いつまでも心は小2!少年の心を持つあなたにおすすめの怪獣映画8本

2018.04.13
映画

映画も音楽も本も好き。

丸山瑞生

少年の心を持つ世界中の大人たちが待ち望んだ『パシフィック・リム』の続編、『パシフィック・リム:アップライジング』がついに公開!

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昨今、少しずつですが、怪獣や巨大モンスターを扱う作品が増えていますね。
後述のゴジラのハリウッド版リメイクから始まり、庵野秀明監督が手がけた『シン・ゴジラ』や、エンドロール後に期待を高める『キングコング 髑髏島の巨神』。怪獣映画育ちの筆者はどれも楽しみました。いずれも毛色は異なりますが、それぞれが特有の持ち味を感じられる、素晴らしい娯楽作品ばかり。

そこで今回は、あらゆるジャンルの怪獣映画を紹介したいと思います!

パシフィック・リム(2013)

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太平洋の海底から続々と現れる「KAIJU」に立ち向かう巨大ロボットの死闘を描く。
監督はおなじみ、ギレルモ・デル・トロ。「KAIJU(カイジュウ)」の呼び名はもちろん、2名の操縦者を必要とする巨大ロボット「イェーガー」の戦闘スタイルなど、日本のアニメや特撮に対する愛を盛り込んだ作品です。少年の心を持つ映画ファンが待ち望んだ傑作でしょう。続編の『パシフィック・リム:アップライジング』への期待も高まります。

本作の素晴らしさのひとつは、カイジュウの造形。海外にも「怪獣らしきもの」を描いた作品はありますが、日本人の思う「怪獣らしさ」とは異なります。海外の怪獣は昆虫や動物の巨大化などが多く、非常にシンプル。それが良さとも言えますが、個人的には日本人が生み出した怪獣たちのオリジナリティには敵わないと思います。

しかし、本作のカイジュウにはそれらに対する敬意を感じます。たとえば、特撮怪獣映画の伝統ともいえる海からの登場には懐かしさを覚える方もいるのではないでしょうか。『シェイプ・オブ・ウォーター』でも半魚人の「彼」はプールから立ち上がるように現れます。怪獣の規模は違えど、彼らに対する愛着は同じなのでしょう。

ギレルモ・デル・トロの持ち味は、代表作『パンズ・ラビリンス』に詰め込まれています。こちらは、スペインの内戦後のレジスタンス掃討を軸に、現実から幻想世界への逃避をはかる少女の物語です。戦争という現実の嫌なところの最たるものを徹底的に見せつけ、なおかつ、ファンタジックで文学的なおとぎ話をも描く。
これらを踏まえると、『パシフィック・リム』はデル・トロの作品群では異質にも思えます。ただ、彼が愛する日本の文化を率直に描き、娯楽に徹した唯一の作品ともいえます。これまでは観る人を選ぶ作品ばかりでしたが、本作を機に彼の認知は広まったと思うのですよね。それは最新作『シェイプ・オブ・ウォーター』も同様でしょう(こちらも現実と幻想が絶妙なバランスで描かれた傑作!)。

誰もが楽しめる、デル・トロの入門作としてもお薦めの作品です。

GODZILLA ゴジラ(2014)

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お馴染み、日本のゴジラの海外版リブート作品。
監督は、ギャレス・エドワーズ。日本のゴジラファンのトラウマとも言える、1998年版『GODZILLA ゴジラ』のイメージを拭い去った新たな海外版のゴジラではないでしょうか。ビジュアル公開時は太っているとも言われましたが、個人的には「ゴジラを海外版らしくするならこうだろ!」と思えるビジュアルでした。ちなみに当時は史上最大のゴジラでしたが、現在は『シン・ゴジラ』のゴジラが最大です。

何度も引き合いに出すのもどうかと思いますが、1998年版の『GODZILLA ゴジラ』はゴジラというよりも巨大なトカゲや恐竜の類いに見えるのですよね。前述の『パシフィック・リム』の項でも触れましたが、海外のモンスターは既存の生き物の巨大化などが多く、こちらのゴジラもそれに近い。しかし、2014年版『GODZILLA ゴジラ』は、太っていると言われようともゴジラらしさがしっかりと感じられ、ゴジラに対するギャレス・エドワーズの敬愛を感じられます。

