美少年から侵略者まで…俳優・松田龍平の出演映画22本

2018.09.08
映画

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

1999年『御法度』でデビュー。本作で日本アカデミー賞、キネマ旬報、毎日映画コンクール、ブルーリボン賞など数々の新人賞を受賞し、日本映画界で一躍注目されるようになった。松田龍平のこれまでのキャリアを振り返りながら、出演作品22本をご紹介しよう。

9月7日に公開した映画『泣き虫しょったんの奇跡』。本作で、アマチュアからプロに転向した実在の棋士・瀬川晶司を、松田龍平が演じている。

これまで主演作はもちろん、脇役としても多くの作品に出演し、異彩を放つ存在感を残してきた松田龍平。その作品数の多さだけでなくさまざまな役柄を演じ切れる実力派俳優として、映画ファンから熱い視線を浴びている。

松田龍平は1983年、東京生まれ。父親は俳優・松田優作、母親は女優でカメラマンの松田美由紀、弟は俳優・松田翔太という俳優一家で育つ。ちなみに、俳優の熊谷真実は伯母である。

小学生から始めたサッカーはかなりの腕前だったようで、幼少期はサッカー選手を夢見ていたという。

そんな松田龍平が俳優の道に進んだのは、故・大島渚監督から『御法度』の主役にスカウトされたのがきっかけ。しかし当時は俳優の仕事に自信や興味がなく、中学3年生だったこともあり受験を理由に断ったところ、監督に「受験が終わったら出来るのか」と聞かれて断れなくなってしまったというのは、有名なエピソードである。

そして1999年『御法度』でデビュー。この作品により日本アカデミー賞、キネマ旬報、毎日映画コンクール、ブルーリボン賞など数々の新人賞を受賞し、日本映画界で一躍注目されるようになった。

う~ん。最初からすごいなあ。

しかし当時は、邦画をほとんど観たことがなかったという松田龍平。演技経験も知識もゼロの状態だった彼が、いかにして今のような俳優に成長してきたのだろうか。

そこで今回は、松田龍平のこれまでのキャリアを振り返りながら、出演作品22本をご紹介しよう。

御法度』(1999)

みんなメロメロ

ご法度

幕末の京都を舞台に、反幕府勢力との抗争に明け暮れる新撰組に入隊してきた美少年によって引き起こされる愛憎劇を描く。

原作は司馬遼太郎の小説。新撰組の人間関係を男色の視点から描いた異色時代劇であり、ビートたけしが土方歳三を演じるというので大変話題になった。新撰組のユニフォームも斬新な黒デザイン。病と闘いながら撮り切った監督の執念と情熱が詰まった作品である。

松田龍平は、その気はないのに隊士たちを次々に惑わしてしまう妖しい美少年。そこにいるだけでみんなを嫉妬と羨望でグチャグチャにするのだから、それだけの魅力がなくっちゃね。当時高校生だった彼にはつらいシーンもあっただろうが、初々しさに胸キュンだ。 

青い春』(2001)

手を叩くのは幸せだからじゃない

青い春

卒業式の日、とある男子高校の不良グループが屋上に集まり、柵の外に立って手すりから手を放す間に何回手を叩けるのかを競う危険なゲームをやっていた。

失敗すれば落ちて死ぬ。その覚悟と根性を試されるゲームなので、誰よりも多く手を叩いた者は、その後学校を取り仕切る権力が与えられる。モヤモヤしたエネルギーの行き場のなさ。抑えきれない暴力衝動。その代表みたいな新井浩文が、いい仕事をしている。

その刹那的なゲームでうっかり新記録を出してしまった男。それが龍平だ。物静かでマイペース。権力闘争に興味がなく、何もかも無意味でどうでもいいと思っている男である。龍平が事務所の反対を押し切って初めて自分で選んだ作品だとかで、役柄にピッタリだ。原作は松本大洋の漫画。

昭和歌謡大全集』(2002)

オバサンをバカにするな

昭和歌謡

東京都調布市を舞台に、昭和の歌謡曲を愛する6人の青年とバツイチ・オバサンの6人が、ある事件をきっかけに壮絶な殺し合いを始める。

原作は村上龍の小説。昭和歌謡曲しか歌わない若者たち。復讐が復讐を呼び、暴力が次第にエスカレート。最初は他愛もないことだったのに、こんな風にして戦争は起こるのだ。でもこれ、ジャンルはコメディらしい。

