『ハナレイ・ベイ』佐野玲於×村上虹郎×佐藤魁 ハワイ・カウアイ島から始まった蜜月【インタビュー】

2018.10.18
映画

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

GENERATIONS from EXILE TRIBEのパフォーマーとして不動の人気を誇る佐野玲於、洒脱さとクラシックな雰囲気を併せ持ち若手俳優群の中でも頭ひとつ出ている印象の村上虹郎、プロサーファーとして国内外で八面六臂の活躍を見せる佐藤魁。同じ年代…以外取り立てて共通項もなさそうな三人が、顔を寄せ合ってはキャッキャ、ワイワイ楽しんでいる。映画『ハナレイ・ベイ』での出演を機に、随分打ち解けたそうだ。

ハナレイ・ベイ

個性の色はまったく違えど、輝きは当分に強く放っている三人。揃えば近寄りがたいムードを醸すのかと思いきや、健やかで温かなほっこり雰囲気があたりを包み上げ、映画での豊かな時間を匂わせる。

彼らが運命を共にした『ハナレイ・ベイ』は、村上春樹の連作短編小説「東京奇譚集」の一篇を、松永大司監督が映画化。熟練のサーファーたちが集うハワイ・カウアイ島のハナレイ湾(ベイ)に魅せられ、やって来た日本人のタカシ(佐野)は、サーフィン中、サメに襲われ命を落としてしまう。タカシの母サチは(吉田羊)、日本からその地へ向かい、以来、命日になると毎年ハナレイで過ごすようになった。10年ほど過ぎたある日、サチは息子と同じ年くらいの高橋(村上)と三宅(佐藤)というサーファーに出会い、ある噂を耳にする。

亡くなった息子、その母親と知り合うことになるふたりのサーファーという、劇中では交わりのない彼らは、ロケ地のカウアイ島でどんな思いを抱えて過ごしていたのか。これからの時代をリードするだろう、三人の鼎談をお届けしたい。

ハナレイ・ベイ

――原作や台本を読んだとき、どのような感想をお持ちになりましたか?

佐野 普段あまり本を読まないので、解読に時間はかかったんですけど、村上春樹さんの言葉の魔力に魅せられました。読んだ後は、いろいろと考えさせられる時間になりました。一番強く感じたのは、「人って死ぬとき呆気ないな」と。昨日まで元気だったのに、寿命で今日死んでしまうとかも、本当にいきなりじゃないですか。誰でもいずれは死を迎えるので、そのことについていろいろ考えてしまいました。その後、脚本がきたので読んで、いろいろと想像が膨らみました。母親のサチの人生を紐解いていく話なので、そこに関わっていく自分がいて、「どうなるんだろうな」とワクワクしながら、撮影に臨ませてもらいました。

佐藤 僕は元々、自然に近いスポーツをやっていて、話の内容的には自然に近かったので、やりやすいんじゃないかな、という思いがありました。みんなと一緒に映画を作り上げるのは初めての経験だから、いろいろなことを考えて……虹郎に「俳優って何?」と聞いたり。いろいろな会話をしながら改めて観返したりして、観るたびに自分の映画に対する気持ちが変わっていくのが面白くて。まだまだ、たぶん変わるんだろうな、と思います。

――何から何に変わっていったんですか?

佐藤 自然の循環について考えたり。サチがタカシの部屋を掃除するシーンで、ポスターが出てくるんですけど、すごいプロサーファーのポスターなんです。その方は最近、亡くなってしまったんです。ハナレイ・ベイに家があって、すごく意味があるなと感じた瞬間でした。その人も亡くなって循環したのかな、と。この映画に出た意味も、すごくありました。

――村上さんは、いかがでしょうか?

村上 僕は原作を読んでいないんです。脚本を読んで、一風変わった春樹さんの作品かな、と感じていました。普段はもう少しだけ官能的なイメージがあるんですけど、今回は直結な感じがして。ダイレクトなので、すべてが重く捉えられるし、観る方に直接的に伝わってくるものがあるんじゃないかな、と。表情とか、立ち姿とか、後ろ姿もそうですし。全身で心の底から羊さんも体現しているので、観応えがすごいと思います。

ハナレイ・ベイ

――ご自分たちの役の存在については、どう思っていましたか?

村上 原作と違って、(映画では)僕と魁に高橋と三宅を寄せたみたいなんです。魁という存在が、俳優ではないところからでのスタートなので、半ばモキュメンタリーといいますか。もちろん魁も「テラスハウス」で映像経験はあると思うんですけど、僕は「どんなイケイケのチャラいやつがくるんだろう!」と思っていたら、すごい無垢な人で!

佐野 うん! 俺もね、すごいチャラいやつがくると思ってた!

村上 だよね!?

佐野 うん。「テラスハウス」に出ていて、サーファーでしょ1? サーフだってカルチャースポーツだし、絶対すごい遊び人がくると思ってた(笑)!

佐藤 「テラスハウス」って、そういうイメージなんだあ~(笑)?

