朝ドラ『まんぷく』で再注目!俳優・長谷川博己の出演映画13本<『鈴木先生』など>

2018.10.11
映画

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

NHK朝ドラ『まんぷく』で再注目される俳優・長谷川博己。これまでの出演映画をおさらいします。

2018年後半期のNHK朝ドラ『まんぷく』に出演し、一躍注目されている俳優・長谷川博己。2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』では、主人公・明智光秀を演じることも決定している。

長谷川博己は1977年、東京生まれ。2001年文学座付属演劇研究所に入り、その1年後、舞台デビューを果たした。2004年には文学座支持会新人賞(座内賞)を受賞し、蜷川幸雄演出の「ヘンリー六世」(10)などで舞台経験を積んだ。

TVドラマでは2008年の『四つの嘘』がデビュー作。その後『セカンドバージン』(10)で鈴木京香の相手役に抜擢され、『鈴木先生』(11)で初主演を果たした。大ヒットした話題作『家政婦のミタ』(11)では、優柔不断な父親役を演じて新境地を拓いている。

こうしてみると、どちらかといえばTVドラマでの印象が強いかもしれないが、実は映画の方でも、園子温や黒沢清といった作家性の強い監督の作品に出演するなど、実力派俳優としての活躍もめざましい。

そこで今回は、俳優・長谷川博己の出演映画13本をご紹介しよう。

セカンドバージン』(2011)

全ては愛する人のために

セカンドバージン

試練を乗り越えて一緒に暮らし始めたヒロインと恋人だったが、ある日突然、彼が姿を消してしまい、5年後、2人はマレーシアで偶然再会する。

17歳年下の既婚男性との恋愛というスキャンダラスなストーリーが話題を呼んだTVドラマの続編だが、2人の過去が回想シーンとして描かれるので、初心者でも大丈夫。三角関係も急展開し、2人がどんな形で愛を貫くのかがみどころだ。

愛する彼女の目前でいきなり撃たれてしまう長谷川博己。ドラマに比べてサスペンスフルなテイストだが、瀕死の状態で寝たきりなのがもったいない。やっぱり主役は女性なんだなあ。「もっと長谷川博己を!」と思ったら、ドラマ版と合わせてどうぞ。

映画 鈴木先生』(2012)

妄想と理想と

鈴木先生

独自の教育理論を持つ中学教師は、理想的なクラスを構築するための要として1人の女子高生に注目していた。しかしある日、彼女は乱入してきた卒業生に人質として捕らえられてしまう。

TVドラマの映画化。一見フツーの生徒ほど問題あり。だから生徒たちを鋭い眼差しで日々観察している先生だが、たまによからぬことを考えてしてしまい、1人で悶絶することも。教師だって妄想するでしょ? 

生徒思いでクールなメガネ男子だけど、ちゃんとスケベなところもある健全さがよい。そんな新しい教師像を演じた長谷川博己は、心の中でずっと独り言を言っているような男で、私生活では妻に気を使ってグダグダ。可愛いじゃないの。長谷川博己でピッタリ。

地獄でなぜ悪い』(2013)

ザ・実録を撮るべし

地獄でなぜ悪い

愛娘を映画デビューさせるため、制作に乗り出したヤクザの親分が、通りすがりの青年を監督にしたところ、ライバルのヤクザを巻き込んで事態はとんでもない方向へ。

クセがありすぎるキャラの中でも突出しているのが、服役中の姐さんだ。割烹着のまま包丁を握って走るシーンが強烈で、友近の当たり役である。國村隼が久々に演じるヤクザが怖すぎ。クライマックスの乱闘シーンはバカバカしいやら恐ろしいやらで、ワクワクしてしまう。

何もできない監督に代わってメガホンを取るのが長谷川博己。筋金入りの映画マニアで、めんどくさいほどリアリティにこだわる彼は、極道同士の本物の殺し合いを35ミリに焼きつけたくてしょうがない。その狂気が泣かせる。笑わせる。

舞妓はレディ』(2014)

歌もイケます

舞妓はレディ

舞妓を夢見て京都の花街に飛び込んだ地方出身の少女が、方言の訛りを克服し、芸能の厳しい修業を乗り越えて成長していく。

映画ファンならこれが和製『マイ・フェア・レディ』であることはすぐにわかるが、タイトルまでもじっていたとは。歌とダンスを楽しみながら、京都の習わしや舞妓の世界を知ることもできる一粒で二度美味しい作品である。

