サブカル×恋の融合!大根仁監督が手がけたおすすめ映画7本

2018.08.31
映画

「映画」を主軸に活動中のフリーライター

春錵かつら

モテキ』『バクマン。』などを手掛け、今やヒット連発の映画監督となった大根仁。監督の作品にはいつも独特な“大根色”が溢れるが、大根監督作品に共通するキーワードを列挙するなら “イタい自意識”、“サブカルチャー”、“あるある”、“音楽”、“飽きさせないエンドロール”などだろう。

8月31日(土)より公開となった大根監督の最新映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、高校時代の仲良しグループが22年のときを経て再会を果たす友情ドラマだ。

新作の公開にあたり、ドラマ『北の国から』に衝撃を受け、シナリオを手にしたことからドラマ作りに興味を持ったという大根仁が、これまでに監督した映画全作品を、あらすじやみどころを交えて紹介しよう。

モテキ(2011)

2010年、久保ミツロウによるコミック「モテキ」を原作にドラマ化され話題となった同名作『モテキ』の映画化。原作者の久保ミツロウは、ドラマから“1年後”という設定でこの映画のためにオリジナル作品を描き下ろし、ドラマに引き続き脚本・演出を大根監督が務めた。

あらすじとキャスト

1年前にやってきた“モテキ”の後も、実家暮らしをしていた藤本幸世・31歳。再び上京した彼は、ニュースサイト「ナタリー」の正社員として働きはじめる。ある日、ツイッターで知り合った美人編集者・松尾みゆきと意気投合しデートを重ねるが、幸世を好きになったのはみゆきの友人・枡元るみ子だった。

主人公・幸世を演じたのは、ドラマに引き続き森山未來。大根監督が言う「そんなにイケメンじゃなく見える人」で「ダンスも踊れる人」となると彼1人しかいないということでキャスティングされた彼が、今回も女性たちに翻弄されまくる。

今回、幸世が想いを寄せるヒロイン・みゆきに長澤まさみ、みゆきの友人・るみ子を麻生久美子が務めた。他にも仲里依紗真木よう子らが幸世を翻弄する美女として登場。幸世の上司・墨田を演じるリリー・フランキーをはじめ、新井浩文金子ノブアキら、錚々たる俳優陣が名を連ねる。

みどころ

ヒロイン“松尾みゆき”

本作のみどころは、主人公・幸世を翻弄する美女たちなのだが、特筆すべきは長澤まさみ演じる“みゆき”一択。ノリが良く、ボーイッシュな格好に隠れた色気、思わせぶりな態度、モテテク(モテ・テクニック)をナチュラルに駆使しまくる彼氏持ち。神レベルの小悪魔(どっちだ!?)! 同じ女性から見ても「こりゃ惚れるわ」を連呼したくなる神がかりのハマり役。彼女の一挙手一投足を悶絶しながら観て欲しい。

モテ曲

また本作ではドラマ同様、キーアイテムとしての音楽が際立つ。劇中では、在日ファンク神聖かまってちゃんPerfume、ナキミソ、スチャダラパーらが本人役でカメオ出演するなど、話題性も抜群だった。絶妙なタイミングで流れるJ−POPが、BGMやカラオケ、ライブシーン、時としてミュージカルで描かれ、パロディも満載。後を追うようにして90年代サブカルチャーにハマった主人公・幸世の世代から、当時の曲をリアルタイムで体験してきた世代にまで幅広く受け入れられた。

恋の渦』(2013)

2006年に上演された演劇ユニット「ポツドール」による舞台の映像化で、大根監督による長編映画2作目となる本作『恋の渦』。顔合わせしてから1週間でクランクインし、わずか4日で撮り上げたという室内劇で、脚本はポツドールの主催者である劇作家・三浦大輔が務めた。2013年3月、役者育成ワークショップである「シネマ☆インパクト」で限定上映すると、連日満席となり追加上映されるヒットを記録、そのため同年7月より単独上映され、さらなる反響で全国拡大ロードショーへと発展した。

あらすじとキャスト

友人オサムに女の子を紹介するために、若いカップル・コウジとトモコは、ホームパーティと称して“部屋コン”を企画した。集まったのは9人の男女。そこへやってきた1人の女性・ユウコのビジュアルにガッカリする男たち。微妙な空気でコンパが終了したその日から、本音と嘘、表の顔と裏の顔、恋愛模様が入り乱れることになる。