本作には敵対する巨大生物、ムートーも現れます。ゴジラのゴジラらしいビジュアルに対し、ムートーは非常に海外らしいデザインのモンスター。複数の腕、単眼など、昆虫っぽいビジュアルです。後述の『ミスト』のモンスターとも近しいところがありますね。
日本の怪獣の伝統を感じられるゴジラと、怪獣よりも「モンスター」や「クリーチャー」と呼ぶのが馴染むムートー。怪獣同士の異文化を一作で感じられるという意味でも稀有な作品。

スケールのでかい怪獣映画が観たいと思ったときにお薦めの一本。

グエムル -漢江の怪物-(2006)

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漢江に現れた黒い両生類のような怪物(グエムル)は、露店の男・カンドゥの娘、ヒョンソをさらう。怪物は未知の病原菌を持ち、それに感染したと思われるカンドゥは軍に追われながらも、カンドゥと家族はヒョンソを救うために怪物を探すのだった。
監督は、ポン・ジュノ。怪物を描いた作品ではありませんが、最新作『オクジャ』も風刺が利いた点、架空の生物を描いた点では近しいところがあります。本作は、在韓米軍のホルムアルデヒドの流出事件がきっかけですし、劇中の科学兵器「エージェント・イエロー」も枯葉剤(エージェント・オレンジ)にかけた名称。監督自身も作品の反米性を認めてますが、思いの外、それをダイレクトに感じられます。

後述の作品でも触れますが、社会問題を取り入れた怪獣映画は多いですね。また、それらのキャラクターは感傷を誘います。本作の怪物・グエムルのビジュアルの醜さもそのひとつで、突然変異で生まれた怪物の末路はいつも悲しい。

怪獣映画のセオリーをことごとく打ち砕く本作。怪物の規模、主人公のダメっぷり、当時の韓国の現状をシニカルに描いたところもこのジャンルでは異質でしょう。そもそも、韓国製の怪獣映画自体に馴染みが薄いですが、これほどにお国柄の出る怪獣映画も珍しいなと思います。

本作を怪獣映画と見なすかはともかく、既存の怪獣映画とは異なる作品を観たい方にはお薦めの作品。

ミスト(2007)

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スティーブン・キング著「霧」の実写化作品。深い霧に包まれた田舎町で巻き起こる怪異と、それに伴い秩序を失う人間たちの姿を描いた作品。
監督は、フランク・ダラボン。『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』の監督と知ったときは意外でした。言い方は悪いですが、不快な心地にさせる映画を数多く手がける監督の作品なのかなと思いましたし、そう思うほどには本作の後味は悪い。しかし、そこに多くの人たちが惹かれるのでしょう。

本作を「怪獣映画」とくくるのは間違いなのでしょう。ただ、個人的には『ミスト』の怪物のビジュアルが大好きで、いかにも海外の作品らしいと思うのですよね。昆虫の造形にも近いのですが、霧中から現れる怪物の荘厳さたるや、まさに絶望感の象徴。数秒の登場にもかかわらず、しっかりと印象を残すのは素晴らしいなと思います。

ミスト』はB級怪物映画ですが、それらの作品に対するアンチ的な作品とも言えますね。大抵のB級怪物映画の主人公は自ら危機に陥ります。作品の性質上、当たり前なのですが。なぜなら、モンスターと出会わなければ物語は進みません。また、危機に突っ込むのが定石で、それが醍醐味でしょう。B級映画全般を面白がれるか否かも、ここがポイントでしょう。
そして、主人公の選択はいつだって正しい。周囲の仲間が怪物に襲われても主人公はいつだって命からがら逃げ果せる。しかし、本作の結末で描かれるのは……。それが本作を「鬱映画」と呼ばせる理由のひとつですし、魅力のひとつだとも言えます。

へこみますが、みごたえは抜群かと。
お薦めの一本です。

ゴジラ(1954)

