今年が“平成最後の夏”!平成に製作された夏が舞台の名作映画15本

2018.08.21
映画

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

今年の夏は“平成最後の夏”ということで、みなさんはどんな夏を過ごしている?

振り返れば、この30年間に夏を舞台にした作品が多く生まれ、私たちを楽しませてくれた。

でも、どんな映画があったっけ……?

そこで今回は、夏を描いた平成の名作映画15本をご紹介しよう。

がんばっていきまっしょい』(平成10年)

太モモがまぶしい

がんばっていきまっしょい

1970年代の松山市を舞台に、ボートに憧れて高校に入学した女の子が、女子ボート部がないことを知り、自分でクラブを作ろうとする。

田中麗奈の映画デビュー作品。ブスッとした愛想のない表情や、自分の気持ちをうまく言葉にできないモヤモヤ感が思春期らしくて、ああ自分にもこんなときがあったなあとしみじみする。ちなみに「がんばっていきまっしょい」とは、気合いを入れるときの掛け声のことである。

瀬戸内の穏やかな夏の海をボートが滑り、水しぶきがキラキラと飛び散る。ボートを漕ぎたい。ただそれだけの思いで1人2人と仲間を集め、ついに試合に出るのだが、それはもう必死の形相でがんばる彼女たちの姿がカワイイやら泣けてくるやら。ザ・青春。日差しと汗と太モモがまぶしい。

サマーウォーズ』(平成21年)

よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!

サマーウォーズ

憧れの高校の先輩に頼まれ、彼女と一緒に長野県上田市へ帰省した数学少年が、突然世界を襲った空前の危機に戦いを挑むことになる。

内気なヘタレだが数学に関しては天才的という彼は、あくまでもバイトということで彼女の田舎にお供する。するとそこには大家族が待っていて、縁側のある広い日本家屋でワイワイガヤガヤ。外には真っ青な空と入道雲が広がり、古きよき日本の夏がノスタルジックに描かれる。

その平和な夏風景と対比的に繰り広げられるのが、インターネット上の仮想世界OZでの過酷な戦いだ。現実世界に波及する災いを防ぐため、主人公を中心に一族総出で知恵を絞って体も張る。単にゲームをしているように見えるが、これはもう戦争の域なのである。鼻血を出すのも無理ないね。

天然コケッコー』(平成19年)

方言に胸きゅん

天然コケッコー

東京から島根県浜田市の分校にやってきた男子転校生と、彼に心をときめかせる少女の甘酸っぱい初恋や、友人や家族との日常生活を描く。

原作は、くらもちふさこの漫画。夏休みに田舎のおばあちゃんちに行って、いとこたちと遊んでいるような気分になるのは、彼らがちゃんとその土地の方言でしゃべっているからだろう。田舎の風景だけでは、こんな心地よい臨場感は生まれない。

都会からきた彼の乱暴な言動に傷つく乙女心。彼の出現は一つの事件だが、わだかまりが溶けていくきっかけは海水浴だった。大きな浮き輪を抱えて、水着のまま裸足で海まで歩いていく子供たちの後ろ姿が、夏のひとコマという感じ。懐かしい夏を思い出す。

萌の朱雀』(平成9年)

失われていく

萌の朱雀

少しずつ寂れてゆく奈良県の山村で暮らす一家を通して、穏やかな日常と過疎化の現実を静かに見つめたドキュメンタリー風作品。

尾野真千子のデビュー作。山間の村に住む5人家族は、一般的な家庭と比べると関係がちょっと複雑で、それゆえ基本的には故郷への愛と別離について描かれているのだが、人の恋心はままならぬという話にもなっている。

職を失った父親が、過疎で消えゆく故郷の運命を嘆き哀しむ代わりに、村人たちの姿を8ミリフィルムに残そうとする。誰が悪いわけでもなく、抗うこともできない自然の流れ。深い緑の山に降り注ぐ夕立が瑞々しく、思春期2人の初々しさとマッチしている。カンヌ国際映画祭新人監督賞を史上最年少で受賞。

共喰い』(平成25年)

血を断ち切る

共食い

昭和末期の田舎町を舞台に、暴力的なセックスにふける父への嫌悪感と、自分がその血を受け継いでいることへの恐れを抱く息子の葛藤を描く。

閉塞感がぎっしり詰まっている映画だが、不思議とそれが不愉快でないのは、主人公を演じる菅田将暉の活きのよさと、母親役である田中裕子の抜け感が絶妙なせいだろうか。蒸し暑い夏のじっとりした空気と生臭い魚の匂いが混じりあい、親子3人は宿命的な結末へと追い込まれていく。

