雨と一緒になにかがやってくる…臨場感たっぷりのホラー映画10本

2018.06.19
映画

「映画」を主軸に活動中のフリーライター

春錵かつら

ジメジメした雨の季節が今年もやってきましたね。
雨の日は外出も億劫になりがち。こんな日は部屋で映画でも観てゴロゴロしたいですね。

雨が降ると部屋の中もなんとなく薄暗い……
そんな雰囲気たっぷりな日には思い切ってホラー映画を観てみるのはいかがでしょう?

というわけで今回は、雨の日こそ観てほしい「雨」をキーワードにしたホラー映画10作品をピックアップしてみました。

オーメン』(1976

“666”それは悪魔の数字

雨の日ホラー

梅雨の季節「6月」と聞いて真っ先に思い浮かぶホラーが、リメイク・ドラマ化もされている本作。

6月6日午前6時に誕生し、頭に“666”のアザを持つ悪魔の子・ダミアンの人生を描いたオカルトホラーの金字塔。『オーメン2/ダミアン』(78)『オーメンIII 最後の闘争』(81)と続く三部作で、この1作目ではダミアンの0歳(誕生)と5歳の誕生日という2回の6月が舞台となっている。

悪魔の力を操る少年ダミアンの不気味さ、周囲の人々の不審死、第49回アカデミー作曲賞を受賞したジェリー・ゴールドスミスの音楽があいまって、一層の不穏と不安をかき立てます。脚本もシンプルで秀逸。

タイトルの「omen」とは“前兆”のことだけど、もはや悪魔の子の代名詞みたいになってしまった。6月6日生まれの私も誕生日を口にするたびに「オーメンだね」と言われ続けてきたという思い入れ深いシリーズ作品(笑)だけど、別の主人公を据えた『オーメン4』(91)は観なかったことにしている。

ダークレイン』(2015

雨が引き連れてきた不幸とカオス

雨の日ホラー

こちらは「未体験ゾーンの映画たち2017」にて国内上映されたメキシコ発のパニックホラー。人里離れたバスの待合所で豪雨に見舞われた8人の男女。突然ひとりの女性が泡を吹いて倒れる。ラジオからは「これは普通の雨ではありません」と途切れとぎれに聞こえてくる。えっ、ちょっなに!? ソレ感染るの? 政府の陰謀!? 何が起きているか分からない状況にパニックになる人々。次から次へと人々が倒れてゆきますけど? どーすりゃいいの、コレ。

暑苦しい豪雨に、外界から隔離された人々の不安と苛立ちがこちらまで伝わってくるような、肌にまとわりつくようなじっとりした不快感。

果たして雨やウィルスのせいなのか、外界では何が起きているのか。8人に襲いかかる怪現象の正体は?

思わず笑いもこみ上げる、カオスに次ぐカオス。一筋縄ではいかないメキシコホラー。一度覗いてみてもいいんじゃないかな。

IT/イット』(1990

27年ごとにやって来る正体不明の“IT(それ)”

雨の日ホラー

昨年リメイク『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)が大ヒットを記録した、巨匠スティーヴン・キング原作によるホラー。“IT(それ)”と呼ばれる何者かに付け狙われる幼なじみの男女7人の恐怖を、幼年期の前編と、約束の時に再会した大人期の後編で描いたトラウマ映画の傑作。

舞台はアメリカ・メイン州。あるのどかな町で子供ばかりを襲う連続殺人事件が発生し、その街に住むマイクは犯人がかつて自分たちを襲った“IT”であると確信。30年ぶりに仲間と再会し、“IT”に立ち向かう。

印象的なのはなんと言っても幼少期の雨のシーン。幼いジョージが兄のビルに作ってもらった紙の舟を、家の前にできた雨の川に流して遊んでいる。薄暗い雨降る町に、黄色いレインコートがぽつりと光る。本作と2017年版では時代設定が31年ほどずれているけど、このシーンはどちらも共通。

『スタンド・バイ・ミー』(86)を彷彿とさせる、ほろ苦くて輝いている子供時代。スティーヴン・キング作品は幼少期パートがいつも素敵で、胸がキュッとなる。そして怖い。恐怖の形は人それぞれだということを認識する。