長谷川博己は、鹿児島弁と津軽弁が交じり合うという独特の訛りを持つ彼女に、流暢な京都弁を教え込む言語学者。スラリとした姿で軽やかに踊り、よく伸びる声で「京都盆地に雨が降る」を歌い上げる。その隣でぼんやりしている濱田岳がいい。

海月姫』(2014)

ウブすぎてオロオロ

海月姫

人生に男はいらないと考える女子集団に属するクラゲオタクのヒロインが、熱帯魚ショップの前で出会った美しい女性は、実は男性であった。

人気コミックの実写映画化。オタク女子たちのビジュアルが原作に忠実で驚くが、女装姿はもうちょっとムチムチタイプであってほしかったなあ。菅田将暉の着こなしはファッショナブルでよかったけど。

将来を嘱望された政治家なのに、堅物すぎて30代童貞という情けない役を演じた長谷川博己。奥手ゆえのズレ具合や自信のなさそうな目つきがコミカルで、寝顔のシーンはサービスショット? やだもう~。長谷川博己の新しい魅力を発見。

ラブ&ピース』(2015)

人生ゲームの果てには

ラブ&ピース

ロックミュージシャンになる夢に破れ、今はダメなサラリーマン生活を送っている男が、1匹のミドリガメと出会ったことで、運命が大きく変わっていく。

園子温監督が無名時代の25年前に書いた脚本を映画化。巨大化したカメが街を破壊していく特撮シーンなど、この監督の作品としてはかなり異色だろう。カメの名前はピカドン。過去を忘れないと歌う主人公自身が、可愛がっていたカメを捨て、昔の自分を見失っている。

被害妄想に翻弄される小心者から傲慢なロック歌手へと変貌し、ついにデヴィッド・ボウイみたいな恰好で大舞台に立つ長谷川博己。そのカメレオン演技がみどころだ。ガラクタが出てきたりして最初は何のことやらだったけど、実は奥深い話でじ~んとする。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2014)

俺が最強の男

進撃の巨人

人間を捕食する巨人を阻止するために壁を作り上げ、100年間その中で平穏に暮らしていた人間たちは、その壁が1体の巨人によって破壊されてしまう瞬間を目の当たりにする。 

大ヒットした人気コミックの映画化。平和ボケしていた人間が、ある日突然やってきた巨人と壮絶なバトルを繰り広げる。実写となった巨人の迫力とエグさをスクリーンで堪能できる。後編に『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN END OF THE WORLD』(15)。

原作で登場する重要な人気キャラがいないということで失望の声が多かったが、その代わりに作られた人物。それが長谷川博己だ。調査団員で人類最強を名乗る男という設定のわりには、特にアクションで印象に残るところはなく、水原希子にリンゴを丸かじりさせるシーンがやらしい。

この国の空』(2015)

じれったくてドキドキ

この国の空

昭和20年、東京で母と叔母と暮らすヒロインは、女だけの所帯で必死に生きていたが、ある時妻子を疎開させている隣家の男性の身の回りの世話をすることになる。

戦況が悪化するにつれて、自分は一度も男性を知らないまま死ぬのかと不安になる若い娘。そんな焦りとフェロモンを抑えきれないところに、一人暮らしの年上男性がいたりしたら、そりゃもうなるようになるしかなかろう。

女に目覚めていくヒロイン。それを「待ってました」とばかり受け止める長谷川博己。そこまではまあ想定内だが、道ならぬ恋に突き進んでいる2人を観察しながら、あえて知らぬふりをしている母親の存在が、この物語を面白くしている。工藤夕貴、うまい。

劇場版 MOZU』(2015)

狂った笑顔

MOZU

妻子の死をめぐる謎を探るうち、警察内部でうずまく闇を暴き出した公安警察官の主人公が、同時多発大テロ事件に遭遇し、事件の真相を追う。

人気TVドラマシリーズの完結編。犯罪史に残る重大事件の黒幕「ダルマ」の正体が、ついに暴かれる。しかし、ポスターにビートたけしの姿はいらないんじゃないの? それまでイラストでしかお目にかかれなかったダルマの謎めいた不気味さが吹き飛んでしまう。初登場シーンでゾクゾクさせてほしかった。

