世界の映画祭で話題の『たたら侍』青柳翔×AKIRAが生み出した「JAPAN PRIDE」の可能性【インタビュー】

2017.05.19
インタビュー

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

日本のエンターテインメントをけん引する存在となったLDHグループが新たに送り出すのは「JAPAN PRIDE」を掲げた映画『たたら侍』だ。戦国時代の島根県奥出雲を舞台に、唯一無二の刀をつくるための鉄・玉鋼(たまはがね)による技術の「たたら吹き」の伝統をとみに大切にする村で、侍になりたいと憧れる伍介(青柳翔)と、村を守る存在の武士・尼子真之介(AKIRA)の関係性や心模様を、日本の原風景に乗せて雄大に、ときに甘美ささえ宿す映像で綴る。約3カ月、撮影地の島根に入り、みっちり役作りを行った主演の青柳と、撮影中、そんな青柳を支え、武士の中の武士を表現したAKIRAに、作品に懸ける思いを聞いた。

たたら侍

――村を守るために武芸を磨く伍介を、青柳さんはどのように演じようと思いましたか?

青柳:伍介はそんなに台詞が多くはない人物です。例えば、挫折を経験して歩いている場面などでは、どういう気持ちで歩いているのかなど、行動について考えていました。特に、伍介がラストで取った行動に向けては、そこまでの気持ちの流れをすごく重要視しないといけないなと思い、台本を読んでいましたね。

――台詞が少なく表情で見せていく演技については、最初からイメージができていたんですか?

青柳:いや、全然できていなかったです。1シーン、1シーン積み重ねていくことで作っていけた感じです。もちろん、錦織(良成)監督やスタッフさんと、現場でいろいろ相談させてもらいました。

たたら侍

――AKIRAさんは『たたら侍』のオファーを聞いたときのことを覚えていますか?

AKIRA:はい。LDH PICTURESが企画している作品でしたが、身内だからどうこうっていうわけでもなく、こんな作品は最近ないんじゃないかなと思うくらい、スケールが大きいと感じました。名だたる映画俳優の方々が出演されることもあり、なかなかそんなチャンスはないので、こればかりは一緒に映画作りに携わりたいし、身近で触れてみたいと思いましたね。

――作品の内容自体はもちろんのこと、出演者にもすごく魅力を感じていらしたんですね。

AKIRA:そうですね。あと、映画のアプローチは様々な形があると思うんですけど、「島根から世界へ」というキャッチコピーを掲げながら、「JAPAN PRIDE」という自分たちのタイトルを胸に映画作りに挑めたことも大きかったです。実際に、この映画をしっかり作って、島根のよさや、自分たちから見た日本の視点の素晴らしさを世界に届けるという夢もありながら、そのタイトルを掲げて映画作りをすることは、日本人の誇りとして奮い立つものがありました。熱いスタッフの方々もいて、チーム一丸で有言実行と言いますか、いろいろな映画祭にも出品させてもらえて、貴重な経験だと感じています。

たたら侍

――確かに、「第40回モントリオール世界映画祭」(カナダ)では最優秀芸術賞を、「ディレクターズ・フォートナイト・コルカタ」(インド)ではグランプリを受賞されています。現地では、どのような言葉をかけられましたか?

青柳:「日本の景色は美しいね」、「映像がすごくキレイだ」は一番多く言われました。日本の古きよき分化や伝統、人を思いやる気持ちも、すごく褒められた気がしたのでうれしかったです。映画祭で賞をいただけたことで、日本でもたくさんの方に観てもらえるきっかけのひとつになれればいいなと思っています。

たたら侍

――逆に意外だった言葉とかはありましたか?

青柳:「何で血が出ないの?」とか……。

AKIRA:確かに(笑)。あまり血を使っていないからね。

青柳:ポジション、ポジションでは(血も)使ったりはしていたんですけど。前半の合戦のときとかでも、そこまで飛び出るようなシーンはないですよね。血については、すごく言われたりしました。錦織監督はたくさんの方に観ていただきたいという思いがあるので、そうしたのかと。あと、玉鋼で作った刀はものすごく純度が高く切れ味が鋭いので、切った瞬間に血が出るというよりも、後々出てくるというお話を、ちらっと聞いたりもしました。

――たたらで製鉄を行う「たたら吹き」は劇中で本当にやられているんですよね?

青柳:そうです。

AKIRA:青柳がやっているシーン、本当にあのままなんですよ! 何℃あるんだっけ?

青柳:1000……。

――1000ですか!?

AKIRA:直接だと1000℃以上にもなるんですよ。映画の中で青柳がバーッと入れているやつが……。

青柳:砂鉄を入れています。

AKIRA:仰いだりしているんですけど、あの中が50℃以上あるのかな?

青柳:もっとあったような……。

AKIRA:息をすると熱いでしょう?

青柳:熱かったです(笑)。

AKIRA:あのシーンは、やばいですね。僕、あそこじゃなくてよかったなって(笑)。

青柳:(笑)。

――青柳さん、壮絶な現場だったと思うんですが「たたら吹き」のポイントはありましたか?

青柳:村下に、「どうやったら、たたら吹きがうまくなれますか?」、「どうやったら、よく見えますか?」、「どうやったら、この熱さに耐えられますか?」と聞いたら、結果、「気合いでしかない!」と。

――(笑)。

青柳:気合いかあ……、みたいな(笑)。

AKIRA:(笑)。

青柳:いろいろお話は聞かせていただいたんですけど、まとめると結果、気合いということだったので、とりあえず立ち向かいました(笑)。

――お二人が共演されている「HiGH&LOW」シリーズではAKIRAさんが中心にいらして、『たたら侍』では青柳さんが座長でしたが、AKIRAさんの目にはどう映っていましたか?