雨の町』(2006

毎年、雨の時期に帰ってくる子供たち

雨の日ホラー

「雨」というわけで取り上げた本作は、菊池秀行のわずか30ページの同名短編小説を映画化したジャパニーズホラー。和田聰宏、真木よう子、成海璃子などが出演。

ある地方都市で見つかった内臓のない子供の死体。取材中、死んだ子供が姿を消すのを目の当たりにしたルポライターが、謎を解明するために奔走する。

「生徒30人行方不明事件」「あまんじゃく伝説」、侵略者と日本の民間伝承という要素をミックスさせた異色の一作。この要素が色濃い前半が特にいい。

あるところに、おじいさんとおばあさんがおったそうな。ある雨の日、家の外に子供の声がする。「お母さん、ぼくだよ。入れて」。……なるほど、「日本むかしばなし」を想起させる。

本編では雨が降った後に不吉なことが、という設定になっているけど、原作では最初から最後までずうっと雨。毎年毎年、この時期に帰ってくる子供たち。暗くてジメジメした雰囲気は、日本のこの時期にうってつけ。

ヒッチャー』(1986

親切が仇に!?ずぶ濡れの容赦ない狂気

雨の日ホラー

2007年にもリメイクされたサスペンススリラーだけど、サイコホラーとして挙げたいのが本作。テキサスの砂漠地帯のフリーウェイを走る青年ジム。ある雨の夜に偶然乗せたヒッチハイカーが、実はとんでもないヤツだった。

恐怖に陥れられる気の毒な主人公・ジムを演じたのは『アウトサイダー』(83)で一躍スター俳優となったC・トーマス・ハウエル。とんでもないヒッチハイカー、ジョン・ライダーを『ブレードランナー』(82)や『シン・シティ』(05)にも出演しているルドガー・ハウアーが演じているのだけど、単純でシンプルな脚本がこれだけ緊迫した秀作になったのは、ひとえに彼の功績。まあこの殺人犯の怖いことと言ったら!

雨の中、ずぶ濡れの男を親切に乗せてあげたっていうのに、いきなりその恩人にナイフをつきつけ、「僕は死にたいと言え」と脅してくる。なんという不条理! 隙をついて危機を脱したら、ヤツはストーカー化。執拗につきまとう殺人鬼、怖い、怖すぎる。

魔鬼雨』(1975

永遠に魂を苦しめる、壺の中に降る雨

雨の日ホラー

なんだか暴走族の「四露死苦」よろしく、ヘンテコなタイトルの本作。原題は『The Devill’s Rain』。なんとジョン・トラボルタのデビュー作です(もちろんチョイ役)。

ある嵐の夜。プレストン家で母親と次男のマークは、帰宅した父親が目の前で雨に打たれ、溶けて消えるのを目の当たりにする。その死の原因は、300年前から続く悪魔崇拝の教団によるもので、母親とマークもその教団に捕えられてしまう。本作は、この家族の失踪を知った超心理学の研究者であるトムが、家族を探しに教団の謎に迫っていくオカルト・ホラー。

タイトルにもなっている「魔鬼雨」は、300年間に渡り人間の魂が詰め込まれてきた壺の名前。壺の中では大勢の人々(の魂)が永遠に降り続ける雨に打たれ、もがき苦しんでいる。

『猿の惑星』の特殊メーキャップを担当したエリス・バーマンとトム・バーマンが手掛けた、雨に打たれた信者がドロドロと溶けてゆくシーンはなかなかショッキング。トラボルタも溶けるよ(笑)。

アンデッド』(2003

降り注ぐのは無数の隕石と酸性雨

雨の日ホラー

オーストラリア発の本作で登場する雨は酸性雨。

ゾンビ+エイリアンの異色のコラボに冒頭から漂うB級臭、いい感じ!

前半は定番・オブ・定番、お約束シーン満載のゾンビ映画かと思いきや……なんとエイリアンも登場、物語は一気にSFへ。

バークレイのとある街に隕石が降ってきて住民がゾンビ化。銃砲店のマリオンや警官、ミスバークレーの一行はゾンビ退治をしながら助かる道を模索する。

バッタバッタとスプラッターにゾンビをやっつけていくけれど、街中ゾンビだらけ、はい詰んだ、絶体絶命。そんな中、降り注いだのは酸性雨。

ああ満身創痍、傷口に塩、もうこれで本当にアウト……と、思いきや、この雨、思わぬ救いの雨になるから驚き。エイリアンも登場してシュールな癒しを人類に施した“恵みの雨”、ぜひ機会があれば観て欲しい。

