事実は“映画”より奇なり?実在の呪われた館「ウィンチェスターハウス」を大解説

2018.06.28
映画

「映画」を主軸に活動中のフリーライター

春錵かつら

「ウィンチェスターハウス」をご存知だろうか。

正式には「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」と呼ばれるその屋敷は、今もアメリカ・カリフォルニア州サンノゼに佇む豪華で摩訶不思議な屋敷。オカルトファンならその名前を一度は聞いたことがあるだろう。

そのミステリアスな屋敷にまつわる実話を基に作られたのが、6月29日から公開されるホラー映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』だ。オカルトファンの私もこの映画化に小躍りしたひとり。今回は、その映画の題材となった魅惑的な不思議の数々をひとつずつ紐解いていこう。

ウィンチェスター・ハウス

このコラムを読み終わる頃には、この映画を観るための準備が整っているはず……!!

あらすじ

ある日、精神科医のエリックの元に、ウィンチェスター家の女当主の精神鑑定をしてほしいという依頼が舞い込む。エリックは、娘と夫を突然の病気で次々と亡くした薄幸の未亡人、サラ・ウィンチェスターの住む屋敷を訪れる。そこは、彼女が一族の膨大な資産をつぎ込んで、365日24時間増改築を繰り返す、奇妙な屋敷だった……。

ウィンチェスター・ハウス

サラ・ウィンチェスターを演じたのは『黄金のアデーレ 名画の帰還』『カレンダー・ガールズ』など幅広いキャラクターを演じ、デイムの敬称も冠している大女優ヘレン・ミレン。妻を亡くした精神科医エリックを『ターミネーター:新起動/ジェニシス』『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェイソン・クラークが務め、サラ・ウィンチェスターの姪役に『ジェサベル』のサラ・スヌークも出演。

監督を務めたのは、マイケル・スピエリッグ。脚本は、双子のピーター・スピエリッグと共同で担当している。スピエリッグ兄弟といえば『プリデスティネーション』『ジグソウ:ソウ・レガシー』と、ひと捻りもふた捻りもある脚本が定評だ。

ウィンチェスター家の歴史

「ウィンチェスター」という言葉を聞いて“ウィンチェスター銃”もしくは“ウィンチェスター・ライフル”といった銃を思い浮かべる人も多いかもしれない。

ウィンチェスター社はアメリカの西部開拓時代、コルト社と共に“西部を征服した銃”と称される銃器の開発で有名になった企業。オリバー・ウィンチェスターが、ウィンチェスター・ライフルを開発しウィンチェスター社を設立したのは、西部開拓時代まっただ中の1873年のこと。世界中の戦争や紛争で大ヒットしたウィンチェスター・ライフルのおかげで、ウィンチェスター家は巨万の富を築き、大富豪の仲間入りを果たす。

ところが、オリバー・ウィンチェスターの息子、ウィリアムと妻サラの代になり、不幸が訪れる。1866年に娘のアニーが、そして1880年に1代目であるオリバー、1881年に2代目ウィリアムが相次いで死亡。ひとり残されたサラは、孤独と喪失感に苛まれるようになり、そこで助言を求めたのがひとりの霊媒師だった。

霊媒師はサラに、一家の不幸は「ウィンチェスター銃でこれまで命を奪われてきた人々の呪い」のせいだと告げる。そして西へ向かい、これまで亡くなった人々の霊魂を鎮めるため、家を建て続けるようにと助言する。呪いで死なないため、犠牲者の魂の居場所を作るため、家を増築し続けなければならない、と。

これを真に受けたサラは、コネチカット州からカリフォルニア州に引っ越し、家の建設を開始した。夫の遺産と、日々転がり込む会社の一部の収益を惜しむことなく投じ、その屋敷を増築しはじめた1884年から、彼女が亡くなる1922年までの38年間365日24時間、22人の職人によって絶えず休まず、屋敷は拡張し続けた。

「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」の不思議

ここでこの屋敷のスペックを紹介。いかにこの屋敷がヘンテコハウスか伝わるはずだ。

ウィンチェスター・ミステリー・ハウス

ウィンチェスター・ハウス

◆正式名称:Winchester Mystery House
◆住所:アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼ525 サウス・ウィンチェスター通り
◆広さ…総面積:24,000平方メートル、建物面積:72,000坪、7階建て
◆部屋…総部屋数:160、舞踏室:2、寝室:40、浴室:13、金庫室:6、地下室:2
◆設備…ドアの数:2,000枚、窓の数:10,000枚以上、暖炉の数:47、階段の数:40、煙突の数:17、エレベーター:3

これらの部屋や設備だけでも充分圧巻の奇妙さだけど、この屋敷には部屋や設備の数だけでなく、いくつものユニークなギミックが満載。代表的なものを紹介しよう。

・天井に突き当たる階段
・天井にある手すり
・床に設置された窓
・開けたら壁のドア
・2階に設置された開けた先に足場のない即、外のドア
・廊下ピッタリに納められた馬車
・扉の横にもうひとつ小さな扉
・細すぎる廊下
・ヘアピンカーブの階段
・壁に突き当たる階段
・上がって降りるだけの階段
・開けると壁の棚
・ドアノブのないドア
・床部に設置された屋根
・床のない部屋 などなど

また、サラは“13”という数字と、“クモの巣”のモチーフに尋常じゃないこだわりを持っていて、屋敷内のあちこちにそれらを取り入れている。

・クローゼットのフックの数が13、またはその倍数
・階段の段数が13
・シャンデリアのライト数が13
・浴室の数が13
・扉に打ったクギの数が13
・窓に設置された13色の石
・排水溝の数が13
・クモの巣が施されたティファニー製の窓

しかも屋敷に使われている調度品も建材も、一流のものばかり。増築を重ねたこの家の床や天井の高さは、ちぐはぐにズレていることもざらだった。この奇妙な家は屋敷の奥に作られた「降霊室」と呼ばれる部屋で、霊と相談しながら、サラ自身が設計をしていたのだとか。建物を見ずとも、この徹底したこだわりが狂気じみていることが分かる。

ウィンチェスター・ミステリー・ハウスの呪い

建築の摩訶不思議さだけでなく、この館では数々の怪奇現象の噂がまことしやかにささやかれている。その噂とはこのようなものだ。

・屋敷の中は方位磁石が狂う
・ボールが上に転がる
・ラジオが勝手に鳴りだす
・地下室でいつも同じ幽霊が目撃される
・心霊写真が撮れる などなど

1989年に起きたロマ・プリータ地震、1906年に起きたサンフランシスコ地震などで一部が消失したが、増築に増築を繰り返したため、基礎がバラバラだったことが幸いし、全倒壊を免れた。映画ではその地震にも触れている。

現在は観光名所となっており、実は、ディズニーランドのホーンテッドマンションのモデルにもなったとも言われている。最盛期は650,000平方メートルの敷地・7階建てだった建物も、今は24,000平方メートル・4階建てに縮小されている。とはいえ、その不思議さはこの記事にある通り。映画は実際のウィンチェスター・ミステリー・ハウスでの撮影も行われており、その異様さをスクリーン越しに感じることが出来る。

もともと8部屋から始まったこの屋敷の圧倒的なその魅力を、分かっていただけたことと思う。

果たして呪いは本当に存在したのだろうか。サラが家を増築し続けた理由は何なのだろうか。劇場でぜひ、確かめてほしい。

(C)2018 Winchester Film Holdings Pty Ltd, Eclipse Pictures, Inc., Screen Australia and Screen Queensland Pty Ltd. All Rights Reserved.

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