密室ゾンビパニック『新感染 ファイナル・エクスプレス』は父親の成長を描いた感動作!

2017.09.15
洋画

夢見る三十路

柳本マリエ

無類のゾンビ好きとして(ごく一部の間では)知られる私。ゾンビといえばショッピングモールや病院あたりで発生するのが相場となっているにも関わらず、この韓国発の『新感染 ファイナル・エクスプレス』は時速300kmで走る完全密室の特急列車内で感染が広がってしまうという、最もゾンビに会いたくないシチュエーションで物語が始まります。

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舞台はソウル発プサン行きの特急列車KTX101号。発車直前に感染者が乗り込んだことにより、疾走する車内で爆発的に感染が広がってしまう。そこに居合わせたのが、別居中の妻のもとへ向かう父親ソグ(コン・ユ)と娘のスアン(キム・スー・アン)。ほかにも妊娠中の妻を気づかう夫や老姉妹、高校生のカップルなど、ごくごく普通の乗客たちばかりだった。

と、ここまではいわゆるゾンビ映画! なのですが、この映画の最大の見どころはダメ父親ソグの人間としての成長過程。前半と後半でソグの印象は180度変わり、父として成長していく姿に涙なしでは観ることができませんでした。ここまで感情移入をしてしまったのは、おそらくソグが誰でも起こりうるであろう人間のダメな部分を多く持ち合わせていたからかもしれません。

before

いかにも「ザ・正義感」のようなキャラクターではなく人間味溢れる描写が自分自身と重なるからこそリアリティがあり、また、応援したくなってしまうのです。危機的状況下で、自分や身内がゾンビになってしまうのではないかという恐怖心の中、他人を思いやることができるほどキャパシティの大きい人なんてそうそういないのが現実。

しかしながらソグはサンファ(マ・ドンソク)やその妻ソンギョン(チョン・ユミ)はじめ、他人と協力することで状況を打破できることを体験し、そこから大変貌を遂げることになるのです。 腕っぷしの強いサンファを筆頭に、感染者だらけの車両に乗り込む理由はただひとつ。娘を守るため! そのがむしゃらに奮闘する姿にただただ涙が溢れました。

after

そして、ソグの成長とともに浮き彫りになるのが最後まで自分のことしか考えることができなかった大多数の人々。その対比や彼らの結末も必見です。

この映画は本格アクションのゾンビ映画と上質なヒューマンドラマの2本を一気に見たような、そんな感覚になるほどの見ごたえたっぷりの映画。 終始緊迫した状況の中、クスッと笑ってしまうような休憩ポイントのバランスも非常によいので普段ゾンビ映画をあまり見ない人にもオススメできます。見終わったあとはきっと、大切な人を思い浮かべてしまいますよ。

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  • Kazumi3710
    3.9
    休む暇がなくてゼェハァしました。人間のほうが怖い、、あんにゃろー。
  • gaaaa
    3.8
    評判通り、一人一人の描写がしっかりしていて、感情移入しやすかった。 ほぼ電車内に制限した結果、密室の緊張感が伝わってきた。 扉を開けられるゾンビだったら、この映画は成立してないね。笑 結局のところ、何が原因だったかは写してないけれど、そんなのどうでも良いほど程良くまとまっていた。 韓国映画は無駄がない。
  • レイ
    5.0
    パニックホラーなのにヒューマンドラマ
  • キャナ
    4.5
    ハードル上げまくって観たけどそれを超えてくる、結末は読めない…めっちゃ泣く。 親子愛、恋人愛、人間愛…色んな愛でハートフルだけども観た後心があったかくなるわけでなく、帰りの電車で今ゾンビが来たら…と思ってしまったのでやはりこれはゾンビ映画!
  • Danny0823
    4.5
    この手の映画は、脚本や見せたい演出の都合上登場人物に安易で軽率な行動をさせがちなのだが…本作にはそれが全くといっていいほどない! 緻密にねられたプロットの上で、各々の心理描写もしっかり行い、ゾンビパンデミックという激しい混乱の中、ツッコミどころのない極々“自然”なストーリー展開を実現している。 各キャラがゾンビ化するそのシチュエーションも多彩で見事だ。どんな美男美女であろうと容赦なくゾンビ化させられるゾンビ映画のハラハラ感は健在だし、後半のゾンビ化描写にはある種の芸術性さえ感じられた! オチもすばらしいの一言。 涙なしでは見れないと思うのでハンカチは必須だろう。 “泣けるゾンビ映画”、超オススメです。
「新感染 ファイナル・エクスプレス」
のレビュー(7957件)