無神経で何も考えていないオバサン。ただ何となく生きている若者。彼らが手にする武器は、ダスキンの柄の先に付けた包丁から、いつしか核兵器へ。ピンキーとキラーズの「恋の季節」を無表情で歌い、感情もなく棒のように踊る龍平のインパクトときたら。なかなかオイシイ役。

恋の門』(2004)

幸せなバカップル

恋の門

自称「漫画芸術家」の主人公が、コスプレと漫画を描くのが趣味の女性と出会い、恋愛を成就させるために売れる漫画家になろうと決心する。

松尾スズキの初監督作品。昼間は平凡なOLだが、帰宅後は過激なコスプレマニアの同人誌漫画家へ変身する彼女を見て、ひょっとすると共感する女性がいるかもしれない。物語の後半は、とにかく漫画を描く描く描く。ちなみに原作は羽生生純の漫画。

「石で漫画を描く」という言葉では説明しにくいことをやっているのが、松田龍平だ。漫画と石の両立も難しいのに、漫画家としての成功と恋愛の両方を手に入れたいとがんばる。ものすごく楽しそうに石を投げたりして、コミカルな役もOKだと証明した記念碑的作品。

46億年の恋』(2005)

ストイックで不器用な愛

46億年

ある刑務所の中で囚人同士による奇妙な殺人事件が起き、捜査が進むにつれて真相の謎が深まっていく。

同じ日に同じ殺人罪で入所した2人だが、性格は正反対。首を絞めていたのは寡黙で静かな男。死んでいたのは前科のある凶暴な男。彼らの間に一体何があったのか。彼は本当に殺したのか。男だらけの監獄で繰り広げられる愛と欲望の哀しい物語。

もちろん静かな男の方が、松田龍平である。2人の孤独は似たような形をしていて、それゆえ龍平は彼に惹かれていく。男同士ならではのピュアな愛。息が詰まりそうな閉鎖空間に突如現れるロケットと虹とピラミッドに救われる。

長州ファイブ』(2006)

長州のゴレンジャー

長州

1863年、ロンドンに向かった5人の長州藩士たちが、日本を変えるために大学で造幣、造船、鉄道などの高い技術を必死で学ぶ姿とその後を描く。

幕府の禁を犯してまで渡航した彼らの使命感と情熱ときたら。それはもう命がけ。死に物狂いである。のちに日本の近代化に大きく貢献した長州五傑(長州ファイブ)。行くまでも大変。行ってからも大変。帰ってきてからも大変だ。

のちに“日本工学の父”と呼ばれた男・山尾庸三を演じた松田龍平は、外国人に混じっても背格好に遜色なし。サムライ魂を見せる格闘や現地女性と交流を深めていくシーンは、サービスショットかと思うほどのドキドキ感だ。地味な歴史モノだから、そういうところもないとね。

世界はときどき美しい』(2006)

スナフキンのように

世界はときどき

5人の男女がそれぞれの日常と葛藤しながら生きている姿を描き、各エピソードの主人公が一人称で自分の胸のうちを語る5つのオムニバス短編映画。

8ミリフィルムで撮影し、後にデジタル変換をしたそうで、ザラッとした映像が主人公たちの心情を繊細に表現しており、彼らの心の中をのぞいているような気持ちになる。なので、えぐられるような、でも心地良いような不思議な空気感が特徴だ。

松田龍平が登場するのは、第4話「スナフキンリバティ」。路面電車に乗り、妊娠中の恋人に会いに行く。2人は草原に並んで座り、風と緑と光に囲まれて短いひとときを過ごす。こんな自然体の龍平を見たのは、これが初めてかも? 

