『民生ボーイと狂わせガール』で恋に溺れる愚かな男を演じる妻夫木聡が目撃した愚かな人間たち

2017.09.21
映画

映画観て、絵描いて、ハイッ!

フクイヒロシ

g1

現在公開中の妻夫木聡主演映画奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール恋に溺れる男の愚かさをポップに描いた映画ですが、同じく妻夫木聡主演で人間の愚かさを乾いたタッチで描いたのが愚行録

今年2月に公開されましたが、もうDVD出てるんですね、早い。

DVDのいいところは観終わった後にすぐに観返すことができる点ですね。今作も頭から観返すと、ラストと冒頭の妻妻夫木聡の行動がリンクしてくるし、些細な仕草や表情が実は「衝撃のラスト!」への伏線になっていたことにも気づけますよ。

未解決の一家惨殺事件を追う妻夫木聡

妻夫木聡が演じるのは未解決の一家惨殺事件を追う記者です。同僚や上司は「忘れられた事件をなんで今頃……」と呆れていますが、妻夫木聡「時間が経ったからこそ出てくる証言もあるはず」関係者への取材を開始します。彼にはこの事件を追う本当の理由があるのですが、それはラストまでわかりません。

殺害されたのは絵に描いたような幸せな家族で近隣の住民にも感じが良かったのですが、関係者への再取材によってこの家族の「真相」が暴かれていきます。

g3

関係者が語る愚行の数々

関係者の証言により害者夫婦の過去の行動が明かされていきますが、同時に関係者たちのクズっぷりも露呈されます。こんな証言を誇らしげにのうのうと語る姿こそが愚行そのものではないかと思えてきます。

特に、臼田あさ美の証言が面白いです。有名私立大学には内部生と外部生で格差があるようで、その辺りでの女性同士のマウンティングが壮絶ですし、その奥に日本の階級社会の歪みが見えてきます。

g2

証言の積み重ねによって被害家族と関係者たちの本性を描くストーリー展開がすごく上手いです。社会構造の歪みが生んだ闇と、その闇が引き起こした猟奇的な犯行の真相が次第に暴かれていきます。

臼田あさ美を筆頭にみんなのびのびと「クズ人間」を演じているのも楽しいです。特に松本若菜の演技が素晴らしくて僕に権力があったら彼女に助演女優賞を差し上げたいです!

また、わざわざポーランドからカメラマンを呼んで撮影しただけあって、引き締まった黒と淡色での色構成や、幾何学的で大胆な構図がカッコイイんですよ。

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』』と併せて、ぜひ愚行録ご覧ください!

g4

【あわせて読みたい】
 映画を彩る狂わせガールたち!魔性の女の魅力にハマる
 大ヒット間違いなし!『散歩する侵略者』黒沢清監督のあの“ダークファンタジー”を復習しようよ!
 【カップルで観ちゃいけない映画!?】男らしさの崩壊!危機的状況で現れる男の本性とは?
 ダニエル・ラドクリフ、最新“主演作”で死体を熱演!?愛おしくてたまらない大傑作『スイス・アーミー・マン』
 貸し切り映画館気分が味わえる!シネフィルのためのオンラインサービスって知ってる?

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS
  • みかん
    3.0
    記録
  • meho
    4.5
    繋がった…
  • ぎょんた
    3.2
    うーむ。満島ひかりの大学時代の出来事と妻夫木との関係かどちらに重きを置いているのかブレてしまっている感じがしました。兄妹としてぶっ壊れてるなら大学時代や殺人はなんなのか?うーむ
  • ケムール人
    3.7
    ポーランドで映画を学んだ石川慶監督の長編デビュー作。『悪人』の妻夫木聡と満島ひかりが共演している。 まず、オープニングが秀逸。質感といい画面のタッチといい他の邦画には感じられない雰囲気を纏っている。そこに本作(特に妻夫木聡)がもつ鬱屈とした暗さが合わさり、乾いたイメージを全編にわたって抱かせる。また、尺としては長くはないが時折みせるホラー色も鬱々した厭なノイズ(誉めてます笑)を奏でている。そして作品全体を支えるのが妻夫木聡と満島ひかりの演技。どちらも病んでいて、活力を感じさせない、虚ろな目をしている。その一方で大学での一瞬の楽しかった ひとときは本当に楽しそうで満島ひかりの演技力の高さを再認識できた。 そして、各登場人物の造形と演出も的確。厭~なセックスの扱いや各証言者が皆ほとんど喫煙しているのは明らかに「普通」の陰に潜んでいる「善でない部分」の強調であり、効果的である。そして、各証言者の語りも総じて主観本位であり、それぞれの勝手気ままさやエゴを醸し出す。階級、カースト、その意識の有無を問わずある種の選民思想の中で渦巻く人間の醜く、愚かな様相を描いている。逆に言えば、そうして作られる理想的で幸せな「普通」はエゴイズムを内在している、ということなのか。 ただし、本作の問題点は、基本的に作り手の「悪趣味」に終わってしまっているように感じてしまうところだ。ドヤ顔で厭~なものを見せつけてきている感じが否めず、登場人物が多いということもあり、綺麗にまとまりきっていないような感じを受ける。ラストで衝撃の事実が発覚するのだが、それも何かロジックを吹っ飛ばした取って付けたようなものに感じてしまう。作品全体としてどこか人を見下しているような…。あくまで僕個人のフィーリングの問題である、という可能性は大いにあるが。 とは言え、邦画としては異色のサスペンスとして普通に楽しめるし、本作が長編デビューの石川慶監督の今後も気になる。おすすめです!
  • のどか
    3.0
    ある週刊誌記者が、理想的な家庭、と思われていた一家の惨殺事件の真相を聞いて回る物語。 ああなるほど、〝愚行〟の〝録〟ね。そのまま。こんな人間関係いくらでもあるよなと思う。自分の周りにもあるしさ、とりあえず共感出来すぎてしまって恐ろしくなった
「愚行録」
のレビュー(11071件)