どうしてこんなに惹かれるの!今旬俳優ライアン・ゴズリングの出演映画16本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

軽いノリの女たらしから虚ろな目をした殺人犯まで、どんな役でも受けて立つ実力派俳優、ライアン・ゴズリング

ゴールデングローブ賞やアカデミー賞に何度もノミネートされ、2月8日から封切られた新作『ファースト・マン』では、人類で初めて月面を歩いた宇宙飛行士、ニール・アームストロングを演じている。

ライアン・ゴズリングのプロフィール

1980年、カナダ生まれ。幼少の頃から演技に興味を抱き、子役としてTV番組に出演するなどの活動をしていたが、高校を中退して俳優業に専念。その後は数々の映画に出演し、その演技力を絶賛された。

出世作は『きみに読む物語』(04)。この作品の大ヒットにより、彼の名は世界中に知られるようになった。その後は次々と話題作に出演して注目を浴びたが、俳優業を休止したり、初監督作品『ロスト・リバー』(14)が酷評されるなどの低迷期もあった。

そして2016年、新たな代表作となったのが、デイミアン・チャゼル監督のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』(16)。この作品でライアン・ゴズリングは、ダンスとピアノ演奏を披露。新境地を切り拓いて、新たなファンを獲得した。

今回は、そんなライアン・ゴズリングの出演映画16本をご紹介しよう。

16歳の合衆国』(2002) 

間違った優しさで

16歳

あろうことか、恋人の弟で知的障害のある男の子を殺した罪で矯正施設に送られた16歳の主人公。そこで出会った作家志望の教師が、独特な視点を持つ彼に興味を持ちはじめる。

実話を基にしているので正直気分が滅入る話ではあるが、彼はモンスターでなく、聡明で繊細な人間であるという描き方がこの映画のキモ。作家志望の教師が、仕事上のタブーを侵してまで彼に惹かれてしまう理由もそこにある。しかし、殺人の動機については深く考えさせられるものの、それは大きなお世話ではないかという気もしてモヤモヤ。

ライアン・ゴズリングの穏やかな表情と柔らかい物腰が、逆に感情を押し殺している気がして不安になる。何を考えているのか読み取れない静かな雰囲気に、サイコパス的な不気味さが漂う。彼の内面を探ろうと近づいた教師が、鋭い洞察力を持つ彼に私生活を突っ込まれ、立場が逆転してしまうのが面白い。

きみに読む物語』(2004) 

どこまでも純愛を

きみに

身分違いの愛を貫き通すラブストーリーかと思いきや、実は途中で激しい感情のぶつかり合いや葛藤などもあり、なかなか一筋縄ではいかない展開が魅力。

認知症で過去を思い出せない年老いた妻と施設で暮らしながら、ノートに綴った物語を読み聞かせている夫。その長い物語が映像となって流れ、その物語は一体何なのか、誰が書いたのかが明らかになっていく。

ライアン・ゴズリングの大出世作だけあり、何があっても諦めず、妻を愛し続ける誠実な姿は、女性の理想なのかも。彼女のグラグラと揺れ動く女心も、おそらく共感を呼ぶに違いない。実らない片想いが似合う男ライアン・ゴズリング。「映画での最高のキス50選」に選ばれたキスシーンは、観てのお楽しみ。

ステイ』(2005)

迷路の中へ

ステイ

精神科医の主人公が、自殺予告をして失踪した患者を救おうとして奔走するが、次第に何が現実なのかわからなくなってくる新感覚ミステリー。

恋人も自殺未遂をした元患者という主人公は、精神状態が不安定な彼らを救いたいと必死になる。そして、死んだ人間が生きているだの、生きているはずの人間が死んでいるだの、患者が口にする生と死が妄想なのか現実なのかわからない状態に振り回されていく。

髪を微妙に伸ばしたライアン・ゴズリングが、自殺願望のあるつかみどころのない患者を演じ、一体何をそんなに苦しんでいるのかがわからなくて謎。そんな彼の異常性に巻き込まれてしまう担当医ユアン・マクレガーが、自分も不安定になりながらも頑張る姿が優しすぎ。燃え尽き症候群になりませんように。

