「俺、結婚したいかも」彼をその気にさせる夫婦の話【ジューン・ブライド特集】

2017.06.10
映画

映画も音楽も本も好き。

丸山瑞生

6月といえばジューン・ブライド!

そこで今回は、結婚が題材の映画をご紹介です。描かれ方は三者三様ですが、どれもがともに人生を過ごすひとがいることの嬉しさを感じられる作品です。ぜひ、この機会にご覧ください!

グッド・ストライプス(2015)

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グッド・ストライプス』は、岨手由貴子監督による、オリジナル作品の長編商業映画デビュー作。

交際期間4年。マンネリ状態だった破局寸前のカップル・緑と真生。ところが緑の妊娠を機に結婚を決め、お互いの家族やルーツを知ってくラブストーリー。主演は、菊池亜希子中島歩

カップルのマンネリや倦怠感が描かれてますが、それよりも緑と真生は生活そのものに不感症にも見え、それはふたりの世代の特徴なのかなと思います。アラサーが感じる先行きへの期待の持てなさと、この世代特有の生き方を描いてます。

結婚とはお互いの家族を知り、それは本人たちのルーツを知るきっかけにもなるでしょう。真生は緑の家庭の淡白さを知り、緑は真生の家庭環境を知る。同時にふたりは自身の家族の在り方を再確認する。

『グッド・ストライプス』は、当たり前の日常を慈しむ映画です。
両親の離婚を経験している真生は「何かを期待しても、いつも違うことが起こる」と言いますが、緑は「わたしには特別なことは起こらない」と笑います。
マンネリを刺激のない日常と捉えがちですが、これからの人生を共に歩むのなら、日常の些細な出来事も共におもしろがりたい。特別なことが起こらない人生も楽しいですよね、きっと。

ツレがうつになりまして。(2011)

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ツレがうつになりまして。』は、漫画家・細川貂々(ほそかわてんてん)の同名コミックエッセイの実写化作品。

ある日、仕事をバリバリとこなすサラリーマンだったツレが「死にたい」と言った。診断の結果は、心の風邪。うつ病だった。売れない漫画家の妻、晴子との闘病生活を描いた物語。主演は、堺雅人宮崎あおい

いわゆる、闘病生活を描いた作品なのですが、物語のトーンは全体的にはやわらかく、比較的に重さは控えめです。ただ、生活の何気ないところで起こる、小さな引っかかりや、心にチクリと刺さるような出来事。それらを鋭く捉えているので、日常の些細なことが原因で起こりうる病なのだなと、あらためて気づかされます。

本作のキャッチコピーは「すこやかなる時も、病める時も、君と一緒にいたい。」結婚式の誓いの言葉の引用ですが、この言葉が物語のすべてを言い表しています。ツレがうつ病とわかったときに、晴子は「会社を辞めないなら離婚する」と告げるのも、最愛のひとの心身の健康を案じるからこそですが、バシッと決断を下せるのは素晴らしいし、すごいことだなと思います。

物語のテーマはあくまでも、うつ病とその闘病なのですが、堺雅人さん演じるツレの神経質な性格と佇まいと、宮崎あおいさん演じる晴子の自由であっけらかんな役どころが軽すぎず、重すぎない絶妙なバランスの物語に仕上げています。それらを通して描かれる夫婦の絆は普遍的で、大切だと思えるパートナーがいる方には響くものがきっとあるかと思います

海よりもまだ深く(2016)

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『海よりもまだ深く』は、ある団地を舞台に描かれる家族の物語。監督は、是枝裕和

売れない小説家の主人公・良太。団地に独り住いのその母親・淑子。別れた元妻と息子、響子と真悟。淑子の家に集まった3人は、一夜限りの家族の時間を取り戻す。おもな出演者は、阿部寛真木よう子樹木希林ほか。

主人公の良太を演じる、阿部寛さんは是枝監督の『歩いても 歩いても』や『奇跡』などに出演。もはや、常連ですね。『海よりもまだ深く』と『歩いても 歩いても』は、通ずるところも多く、どちらも主人公の名前は良太で、母親役は樹木希林さん。また、どちらの良太も頼りなくて、ちょっとダメな男に思えます。男前な阿部寛さんですが、そんな役も見事に好演。

本作は、結婚というよりも、その先にある家族の在り方を考えさせられます。良太と響子の夫婦の関係は終わりましたが、家族の縁は続きます。それは、真悟という息子の存在があるから。まさに、子はかすがいでしょう。

夫婦だったふたりを中心に描いた物語なので、結婚に後ろ向きな考えを抱くかなとも思うのですが、意外にも人生の方向性を考えるきっかけをもらえます。良太の「なりたいものになれていない」という台詞が印象的で、非常にモラトリアムっぽい。中年男のモラトリアムなんか、いかにもダメな男ですが、そのダメっぷりは男性には共感と反面教師の表裏一体かと。男性にお薦めの一本です。

モヒカン故郷に帰る(2016)

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松田龍平が演じる、永吉は、鳴かず飛ばずのバンドのボーカル。ある日、永吉は恋人の妊娠をきっかけに結婚を決意。その報告がてら、7年ぶりに故郷に帰省する。ひさしぶりの一家団らんかと思いきや、父親のガンが発覚。余命がわずかな父親のために奮闘する家族の姿を描く。監督は、沖田修一。おもな出演者は、松田龍平、前田敦子柄本明もたいまさこ千葉雄大ほか。