コトの発端となるカップルを演じたのは、新倉健太と若井尚子。みんなをガッカリさせたユウコを後藤ユウミが演じている。

みどころ

恋愛あるある、このキャラいるいる

キャラクターはもちろん、彼らの間で交わされる会話、ストーリーがリアルなのが本作のすごさ。「女子が可愛いという女は大抵ブス」「彼女に高圧的な男は自分より上の男に打たれ弱い」「ブスな彼女は恥ずかしい」「浮気男は自分の浮気を棚に上げる」……。あるある! 確かにこういう人いるいる!、の嵐。

登場人物は「ゲスでエロくてDQN」とコピーにも書かれているように、チャラかったりズルかったりウザかったりと、多くの人が嫌悪感を抱くような「共感したくない」“中身ゼロ”の若者たち。この若者たちを通しての浅はかな会話が、時間を追うごとに共感は出来なくとも“分かる”気持ちになってくるという不思議。

マウンティグ

多くの人の“苦手なタイプ”がこぞって出てくる本作だが、この世界にもヒエラルキーが存在していることに唸る。ママ友、クラスメイト、会社の同僚といったドラマや映画で描かれるマウンティングは、どの層のどのグループの人間にもあるという怖さを描いている。

バクマン。』(2015)

『DEATH NOTE』の原作・大場つぐみ、作画・小畑健というタッグが作り上げた同タイトル漫画の実写化となるバクマン。。大根監督には2011年の『モテキ』公開後にオファーがいった。2人の男子高校生が漫画家を目指す物語。

厳しい評価が飛び交うのが漫画原作映画の常だが、本作は、原作とはキャラクターやストーリーも大幅変更したにも関わらず評価が高く、第39回日本アカデミー賞話題賞と最優秀音楽賞など数々の賞を受賞。『モテキ』に続き、数少ない漫画原作映画の成功作品のひとつとなった。

あらすじとキャスティング

真城最高は漫画家の亡き叔父・川口たろうを尊敬し、自身も絵を描くことが好きな高校生だ。ある日、クラスの秀才・高木秋人から「俺と組んで漫画家になろう」と誘われた最高は、密かに想いを寄せる声優志望の亜豆美保と「お互いの夢が叶ったら結婚する」という約束を交わし、漫画家になる決意をする。

連載中から映画化を視野に入れていたという本作の主人公2人のキャスティングは、早いうちに決定。最高を佐藤健、秋人を神木隆之介が務めている。ヒロインの美保には小松菜奈、最高の叔父・川口たろうは宮藤官九郎が演じている。また、舞台となるジャンプ編集部で出会う面々には、山田孝之染谷将太桐谷健太リリー・フランキー

みどころ

漫画

作中で登場する漫画にぜひ注目してみて欲しい。最高の描いた原稿が徐々に上達しているのが見て取れるはず。また、漫画を描くシーンに至っては、黙々と地味になりがちな執筆シーンに、アクションが加えられているのが新しい。コマや擬音が飛び交う中、巨大なペンを振り回しながらインクまみれになって動き回る主人公たち。このシーンにはプロジェクションマッピングを使用するという初の試みがなされ、迫力あるアクションシーンとなっている。出演者たちも、まさか“文系映画”でワイヤーアクションをすることになるとは予想していなかったに違いない。

他の漫画家たちと競い合って読者アンケートの順位を上げて行く様子は、バトルシーンさながら、原作の“ジャンプ漫画”にふさわしい描かれ方だ。連載作の人気順位の上下や担当編集者とのやりとり、編集部の様子や漫画の裏側が分かりやすく描かれているのも嬉しい。

エンドロール

もうひとつ、どうしてもオススメしておきたいのがエンドロールだ。ラストは本編からスムーズにエンドロールに移行する。映された本棚の中には、「ドラゴンボール」や「ONE PEACE」、「ストップひばりくん!」といった歴代ジャンプ漫画が。そしてそのまま進むと今度は、「男一匹ガキ製作」「エグゼクティブの王者プロデューサー」といったタイトルのジャンプコミックが並ぶ。「製作」「エグゼクティブプロデューサー」という文言の入ったコミックの著者には、製作、エグゼクティブプロデューサーを務めた人物の名前が入っており、それらがそのままエンドロールとなっているのだ。コミックタイトルも歴代の人気漫画のタイトルをもじってあり、使用されている漫画も歴代人気コミックのもの。こんな楽しくて素晴らしいエンドロールはそうそうないし、何度だって観返したい。

DENKI GROOVE THE MOVIE? 石野卓球とピエール瀧』(2015)