悪夢探偵』(2006)

そりゃ疲れるよね

悪夢探偵

新米の女刑事が謎の多い殺人事件を捜査していくうちに、解決する鍵は夢にあると推測し、他人の夢の中に入れる特殊能力を持つ悪夢探偵に協力を求める。

塚本晋也が自作小説を自ら映画化。夢ではなく悪夢とは、いかにもしんどそうな仕事である。彼も自分にそんな能力があるのがイヤそうで、消耗しきって「あぁ疲れた」とつぶやく。なのに続編『悪夢探偵2 怖がる女』(08)があるとは、何とも気の毒なことで。

なんちゅー格好をしておるのだ。この探偵は。でも意外と似合うのが、松田龍平ならではだ。悪夢は心の闇が生み出すものだから、みんな叫んだり震えたり。夢と現実が交錯してわけがわからなくなったら、導いてくれる龍平を観ていればいい。

アヒルと鴨のコインロッカー』(2006)

辞書を盗むワケ

アヒルと鴨とコインロッカー

大学進学のため仙台に引っ越してきた主人公が、アパートの隣人から声をかけられ、本屋を襲うという奇妙な計画を持ちかけられる。

伊坂幸太郎の小説を映画化。ボブ・ディランの「風に吹かれて」がテーマ曲のように流れ、世代によっては懐かしい青春時代を思い出すだろう。ブータン人留学生のために辞書を盗む。その奇怪な動機の裏には、切ないラブストーリーが隠されていた。

松田龍平が演じる役は、その種明かしに深く関わっている人物。異国の地で孤独に生きていた留学生に言葉を教え、さりげなく支えになってあげるめっちゃいい人である。そばにいてくれるだけで落ち着くオーラ。複雑な構成だが、ビックリしてスッキリする映画。

恋するマドリ』(2007)

座りたいイスは?

恋するマドリ

一緒に暮らしていた姉が結婚するため、しぶしぶ一人暮らしをすることになったヒロインが、引越し先のアパートで気になる男性と出会う。

新垣結衣の初主演映画。インテリアショップの15周年記念作品として製作されただけに、ユニークでオシャレな内装に目を奪われる。人間関係が1本の線でつながっていくことである事実が明らかになり、その苦しみが彼女を成長させるという物語。

無愛想で静かなただずまいの研究者。それが松田龍平である。またもや似たようなキャラではあるが、内に秘めたる熱い想いがにじみ出るシーンもあり。恋人を追いかける龍平もいいね。恋と友情、さあどっちを取る?

蟹工船』(2009)

普遍的なテーマを新しく

蟹工船

カムチャッカ沖で蟹を捕り、船上で蟹の缶詰を作っている労働者たちが、劣悪な環境から這い上がろうと力を合せて立ち上がる。

小林多喜二の有名なプロレタリア小説を映画化。テーマはそのままだが、スタイリッシュでシュールな映像による新しい演出が施され、現代の感覚に沿ったドラマに仕上がっている。労働者を痛めつける現場監督を演じた西島秀俊が、珍しく悪役で新境地。

パワハラと低賃金というブラック労働を強いられる苦悩は、今の私たちにもわかるよ。労働者の一人を演じた松田龍平がリーダー的存在となり、挫折を味わいながらも支配者に立ち向かう姿は革命家だ。声を荒げないのに心の叫びが聞こえる。 

探偵はBARにいる』(2011)

ヤル気があるのかないのか

探偵はBARにいる

北海道・札幌市すすきので探偵をしている主人公は、女性の依頼で弁護士を揺さぶった帰り道、何者かに拉致されて雪原に生き埋めにされてしまう。

東直己の推理小説が原作。事務所を持たず、行きつけのバーの電話で依頼を受けるというのがユニークで、地方都市を舞台にした和製ハードボイルドとして人気が高い。のちに2本の続編も作られ、大泉洋の当たり役となった。

松田龍平は探偵の助手&運転手。メガネをかけてボソボソしゃべる体温が低そうな男で、本業は大学農学部の助手という変わり種ではあるが、なんだ、いつもの龍平か……と思いきや、アクションを見せる見せる。やるときゃやる龍平が楽しめるシリーズ。

まほろ駅前多田便利軒』(2011)

