日本映画界の若き至宝・池松壮亮の出演映画20本<『愛の渦』『紙の月』『セトウツミ』ほか>

2018.11.27
映画

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

映画『ラストサムライ』で華々しい子役デビューを飾り、『愛の渦』『紙の月』『セトウツミ』など、数々の話題作に出演する池松壮亮。これでに出演した映画の中から、特におすすめの映画20本を紹介。

作家性の強い作品から娯楽作品、時代劇までいろいろなジャンルに出演し、2016年には9本もの映画に出演した池松壮亮。その後も勢いはそのまま、コンスタントに活動を続けている。ハリウッド超大作で子役デビューという恵まれたスタートを切り、着々と実力をつけて、今や日本映画界の若き至宝と呼ぶにふさわしい存在となった。

今回は、そんな池松壮亮の出演映画20本をご紹介しよう。

池松壮亮のプロフィール

池松壮亮は、1990年福岡県生まれ。将来の夢はプロ野球選手だったというが、10歳の時に劇団四季ミュージカル「ライオン・キング」のヤングシンバ役で舞台デビュー。その後、トム・クルーズ主演のハリウッド映画『ラスト サムライ』(03)で映画デビューを飾り、『鉄人28号』(04)では厳しいオーディションを勝ち抜いて初主演を果たした。また、2007年にはNHK大河ドラマ『風林火山』にも出演している。

大学在学中は映画監督の勉強をしていたが、卒業後は俳優業に専念。幅広いジャンルの作品に次々と出演し、ブルーリボン賞助演男優賞をはじめとする数々の映画賞を受賞している。

ラスト サムライ』(2003)

時代の流れと共に

ラストラムライ

明治維新直後、軍事力の近代化を図るため、西洋式の戦術を取り入れることを決断した政府は、江戸時代の価値観や信念に固執する侍たちを根絶やしにしようとしていた。

戦争のトラウマで酒浸りだった大尉が、時代が変わっても気高い精神を持ち続ける侍と出会い、自分を取り戻していく。日本を舞台に日本人俳優を起用し、古き良き日本と武士道を偏見なく描こうとしたということで評価された話題作。セリフが英語で、古事記の引用によりお国柄が紹介されてしまう違和感はやむかたなし。

渡辺謙とトム・クルーズの共演だけでなく、大部屋俳優で斬られ役だった橋本清三が出演したことも快挙。気弱な明治天皇を演じた中村七之助もよい。池松壮亮はトム・クルーズと心を通わせる少年で、幼いながらも芯の通った瞳が印象的だ。惜しむらくは真田広之の出番の少なさよ。もっと殺陣を見たかった。

鉄人28号』(2004)

平和の意味を教えて

鉄人

幼い頃ロボット工学の第一人者だった父を亡くした少年は、巨大ロボットが東京タワーを破壊するのを目撃する。その数日後、ある老人から鉄人28号の操縦を任せられる。

これまでテレビ化やアニメ化されてきた人気漫画を実写化。少年は、目にしたものをすぐに記憶できる特殊能力と驚異のラジコンテクニックの持ち主だったが、鉄人28号は敵方のロボットにたやすく破壊されてしまい、厳しい現実に叩きのめされてしまう。武器を持たない鉄人28号の闘い方は、格闘技なのである。

亡き父との記憶に悩んでいる最中に、日本の危機を救わなくてはならないという緊迫した状況にいる主人公。そのとまどいや葛藤を、池松壮亮は微妙な表情の動きで表現し、とぼけた間合いもさりげなくてよい。この映画の成功は池松壮亮の演技にかかっていたが、それを見事にクリア。すでに将来性を感じさせる。

ダイブ!!』(2008)

君はダイヤモンド

ダイブ

小学生の時に同じ年頃の少年の美しい飛び込みに憧れ、ダイビングクラブに通いはじめた主人公は、経営悪化によりクラブが存続の危機に立たされていることを知る。

そんな状況を打破するため、アメリカ帰りの女性コーチがやって来るのだが、プロ意識の高いバリバリの彼女を演じた瀬戸朝香の体が、バネのあるしなやかさ。説得力があっていいね。3人の若手俳優は、飛び込み選手らしい見事な腹筋と、華麗な飛び込みを披露。ちなみに溝端淳平は、この作品が映画デビューである。

コーチを父親に持ち、英才教育を受けてきた池松壮亮は、バリバリの花形選手として別格の存在であったが、主人公と接するうちにこれまでの自分に疑問を抱くようになる。池松壮亮も、林遣都のまっすぐな瞳にやられてしまうわけである。そして、自分を縛りつけている枠を飛び越える。ダイブ!