ハーフネルソン』(2006)

こんなダメな俺でも

ハーフ

ブルックリンの中学校で歴史を教えている教師は、実はドラッグの常習者。ある日、学校のトイレでドラッグを吸っているところを女子生徒に見られてしまう。

こんな友情があってもいいじゃないの。ドラッグの更正に失敗して人生をあきらめている彼と、ドラッグを売買した罪で服役中の兄を持つ彼女。教師と生徒という立場であり、年の差もありすぎる二人だが、どこか通じるものがあったのだろう。彼は彼女の家庭環境を気にかけ、彼女は彼を理解するようになる。

ドラッグを止められない自己嫌悪でつらそうな彼は、一見ヤル気がなさそうだが、授業ではマイノリティたちの歴史を教え、彼女をあまりよろしくない環境から救い出そうとするいい先生。そんな彼を見つめる彼女のまっすぐな瞳が、次第に彼を変えていく。ダメだけど腐ってはいないライアン・ゴズリングの演技が光る作品。

ラースと、その彼女』(2007)

優しさが染みる

ラース

過去のトラウマから他人とうまく関係を結べないでいる男が、インターネットで注文した等身大のリアルドールを愛するようになる。

いきなり人形を連れてきて恋人だと紹介され、一緒に食卓を囲むことになった兄夫婦のとまどいぶりときたら。腫れ物に触るように気を使うとは、まさにこのことである。なのに、始終ニコニコしているライアン・ゴズリング。ぽっちゃり顔に口ヒゲが、別人のようだ。

彼が突然人形と付き合いはじめたのは、自分の殻を破ろうとしている証。それはリハビリか通過儀礼のようなものかもしれず、そのお人形ごっこにつきあってあげる周りの人たちの優しさよ。それにしても、カスタマイズした人形の容貌がエキゾチックで色っぽい肉食系なのが、男の夢というか何というか、複雑。

幸せの行方...』(2010)

壊れた心が生み出す暴力

幸せ

やるせなさとゾッとする恐怖が交じり合ったサスペンス。1970年代に史上最も不穏な事件として世間を騒がせた実在の未解決事件をベースに、トラウマを背負った男の異常な行動を描く。

最初はラブラブでよかったのだが、次第に相手の本性がじわじわと滲み出てくる恐怖の結婚生活。彼の育った家庭環境に同情すべき点があるとはいえ、そんな彼に愛されたお陰で地獄に落とされる彼女が本当に気の毒。そんな話である。この映画に出演したキルスティン・ダンストの勇気に乾杯。

それにしても、こんなに憂鬱で救いのない役もできるのかライアン・ゴズリング。しかも上手い。彼に「戻ってきてくれ」と言われたらつい信じてしまいそうになるのは、母性本能をくすぐられるから? 何だか割り切れないが、かといって責め立てることもはばかられるのでモヤモヤ。女装姿を披露しているという点では、レアな作品かも。

ブルーバレンタイン』(2010)

始まりから終わりまで

ブルーバレンタイン

愛が終わる。あの愛が、こんな形で終わってしまう。壊れかけていた夫婦関係は、ふとしたことで一気にバランスを崩し、後戻りできないところまで行ってしまう。

見せてくれるな。幸せだった頃の二人を。どうしてこうなってしまったのかは誰にもわからないけど、彼らが深く愛し合っていたことだけは確か。一度変わったら元に戻らない女心を必死で食い止め、何とかしてやり直そうとする男の誠実は空回り。

見た目をガラリと変え、ちょっと冴えない風貌のライアン・ゴズリングが、幼子を可愛がる姿に胸が締めつけられそう。いいお父さんなのになあ。なんでかなあ。しょうがないけどなあ。でも彼にもう一度チャンスをあげて。男と女のままならぬ関係にタメ息が。いつまでも目に焼きつくラストシーンは必見。

