『四畳半襖の裏張り』〜オトナになったあなたにすすめたい映画〜

2017.05.13
映画

"DON’T TRY"

ロハ

面白い映画って何だろうか?

一つの指標となり得るのがアカデミーやカンヌといった映画賞、映画祭だろう。様々な肩書きを持つ審査員達が選んだ作品は一見の価値がある。日本で有名なものがキネマ旬報が毎年発表している、キネマ旬報ベストテンだ。

そんなキネマ旬報ベストテンにロマンポルノの作品で選ばれたものが5本だけある。今回紹介する作品はその内のひとつ。神代辰巳監督作品『四畳半襖の裏張り』(1973)。

四畳半

監督、脚本は神代辰巳、芸者役に宮下順子、その相手役に江角英明が出演している。

時代は大正中期、米騒動の頻発で世間は揺れていた。そんな中でも好き者の信介(江角英明)は春を買いに料亭“梅ヶ枝”を訪れていた。そこへ芸者の袖子(宮下順子)が現れ、初見の相手である伸介相手に激しく乱れていくのであった。それとは打って変わって、お茶を引く花枝(絵沢萠子)は新人の教育に精を出し、また別の芸者夕子は兵隊の幼馴染と時間の限られた逢瀬を重ねていた……。

神代監督の世界観

この作品は永井荷風原作の「四畳半襖の下張」の映画化として作られたもので、様々な芸者のストーリーが群像劇の形で進んでいく。

まず面白いのがこの映画の編集だ。おそらく初見では理解することが難しい編集になっている。というのも、袖子と信介の一晩の絡みのあいだに花枝や夕子の話が挟み込まれる形で入れられており、時間の流れを理解することがまず難しい。さらにサイレント字幕と呼ばれるいきなり画面中央にパッと字幕が現れたり、少し違和感のある音楽がBGMとして使われていたりと、とても前衛的な印象を受けた。しかしそれらが組み合わさり、神代監督独自の世界観を作り出している。ストーリーも明確なオチに向かって作られてはおらず、この作品に写されているのはただひたすらに芸者として生きている登場人物の“今”が描かれている

“今”が繋ぐストーリー

私たちは面白いものが見たいと思っている。年がら年中思っている。しかし何が面白いのか……最近は分かりやすいものが面白いと言われることが多いのかもしれない。分かりやすさやシンプルさというのはとても大切な要素だ。しかし分かりやすさというのは恣意的な物語になりがちだ。困難を経てハッピーエンドを迎える登場人物。そんな分かりやすい構図を私たちは頭の中に思い描きながら、その通りのハッピーエンドを見て楽しんでいる。しかしそこにはどこかリアリティを感じることができない。世界とはそんな分かりやすいものなのか?と頭の中に疑問が浮かんでくる。

神代監督はおそらくある意味分かりにくくすることによってそのリアリティを出すことに成功している。この作品には確かに登場人物である芸者達のその瞬間の人生の1コマが収められている。人生というストーリーは恣意的ではなく、今の瞬間の積み重ねなのだから。

分かりやすくない。そんな面白さもあっていいじゃないか。

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  • 3.1
    人力車の並走のシーンとか引きで走ってる人を捉える所とか動きがあると画が凄い活きてくるなあと思った。 ストーリーはそんなに面白くないけど編集が面白い映画
  • ミミック
    3.4
    神代辰巳監督による日活ロマンポルノ。米騒動が起きた1918年の花街で、新人芸者(宮下順子)が性技を学び実践する成長譚。卵を股に挟んだり、ピロピロ笛を吹いたりするギャグシーンもちらほらあるが、基本的には芸者の日常を生々しく描いている。時折挿入される時事の写真が社会派の一面を覗かせる。男が果てたと同時に襖の外の照明がパッと切り替わったのが可笑しい。あくまで日常生活の中の性描写なので猥褻さよりも情念が滲み出る。人力カーセックス中にわざわざ並走して声をかける絵沢萠子に笑う。ラスト捕らわれたハエは、逃げ出すことを許されなかった。
  • 小笠原諸島
    3.8
    (秘)色情めす市場の芹明香が忘れられずにいたら、地元の映画館で偶然本作が上映されていた…! ロマンポルノでありながらキネマ旬報ベストテン入りを果たした、と鑑賞前に知り、期待が高まる。 感想は、編集が独特! 宮下順子と江角英明の絡みのシーンの合間合間に時間軸がバラバラなシーンが挿入されていて、鑑賞中は状況を把握するのに必死だった。 大正時代の風俗はこんな感じか〜となんとなく思いつつ終了。 DVDが発売されているようなので、今度は自宅でゆっくり観たい。
  • 麦は好き
    3.0
    神代辰巳 最初に見た映画。
  • arai
    3.8
    高知にて鑑賞
「四畳半襖の裏張り」
のレビュー(192件)