2018年の最後を締めくくる映画は?大みそかの1日を描いた10本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

もうすぐ大晦日。1年が経つのは早いなあとしみじみ感じる日がやって来る。

映画で描かれる大晦日は、それが洋画ならば、日本の風習と違って賑やかなお祭り騒ぎ。しかし、1人で新年を迎えたくなくてモンモンとしていたり、心機一転しようともがいていたり。そういう気持ちは私たちと同じだったりする。

そこで今回は、大晦日や年の変わり目に起きた出来事を描いた大晦日映画を、邦画・洋画合わせて10本ご紹介しよう。

200本のたばこ』(1998)

ギリギリの大晦日

200本の

1981年大晦日のニューヨークで、新年に向けてパートナーを求める若者たちのエピソードを交錯させながら描く群像劇。

お祭り気分で華やぐニューヨークの街で、新年の朝まで一緒に過ごしてくれる相手を探してウロウロする若者たち。年越しは家族と一緒に静かに過ごすのが慣例の日本とはずいぶん趣が違うが、日本ではクリスマス・イブがそんな感じかなと思えば納得できよう。せっかくの年越しパーティに、1人じゃ行けない。

今観るとクリスティーナ・リッチのぷっくりした魅力が懐かしく、フられて落ち込む男性に200本のタバコをプレゼントするコートニー・ラヴが、姐さん風でカッコイイ。禁煙時代には作れない映画だよなあ。恋というものは、落ちたがっているから落ちるのだ。みんなではしゃいで厄落とし。

ため息つかせて』(1995)

大晦日にスタート

ため息

仕事の成功と理想の男性に出会うという夢を実現するため、主人公は大晦日に親友の住むフェニックスに引っ越してきたが、その日親友は夫から離婚を言い渡されていた。

彼女が引っ越し先で新しく仲良くなったのは、恋愛問題を抱えた3人の女性たち。たとえば、密かにヨリを戻そうと思っていた元夫がゲイだったとか、何故かイケメンに騙され続けてしまうとか、そういう類の悩みである。ああ、男って……いつの世も女性の悩みは似たり寄ったりで、尽きることがない。

男に何とかしてもらおうと思っているから、振り回されてしまうのだ。それに気づいた彼女たちは、傷づくことを恐れず、自分の足で人生を歩む道を選ぶ。さて、最後につくのはどんなため息? 人気歌手ホイットニー・ヒューストンが主演し、主題歌も担当。

パリの大晦日』(2016)

独りぼっちの大晦日

パリの大晦日

仕事がキャンセルになって時間ができた主人公が、彼女に会おうとするがなかなか会えず、ドイツ、フランス、スペインを旅して追いかけていく。

実際にその国を訪れ、そこで出会った人々と交流しながら、俳優ではない人たちを起用して撮影したという。なるほど、だからドキュメンタリーのような臨場感があるのだろう。人種の壁を超えたコミュニケーション。何とかしようという粘り強い気持ちさえあれば、価値観の違いは大きな問題ではないのかも。

会えないことでますます彼女への想いが募る一方、旅先で出会った女性と深い仲になったりする彼は一体……時々バックに流れるタップのリズムが、タップダンサーである彼の心情を表しているかのよう。会えそうで会えない二人。人の気持ちなんてわからない。

フォー・ルームス』(1995)

悪夢の大晦日

フォールームス

199X年大晦日、ロサンゼルスのあるホテルで、引退するベルボーイを引き継ぐ新米のベルボーイは、次々とやって来る個性的な宿泊客を相手に振り回される。

監督クエンティン・タランティーノが、3人の監督に声をかけて製作された4つのオムニバス物語。主人公であるベルボーイがそれぞれのストーリーにからみ、初仕事で張り切っているところへ思わぬ目に遭わされるコメディである。ティム・ロスがテンション高めに演じ、恐怖で汗だくになる姿が可笑しくも痛々しい。

中でも、高額のチップに目がくらんだ彼がベビーシッターをする第3話の悲惨な展開ときたら! 熱い存在感のラテン男アントニオ・バンデラスが、何をしでかすかわからない眼力でベルボーイを威圧。アッと驚くブツを前に何なんだこれは!という気まずい空気が漂うシーンがサイコーだ。テンポとノリのよさが快感。

歓喜の歌』(2007)

大晦日にハラハラ

歓喜の歌

文化会館で働く主人公は、似た名前の女性コーラスグループを聞き違え、大晦日のコンサートホールをダブルブッキングしていたことに直前で気づく。

立川志の輔の落語が原作。確かに、落語らしい「勘違い」と「呑気さ」である。事なかれ主義で楽天的な主人公が、どうにもならない状況だとやっと気づいた時はすでに手遅れ。両者の板挟みになって頭を抱える。どちらにも納得できる事情があり、一歩も譲らないし譲れない。八方ふさがりとはこのことだ。

小林薫のオチャメな調子の良さが炸裂。由紀さおりv.s.安田成美でストーリーは進行し、落としどころは想定内だが、これを落語で聴いていたら、印象もまた違っていたであろう。メンバーの境遇や成り立ちが正反対のグループだが、合唱に対する思いは同じだ。みんなで一緒に歌って迎える新年もいいね。

