ああ、仕事始め。仕事に行きたくないあなたに贈るニート映画10本

2019.01.03
映画

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

2019年が始まり、早くも三が日が終わろうとしている。そして近づいてくるのが、仕事始めである。

「さあ、明日から仕事だ」と思うと、行きたくない!と思ってしまうのが人間。こんな時ばかりは、ニートだったらいいのになぁなんて、都合のよいことを考えてみたり……。

いいなあ。ニート。

そこで今回は、ニートやフリーターが主人公の映画10本をご紹介しよう。

ハッピーニート~おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』(2011)

偶然か必然か

ハッピーニート

小さな奇跡なら、意外とたくさん起こるかもしれない。

実家で母親と同居しているニートの男性。自立心が強そうなアメリカ人にもこんな大人がいるのかと軽く驚いたが、その彼が映画『サイン』(02)に傾倒するあまり、自分にも人生を左右するような掲示がやって来ないかと期待しながら生きているところが、単なる引きこもりとはひと味違う。

お母ちゃん役のスーザン・サランドンが、ただでさえ大きな目玉をさらにひんむいて、息子を怒るわ心配するわ。しかし機が熟したのか、彼は偶然を必然だと思い込むことで運命に導かれ、人生を切り拓いていく。人生は、「考える」よりも「感じる」ことが大切なのかも。

行く末が気になるのは、彼ではなく母親の方。彼女が謎の告白メールに振り回されるエピソードが、何となく不完全燃焼で残念だ。

ニート・オブ・ザ・デッド』(2014)

ゾンビ化して自立

ニート

もし引きこもりがゾンビになってしまっても、そのまま引きこもるのだろうか。

部屋に閉じこもっていたはずの息子がゾンビ化していることを知った夫婦が、その対応について話し合いをしているうちに、家族の問題が浮き彫りになっていく。身勝手な父親と過保護な母親。筒井真理子と木下ほうかの夫婦役が見事にしっくりしていて、特に筒井真理子の疲れた色気がたまらない。

寝たきりのおじいちゃんもゾンビになってしまい、この2匹のゾンビをめぐって夫婦の意見が対立。これを機に自分でエサを取れと自立を促したり、他のゾンビにいじめられやしないかと心配するシーンには笑った。

ゾンビって不思議な存在だなあ。ゾンビ息子に注がれる母の愛が、ちょっと切ない。ほとんど密室で繰り広げられる会話劇に引き込まれる。あるようでなかったゾンビ・ホームドラマ。

メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』(2013)

チャンスを逃すな

メニルモンタン

モノローグで綴られる男と女のラブゲーム。愛し合っていてもすれ違い、愛し合っているからこそ傷つけあう。

美術大学卒業後も就職できずにいる男性が、ジョギング中に知り合った女性に恋をするが、それは悲しい片想い。しかし、彼女が強盗に襲われそうになっている場面に遭遇した彼が、助けようとしてケガをしてしまったことから、2人の距離は急接近していく。

いかにもオタクっぽい風貌の彼が、彼女の気を引こうとジョギングファッションに凝り始めたとたん、会えなくなってしまう。そんな運のない男が、どうにかつかんだ幸せ。16ミリフィルムのザラっとした空気感と柔らかい光が、葛藤に揺れ動く二人を優しく包み込む。 

登場人物たちがこちらに向かって語りかけてくるので、恋愛相談を受けている気分に。山あり谷ありを乗り越えてこその穏やかな日々なんだよなあ。で、彼は就職したの?

百円の恋』(2014)

始まりは100円でも

百円の恋

連続テレビ小説『まんぷく』でしか安藤サクラを知らなかったら、さぞ驚くだろう。

ピンクのジャージ姿でゲームばっかりしている実家暮らしのダメ女。身も心もたるみきっている彼女は、まだ32歳だというのに人生を諦めているよう。そんな娘に親は甘くても、そら怒るわ妹は。彼女は追い出されるようにして家を飛び出し、100円ショップでアルバイトを始めるのであった。

どん底から這い上がるストーリーにボクシングは付きものだが、女性だからこそ、生まれ変わろうとするきっかけが恋だったりしてね。でも倒したいのは、今の自分。安藤サクラのコンプレックスとふてぶてしさが交じり合った表情が秀逸で、この役を他の誰が出来ようか。

壊れそうになりながら強くなりたいともがき、精一杯手を伸ばして悔し涙を流した時、たったひと言、彼がかけてくれた言葉。彼女の物語は、またそこから始まる。ラストシーンはかなり羨ましいぞ。

世界は今日から君のもの』(2017)

ゆっくりがんばれ

世界は

サナギから一気に蝶になるのかと思いきや、人間の場合はそう単純ではなさそう。

高校生の頃から引きこもっていた主人公が、イラストの才能を見込まれて羽ばたきそうになるのだが、物理的に外に出ても内面的にまだ引きこもっているパターンもあるのだね。そう簡単には馴染めないんだよ。そう訴えているかのように、彼女は体を傾けながらトコトコ歩く。

何かから逃げているようにも、何かに向かっているようにも見える後ろ姿。ほとんどしゃべらない彼女は、身の置き方がわからない小さな子供で、眼差しだけで不安や恐れや迷いを表現できる門脇麦でなければ、演者として間が持たないだろう。マキタスポーツとYOUの夫婦もナイスキャスティング。