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名作と名高い、初代『ゴジラ』。
監督は、本多猪四郎。怪獣映画の元祖で、なおかつ、反戦、反核映画の代表作とも言える屈指の傑作。本作のテーマは「水爆の恐怖」や「戦争、核兵器の怖さと愚かさ」。それらの具現化がゴジラなのかと思うと、これほどまでにダークで、悲しさを宿したその姿にも納得ですよね。
市街地は焼き尽くされ、鉄塔は熱線で溶け、群衆は逃げ惑う。なぎ倒されたビルや家屋は瓦礫と化し、車は爆炎を上げる。それらの惨状は明らかに第二次世界大戦を思い出させたでしょう。本作の公開は終戦からわずか9年後の1954年。日本最大のトラウマと向き合った作品とも言えます。ゴジラシリーズは徐々に子ども向けの作風へと変わりますが、やはり本作『ゴジラ』を薦めたいですね。怪獣映画の傑作を、ぜひ。

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(1966)

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2体のフランケンシュタインの物語。
監督は、本多猪四郎。ギレルモ・デル・トロも思い出の作品と語る映画のひとつ。日本では珍しく、フランケンシュタインが題材の作品です。怪獣と同等の大きさや、海に潜むなど、既存のフランケンシュタインのイメージとは異なる、独自解釈の設定も魅力的です。
ギレルモ・デル・トロは、怪獣映画を「メキシコのレスリングへの愛情とも通じる」と語ります。多くの怪獣映画は「◯◯対△△」と題され、ヒーロー役の怪獣と悪役の怪獣が闘いますよね。それはレスリングの試合とも重なり、のちの『パシフィック・リム』の戦闘シーンにも活かされているのでしょう。
本作のフランケンシュタインは怪獣よりも人間味を感じられるので、デル・トロの胸にも響いたのではないでしょうか。

ゴジラ対ヘドラ(1971)

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初代ゴジラとは打って変わり、ゴジラシリーズの異色作。
監督は、坂野義光。公害問題を前面に打ち出した作品。異色作とは述べましたが、社会問題を扱う点を考えれば、初代ゴジラの流れを汲んだ作品だとも思うのですよね。本作は子ども向けにも思えるのですが、そうとは思えない描写も多く、アンバランスな印象を受けます。
たとえば、海洋生物学者の自宅で行われる実験は理科の教材ビデオにも見えますし、本作のゴジラはあくまでも味方で、子どものヒーロー。しかし、ヘドラの攻撃の被害を受ける人間たちの死の描写はショッキングなところも目立ちます。また、当時の流行だった、ゴーゴー喫茶。ここで映し出される映像が油膜に見えるのも皮肉っぽい。サイケデリック文化の盛り込みも面白く、実験性に富んだ作品です。
ファズで歪ませたギターの音色が聴ける怪獣映画は『ゴジラ対へドラ』だけですよ!

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒(1999)

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平成ガメラ三部作の最終章。
監督は、金子修介。平成ガメラ三部作は『シン・ゴジラ』よりも先に「もしも、いまの日本に怪獣が現れたら」をリアルに描いたシリーズ。昭和シリーズでは子ども向けの演出が目立ちますが、こちらのシリーズでは現実世界での問題や、古代の言い伝え、歴史、伝説、生物学なども取り込んだ大人向けの作風です。勧善懲悪の怪獣映画とは異なる、ガメラの存在意義も明かされ、これまでの怪獣映画とは一線を画す結末へと導かれます。
三部作の全作に通じる点ですが、敵の怪獣も非常に魅力的で、本作のイリスの造形は美しい。薄い皮膜を張り、満月の浮かぶ夜空を飛ぶシーンは怪獣映画史に残るのではないでしょうか。ちなみに平成版のガメラはシリーズを重ねるごとに禍々しさが増します。コワい怪獣を観たい方にお薦めの作品。

さいごに

年代もジャンルもバラバラの怪獣映画のご紹介でした。
怪獣の定義からは外れる作品も選びましたが、個人的にはどれも素晴らしいです。それは、怪獣の造形だったり、存在意義だったり、愛らしさだったり、さまざま。怪獣や巨大モンスターを扱う作品は増えてますが、それでもマイナーなジャンルなのは事実。まずは『パシフィック・リム』のド派手な戦闘シーンで、少年の心を呼び戻しましょう!

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