かない人物で描かれることが多いけど、そうではなくて新鮮でした。それぞれの正義や信念で動いていてかっこよかったです。 2017.84
  • Reina
    4.0
    教会が生活とか社会において重要な位置にいるからこそだなーと思った。子どもの純粋な信仰心を利用した汚いやり方。日本でこんなこと起きたら報道するのにここまで大変じゃなさそう。被害があった教会にホームステイした地名が書いてあって鳥肌たった。やりがいのある仕事を一生懸命やるって素敵だな〜。
  • やまだ
    -
    記録
  • おやしらず
    4.3
    面白かったと言ってしまうのが正しいのか悩む内容。 実話だとおもうと、なんとも言えない気持ちになる。
  • あーこ
    3.8
    あまりこういったお話は観ないけど、テーマが面白そうだったのでみてみました! 始終たくさんの人物の名前が出てきて、顔と名前が結びつかず、ちんぷんかんぷんになることが多かったです…… でも、自分も記者の1人になったみたいな気分になりました 日本人だからか、教会のこととか信仰とかあんまりピンときませんでしたが、そういうことを含めても面白く見れました!
  • mikemike
    3.0
    牧師による幼児への性的暴行を新聞社が告発する内容 地域に根差す教会信奉者との戦い 日本にはない生活環境でもありキリスト教徒社会の独自性あり。2002年と最近の出来事が驚き。
  • ゆきぽん
    4.5
    虐待された事実もそれによって信仰を無くしてしまうことも不幸だ。生きている人はそれを抱えたまま生きていかねばならず、自ら命を絶ってしまう人も。 キリスト教が生活と密接だからこそのこの事件。 たまたま自分たちが被害に遭わなかっただけだ。というマイクたちの言葉がささる。 淡々と記事の裏付けをとっていく記者たちの姿を追っただけなのに映画に引き込まれ、感動した。
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    面白かった。 もう一回集中してちゃんと観たい。
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    寝てしまったのでもう一回見たい…
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    5.0
    抑えた演出と俳優たちの演技のアンサンブルが本当に素晴らしい作品だった。そしてそれを一切邪魔しない音楽も。 作り手の作品に対する真摯な姿勢が伝わってくる。そしてそれは、登場人物たちの真摯な熱さにそのまま投影されていた。 マイケル・キートン演じるロビーがとても素敵だった。 「地元の街」であるがゆえ、あらゆる方面から受ける言外の圧力に屈することなく、常に冷静に真の目的を見失わず部下達を受け止める。 キートンの演技は本当に素晴らしかった! 支局長のリーヴ・シュライバー、弁護士のスタンリー・トゥッチの立ち位置も味わい深い。 「私たちは暗闇の中を手探りで歩いている。そこに光が射して初めて、それが間違った道であることがわかる」 地味だけれど、ただただ素晴らしい作品だった。とても好きです。
  • Kou
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    2017 8
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    グローブ紙のスポットライトチームの記者たちがコツコツ調査を行い、悪事を暴く社会派映画。 グローブ紙の方々は本当に真面目で仕事熱心で尊敬しますね。特にマークラファロの正義感のある熱弁には感動しました。シリアスな題材なのでレイチェルマクアダムスの可愛さに癒されます。 カトリック教会の聖職者に小児性愛者が多すぎる事には驚愕しました。なんて不条理な世の中だ。
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    宗教の問題とジャーナリズムを扱った硬めの映画で寝落ちしそうなくらい地味だけど、パワフルで熱いものがあった。
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  • gorillazimpact
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    超最高。クレイジー。
  • ジョーダ
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    難しい…、ていうのが率直な感想。ん?今の記事のポイントはなんだ?保存文書の隠蔽はどうやって?とか、さらっと流して観ても分かるっちゃ分かるけど、いちいち引っ掛かった。もう少し事件の背景が知りたい。やたらと「教会が相手だ」っていうけど映画としてはやっぱり個々の被害者の感情を映し出すしていた印象。 スポットライトメンバーの生き方や仕事、社会に対する姿勢はかっこよかった、映画だということを入れても。とりあえず、本で復習決定の一本です。