2014年に結成25周年を迎えた「電気グルーヴ」のヒストリーを追った大根監督による初めての伝記的ドキュメンタリー映画。1989年に結成し、クラブミュージックであったテクノをメジャーに拡げ、日本のポップミュージックシーンを大きく変えた電気グルーヴ。本作ではこれまで世に出ることのなかったデビュー時のライブ映像のほか、1989年の結成から2014年のフジロックフェスティバルやライジングサン・ロックフェス、ツアー「塗糞祭」までの膨大な映像素材と、元メンバー、スタッフなど、電気グルーヴをよく知る人々のインタビューを交え、26年の軌跡を追う。

あらすじとキャスト

「電気グルーヴ」の結成、インディー時代、デビュー、「VITAMIN」での覚醒、「ORANGE」期の危機、“Shangli-la”「A」での大ブレイク、まりん脱退、活動休止、そして卓球とピエール瀧の本格的再始動まで、二人の26年間の物語が綴られる。

出演はもちろん電気グルーヴの二人、石野卓球ピエール瀧。インタビューに登場するのは、元メンバーのCMJK&砂原良徳、SMA代表取締役の日高道彦、「rockin’on JAPAN」総編集長・山崎洋一郎や、Bose(スチャダラパー)、小山田圭吾天久聖一、山口一郎(サカナクション)といったアーティストら。

みどころ

本人たちがノー・コメント

もちろんこれまでに未公開だったライブ映像などがみどころなのは言うまでもない。なのであえて他に挙げるとなると、ドキュメンタリーにありがちな本人たちのインタビューみたいなものが本作にはない、というのが実はみどころだったりする。本人たち曰く、「この映画は正解を探しながら観るものじゃない」し、「今こういう感じに見られたい」というのが出てしまうから、とのこと。元メンバーやスタッフといった第三者のインタビューを通すことで、よりフラットな彼らの軌跡を知ることができる。

SCOOP!』(2016)

本作は1985年公開のテレビ映画『盗写 1/250分秒 OUT OF FOCUS』を原作としたリブート作品。落ちぶれたカメラマン・都城静と新人記者・行川野火がスクープを狙う社会派サスペンス。『盗写』では斉藤慶子が演じた行川野火が主人公だったが、本作では都城を主人公に改変し、都城のキャラクターも『盗写』で原田芳雄と宇崎竜童が演じたアウトローなカメラマン・都城静と相棒・加柴という二人の人物をミックスしたキャラクターとして描かれた。

あらすじとキャスト

かつて数々のスクープをモノにしてきたカメラマンの都城静。今ではギャンブルに溺れ、借金に追われながら芸能スキャンダルのパパラッチとして落ちぶれた生活を送っている。写真週刊誌「SCOOP!」の新人記者・行川野火と組むことになり、次々とスクープをものにしていくが、ある日、大きな事件に関わることになる。

主人公であるカメラマン都城を演じたのは福山雅治。彼と組むことになる新人記者・行川を二階堂ふみが演じた。そのほか、吉田羊リリー・フランキー滝藤賢一斎藤工らが顔をそろえる。

みどころ

ヨゴレの福山雅治

みどころはテレビドラマ『美女か野獣』を少し彷彿とさせる汚れ役の福山雅治。彼が演じたのは、公の場で声を大にして下ネタを連発するゲスな中年だが、無精ひげを生やし煙草の煙を吐き出す姿は、自堕落の中にも色気がある。エンドロール直前にも映し出されるように、「カメラを構えた福山雅治」は絵になるなあとただただ感心。

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(2017)

本作は「SPA!」で短期連載されていた渋谷直角による漫画を原作に、奥田民生に憧れる男と自由奔放な女のボーイ・ミーツ・ガールを描いた本作。やたら長いタイトルなのにインパクトは十分だ。告白から成就までの物語を描く恋愛映画が多い中、本作は成就(一応)したのちどうやって長く相手を繋ぎとめるかに奔走し迷走する男の恋愛物語となっているのが興味深い。恋に翻弄されればされるほど、「民生」からは遠のいていく主人公。

全編に流れる奥田民生の楽曲もキャッチーで、80年代~90年代に青春を送った人たちは特に、本作に掲げられている「概念としての“奥田民生”」が理解できるだけに、「奥田民生になりたいボーイ」と聞いただけで「ああ、こんな人のことね」と瞬く間に共感が生まれる。

あらすじとキャスト

35歳の雑誌編集者・コーロキは、中学時代にテレビで見た奥田民生の自然なスタイルに衝撃を受け、以来、奥田民生のような男になりたいと思い続けてきた。ある日、異動先の仕事で出会ったアパレルブランドのプレス美女・天海あかりに一目ぼれしたコーロキだが、あかりの言動に翻弄され空回りの日々を送ることになる。

民生ボーイのコーロキを妻夫木聡、狂わせガール・あかりを水原希子がそれぞれハマり役で演じた本作。コーロキの務める編集部の社員に新井浩文天海祐希松尾スズキ、個性的なフリーライターたちを安藤サクラリリー・フランキーらが務めている。

みどころ

キス!キス!キス!

