ついにの終焉…ヒュー・ジャックマン、『LOGAN ローガン』で迎える17年のラストを語る【インタビュー】

2017.06.01
インタビュー

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

同じ役をずっと演じるということは、どのような境地に達するものなのだろう。いまや世界的にメジャーな俳優のひとりとなったヒュー・ジャックマンは、元々オーストラリア出身で、母国ではミュージカル俳優として活動していたことを知らぬ人も多い。代表作『X-MEN』は、そんなヒューがハリウッドへの切符を掴んだターニングポイントとなった作品で、その後、彼の人生において17年間という長い付き合いになる。シリーズ8本(※カメオ出演をあわせると9本)に出演し、現在公開中の『LOGAN ローガン』こそが、ウルヴァリン/ローガンをヒューが卒業する最後の、特別な1作となった。

来日の際に行ったインタビューでは、役と一緒に成長してきた17年という年月に根差した気持ち、キャリアの礎となった運命を語ってもらった。

LOGAN

――これまでのシリーズとまったく違うテイストに興奮し、感動しました。ヒューさんは、いかがでしたか?

僕もすっごく気に入っています。『LOGAN ローガン』はこれまでとはすごく違うものにしたい、観客を驚かせたいという思いと、リアル感があって心に響くものに作りたかったんです。キャラクターをちゃんと忠実に出したいと。ローガンは非常に悲劇的なヒーローなはずだけれど、今まではヒーローの部分だけを出していて、悲劇的な部分がなかったという非常に複雑な役なんです。闘うほうが楽なことで、人とつながったり、愛したりすることは非常に苦手な人物だから。人間関係、人とつながること、家族愛、自分の心を開くことの難しさがテーマとしてあると思っています。

ちなみに、今回の映画のインスピレーションは『許されざる者』がヒントになっていると聞いています。『許されざる者』は西部劇を超越している部分があって、非常に大人の複雑さを持っている映画だと思うんです。

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――今回は少女ローラという重要なキャラクターが登場します。ローガンの内面の変化がローラと触れ合うことで伝わりますし、劇中で流れた『シェーン』が、まさに二人の関係性を物語っているように感じました。

まず、ジェームズ(・マンゴールド)監督がアイデアとして『シェーン』を使うと言ったときには、すごく大胆だし勇気があることだと思ったんです。というのは、『シェーン』は映画史上でも最高の映画のひとつだし、『シェーン』を出した時点で、どれだけ自分たちの映画がクソみたいなものって思われるかもしれない。そういうリスクもあったわけですよね。

シェーン(アラン・ラッド)が「殺しはレッテルで、そのレッテルは剥がれない」というようなシーンを、ローラが観ている場面が劇中にあります。もし、ローガンがシェーンの言葉を言うとしたら、なんか彼らしくないですよね? ちょっと甘くなってしまうから。ローガンは説教するタイプではないので、『シェーン』の場面を見せるのは、とても賢いやり方だったと思います。元々シェルターにいて世の中のことを知らないローラが、ああいう映画を通して「道徳」というものに触れるという、そういう意味合いもあるんです。非常に郷愁を誘うような言葉が語られるから、映画の持つ力や神話的なものも現れていると思っています。

――現在のアメコミブームは『X-MEN』シリーズから生まれましたが、魅力はどこにあると感じていますか?

映画業界にとっても、コミック業界にとっても、欠点のあるヒーローでマイノリティを描いているところが魅力だと思っています。『X-MEN』は最初、第二次世界大戦のナチスの強制収容所(アウシュビッツ)から始まりますし、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアとマルコムXの公民権運動のことを喩えていたから、非常に政治色が強かったわけですよね。今、とてもライトなキャラクターやコミックが多い中で、『X-MEN』はスーパーヒーローというよりも、すごく人間らしいところがほかにはないと思っています。

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――本作でローガンを演じるのを終わりにすると決断した一番の理由と、そこに至るまでの葛藤や悩みがあれば教えてください。