  • ウィルソンJr
    4.6
    米紙ボストン・グローブ紙のスポットライトという記者チームが取った実話を基にした大スクープの話 やはりいい作品というのは無駄な部分がない! 実際に取材を進めて行く過程がとてもわかり易くて、じわじわと浮き立ってくる真相が何段階に分けて来るのがとてもおもしろかった!チーム内で意見の食い違いもある中で真実を記事にしたい!という一つの信念のもとに必死なスポットライトの姿はとにかくカッコイイ… 後半は名言のオンパレード! マイクがやっと探していた証拠資料を見つけ、それの保証人として判事に話を付けようとするが判事は「この記事を公にしたとして誰が責任を負うんだ?」 聞かれた時の彼の言葉 「この記事を公にしない責任は誰が負うんだ?」 あの姿はかっこよすぎます。 まぁあとはネタバレなのでこの辺にして… 兎に角、最初から最後までのストーリーの盛り上がり方が滑らかで最高な作品でした。最後エンドロールは久々に鳥肌立ちました… しかし忘れてはならないのはどんなニュースにも被害者がいること。 マスコミとして色んな意味として「人の為」という事を忘れてはならない。 【あらすじ】 米紙ボストン・グローブ社のスポットライトという記者チーム 90人の神父が子供に性的虐待をしていたというネタが上がってくる。最初はカトリック教会という巨大な存在を敵に回すとして身を引いていたが、被害者の声を聞いた後に彼らの記者魂に火がつく。チーム一人ひとりが弁護士や被害者にどんどん食らいついていく。その後ボストンのみならずキリスト教を震わせる大スクープになる事に彼らはまだ知らなかった…
  • 3.7
    怖い話だった。 こーゆー大きい組織にはそれなりに闇があるけど、それが言えず闇に隠されてしまうのが暗黙の了解だと思う。 それをきちんと取材し、記事にするのはほんとに大変だったと思う。 いい話だった
  • riosa
    -
    記録 2017/3/19
  • saki
    -
    記録
  • まみたす
    3.7
    カトリック教会の代々続いてきた闇。こんな組織ぐるみでの悪が明るみに出て、信者の人達はどういう気持ちなんだろうか?? 無宗教な日本人には理解しがたい。 教えて神様…(*u_u)
  • MoviePANDA
    4.4
    『TOP DOWN -真相の深層- 』 上意下達。 上の意向が下に徹底される。 会社に限らず、組織なら当然とも言える指揮系統。ただ、それが思いもよらないところ、しかもおぞましい事の徹底した隠蔽で行われていたとしたら?この映画は、まさにそんな“小説より奇なり”な恐ろしい実際の出来事を元にした作品です。 この映画、昨年のアカデミー作品賞を受賞した作品なのですが、さらりと凄い事やってるなあと感じました。通常こういう題材であれば、ドラマのバランスとして社内の人間関係であったり、相手方の内情を描いたり、仕事を離れた日常も描いたりすると思うのですが、この映画は徹底して登場人物達が仕事に取り組む姿の中でドラマを構成し、そこから真実を浮き上がらせています。プライベートとおぼしき場面が出てきたとしても、そこでも彼らが“その事を”優先に考え、行動していたのが印象的でした。例え相手が友人であったり、以前世話になった相手でも、何よりも真相の解明を優先に行動をし、迫る。正直、精神的に相当キツい仕事だなと思いました。 「ペンは剣よりも強し✒」 良くも悪くも、これは本当の事。 全ての新聞記者やジャーナリストが、このボストン·グローブの面々の様にとはいかず、ウソとホントは混在。ルールを逸脱した取材姿勢がとられている事も多々あろうかと思います。 この映画で彼らが立ち向かう組織はあまりに強大で、さらには自らや家族の日常にも影響を及ぼす程の相手。その中で彼らは、苦悩し神経を磨り減らしながら、“真相の深層”に迫っていきます。そのチームの内、マーク·ラファロとレイチェル·マクアダムスがアカデミー助演賞にそれぞれノミネート。但し、受賞は叶わず。でもそれは前向きな意味で妥当なのかなと… それだけ、ボストン·グローブの面々が皆好演してるんです!その中でも、個人的にはリーヴ·シュレイバーが良かった!(‘∀‘ )きっかけを作っただけで終わらせず、自ら動き、そして上に立つ者としてしっかりと一番俯瞰で物事を捉え考える。その、“責任ある判断”あってこその結果だったのだと思います。 この事件の何もかもを知りたいと思って観ると、この映画はやや物足りないものかもしれません。ただ、物事が動く“その時”には鳥肌立ったぁ~!そして、あの驚くべき“数の多さ”こそ重かった… ただ、それより何より驚いたのが監督っ!何と『2012』のジョン·キューザックが別れた奥さんの再婚相手のあのオッサンなんですね!w(゜o゜)w いやはや、お見それいたしやしたm( _ _ )m
  • インコ
    5.0
    次々に明らかにされていく様子には鳥肌たった。 強大な相手と戦った実在の人物たち、正義感だけでは無いと思うけど、尊敬します。
「スポットライト 世紀のスクープ」
のレビュー(17407件)