特筆すべきは、主人公と同居している父の愛人だろう。母性をほんのり漂わせる優しい存在。だが、終盤で2人は意外な関係に。この映画に登場する女性は、みな男という生き物の本性を見抜いていて、だからどこか似ている気がする。戦争の影もチラホラする文学的作品。

めがね』(平成19年)

マイペースでいこう

めがね

都会から浜辺の宿にやってきた女性が、島民たちと交流するうちに落ち着きを取り戻していく。

タイトルに深い意味はなく、決めたあとに登場人物全員にメガネをかけさせたという。世間の価値観に振り回され、時間に追われるまま慌しく生活をしていると、知らないうちに溜まっていくストレス。そんなときには一瞬立ち止まり、何もしないでただぼんやりしませんか? そんな映画である。 

南の小さな島と静かな海辺。 そこでゆったりとマイペースで暮らす人々。スクリーンを眺めているだけで力がふっと抜け、呼吸が楽になっていく。そっか。べつにがんばらなくてもいいんだ。疲れたらまたここに帰ってこよう。

君の名は。』(平成28年)

誰かを探している

君の名は

東京で暮らす男子高校生と飛騨で暮らす女子高校生の間で起きた「入れ替わり」と、1,200年ぶりに地球に接近する彗星をめぐるSFファンタジー。

また中身が入れ替わる話か……と最初は正直げんなりしたが、コミカルな青春ドラマから一転してサスペンス的展開となっていく後半から、グイグイと引き込まれる。うまく織り交ぜられた現実と空想により、SFなのに妙なリアリティあり。

にぎわう夏祭りに起こる大惨事。清楚な浴衣と吸い込まれそうな彗星。実在する風景を忠実に再現しつつも、アニメならではの美しい色彩と大胆な演出に目を見張る。若者のデート向けだが、実はくたびれた大人こそ観るべし。でも実写化はやめといてね。

歩いても歩いても』(平成19年)

これも家族

歩いても歩いても

15年前に他界した兄の命日に妻子を連れて帰省した主人公は、失業したことを口に出せないまま、家族と何でもない会話を交わす。

たとえ自分の実家であっても、この居心地の悪さときたら。そもそも両親との関係がいいわけではなく、それは大人になっても結婚しても変わらない。一方、彼の妻にとっても面白くないことがあり、姑と話をするたびに本音と建前が微妙にせめぎあってハラハラ。

家族に暗い影を落としている兄の死、そして、親の深い愛と哀しみがセリフの端々からさりげなく伝わってくる。いつもながら樹木希林の間の取り方が絶妙。とぼけたテンポにクスッと笑いも漏れ、家族ってこんなもんだよなあと改めて思わされる名作。

ウォーターボーイズ』(平成13年)

水もしたたるイケメン

ウォーターボーイズ

顧問の要望により、文化祭でシンクロナイズドスイミングを発表するハメになった男子高校生たちの奮闘ぶりを描く。

男子のシンクロが一気に注目されるきっかけとなった映画。妻夫木聡の初主演作で、ダメなところやキラキラしているところが今に通じる演技力である。今では考えられないことだが、玉木宏がヘタレなアフロ男子として登場し、髪に火が燃え移るシーンに注目だ。

コメディ映画なのでシンクロ特訓はマンガのように描かれていて、ちょっと女子っぽい部員が同じ男子部員に片想いなどというエピソードもあり。文化祭本番は、みんなイルカのようにピチピチ。選曲のよさもあいまって青春としか言いようのない大盛り上がりだ。これぞ高校の夏!

渚のシンドバッド』(平成7年)

出口のない三角関係

渚のシンドバッド

クラスメイトの同性に恋心を寄せる男子高校生と、彼に近づいてくる風変わりな女子転校生の複雑な愛と友情を描く。

何がビックリするって、浜崎あゆみがその転校生を演じているということである。現在からは想像もできないその姿は、言われないと気づかないだろう。しかも彼女はレイプ被害者という難しい役どころなのだが、これがなかなかいい感じに屈折していてねえ。

同性愛とレイプ被害者という他人には明かせない秘密を抱える2人には、奇妙な友情が芽生えてくる。彼女は彼が好き。でもその彼の好きな人は、実は彼女が好き。う~ん。どうしたらいいの。海辺でポツンと体育座りをする彼女の白いワンピースが、目に焼き付く。

メゾン・ド・ヒミコ』(平成17年)