物語はシリアスですが、悲壮感や重苦しさを感じさせない軽やかな印象。たくさんのシュールな笑いも散りばめれられます。沖田修一監督の作品は『南極料理人』や『横道世之介』など、ほのぼのと笑えるものが多いですね。

『グッド・ストライプス』でも、『海よりもまだ深く』でも、結婚を機に訪れる相手の家族との関わりを描いていましたが、それぞれが異なる切り口でした。相手のルーツを知るきっかけだったり、元夫の家族との関係性だったり。
『モヒカン故郷に帰る』では、もたいまさこさんが演じる、永吉の母・春子と、前田敦子さんが演じる、永吉の恋人・由佳のかけ合いがほがらかで、あんな関係性を築けるのは理想的だなと思わされます。

結婚を考えたときに、不安に思うことはたくさんあるかと思います。恋人と自身の家族の相性はどうだろうかとか、経済的にこの先の生活は大丈夫だろうかとか。本作には、不安に感じる悩みを吹っ飛ばす力があります。なぜなら、永吉と由佳は傍目には不安だらけなのに、ポジティブに生きてるから。
みなさんも前向きな気持ちになれると思いますよ。

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  • そうすけ
    4.5
    なんとなく起こりそうな感じのふわふわした邦画やな〜でも好き
  • amu
    5.0
    最近満点出し多いな、私。笑 好きかつまらないかで言ったらもはや映画なんて満点かそうでないか、客観的にいいんじゃない?で星真ん中なのかなと感じている今日この頃です。 緩い日常リアリティそして画と色味と空気感がフィルムぽい好きなタイプで、文句無しに普通に満点な作品でした。 菊池亜希子さんが好きで、だけれど作家や編集者やモデルとしての彼女のことしか目にしたことが無くて、もちろん女優さんをしていることは知ってはいたけど、これが今になってやっとの初見の作品となりました。 正直期待していなかった。自然体を売りに棒な演技なのだろうと思っていた。ところが、とっても良かったので驚いた。ちゃんとした自然体だった。動いて喋るあっこちゃんも、紙面でおもちを頬張るあっこちゃんくらいに魅力的でかわゆくて素敵だった。時折物凄く美しく見える彼女は、本当に内面から醸すものを持っているなと思う。 相手役の中島歩さん。彼のことも初見でしたが、あっこちゃんと同じ魅力を醸す表情ひとつひとつを焼き付けたくなる、そんな俳優さんでした。うじきつよしさん久しぶりに見たけどいい歳の取り方してるなー。そしてここで中村優子さん登場ていうキャスティングの妙にちょっと鳥肌立った(感動という意味で)。個人的に好きな臼田あさ美さんはもう、リアリティ線上の美人、心からお友達になりたいいい感じの人日本代表。カフェのキッチンにこんな二人がアルバイトしているなんて最高すぎる店だなと思ってしまった。 あと本当、男が友達の結婚式二次会行ったあとってこういう流れがルーティンになってしまっているから、「友達の結婚式に行く」という彼氏をお持ちの女性の方は覚悟が必要です。 お話は、人の日常を見させてもらった感で、普通にある本当にただただ日常で、結婚てこうだし、お互いの家族に会ってごはんを食べることってこんなだし、その普通さを小さなわくわくした気持ちで観させてくれた監督の手腕に悦びがありました。巧いです。 みどりにクセがあるからこそのお姉ちゃんだったり、妹ちゃんもたんに可愛いだけの子じゃなくて、選んだ職業にクセがあったり。 二人の居場所を引きで窓の向こうの景色で見せるカメラワーク、アルバイトのキッチンでオリジナルジュースを作ること、スタバでテイクアウトしたサンドイッチを打ちっぱなしのベンチで食べる友達、黒髪ショートボブを荻窪っぽいと揶揄しつつ今日は下北ぽくてだんだん渋谷に近づいているという表現、写真家のお父さんの愛を感じる万年筆、お父さんの子だなと感じさせる無意識なのか意識的なのかいつも写真を撮るまおくん、和歌山という土地の空気、冬の流しそうめん、救急隊の地元感、カシオペアの弔いに妹ちゃんが上げてくれた花火、どこに行くにも一緒のわんこ、和装の結婚式。すべてが愛おしかった。
  • KeitaKuromiya
    -
    リアリティ度が高く共感する印象 特に説明的セリフもないし、日常のゆるい感じが良い 2人で生きていくことって当然2人だけの事ではないし、周りとの関わりの中互いにどう助け合っていけるか。家族、友人、そして仕事、、、 月並みだが人を作るのはやはり人だった みどり姉さんのいい感じの尖り方上手かった
  • SatoruNakata
    2.8
    常にそこにあるような距離感は、良い平行線のまま。 日常系だからこそ、亀のクシャミは重要なのだ。とても良い空気感の映画。
  • TAM
    2.0
    結婚てそんなにハードル高いもんじゃないのか。
「グッド・ストライプス」
のレビュー(2162件)