半分の月がのぼる空』(2009)

残された者の時間

半分の月

入院先の病院で心臓病の少女と出会った高校生の主人公は、彼女のわがままに振り回されながらも淡い恋心を抱くようになり、彼女の方も彼に想いを寄せていく。

舞台となる三重県伊勢市でオールロケを敢行し、あたたかい方言が心地よい。重い病気を持つ彼女だが、予想を裏切る気の強さ。彼にいろいろな命令を下し、二人はワイワイやりながら距離を縮めていく。振り回され上手の池松壮亮。悲しみをこらえながら彼女を支えようとする姿が、健気で切ない。出会いの屋上シーンが好き。

物語の後半になると、腕はいいのに心臓病の患者と向き合おうとしない医師が登場。娘を一人で育てている彼に、一体どんな過去があったのだろうか。人を好きになるのには、覚悟がいるね。人生を賭けるだけの価値があった恋。演じているのが大泉洋だけに、笑顔を全く見せないところがいかにも寂しそう。

自分の事ばかりで情けなくなるよ』(2013)

みんな同じ

自分の事

元カレのことが忘れられない風俗嬢や、大好きなバンドのライブの日に残業している女性会社員など、思うようにいかない現実を前にした4人の人生が交差していく。

独特の世界観で熱狂的なファンを持つクリープハイプ。タイトルは彼らのアルバムに収録されている楽曲から付けられ、彼らの歌からインスピレーションを得た4つの短編で構成されている。もちろんご本人たちも登場。ストーリーにリンクしたライブシーンはまるでドキュメンタリーのようで、虚実の混じり具合いにセンスを感じる。

池松壮亮はトレーラーハウスで家出した女性と生活をし、暴力的な側面のある得体の知れない男。自分で自分のことをコントロールできず、どうやら彼には愛するということがわからない。それでも彼なりに幸せを求めているところが、もどかしいね。後半は、狂いかけの表情をする池松壮亮の一人芝居。

愛の渦』(2013)

肉体が先でも

愛の渦

秘密クラブの乱交パーティに集まった6人の男女は、セックスという共通の目的がありながらも、相手によっては嫌悪感を抱くようになり、欲望や劣等感が露わになっていく。

年齢も肩書もバラバラな男女が、初対面でいきなりセックスを始めるのかと思いきや、最初は照れて居心地の悪そうな雰囲気。で、何となく自己紹介と雑談が始まり、少しずつ打ち解けてきたところで好みの相手を選ぶのである。なあんだ、合コンと同じではないか。あとは服を着替えるように、とっかえひっかえ。

感情のぶつかり合いが生じる中で、ニート青年である池松壮亮と女子大生である門脇麦だけが、あまり自分のことを語らず、周りをじっと観察している。あら、似た者同士なの? ところが、この二人をめぐる展開がサスペンスフル。そして夜明けと共に彼らは解放され、それぞれの日常に戻っていく。ラストの田中哲司の表情にじ~ん。

大人ドロップ』(2013)

もがくのが青春

大人ドロップ

親友から片想いの同級生とデートしたいと頼まれた男子高校生は、それが原因で彼女を怒らせてしまい、仲直りできないまま最後の夏休みを迎えてしまう。

実は彼も彼女のことが好き。その彼女が引っ越してしまうと知り、モヤモヤでモンモンとしている親友二人は、思い切って彼女に会おうと旅に出る。その不器用な頑張りようときたら、青春の焦燥感と甘酸っぱさがきゅんきゅん伝わってきて、ムズムズするやら切なくなるやら。

こんな美少女、学校にいたよね。こんなバカな男子も。池松壮亮と前野朋哉のコンビが自然体すぎて、自分の青春時代を思い起こさずにはいられない。ピアノのメロディと波の音が、センチメンタル。大人になった彼と彼女は、どんな会話を交わすのか。あの頃一生懸命に生きていたからこそ、思い出はノスタルジック。