最期まで誇り高く

メゾン・ゾ・ヒミコ

ゲイ専用の老人ホームを舞台に、母親と自分を捨てたゲイの父親を許せない娘と、そこで暮らすゲイたちの生き方を描く。

オーナーの若い恋人が、余命いくばくもない彼のために娘と会い、2人の関係を修復してもらおうとある提案を持ちかける。そのオーナーを田中泯、恋人をオダギリジョーが演じて似合いのゲイカップルだなあ。果たして彼女は、父親の生き方を受け入れることができるだろうか。

父親の存在を全否定しているかのような柴崎コウの力強い瞳。ノーメイクで演じたそうだが、それでも地味になりきれないところが美人の宿命だね。ホームにいるゲイたちがみな寛容で優しいのは、人の痛みを知っているから。夏の夕暮れに浜辺で花火をする光景が、はかなく美しい。

サマータイムマシン・ブルース』(平成17年)

昨日と今日を行ったり来たり

サマータイムマシン

大学サークルの部室でクーラーのリモコンが壊れてしまい、暑さでぐったりしてる部員たちが偶然タイムマシンを発見する。

劇団ヨーロッパ企画の代表作を映画化。タイムマシンをそんなことに使うのかというバカバカしさと、過去を変えたことで今が変わることにやっと気づいた彼らが、何度も過去に戻って今を元通りに戻そうとするドタバタ劇だ。本当に昨日と今日だけの忙しいタイムトラベル。

時間の辻褄を合わせようとするあまり、最初の目的がだんだんわからなくなってくる面白さ。人間って、いざとなったら目先のことを優先してしまうのだなあ。これを舞台でやるのは大変そうだが、そのハラハラ感を間近で観たくなる。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(平成5年)

もしもあの時

打ち上げ花火

仲の良い2人の小学生男子は、実は同じ女の子のことが好きなのだが、実は彼女は両親の離婚のせいで、夏休みに転校することになっていた。

岩井俊二監督の知名度を一気に上げた記念すべき作品である。ちなみに2017年には、この作品を原作としたアニメ映画が公開された。古い映画のようなざらっとした独特の色調は、フィルムらしく見せる手法を使っているらしい。

親に反発した彼女が、学校のプールで主人公たちを競わせたのはなぜ? 勝ったのはどっち? もし自分が勝っていたら? 打ち上げ花火は、横からみたら丸いのか平べったいのか。視点か変わることで異なる2つのストーリーが展開する。女子はやっぱりマセてるなあ。

あの夏、いちばん静かな海。』(平成3年)

静かで優しい波の音

あの夏、いちばん静かな海

ゴミ収集車の助手をしている聾唖の青年が、ゴミとして出されたサーフボードを見つけて持ち帰り、同じ障がいを持つ彼女を誘って海に通うようになる。

北野武監督による唯一のラブストーリーで、初めて音楽に久石譲が起用された。言葉による説明を一切排しているため、自分が聴覚障がい者である主人公になったような錯覚に陥る。彼がサーフィンにのめり込んでいく様子が覚めた視線で描かれ、逆に感情移入しやすいんだよなあ。

彼女は砂浜に座り、サーフィンに夢中になっている彼を見つめているだけ。2人の間に余計なものはいらない。波の音も聴こえない。彼は何を考えながら波に乗っていたのか。ヤンチャなイメージの真木蔵人からセリフを奪って成功だ。心に染み入る夏の映画。

そこのみにて光輝く』(平成26年)

居場所のない2人だからこそ

そこのみにて輝く

北海道函館市を舞台に、心に傷を背負った無職の男と、家族のために体を売る女が出会い、似た者同士の2人はお互いに惹かれ合っていく。

真夏なのに逆光で薄暗い。そんなイメージが残る昭和っぽい映画。じっとりと汗をかいている肌に夕陽が差すバラック小屋は蒸し暑く、そこには寝たきりの父親がいて、看病に疲れた母親がいて、頭は悪いけど気のいい弟がいて、彼らを支える姉がいる。

彼女が背負っている重くて問題。それを含めて彼女を愛そうとする主人公自身にも、消せぬつらい過去がある。結局恋愛はきれいごとだけでは立ち行かないのだから、あとはそれを乗り切るかどうか。なんだ。カッコイイ話じゃないか。いるいる、こういうヤツ……と思わせる菅田将輝がうまい。

いかがでしたか?

どれも平成を代表する夏映画ばかり。ほかにもいい映画はたくさんあるので、自分なりに夏映画リストを作ってみるのも楽しいかもしれない。

さあ、残り少ない夏休み。映画をたくさん観て、平成最後の夏を楽しもう!

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