ユルくて揺ぎないコンビ

まほろ駅前

架空の街・まほろ市の駅前にある便利屋の経営者と、彼の元へ転がり込んできた元同級生がコンビを組み、一風変わった依頼を通して見えてくるさまざまな人間模様を描く。

原作は三浦しをんの小説。続編は『まほろ駅前狂騒曲』(14)。続々とやってくる依頼人たちもワケありだが、この2人も相当のワケありである。そもそも中学時代の彼らの関係性からして興味深く、こういう男同士の距離感がいいよな~。

相棒を演じる松田龍平は、いいかげんで働きたがらない感じなので、真面目な経営者はいつも振り回されているのだが、彼の力の抜け加減に救われることもあって、なかなかよいコンビ。その特徴的な走り方は役名から「行天走り」と呼ばれ、龍平がいい味を出している。

舟を編む』(2013)

ネコがキューピット

舟を編む

辞書一筋のベテラン編集者の後任者として辞書編集部に異動となった主人公は、新しい辞書の編纂に情熱を傾けるようになる。

原作は三浦しをんの小説。変化を遂げ続ける日本語を扱う辞書作りの舞台裏を描く。こんなに地味で気の遠くなるような作業をコツコツと10年以上も……と現場の知られざる苦労にスポットが当たり、新鮮な驚きと感動を呼ぶ。

松田龍平は、言葉に対しては並外れた感性を持っているのに、人間相手のコミュニケーションは苦手。そして生真面目。そんな彼が恋に落ち、仕事で「恋」という言葉の語釈を任される。さて、彼がどんな言葉で恋を説明したのかは、観てのお楽しみに。

麦子さんと』(2013)

母の若い頃

麦子さんと

兄と一緒に暮らしながら声優を目指しているヒロインのところへ、かつて2人を捨てた母親が突然戻ってくる。

親もしくは子供が急にそんなことをする理由は、だいたい決まっている。死期が近いのだ。で、仕方なく母親の納骨のために故郷を訪れたヒロインが、そこで昔話を聞くうちに、憎んでいた母親に対する想いが変わっていく。でもまあ母親の青春時代の夢なんて、誰でもよく知らないんじゃないだろうか。

彼女の兄を演じた松田龍平は、母親がやって来たとたん恋人のところに行ってしまう。そして、病気のことも知っていたし葬式では号泣したけど、最後の〆は妹に託すのである。きっとそれが息子。それが長男。母親への気持ちは複雑だね。飄々とした龍平の魅力がじわじわくる。

ジヌよさらば かむろば村へ』(2015)

理想の0円ライフ?

ジヌよ

都会で銀行員だった主人公が金アレルギーになり、お金を一切使わない生活を目指して東北地方の寒村にやってくる。

「ジヌ」とは東北弁で銭のこと。怖くてお金に触れないから、当然使えないし欲しくない。なのでお金に振り回される人生から逃れるため、東北のほぼ限界集落に移住してきたという現実をナメた都会人が、村人たちの好意で0円ライフを送れるようになるか? 

現実的なテーマにファンタジーが交じり合い、そこに独特のコメディ要素が加味されて松尾スズキ・ワールド全開。主演の龍平は、お金にはストイックだが女性の誘惑には勝てず。結局何がしたかったのかわからなくなる後半が、面白い。

モヒカン故郷に帰る』(2016)

音楽が好きな父と息子

モヒカン

恋人の妊娠を報告するため、瀬戸内海に浮かぶ故郷の島に久しぶりに帰ったバンドマンが、余命わずかの父親のために奮闘する。

問題は、彼が挫折したバンドマンということである。プロのミュージシャンになりたいと親の反対を押し切って上京したものの、結局売れなくてバンドが解散。バンドあるあるであるが、実は父親とはジャンルは違えども音楽でつながっている。それは幸せなことだ。

モヒカンがどうも似合わない龍平。挫折してしまったという屈辱と申し訳なさを抱えながら、親の前に姿を現した息子の寄る辺のなさが、自分の名前の由来を聞かされて嗚咽するシーンで伝わってくる。もたいまさこが母親でよかったね。

殿、利息でござる!』(2016)

無私は日本人の美徳

殿

江戸時代の仙台藩を舞台に、年貢の取り立てや労役で疲弊した宿場町は、藩にお金を貸して利息を取るという救済計画を思いつく。

実話に基づいた驚くべき時代劇。宿場町の存続を図るため、財政が逼迫している藩にお金を貸す。そのためには貸せるだけのお金を調達する必要があり、その金策に一致団結して奔走する。みんなで知恵を出し合ってあきらめない姿が、日本人として泣かせる。