ぼくたちの家族』(2013)

どこにでもいる家族

ぼくたちの家族

突然末期の脳腫瘍で余命宣告を受け、認知症のようになってしまった母親。本音を家族にぶちまけるようになり、夫や2人の息子はうろたえてしまう。

病気だからどうすることもできず、母親が発散するものを受け止めるしかない男たち。そこで浮き彫りになってくるのは、家族の問題だった。母親の病気をきっかけに突きつけられたその事実。原田美枝子、長塚京三、妻夫木聡、池松壮亮というバランスのよいキャスティングがしっくりくる。

責任感が強く一人で抱え込んでしまう長男。呑気に構えて甘え上手な次男。その次男が池松壮亮なのだが、両親と妻に追い詰められている兄を心配し、母親を助けようと彼なりに行動を起こす。病人が出たら、家族ってここまでするんだなあ。母親が明るくて可愛いのが救い。

海を感じる時』(2014)

わかっていても

海を

授業をさぼって部室にいた女子高校生は、突然やってきた先輩からキスを迫られ、そのまま身を任せてしまうが、その後相手に「誰でもよかった」と言われて傷ついてしまう。

求められるのは体だけ。体と心がつながっている女性にとっては、大変つらい状況である。しかし、大切にしてもらえないとわかっていても体を許してしまうのは、いつかそれが愛に変わるという幻想を抱いているから。彼女は若すぎるし、彼が最初の男だったというのもあるかもしれない。

でも、本当に誰でもよかったのかな。そう言いながら、実は無意識に相手を選んでいるのではなかろうか。池松壮亮が正直すぎる男を演じ、でも見た目は誠実そうなので、そのうち真実の愛に目覚めてくれそうな淡い期待をしてしまう。うん。危険な男だね。落としどころがどうなるのかは、観てのお楽しみ。

紙の月』(2014)

堕ちてみたかった

紙の月

銀行の契約社員として働く主人公は、自分に関心のない夫との関係にむなしさを抱くようになり、ひょんなことから出会った年下の大学生と逢瀬を重ねていく。

モヤモヤしていた彼女にとっては、渡りに船だったのかもしれない。大金を手にする方法を見つけてしまい、このジェットコースターを自分では止められないから、誰か降ろして。そんな感じだ。金銭感覚がマヒしていくのはわかるけど、お金の使い方がどうしても享楽的になるのは何故だろう。あぶく銭だから?

女性が不倫に陥る場合、相手からのアプローチによろめいてしまうケースが多いと思うが、最初から利用するつもりではなかったと思いたい池松壮亮。母性本能をくすぐられ、本気になってしまいそうな男。男っ気がなく、ハメをはずしたこともないお堅い小林聡美の存在が、ピリリと効いている。

この世で俺/僕だけ』(2014)

くすぶる2人

この世に

かつては過激なパンクロッカーだった中年サラリーマンが、ある時ふと車を盗んで逃走するが、たまたま居合わせた男子高校生に追いかけられ、捕らえられてしまう。

とっさに車ドロボーを追った男子高校生も、警察官である親への屈折した反抗心を募らせ、行き場のないモヤモヤと怒りを抱えていた不良。そんな二人が車の後部座席をのぞいてみると、そこには想定外のものが乗っていたからさぁ大変。今後の展開が二転三転しそうな予感がする。

そもそもマキタスポーツと池松壮亮のツーショットが、見慣れていなくてワクワクする。同じ星座のこの二人。それまではダサい生き方をしていたが、自分にとって今が踏ん張りどころだというのがわかったのだろう。ボロボロにカッコ悪くなりながら、カッコいいことをやろうとする。オムツを換えるシーンが笑える。

私たちのハァハァ』(2015)

無謀なのが青春

私たちの

福岡県北九州市で暮らす女子高校生4人が、大好きなクリープハイプのライブを観るため、親に内緒で自転車に乗って東京に行こうとする。

福岡のライブで出待ちをした時、彼らに「東京のライブにも来て」と言われたから彼女たちは行くのである。どんなことをしてでも。しかし、広島の原爆公園で野宿したまではよかったが、その後は行き当たりばったりで苦労の連続。で、それぞれの思い入れに温度差があったことで、彼女たちは最大のピンチを迎える。