佐野 そうしたら、何なら三人の中で一番純粋みたいな人。

村上 そうそうそう。やっぱりそういう魁という存在との作品作りは、僕にとってすごく大きかったかもしれないです。ふたり(高橋と三宅)が醸し出すものが、サチにどう影響を及ぼすかは、あえて意識せず、僕らは僕らで強くいれば、サチに何か関わりを持つんじゃないかな、と思っていました。

佐藤 監督はずっと僕に「自由にやってみろ」と言ってくれていました。虹郎にも「三宅って何だろう?」と聞いて、「三宅を知ることだよ」と言われて。そのとき、「この役って自由でいいんじゃないかな」と思ったから、自分のまんまでいったという感じです。等身大で。そうしたら、監督が面白いことを言ってくれたので……。

ハナレイ・ベイ

――面白いこと、ですか?

佐藤 僕を起用したのは博打だった、みたいな(笑)。

佐野 そうなんすね!?

佐藤 面白かったっす。

村上 一か八か!

――観てしまうと、ほかのキャストを思い描けないお三方の配役でした。佐野さんは「息子」という立ち位置でした。

佐野 そうですね。サチとの回想のシーンでは、そこで親子の関係性や距離感も見えたりしますが、自分は息子でしかないと思ったので、あまり変な情報は入れずに取り組んでいきました。特別なことをしたとか、うんぬんとかの話は、ないんです。自分とタカシという人間はさほど変わらないので。すごく結びついているものが、たくさんあるので。

佐藤 そうなんだ?

佐野 うん。だから、すごく自然にできたという感じはあります。

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――ご自身の出ていないお互いのシーンなども完成作では楽しめるわけですが、そのあたりの感想も聞きたいです。

佐野 虹郎はスッと入ってきて、嘘のない、気持ちいいお芝居をしていて、「すごいな」と思う部分がたくさんありました。魁に関しては、さらに期待を裏切る感じで……!

村上 魁そのものっていう!

佐野 本当に、ただの魁なんですけど、それが成立しすぎていて。ダメな部分がまったくないというか、魁にしかできないんだろうな、とすごく感じました。

佐藤 ……本当に?(小声)

佐野 うん(笑)。

村上 魁、緊張してたよね?

佐藤 うん、緊張してた! バーのシーンで、肩こんなに(上がる)なっちゃって(笑)。

全員 (笑)。

佐藤 もう、こんなんなっちゃってるなあ、こんな上がっちゃってるう……って(笑)。玲於の芝居では、お母さんに対して冷たい感じでやっているのに、タカシがいきなり死んじゃうシーンで、本当に死はいつくるかわからないって、ふたりの描写ですごく感じさせられました。

村上 うん。

佐藤 お母さんに対して、こんなに適当にやるんだって、僕にはめちゃくちゃに映ったし。

村上 基本的には台本に書かれていることもだけど、(タカシは)冷たいじゃない? 「さいなら」という言葉の使い方も、結構痛いじゃない? でも、ひとつひとつの会話の中の愛情が、別にないわけじゃないという。

佐野 そう、あるんです。「さいなら」は究極の愛情で。あれがやっぱり、なんかすごく自分は……ああ、こういう日常の切り取り方が一番くるんだな、と思いました。虹郎の言う「痛い」というのもそうだし。「さいなら」が聞こえてくるのは、サチにとっての思いのたけの大きさになっているし。でも、親子って俺はそういうことだと思っています。自分も母親とそんなに会話があるほうではないと思いますし、特別話さなくても、肉親だからこそ愛情があるとわかっているというか。日常を切り取っていろいろなことが起こる中で、心の底の部分では言葉に出さなくても家族という愛があって、ということでしかなくて。それを描ける監督は、すごいなと思いました。

ハナレイ・ベイ

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――サーフィンや演技以外で、『ハナレイ・ベイ』で初めて経験したことはありますか?

村上 僕はシステムですね。ハワイというのもあって、撮影システムが完全にハリウッドのスタイルでやっていたんです。スタッフさんが『パイレーツ・オブ・カリビアン』とか、『ジュマンジ』とか『ジュラック・ワールド』の制作部で。

佐藤 そうだったんだ……!? すごくない?

佐野 すごい。

村上 ジョニー・デップを担当していたヘアメイクさんが、その手で僕らをメイクしてくれているんですよ!

佐藤 そうだったんだ~~、やばいね!! 初めての撮影経験だから「そうなんだ! あれが最高峰のスタッフさんたちだったんだ!」って今思った(笑)。

村上 そうだよ! 間接ジョニー・デップだからね!

佐藤 ガイ・デップだ!

佐野 ガイ・デップ(笑)! 俺も、システムが違うことにはびっくりしました。撮影の仕切りとかも全然違って、日本では経験できないことなのですごく貴重でした。アメリカのスタイルだからこそ描ける部分もあるから、今回は日本のスタッフやキャストがそういう環境に飛び込んで、大事な時間の使い方をしたから結果よかったのかな、というのもあって。にしても、海外のチームの方はメリハリ、集中力がすごかったよね。

村上 本当に。プロフェッショナルだな、と思いました。(インタビュー・文=赤山恭子、撮影=岩間辰徳)

映画『ハナレイ・ベイ』は、2018年10月19日(金)ロードショー。

ハナレイ・ベイ
(C)2018 『ハナレイ・ベイ』製作委員会

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