ジャッキー・チェンがアデルを歌う!?ハリウッドきってのブロックバスター監督レニー・ハーリン完全復活『スキップ・トレース』【インタビュー】

2017.09.01
映画

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

90年代『ダイ・ハード2』、『クリフハンガー』、『ロング・キス・グッドナイト』と立て続けにブロックバスター作品を生み出したレニー・ハーリン監督。ハリウッドで一時代を築いた後、現在は拠点をLAと北京という2段に構え、映画制作に携わっている。

そんなレニー監督が20年来の親交を持ち、念願叶って初タッグを組むことになったジャッキー・チェンを主演に迎えた映画『スキップ・トレース』は、ジャッキー映画史上No.1のオープニング成績をたたき出した痛快アクションだ。そして、それは00年代以降、これといって爆発的ヒットには恵まれなかったレニー監督が、息を吹き返した1作でもある。並々ならぬ情熱を捧げて作った本作――インタビュー中に「もともと台本には想定していなかった」と明かした、あのジャッキーにアデルの名曲「Rolling in the Deep」を歌わせた秘話――など、Filmarks独占で語ってもらった。

レニー・ハーリン

――Filmarksです、よろしくお願いいたします。

今回はオンラインだから、声は使わないの?

――あ、文章のみになりますので、使わないです。

OK、I can talk any voices I want!(※声色を変えて怖い声を出している)

――(笑)。レニー監督のそのお人柄が映画に色濃く出ているような、心から笑える作品でした。

ありがとう! 全米でも中国でも非常に観客からのレスポンスがよくて、僕も楽しい時間を過ごせているよ。やっぱりアクションコメディの醍醐味は、観客の感触がすぐにつかめるところなんだ。即フィードバックがもらえて、自分が狙った通りに驚いて、狙った通りに笑ってくれると、監督としてこんなに満足できることはない。ジャッキーと僕は、「この作品は中国へのラブレターなんだ」という意識で作っていたんだ。アメリカの観客の反響としてうれしかったのが、「中国って、こんなに美しい国なんて知らなかった」、「内モンゴルはこんなに綺麗な場所なんだね」というものだったから、日本でもそれが伝わるとうれしいよ。

スキップ・トレース

――今のお話で出た内モンゴル自地区の場面、私もとても好きです。ジャッキーにアデルを歌わせるなんて……発想に脱帽しました。エピソードをぜひお聞かせください。

その質問、すごくうれしいよ! 僕もあのシーンがすごく気に入っているシーンのひとつなんだ。もともとアデルの曲を使うのは脚本にはなくて……って背景を話すとかなり長くなるんだけど……いいかい?

レニー・ハーリン

――ぜひ、ぜひ。

準備をするにあたり、内モンゴルでロケハンをしたんだ。そのとき、現地の人々に会って彼らの民族衣装を見たり、共に食事をしたり、テントの中で過ごしたりしたよ。彼らは非常にフレンドリーで、「君たちはどういう音楽を聴くの?」と聞いたら、「POPミュージックもアメリカミュージックも聴くよ」と答えた。「例えば何?」と聞いたら「アデル!」と。僕はアメリカから遠く離れた内モンゴルの場所でも、皆が同じ曲を聴いているんだと思って感動して、その体験を映画に盛り込みたいと思ったのさ。西洋と東洋は文化的に非常に違うわけだけれど、「共通点があるんだよ」と見せたくなった。

それで、ジャッキーに「アデルは好き?」と聞いたら「もちろん好きさ! 皆アデルは好きだろう!?」と言ってくれたので、「キャンプファイヤーをしながら、皆でアデルを歌うのはどう?」と提案したんだよ。ジャッキーは、それはもう喜んでやってくれた。

――それで「Rolling in the Deep」を合唱する運びになったんですね。

モンゴルの原住民の皆さんとジャッキーには練習してもらって、歌詞も完璧に覚えてもらったよ。あの場面で、エンターテインメントというものは異文化を融合させるものだ、ということをシンプルかつ見事に見せられたと思ってる。異文化で育った者同士でも、交流を深めれば、気持ちはひとつになると。今いろいろな紛争や対立が起きているけど、そういうものもなくなっていくんじゃないかなと思っているんだ。

――温かいシーンの中には、監督のそんな想いも込められていたんですね。

そう。けど、大問題も発生してね……。編集も終えて、一番最後のサウンドミキシングをしているところで、なんと「Rolling in the Deep」の使用許可が取れていないことが明らかになって……。急いでアデルのマネージャーやエージェントに折衝したんだけど、「アデルはそういうのを許さないので」とNGをくらっちゃったんだ。

――……!!