大はしゃぎで始まった無謀な旅が、直面する現実に対応できなくてガタガタに。それでも彼女たちは会場に向かう。ドキュメンタリー風なので、女子グループの葛藤がリアル。池松壮亮は、旅の途中で出会うイケナイお兄さん。彼のような男は、子供にはまだ早いでしょ。でもたまらんわ~。

無伴奏』(2016)

抑えきれないの

無伴奏

1969年仙台に暮らす女子高生は、学生紛争が吹き荒れる時代の影響を受け、デモや抗議活動にのめり込んでいたが、ある日、音楽喫茶「無伴奏」で出会った大学生3人に興味を持つ。

セピアがかった映像がノスタルジックで当時を再現してはいるけど、やはりどこか現代的なオシャレ具合い。それにしても、みんなよくタバコを吸うなあ。ヒロインが惹かれたのは、スケッチブックを持ち歩き、パッヘルベルのカノンを愛する大学生で、意味ありげな笑みを浮かべる斎藤工ではなく池松壮亮の方である。

まだ高校生なのに、彼女はとんでもない世界に入り込んでしまう。しかし、それは彼女の中に共鳴するものがあったから。途中からまさかの展開となり、彼女と一緒にショックを受ける私たち。そうか。池松壮亮の捉えどころのなさと寂しい雰囲気は、そういうところから来ていたのか。時代性を感じる物語。

ディストラクション・ベイビーズ』(2016)

暴力の果て

ディストラクション

愛媛県松山市の港町で、両親を失くした兄弟が2人で暮らしていたが、喧嘩ばかりしていた兄が突然行方をくらまし、その後、繁華街に現れて道行く人に次々と殴りかかる。

素手で命がけの勝負をしている相手に、平気でナイフを持ち出す男。それが池松壮亮である。少ない出番ながらギクリとさせるシーンで、彼がこんな根の腐ったワルを演じたのは、初めてでは? そういう意味ではありがたくも新鮮。ファンなら絶対に押さえておくべき作品であろう。

むき出しの狂犬と化す柳楽優弥が異彩を放つが、出番は少なくとも、池松壮亮の“そこにいるような”演技がキラリと光る。周りと比べてテンションが低めなだけに、闇をこじらせているみたいでむしろコワいわ。ビッチな役が意外と似合う小松菜奈の目つきが、恐怖によってだんだん透き通っていくのは、気のせいか。

海よりもまだ深く』(2016)

思っていたのと違う

海よりもまだ深く

売れっ子作家になる夢を捨てられず、別れた妻にも未練を抱く主人公は、たまたま台風の夜に実家に集まった母と元妻、息子と一夜を過ごすことになる。

15年前に1度だけ文学賞を受賞したことがあるというのは、まだ微妙に期待が持てそうなキャリアだ。なので、主人公は中途半端に自分の才能を信じ、人生を諦めきれない。でもギャンブル好きで養育費が払えないという、どうしようもなさ。しっかり者の姉から行動を見透かされ、元妻の恋人に嫉妬するような男なのである。

主人公の同僚である池松壮亮は、彼の悩みを察知し、離婚した親を持つ子供の視点からグッとくるようなアドバイスをする。頼もしいわ~。台風が吹き荒れる夜、父と息子が二人きりの時間を過ごすシーンが心に残る。タイトルは、劇中歌としても流れるテレサ・テン「別れの予感」の一節から。

セトウツミ』(2016)

ダラダラと充実

セトウツミ

大阪に住む男子高校生2人は、放課後になるといつも同じ河原に座り、どうでもいいような会話をダラダラとしながら時間を潰している。

これは映画なのか? 映画にしてもいいのか? 人生をすでに諦めているような冷めたものの見方をする内海と、やんちゃ風だが根は純情な天然キャラ瀬戸。この二人がただしゃべっているだけの映画。境遇も性格も正反対である彼らが、上方の掛け合い漫才のようにテンポよく話を続ける会話劇だ。

彼らは高校2年生。受験はまだちょっと先で、学校には慣れてきたけどしがらみもあり、好きな女の子もいる。池松壮亮は、クールな突っ込みをする成績優秀なメガネ男子。彼らの話には嘲笑的ユーモアが効いているが、その端々に悩んだり傷ついたりしている思春期特有の繊細さがにじみ出ている。アホなだけじゃない作品。