たたら侍

AKIRA:青柳は本当に何カ月も島根に入っていて、自分が入ったときにはチームがすでにできあがっていました。座長として青柳が現場に立っている姿は、別にこれといって偉そうにしていたり、仕切っているとかではないんです。もちろん錦織監督の人柄や素晴らしさもありつつ、周りのベテランの映画スタッフさんたちを目の前にして、本当にきちんとコミュニケーションを取っていて。僕はそんなに語れるわけではないですけど、映画を撮影するときに、自分もこういうスタンスでありたいなと思えるような居方の座長でした。自分も安心して、どっぷりと青柳組で勝負させてもらえました。自分の役に集中できましたし、ものすごく楽しませてもらいました。

――総合すると、100点満点ということですね。

AKIRA:120点くらいですね!

青柳:全然そんなことないっす(笑)。けど、ありがとうございます!

たたら侍

(取材・文:赤山恭子/撮影:市川沙希/スタイリスト(青柳):松川総(TRON)/スタイリスト(AKIRA):橋本敦(KiKi inc.)/ヘアメイク(青柳):鵜飼雄輔(TRON)/ヘアメイク(AKIRA):水野明美(H.M.C))

映画『たたら侍』は5月20日(土)より全国にて公開。

たたら侍

AKIRA:(デニムジャケット¥96,000、デニム ¥60,000、セーター ¥120,000、ベルト ¥36,000、シューズ 参考商品 問い合わせ=ラルフ ローレン パープル レーベル(ラルフ ローレン)Tel 0120-3274-20)

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  • YMO
    3.5
    戦国の動乱のさなか、守り続けてきた村の伝統 伝承 伝説。 時代に動かされ、また取り残されていく中で何に生を見出すのか。 何の為に変化を望むのか。 今の日本人こそ、その真実を見出してほしい。 また日本人だからこそ、見えてくる部分もあるはず。 世界から見た日本としての評価が高いのは皮肉な事ですね。
  • yonecyon
    -
    2017.06.08 バルト11
  • しんいちろう
    3.5
    少し展開に無理があるところもあります、心の葛藤が描かれていると、スッと入ってくるだけに残念。流れは好き、美しく、揺さぶられる。惜しい。
  • 風の民1980
    4.5
    先ず、刀で斬って血が出ないから、リアリティが無い、とか地味だとか、相性がどうとかの書き込みがあったので、そもそもの話から書きたいと思う。 たたら侍は、黒澤映画のモノマネでは無い。 モントリオール映画祭での受賞は簡単ではないし、欧米の映画人は、世界のクロサワを研究し尽くしているから、もし黒澤映画のモノマネ映画だったり、映像が美しかったり、セットが良かったりというだけで、賞など与えられるわけが無い。 きちんとした評が乏しいのは、もしかしたら、映画を観る側も、アメリカ病にかかっているからかもしれない。 ここに書き込んでいる多くの人は、映画好きの方々だと想像するが、例えばアフリカやアルゼンチン、イランやチリ、ベトナムやベルギーなどなどの国の映画を観た事があるだろうか。 いや、もう少し身近なドイツやイタリア、フランス、イギリスなどで作られた映画をここ数年で何本観ただろうか。 ここのレビューを読んでほとんどの人が、邦画以外はアメリカの、しかも大作しか観ていないのでは、という気がしたのである。 たたら侍の主人公が失敗を繰り返しながら、最後は生きていることに意味を見い出す、 これだけでとても大きな前進だと思う。 示唆に富んだ素晴らしい作品だと私は思っていたので、色々なところでの酷い書き込みに疑問が大きくなってしまった。 世界の映画は多種多様、映画の見方も多種多様。 アメリカ映画のプロットにどっぷり浸かってしまい、偏った価値観に溺れてしまってはい やしないか。 日本が、日本人が、世界の常識から逸脱していないか、このたたら侍を観終わった後、自問自答してしまった。 因みに黒澤映画もまた斬られても血は出ない。 一度だけ、椿三十郎のラストシーンでのみと言っていい。 雰囲気で、自分たちの価値観で判断することの怖さと失敗を繰り返しても繰り返しても、時の空気に抗えない民衆の愚かさを描いている映画を ちゃんと解る人が少なくなってしまったとすれば危機的状況かもしれない。 出演俳優の不祥事で、上映中止や、内容カットなどは、正に、この映画を解らない愚民によるものとしかいいようが無い。 映画は、料金を払って観るもの。 観客が選択する権利があるはず。 中止は論外。カットは作品の自殺行為。 国外で、そんなことしたら製作側が訴えられてしまう。 気がつかない内に映画はアドレナリンが出るものばかりを観ていて、共感や感動する映画が、面白い映画だと慣らされてしまっている国民には 問題の本質など解る訳もないか。 モントリオール映画祭での審査員長のコメント は、黒澤映画などの往年の名作と同じような感じだが、新しいアプローチで現代的、と評している。 わかりやすいストーリーや最後は成功したりハッピーエンドの映画ばかり観てる人ばかりの日本は どうなるんだろう。 世界の映画祭での受賞は伊達ではない。 この映画は、現代の日本をよく表現していると思う。いや、世界かもしれない。
  • yaaxnaa
    3.0
    静かな作品だから迫力はかける。 でも悪くない。
「たたら侍」
のレビュー(342件)