水原希子のファッションや美尻もさることながら、奥田民生の楽曲と共に全編に「これでもか」と登場するのがキスシーン。水原希子と妻夫木聡もインタビューで「こんなにひとつの作品でたくさんキスするのは初めてだった」「一日中ずっとキスしていた」と答えていたほどキスしまくり。濃厚なキスの連発は、本作を一緒に観る相手によってはなんとも気まずいかも(笑)。

恋愛テクニック

狂わせガールの恋愛テクニックは必見。まずは「褒め上手」。男の人を持ちあげていい気分にさせるのが上手なのは、相手の優越感を刺激してポイントが高そう。そして「ボディタッチ」。何かとすぐに手を握ったり、男性へのさりげない接触は相手に気を持たせるには有効な手段のひとつとしてあまりにも有名だ。そして上級のテクニックは「わがまま」。よく分からないところで怒って帰ったかと思えば、すぐにまたすり寄って来る狂わせガール。天国と地獄の緩急に、振り回されるのが好きな男性も多そう。そこにあのスタイルと美貌、そしてストライクゾーンの広さが加われば、もはや無敵。

SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018)

そして今回公開される新作が、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』。2011年に公開された韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』を1990年代後半の東京に置き換え、コギャル文化にアレンジしてリメイクした。音楽はその頃一世を風靡した小室哲哉が担当しており、安室奈美恵、久保田利伸、TRF、JUDY AND MARYなど90年代を代表するJ−POPの数々が劇中曲として使用されている。サブタイトルの「強い気持ち・強い愛」は小沢健二の同タイトルの楽曲から。

あらすじとキャスト

90年代に女子高生時代を過ごした仲良しグループ「サニー」のメンバーたち。

それから20年以上経ち平凡な主婦として暮らす奈美は、ある日「サニー」のリーダー・芹香に再会し、彼女が末期がんで余命1カ月であることを知る。奈美は芹香の願いで、ある事件をきっかけに疎遠になってしまったサニーの仲間を捜しはじめる。

仲良しグループ「サニー」のメンバーは7人。転校生だった奈美(広瀬すず篠原涼子)、面倒見のいいリーダー・芹香(山本舞香板谷由夏)、バリバリのコギャル・裕子(野田美桜小池栄子)と心(田辺桃子ともさかりえ)、ムードメーカーの梅(富田望生渡辺直美)、読者モデルをしている美少女・奈々(池田エライザ)。奈美が憧れる大学生・藤井渉を三浦春馬が演じている。

みどころ

乱闘シーン直前

本作には女子高時代と大人になった22年後の現在、両方に乱闘シーンがある。その乱闘シーンに入る直前の彼女たちの出で立ちや振る舞いが突き抜けていて笑わずにはいられないので、全力でオススメしたい。

90年代

本作で描かれる90年代は、観る人を「そうそう! こうだった!」「あったあった!」そんな懐かしい気持ちにさせてくれること必至だ。コギャル、ガングロ、ルーズソックスに白のカーディガン、ソックタッチ、TKファミリー、カラオケ、プリクラ……などなど。夢と刺激に溢れるキラキラとした時代の覇者だった女子高生たち。観客は彼女たちの青春時代を通して自分の青春時代も思い出し、胸が甘く痛むに違いない。

“リメイク”という響きにマイナスイメージを抱く人もいるだろうが、本作は90年代のコギャル文化を見事に韓国版とは一味違った魅力として落とし込むことに成功している。

何より過去パートも、現在パートも俳優たちのキャラがそれぞれにハマっている。広瀬すず演じる奈美はちょっとどん臭く、まっすぐな可愛らしさが伝わってくるし、山本舞香の芹香はひたすらに格好いい。池田エライザ演じる奈々も「高校生の頃、あんな大人びた美人の同級生(センパイ)いたっけな」と感じるリアリティがある。

一方、大人パートの小池栄子もコミカルで魅力的だし、板谷由夏もいかにもデキる女の格好よさと潔さが滲み出ている。ともさかりえの狂気がかったやるせなさも良い。

冒頭に述べた大根監督作品のキーワードは、もちろん今作でも健在だ。ぜひ劇場で確かめてほしい。

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