サスペリア』(1977

極彩色の世界に降りしきる恐怖

雨の日ホラー

イタリアンホラーの巨匠ダリオ・アルジェント監督の出世作で「魔女三部作」となる記念すべき1作目。トマス・ド・クインシーの小説「深き淵よりの嘆息」をモチーフに、バレリーナを目指すひとりの少女の恐怖を描いている。

ニューヨークからドイツの名門バレエ学校に入学したスージー。激しい雨が降り注ぐ中到着すると、雷雨の中ずぶ濡れになった生徒を見かける。不穏な予兆。

翌日無事入学を果たしたスージーの周りで、奇妙な事件が頻発する。

知る人ぞ知るキャッチコピー「決してひとりでは観ないでください」は、実はこの作品から。冒頭、スージーが乗るタクシーの運転手の後ろに映る青い顔が心霊だと話題になったけど、これは監督の演出によるもの。ゴブリンの音楽が不安をかき立て、テクニカラーという技術を駆使した極彩色のこの美しいホラーは雨で始まり、雨で終わる。

そして時として、違うモノも降ってくる。実はこっちの方が怖い。

リメイクが製作中ということなので、新たな恐怖も楽しみにしたい。

サイレント・ヒル』(2006

白く煙る世界で試される、母の愛

雨の日ホラー

本作は日本のゲーム会社コナミが制作した同名ホラーゲームの、カナダとフランス合作による映画化。

ダ・シルバ夫妻は、養女シャロンの夢遊病に悩んでいる。徘徊する時に発する「サイレントヒル」という謎の言葉。妻ローズは、「サイレントヒル」という名の30年前に坑道火災が起きたゴーストタウンの存在を知り、シャロンを連れてウェストヴァージニア州にあるその場所に向かう。しかしそこは、多くの人々が無念のうちに死んだいわくつきの土地だった。

その静寂の中、霧で白く煙る景色、雪のように舞う灰。サイレンが鳴るとその街は、みるみる異形の世界へと姿を変える。

劇中、夫クリスのいる現実世界では強い雨が降っているのに、ローズとシャノンのいる異世界では白く灰が舞っている。この映画はいつも白と黒の対照的な美しさ。

個人的には、エンドロールでも活躍する「ダークナース」がお気に入り。

ロッキー・ホラー・ショー』(1975

嵐が誘う、奇怪な古城

雨の日ホラー

本作は1957年の公開から世界中で幾度となく舞台化されてきたリチャード・オブライエン原作のホラー・ミュージカル舞台劇を映画化したカルト的名作。

ブラッドとジャネットは恩師に婚約の報告に向かっている。外は嵐。二人の車は道に迷い、パンクして立ち往生してしまう。そんな中、近くの古城を見つけた二人は電話を借りようと門を叩くと、城主でもあるエキセントリックなマッドサイエンティスト、フランクン・フルター博士がなんとも奇妙なパーティーを開催している。インモラル、猟奇的、LGBTなどセクシュアリティ、ロック、繰り広げられる倒錯の数々。

監督のジム・シャーマンは舞台からこの作品に関わっていて、大予算映画の話を蹴って、オリジナルのキャストとスタッフを集めた低予算映画にする道を選んだという逸話もロックンロール。映画を観ながらツッコミを叫んだり、仮装パフォーマンスをしながら観賞するスタイルは“元祖・応援上映”と言ってもいいかもしれない。今度上映の際にはぜひ参加してみて!

最後に

『雨に唄えば』『シェルブールの雨傘』、『ショーシャンクの空に』に『となりのトトロ』。雨がキーワードの映画は数え切れないほどたくさんあるけれど、今回紹介したのは“あえての”ホラー。

梅雨は、実は日本だけではなく東アジア特有の気候。でも日本では「雨」を表わす言葉が本当にたくさんあって、梅雨に関係する言葉だけでも「麦雨」「走り梅雨」「迎え梅雨」「帰り梅雨」「戻り梅雨」「五月雨」「長雨」などなど盛りだくさん。情緒があって素敵。

雨の音には癒し効果もあるし、集中力をアップさせてくれることも分かっているので、ホラー映画を楽しむのに最適。怖いの観ながら“1/fゆらぎ”の雨音でリラックスしつつ、集中力ギンギンで恐怖を堪能。臨場感たっぷりでこの雨の季節を楽しんじゃいましょ。

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