フルートベール駅で』(2013)

精一杯生きた大晦日

フルートベール

2009年1月1日午前2時15分、主人公とその友人たちがフルートベール駅で警官に取り押さえられているところを、目撃者がカメラで撮影していた。

アメリカで発生したオスカー・グラント三世射殺事件を題材にした作品。22歳の黒人青年が無抵抗であったにも関わらず、警察官に銃で撃たれて死亡したこの事件は、全米に衝撃を与えた。この映画では、前日の大晦日に彼がどのような1日を過ごしていたのかを描き出す。

その日の彼は恋人と大喧嘩し、バイトの面接に落ち、母親の誕生日パーティに参加し、ニューイヤーフェスティバルの花火を観に行った。ある意味では濃い1日だったともいえるし、家族や友人と過ごすごく日常的な1日でもあった。ラストに事件の顛末が語られるが、複雑な気持ちになってしまう。この作品がひとつの救いになればいいけれど。

幸せになるための5秒間』(2014)

大晦日の妙な出会い

幸せに

未成年と浮気して仕事も家族も失ってしまった主人公が、大晦日に飛び降り自殺をしようとやって来たビルの屋上で、3人の男女と鉢合わせをする。

彼らもまた、主人公と同じようにそこから飛び降り自殺をしようとしていた。同じ時間に同じ場所で同じことをしようとしていた彼らは、自分も自殺しようとしたくせに、他人の自殺を必死に止めようとするのが可笑しい。結局彼らは、妙な連帯感を抱き、ひとまずバレンタインデーまで生きようと約束しあう。

さて、自殺の名所で知り合った四人は、その後どんな人生を歩んだのだろう。そう簡単には立ち直れず、絶望と希望に揺れながらも励ましあい、支えあう彼らの姿が感動的。人気TV司会者を演じたピアース・ブロスナンが、女好きで軽いノリのいかにも業界人らしい風情で味わい深く、なかなかいい感じ。

ニューイヤーズ・イブ』(2011)

大晦日は特別

ニューイヤーイヴ

大晦日のニューヨークを舞台に、さまざまな事情を抱える人々が、失った愛と希望を取り戻そうと奮闘する姿を描く。

タイムズスクエアのカウントダウンイベント中に撮影したということで、その豪華さとお祭り騒ぎは本物。高い屋上からボールがゆっくりと降りてきてカウントダウンが始まり、年が明けたとたんに花火が打ちあがる。この1年をしみじみ振り返るよりも、新しい年をハッピーに迎えようという気合いでいっぱいだ。

新年で最初に生まれた赤ちゃんに多額の賞金が贈られるという話と、年が越せるかどうかわからない重症患者が看護師と2人きりで病室で過ごす話が、どちらも病院を舞台にしていて印象的。特に後者は、ロバート・デ・ニーロとハル・ベリーという豪華なツーショットで、達者な会話劇を楽しめる。同じ大晦日に別々の場所で繰り広げられる人生は、短編を観ているかのよう。やっぱり大晦日は特別な日だ。

THE 有頂天ホテル』(2005)

大晦日の舞台裏

有頂天

大晦日の高級ホテルでは、従業員がカウントダウンイベントの準備で忙しくしていたが、主人公はこの日を最後に歌手になる夢を諦め、故郷へ帰ろうと決めていた。

主役がいるとはいえ有名どころの俳優たちがちょっとずつ登場するので、その都度「あっ」となるのが忙しく、どうもストーリーに集中できなくなったりもするが、2時間の出来事を1シーン1カットで描いた意欲作。徹底的に作り込まれたホテルのセットといい密室劇といい、雰囲気が舞台っぽい。何も考えずこの世界観に身を浸すべし。

みんないろいろあるけれど、新年を迎えて心新たに頑張っていこう。過去はもういいじゃないか。そんな日本的大晦日だ。自殺したがる大物演歌歌手を演じた西田敏行が、安定した上手さ。亡き津川雅彦も出ていて、俳優に着目すると何倍も楽しめそう。ベルボーイが活躍するのは、ホテル映画のお約束。

世界で一番醜い女』(1999)

それは大晦日から

世界で一番

2010年大晦日のスペインで、82歳の女性が惨殺されたという連絡を受けて現場へ向かった刑事が、監視カメラに映っていた女性の正体を追う。

尼僧の姿をしていたその女性は、この世のものとは思えぬ美女。しかし実は、彼女はひどく醜い顔をして生まれ、遺伝子捜査の実験によって絶世の美女に生まれ変わっていたのであった。彼女は何故そんなことを? その謎が解き明かされていくミステリー性とブラックな笑いが満載な異色コメディ。

彼女の美しさに目が釘付けになりつつ、その哀しい暴走に胸がチクチク。スペインらしいワイルドで情熱的なテイストと、サスペンスフルな薄暗い映像が不思議とマッチし、全てをかなぐり捨てた勢いのある展開がクセになる。プチョン国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞した良質なB級映画。

いかがでしたか?

外国の大晦日は日本とはずいぶん趣が異なるが、その異文化を楽しめるのも映画ならでは。

季節を選ぶ大晦日映画は、この時期に観るのがベスト。1年の締めくくりに、家族や恋人と一緒に観てみませんか?

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