だから、「歌のシーンはカットしないといけないよ」と製作陣に言われたんだけど、あのシーンこそ、この映画の魂だろう? カットするなんて考えられないし、ましてやジャッキーに言えるわけがない。「どうしよう!」となったんだ。

そこで、僕はアデルの友達の友達の友達の友達……くらいの人と知り合いだったので(笑)、何とかつてを辿って、ロンドンにいる彼女の親友に手紙を書いた。「僕はアデルが大好きで、彼女のようなアーティストが世界を融合することができる。歌という芸術がいかに素晴らしいのか」というような内容をしたためて送ったんだ。それが高じて、アデル本人にあの場面を見せることができたのさ。映像を観た彼女はなんと「とても気に入った、使っていいわ!」と許してくれたんだよ。

レニー・ハーリン

――本当によかったです! そして、ジャッキーと組んだことはレニー監督にどのような刺激をもたらしましたか?

いろいろな意味で、ジャッキーは素晴らしい方だ。ジャッキーから得た一番の学びは、「不可能なことはない」ということだった。僕のようにハリウッドで長年仕事をしていると、撮影前はミーティングにミーティングを重ねて、ようやく合意にありつけて、綿密に計画した上で撮影に入るんだけど、ジャッキーのアプローチは正反対! すべてがアドリブで、アイデアが浮かべば「すぐやろう」と。彼のアプローチと僕のアプローチを折衷させて、撮影は進んでいったよ。

――ジャッキーの一番のアドリブといえるのは、どこの場面でしょう?

現場で思いついてそのままやったものは、本当にいろいろあったよ! 例えば、ロシアの追手とジャッキーが闘う工場の場面があるよね? 最初は普通の工場だったんだけど、「おもちゃ工場にしたらどうだろう?」と僕がアイデアを出したら、すかさずジャッキーが「だったらマトリョーシカを使うのはどう?」とアイデアを重ねてきたんだ。「それはいい!」となったんだけど、実際マトリョーシカをジャッキーがどんどん割っていくことになって。マトリョーシカをうまく割れるようにデザインしないといけないので、美術担当はかなり大変な思いをしたみたいだ(笑)。でも観客にはやっぱり大ウケで、この映画の代表的なシーンのひとつになったね。

――日本のトレーラーでも話題になっています(笑)。何体くらいマトリョーシカを壊したんでしょう?

もう50体は……! 映画を観ていると、すごく自然に壊しているように見えるけど、物理的に非常に難しいんだ。だって、外側の殻だけが割れて、中までは割れないようにしないといけない微妙なバランスだから、すごく大変で。かつ中のマトリョーシカを持ったままでいないといけないので、割られると普通は落としちゃうんだけど、落とさないジャッキーは本当にすごい。

スキップ・トレース

――ジャッキーの天賦の才を、まざまざと見せつけられた感がありました。

ただ、本人は、「僕は別に技術的に卓越しているわけではなくて、皆より忍耐強いんだと思う」なんて言うんだ。例えば、何かを蹴り上げて空中を飛んで手でキャッチするのは、通常だと「あり得ない」ことなんだけど、ジャッキーはやってのける。蹴り上げたものをキャッチできるまで、何回も何回もやるわけさ。ほかの人にはそんな忍耐強さはない。あそこまでできるのはジャッキーくらいだよ。

これは僕の人生の教訓にもなっていて、大概「これでよし」というラインで人はやめたりするわけだけど、そうではなくてジャッキーは「本当にこれでいいのか」という意識で、物事に取り組むことの大事さを教えてくれた。ジャッキーはパーフェクトなものができるまで、諦めないんだ。必ず粘る。僕もそんなレベルに到達できればと、そう願っているよ。

スキップ・トレース

――そんなジャッキーとレニー監督の再タッグを見られると、この先期待していていいですか?