いったん決めたときには、迷いや葛藤がまったくなかったんです。『LOGAN ローガン』をやるにあたっては、いろいろなアイデアを監督と話しました。例えば、大人数の300人と戦うだとか、すごい悪党が出てくるとか、いろいろなアイデアがあったんですけど、シリーズを8本もやって、もうすべて出し切っている、やり切っている感がありました。だから、外にワーッと大きくするのではなく、『許されざる者』や『レスラー』のように、ローガンの内面に迫ってみようとなりました。これが完璧な終わり方だと思ったんです。

「終わる」と告知する前、6週間ものあいだ、毎週毎週「本当に最後でいいの?」とエージェントに聞かれて(笑)、最後の最後、SNSにポストするときも「本当にいいの?」と念を押されました。「後悔していない?」と何度も聞かれて、「絶対にない」と言ったくらいです。

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――クランクアップを迎えたときに、一番最初に出てきた感情は?

感謝、そして疲れて(笑)、でもハッピー。まだまだ仕事が残っていたから、ちょっと緊張感があったかな。ベルリン国際映画祭で完成作を観たときに、初めて、「ああ!」と安堵感を覚えました。すごく詩的な映画だったし、すごく期待値が高かったのに、それを遥かに超えてくれた作品だったから、すごく幸せでした。

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――ローガンというひとつの役とずっと一緒に成長している1本のラインがあって、もう1本のラインではいろいろな役に挑戦しているという理想的なキャリアですよね。今回そのひとつを手放すわけですが、今後はどうしていきますか?

ヒュウッ(真っ逆さまに落ちるジェスチャー)。

――(笑)。

(笑)。この先の作品選びで言えば、自分が挑戦したいと納得するものを選んでいきます。監督が一番大事だし、自分が観たいもので、娯楽性があったり、考えさせられるとか、自分に何かを与えてくれるようなものに出たいです。新しい世界なので今はオープンで、ワクワクした気持ち…もしかしたら、何もオファーがないかもしれないけど(笑)。17年間、いつも映画が控えていたのでやれなかったから、演劇や舞台もやりたいなあ。毎朝3時間トレーニングしなくてもいいものがいいな(笑)。(取材・文:赤山恭子)

映画『LOGAN ローガン』は全国公開中。

LOGAN
(C)2016 TWENTIETH CENTURY FOX

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  • 倉坪眞弥
    4.1
    エックスメン最新作 年老いたためヒーリング能力が弱まったローガンが自分の遺伝子を持ったこどもをひょんな事から助ける話 今までのエックスメンとは一風変わった作りとなっており、ローガンが弱まっているため一方的な斬滅とは異なっている 派手ではないが今までのローガンの苦悩が感じ取られ、非常に面白かった。 いつの日かマーベルに合流すると話が出ているそうなのでアベンジャーズに出るのを楽しみにしたい
  • 4.0
    不死身の男の最期、しかと見届けました。 ローガンが終始苦しそうで、観ていて痛々しかった。チャールズも寄る歳波を感じさせる演技で、ミュータントが満身創痍であることを印象付けられました。 不死身のカッコいいウルヴァリンを観てきた我々からすると、弱々しいウルヴァリンは見るに耐えないかもしれません。 それでも見る意義を感じさせてくれるのがヒュージャックマン達の演技力なんだと思う。
  • けん
    4.0
    結構残酷なシーンがあって驚いた。 フューチャーアンドパストでハッピーエンドで続編がわくわくしただけに、この映画の展開には驚いて寂しかった。
  • コモモ
    4.0
    一言で言うと、大人の映画ですね。 大好きです。 暴力の痛み、背負った過去の重み、友との絆。 今は、ただ別れが悲しくてつらいですが… 何度か見返して、その意味などを噛み締めたいです。 最後の台詞。 シビれたなぁ。
  • tomoco
    3.5
    ローガン、ウルヴァリン最終章。 最期まで切ない話だけど、そこまで切なくさせなくて良いのではないか?と、思った。 だって悲しすぎるだろ…!! ウルヴァリンならではの身体を使ったアクションが、今後見れなくなるのも少しさみしい気が…。 ヒュー・ジャックマンさん、長年のウルヴァリン、お疲れさまでした。
「LOGAN ローガン」
のレビュー(11357件)