フィリピンでロケを敢行したカーアクションや爆破シーンは本格的。犯罪エージェントの長谷川博己が狂気をあらわにした時の顔は、まるでバットマンのジョーカーだ。悪役なのにマッチョでなく体が細いところに、より異常性を感じさせる。うふふ。この役を演じて嬉しそう。

セーラー服と機関銃 卒業』(2016)

ヤクザでもモテモテ

セーラー服と機関銃

かつてヤクザの組長をしていた女子高生が、今はカフェを切り盛りしながら平穏な生活を送っていたところ、モデル詐欺に巻き込まれた友人から相談を受ける。

社会現象を巻き起こすほど大ヒットした薬師丸ひろ子主演映画『セーラー服と機関銃』(81)の続編。なりゆきで弱小ヤクザの組長となり、敵を討つために機関銃を抱えて殴り込みをかけたことのある彼女は、今回もやっぱり同じことをするんだなあ。

長谷川博己はヤクザだが風貌がインテリっぽいので、彼に正義があるように見えてしまうものの、ヒロインが恋心を抱く相手としては申し分なし。安藤政信がイケメンなのに悪い顔をしていて、キレたらどうなるんだろうという底知れなさがあってよい。

二重生活』(2016)

1つでは満足できない

二重生活

教授から修論テーマとして尾行を勧められた女子大学院生が、近所に住む既婚男性を尾行するようになり、他人の秘密を知ることに興味を抱き始める。

たまたま隣人を尾行してみたら、彼にはもう1つの世界があった。でもそれって、二重生活というほどのものではないんじゃ……絵に描いたような幸せな人生を送っている男が実はこっそり、というこの展開は、特に珍しい話でもない。

彼女のターゲットになってしまった長谷川博己。板挟みになって苦しむ姿が哀れなズルイ男だが、まあ普通の男である。それよりも注目すべきは、教授の私生活だろう。気持ちがわかるだけに、もうつらすぎる二重生活。彼の物語があればこそのこの映画だ。

シン・ゴジラ』(2016)

ガッジィラ

シン・ゴジラ

東京湾アクアトンネルが突然崩落し、首相官邸では海に潜む謎の生物が事故を起こしたという説が浮上していたが、ついに巨大不明生物が海上に出現する。

ゴジラは「怪獣」ではなく「巨大不明生物」と認識され、その動きを止めるために政府がひたすら立ち向かうという設定が新鮮で、今までのシリーズと一線を画した世界観が描かれる。自衛隊の全面協力を得たリアルすぎる戦闘シーンは、一見の価値あり。

人類の英知を結集させて未曾有の危機と戦う日本人。内閣官房副長官の長谷川博己は切り込み隊長みたいな役で、プロたちが専門用語を早口で連発するのが心地よく、石原さとみがしゃべる英語訛りの日本語も耳に残る。テンポのよいセリフ劇のような映画。

散歩する侵略者』(2017)

愛の概念を教えて

散歩する侵略者

しばらく行方不明だった夫が、別人のようになって妻のもとへ帰ってきてからというもの、町のあちこちで不可解な現象が起き始める。

人気舞台の映画化。会話の中から概念を探り出し、相手からそれを奪ったうえで侵略を開始するとは、なんとユニークな視点。なんと怖ろしい発想だろう。ほら、あなたのそばにも侵略者がいるよ。それは、知らないうちにじわじわと忍び寄ってくるものだからね。

一家惨殺事件を追っているうち、この地球で何かが起こっていると気づくジャーナリスト。彼らの存在を理解し、協力さえしてしまう複雑なメンタルの持ち主を演じた長谷川博己は、この映画で本領発揮だ。あの細い体を自在にクネクネさせられることを証明。いいものを見せてもらいました。

いかがでしたか?

情けない男から政治家までバラエティに富んだ役をこなし、着実にキャリアを伸ばしている長谷川博己。

スラリとした長い指で女心をキュンとさせたり、不敵な笑みで相手をゾクリとさせたり。たまにボサボサ髪でダメすぎる男を演じたかと思えば、クールなメガネ姿のインテリ風。う~ん。どれも違和感なくキマッてしまうのが不思議である。

朝ドラをきっかけに、今後ますます人気が高まることは必須。これからもっともっと別の顔を見せてほしい俳優だ。

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