スキップ・トレース』自体、大成功を収めることができたので「たぶん」続編はできるんじゃないかな。続編を作るなら「こういうことをやりたいよね」というアイデアもたくさんあるし、ジャッキーと組むチャンスはいつでも虎視眈々と狙っているよ。今回の作品でジャッキーのことをより知ることができたし、僕は中国に拠点を移してから3年経って、中国の人々のこともより深く知ることができているので、再タッグが叶えばと思っているよ!(取材・文:赤山恭子、写真:市川沙希)

スキップ・トレース

映画『スキップ・トレース』は9月1日(金)より全国ロードショー。

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    3.0
    ジャッキー・チェンが主演のアクション映画です。 ベニー・チャン刑事は、闇組織のボス・マタドールを捜査中…相棒のユンを失った過去を持つ。それ以来、ユンに託された娘・サマンサを育てながら、相棒の復讐の為にマタドールを追うだけの生活だ。マタドールの正体が事業家のヴィクター・ウォンだと睨んだベニーは、功を焦るあまり大失敗し、停職処分となってしまう。そんな時、ヴィクターの証拠を掴もうと彼のカジノで働いていたサマンサは、コナー・ワッツがイカサマで大金を持ち逃げした責任を取らされそうになり、ベニーに頼る。コナーがロシアにいる事を突き止めたベニーは、コナーを捕らえ、サマンサを救うべく…ロシアへ飛ぶ! …という内容です。 ジャッキーのアクションは未だ健在!でしたねぇ。まぁ、製作にアメリカが関わっているので、安全重視で撮影されているのは、プンプンしますけどね!上海ナイトやラッシュアワーと同じく、真面目なジャッキーとチャラいアメリカ人のコンビ…のパターンですが。前述の作品を超えたかというと、うーん…って感じでした。十分、面白かったのですけどね〜。 ロシアからマカオまで、3800kmぐらいあるんですよね。ちょっと旅として、距離遠過ぎじゃないですか?ほぼ、自力で移動してますし…止まりそうな車とか馬とかイカダとかで移動してても、絶対着かないって。だから、ちょっと中だるみしちゃうんですよ…。しかし、あんな山とかしかない広大な土地を移動してて、よくどっちへ行けば良いか分かるなぁ…。看板なんて、ありゃしませんよ?! どーでも良いんだけど、相方役のジョニー・ノックスビルの笑い顔が、ますだおかだの岡田に見えてしょーがない(笑)。 まぁ、まだまだ健在なジャッキーを観れて満足っす〜!! あとは、ラスト付近のネタバレになりそうなので、行数を開けて書きますー。 ラスボス、9年も人前に姿を現さずにいたのに、ジャッキーの前に現れたその日に命日になるというね…。ジャッキー舐めすぎというか、詰めが甘いと言わざるを得ない(笑)!
  • りくのすけ
    3.0
    少し前に鑑賞!!楽しかったです(≧∇≦) ジャッキーが〝アクション映画を辞める〟と発表してがっかりしたのはまだ近い過去のような気もしますが、 その思いを払拭するかのように結構アクションしてくれててファンとしては嬉しいですねー(..›ᴗ‹..) ま、本人は本当に加齢と老体を危惧して本当に控えたがってるなんて話もあるみたいだし(需要は多いでしょうからねσ(^_^;)。。。) 確かに全盛期の頃の作品の方がそりゃキレも派手さもありますが、 個人的にはあまりそこは気にしてなくて (^ ^) ジャッキーカンフーはコミカルなバトルや小道具使った細々としたテクニカルなバトルも好きなので、 今の作品もその辺は健在で観てて楽しいです(..›ᴗ‹..) マトリョーシカのシーンは予告でもなんども観ましたがやっぱ本編で観るとよりおもろい(笑) また本作は カンフーアクションだけでなく、いろんな国の魅力も味わえたり、アデルの歌大合唱シーンには心躍りましたぁ💕 しばらくはアデルの歌聴きまくってました(笑) ただ、ラストのどんでん返しは、、、、びっくりはするけど個人的にはあまり好みでない展開に少々興ざめ感もありました。。。 ま、全体的には楽しかったから、いいかな(笑)
  • movikan
    3.0
    記録
  • くしだ
    3.7
    アクションだけじゃなくて、今回は色んなアジアの国を廻ってて、見てて楽しかったし、面白かった!様々な文化や絶景が楽しめるし、もちろん、ジャッキーのアクションも衰えなかった! エンディングのNGシーン楽しそうw
  • かば
    3.4
    衰えてないよ、ジャッキー・チェンっていうのを見せたい映画なんだろうな。 綺麗な女の人どこかで見たことある。あ、脱税のファン・ビンビンだ、、
「スキップ・トレース」
のレビュー(2087件)