だれかの木琴』(2016)

キリがない

だれかの木琴

引っ越し先で初めて訪れた美容院で髪を切った主婦が、帰宅後に担当の美容師から届いた営業メールに返信したことをきっかけに、彼に異常な執着心を抱くようになる。

満たされない女性の内面に鋭く切り込み、男性が観たらホラー。彼女の満たされない危うい空虚さが、静かな狂気へと変化していく。自覚がないだけに始末に負えないが、ストーカーってそんなもの。しかし彼女が何故そうなっていくのか、映画では少々伝わりづらいのも確かだ。

つまり、彼女はもともとそういう体質なのではないかという気がしてしまうのは、常盤貴子に最初からねじれた雰囲気があるせいかも。池松壮亮に何を求めているのかもよくわからないし……とんだ災難だよねえ。でもこれ、美容師あるあるなのかも。じわじわとブレイク中の岸井ゆきのも出演。

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2016)

死は身近にある

夜空は

東京を舞台に、昼は看護師、夜はガールズバーで働き、漠然とした不安や孤独を感じながら日々を送っている女性が、工事現場で日雇いの仕事をしている青年と出会う。

原作が詩集であるという驚き。そこに言葉にできない気分に触れようとする姿勢を感じた監督が、このラブストーリーを作り上げた。原色のコントラストを強調した都会の夜の風景が、二人の孤独と希望を浮き彫りにしているかのよう。ヒロイン役の石橋静河は、これが映画初主演。

生まれつき片目が見えず、物理的に世界の半分しか見えないからこそ、より多くのことを見ようとする青年を演じた池松壮亮。そんな彼が、周囲に迎合せず、いつも不機嫌そうな顔をしている彼女に惹かれたのは、内に抱える弱さと恐れを感じたからなのかもしれない。でも、どんなところにもきっと花は咲く。

君が君で君だ』(2018)

純愛と変態は紙一重

君が

恋した女性が憧れている人物に成りきり、彼女と同じ時間に同じものを食べ、向かいのアパートから彼女の動向を見守ってきた男3人のところへ、借金取りが現れる。

尾崎豊。ブラピ。坂本龍馬。彼女の男の趣味はバラバラである。彼らはアイデンティティを捨て去り、それぞれの人物になろうとする。コスプレではなく本質的な部分で。しかも10年。わけがわからない。でも、なんてオリジナリティあふれるユニークな話! 

ドキドキしちゃう。

池松壮亮の担当は尾崎豊。しかし、彼の歌を熱唱しまくる姿は、どちらかというと尾崎豊ファンだ。三人仲良く彼女を見守り、信仰のように人生を捧げて幸せな日々。その閉じた狂気はギャグであり、恋愛とは本来そういうものだったと気づかされる。彼らは愛に殉死するのだろうか。YOUの無慈悲な怖さがグッド。

散り椿』(2018)

江戸時代、不正を訴え出たために藩を追われた主人公は、死んだ妻の願いを叶えるため、身の危険を顧みず再び故郷へ戻り、かつて恋敵だった友人と再会する。

監督のこだわりなのか雪と雨が降る中での殺陣が多く、各ショットが1枚の写真のよう。岡田准一の安定感ある刀さばきがみどころ。悪役は最後まで悪役らしく、はかない美人はどこまでもはかない。後ろ姿だけで誰だかわかってしまう柄本時生の使い方が素晴らしい。

池松壮亮は、主人公に連れ添って藩を出た妻を姉に持つ若侍。最初の頃は出戻ってきた問題児の彼に冷たくしていたが、事件の背景や事情がわかってくると打ち解けるようになり、果ては秘伝の剣術まで教わる仲に。そして、ここぞという時には頼りになる男として、成長するのであった。福助みたいなヅラはご愛敬。

いかがでしたか?

一時期濃厚なラブシーンのある作品が続いたため、「濡れ場俳優」というあまりありがたくない呼ばれ方をしていた池松壮亮。しかし最近は、野球で鍛えた身体能力を発揮し、キレのあるアクションを堂々とこなしたり、都会の片隅で生きる青年を演じたりと、求められたらどこまでも突き進んでいきそうな俳優として快進中である。

池松壮亮の最新作は11月24日公開の『斬、』。

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