龍平の出番は少ないが、仙台藩の財政担当者を演じて強烈なインパクト。村人たちのしつこい訴えを冷徹に退け、チョンマゲは似合わないけどブレない役人だ。そんな彼がいつどうやってどんな気持ちで要求に折れるのか、それがみどころだ。

ぼくのおじさん』(2016)

美女にまっしぐら

ぼくのおじさん

兄夫婦の家に居候するぐうたらな変人おじさんが、お見合いで知り合った美女を追いかけて、何とかしてハワイへ行こうとする

いい年して自立できていない我が身を屁理屈で正当化し、世間の一般的常識に反旗を翻す生き方をしているはずの哲学者が、なんだ、結局女を顔で選ぶのかという……まあそこがぼくのおじさんたるゆえんなので、許してあげよう。

同居する甥の視点で語られるダメおじさんは、まるで子供のよう。松田龍平のとぼけた魅力と絶妙な間合いがコメディタッチで、しかもよくしゃべるという新境地。浮世離れした存在が羨ましく、ひょっとして寅さん的シリーズ化?という期待感が残る。

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2016)

もどかしすぎる不器用さ

夜空はいつも

昼は看護師、夜はガールズバーで働きながら漠然とした不安や孤独を感じている女性が、工事現場で日雇い仕事をしている男と出会い、人生にほのかな希望を見出そうとする。

最果タヒの詩集を実写映画化。詩集が原作とは珍しい。これは東京のような大都会だから成立する物語だろうが、いつも死の気配を感じている若者という共通点が、彼らの距離を無意識のうちに近づけ、その切実さは時代や場所を超えるのである。

男の同僚を演じた松田龍平は、強烈な存在感がありながらも一歩引いた演技が印象的。自分の立ち位置がよくわかっているなあという感じである。一瞬で主人公の心に爪あとを残す。若い頃に「死」が身近にあったかどうかは、メンタリティに大きな影響を与えそう。

散歩する侵略者』(2017)

別人だからこそ愛せる?

散歩する

数日間行方不明だった夫が突然帰ってきたものの、それまでとは別人のような言動にとまどう妻は、街の様子がだんだん不穏な空気に包まれているのに気づく。

前川知大の舞台を映画化。侵略者がどのようにして地球を滅ぼすのか。日常にじわじわと忍び寄ってくる小さな違和感が、いつのまにか取り返しのつかない事態にまで発展しているという恐怖。アナザーストーリー『予兆 散歩する侵略者 劇場版』(17)もぜひご覧あれ。

つかみどころのなさが人間離れしている松田龍平を、よくぞこの役にキャスティングしてくれた。思想を奪うとは洗脳やファシズムを彷彿させる支配理念であるが、でもその定義って個人差があるんじゃ……と思ったら成り立たないので、これでよし。良質なSFラブストーリー。

羊の木』(2018)

信じたいから信じさせて

刑期を終えた元受刑者の移住を受け入れた小さな港町を舞台に、男女6人の過去を知らない町民たちの日常が次第に狂わされていく様を描く。

その極秘厚生プロジェクトを知っているのは、市長と担当職員だけ。しかもよりによって凶悪な殺人罪を犯したメンバーなので、最初から不吉な予感がするのだが、この人がなぜそんな犯罪を?という謎解きが興味をそそる。

見るからにやらかしそうなチンピラとは違い、一見まともそう。彼は友だちのいない孤独な男で、冷静に見えるが何を考えているのかわからない。でも、その役を松田龍平がやるってこと自体がネタバレでは? 錦戸亮がお人よしだけどズルイ面もある男を好演。  

いかがでしたか?

改めてこうして振り返ってみると、いきなり有名監督に見初められ、好スタートを切った後は次々と話題作に恵まれて、順風満帆のような俳優人生。

でも、だからこそ、それなりの悩みや葛藤もあったんだろうなあ。

要は彼の使い方次第。そろそろ予想を裏切る松田龍平を見てみたいものである。

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