自分を表現する能力があれば、居場所を見つけることはできる。

ラブポリス ニート達の挽歌』(2011)

動機は下心

ラブポリス

失恋した直後の女は落としすい。そんな中島みゆきの歌のようなフレーズを信じて、下心マンマンで始めた復讐代行業。

仕事も夢もない典型的な2人のニートは、ただモテたいがために、ひどいフラれ方をした女性を救うサイトを立ち上げる。お笑い芸人の吉村崇と大地洋輔が、家族にも見放されたニート2人組に扮してピッタリ。そしてその制裁手段が姑息すぎて、失笑。成功しても彼らに哀愁が漂うところが、この映画の良さだ。

結果的にラブポリス業でニートから脱出した彼らは、それまで感じたことのなかった充実感を味わい、どんよりしていた日常も輝いてくる。やっぱり人助けっていうのが、喜びになるのだろう。思わぬトラブルに巻き込まれてしまっても、そこが正念場。ニートにはニートの意地がある。

ニートは働かされるのがイヤなだけで、自分で作った好きな仕事なら頑張るという。コメディなので別に構わないのだが、岡本夏生を見て複雑な気持ちになったのは私だけ?

俺はまだ本気出していないだけ』(2013)

本気って何だったっけ?

俺はまだ

会社を辞めてやりたいことをやるというのは、中年男性の尽きせぬ夢ではなかろうか。

バツイチで高校生の娘を持つ主人公は、会社を辞めて外でブラブラ、家でゴロゴロしながら自分探し。そんな彼がある日カミナリに打たれたように目覚めて漫画家を目指すとは、なんて理想的な展開だろう。ダメな自分をわかってはいるが、ノーテンキで調子のいい主人公。演じる堤真一がやっぱりカッコイイので、どうも憎めず。

橋本愛が演じるクールで物わかりのよい娘との関係が奥深く、二人が川辺を歩きながら帰るシーンなどは、世のお父さんたちの涙腺を刺激しそうだ。

自分はまだ本気を出せると思っていれば、いつまでも成長中。ニートには、そういう楽天的なポジティブ思考が必要なのかも。

ちりも積もればロマンス』(2011)

恋も積み重ねて

ちりも積もれば

時には詐欺まがいのヤバさを伴うチマチマとした倹約術。お金の単位を日本円に換算し、韓国の物価も考えながら観てみると、彼らの実感が共有できて面白い。

大卒でも正社員になれない“88万ウォン世代”である主人公は、就活に失敗してニートになったのに、親からお金をもらい、お酒を飲んだりデートしたりしている呑気な青年。しかし、家賃滞納で部屋を追い出されてしまった彼は、たまたま隣のアパートに住む女の子に声をかけられ、お金を稼ぐ方法を教えてもらうことになる。

彼女のケチケチぶりがユニークで、中でもゴミ袋代を節約するため、ゴミ置き場にある他人のゴミの中に自分のゴミを入れて捨てるというアイデアには、度肝を抜かれた。なぜそこまで……その理由がわかった時、彼は彼女の力になりたいと思う。こんな風に愛も小銭のように少しずつ貯まっていくのだね。

ニート・ニート・ニート』(2017)

逃避行するニート

ニートを連呼したすごいタイトル。ニートもみんなでやれば怖くないのかも。

退屈なパソコン仕事に耐えられず、会社を辞めてしまった主人公が、トラブルに巻き込まれた同級生から北海道へ逃げようと持ちかけられる。結局ニート3人に謎の家出少女が加わり、彼女の指示で北海道内をウロウロするというちょっとした珍道中が始まる。

怖い人から逃げ、会社から逃げ、世間から逃げ、自分から逃げ。旅をしていれば、ニートである不安は消えるだろう。しかし地の果てまで逃げてしまったら、もう先はない。生きることからは逃げられない。そのことに薄々気がつきはじめた彼らは、焦りと不安を乗り越えようともがく。

苫小牧、札幌、稚内、釧路、帯広といった北海道の主要土地をめぐるロードムービーでもあり、シンプルに夏のバカンス気分も味わえそう。

幼獣マメシバ』(2009)

マメシバがいればこそ

幼獣

まさかマメシバの力でニートを脱出? 父親が亡くなり、今度は母親が家出してしまって途方に暮れているニートが、子犬に出会ったことで人生が変わり始める。

TV放映の頃から柴犬ファンのハートをわしづかみにし、佐藤二朗がブレイクするきっかけとなった話題作。35歳のニート息子を成長させるため、あちこちに手の込んだ仕掛けをする親の気持ちが泣かせる。佐藤二朗の説得力ある存在感。ダメなオジサンといたいけなマメシバというミスマッチが、疲れた社会人を癒すだろう。

「働かざる者食うべからず」ということわざはどこへやら。狭い日本、そんなに焦ってどこへ行く。このまま時が止まり、佐藤二朗とマメシバはずっとそのままでいてほしい。そんなことをうっかり思ってしまうようなおとぎ話。続編『マメシバ一郎 3D』(12)では、マメシバのフワフワ感が楽しめる。

いかがでしたか?

最初はたとえニートでも、そのうち勇気を出して一歩を踏み出す主人公たち。結局いつかはニートを卒業しなければならない日が来るのだ。

でも、仕事に行きたくない時は、こういう映画を観て現実逃避してみるのもいいかも。

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