ラブ・アゲイン』(2011)

愛よカムバック

ラブ

幸せな人生を送っていたはずの男が、愛する妻から突然離婚を言い渡されて大ショック。そんな彼が未練タラタラでお酒を飲んでいると、遊び人風の男が声をかけてくる。

夫は妻から離婚話をされただけでなく、浮気も告白されてお先真っ暗。彼女がそうなった責任の一端は自分にもあるのに、別れた後はバーでウジウジとクダを巻いているだけ。そんな情けない彼の前にさっと現れて、一方的にナンパ道を指南する親切な男がライアン・ゴズリングだ。

つまり、チャラ男。だけど、妙にステキ。次々と女性をその気にさせる魅力は何だろう。自信満々で押しが強いところかな。こんなラブコメタッチの作品にも出てしまうライアン・ゴズリングのキャパの広さを再確認。

ドライヴ』(2011)

打ち明けない片想い

ドライブ

ある時は映画のカースタント。またある時は、強盗専門の逃がし屋。そんな天才的な運転テクニックを持つドライバーが人妻に密かな恋心を抱いたことから、運命が大きく動き出す。

その人妻というのが、夫は服役中で、幼い子供を一人で育てているという身の上。しかも見た目が幼妻風とくれば、これはもう守ってあげたくなるのが男心というものであろう。しかしそこは、ググッと気持ちを抑えねば。ところが、どうしても手を差し伸べずにはいられない局面に出くわしてしまい、それをきっかけに二人の距離は縮まっていく。

ライアン・ゴズリングが無口で孤独を愛するドライバーを演じ、人気を不動のものにした記念碑的作品。あんなことやこんなことも、全ては彼女のため。アクションとバイオレンスとラブストーリーが絶妙にブレンドされ、映画史上に残りそうなキスシーンは女心をわしづかみだ。男も惚れるライアン・ゴズリングが堪能できる一作。

スーパー・チューズデー 正義を売った日』(2011)

仁義なき舞台裏

スーパー

アメリカ大統領予備選挙戦の情報操作をスキャンダラスに描いた政治サスペンス。実際に選挙キャンペーンの舞台裏を知る元スタッフが書いた戯曲を、ジョージ・クルーニーが映画化した。

駆け引きと裏切りが渦巻く熾烈な情報戦争。そんなちょっとしたことで勝敗が決まるのかという恐ろしさと不信感がじわじわと迫って来るものの、昨今のアメリカ大統領選を知る身としては、そこまでの衝撃はないだろう。戦略担当の意地とプライドを賭けた男たちに関わる2人の女性が対照的。

選挙戦を揺るがす重大な秘密を知ってしまったライアン・ゴズリングが、仕事と恋愛の板挟みに陥る。魑魅魍魎がうごめく世界で痛い目に遭い、大人になった彼の目つきが微妙に変わっているような……。思わせぶりなラストは、余韻を残すのか居心地が悪いのか。今は亡きフィリップ・シーモア・ホフマンの存在感が、さりげなく効いている。

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(2012)

父親になりたい

プレイス

別れた恋人が自分の子供を産んでいたことを知った男が、二人のためにお金を作ろうとして銀行強盗を繰り返す。

彼女と子供の力になりたいという思いだけで突っ走る主人公。その彼をたまたま追い詰めて事件を解決した警官。成長した彼らの子供たち。その3つの物語が因果応報的に描かれるのだが、ヒーローになった警官が巻き込まれる警察の闇が恐ろしく、それにドキドキしすぎて最初の大切な部分が霞んでしまうのが残念だ。

刹那的に生きてきた男が、自分に子供がいるとわかって変わろうとする。しかし暴力的でコミュ力に乏しいため、愛情表現が下手で気持ちをうまく伝えられず。その報われなさが涙を誘うライアン・ゴズリングである。金髪に入れ墨だらけの体という風貌が新鮮。家族写真って大切だなあ。

オンリー・ゴッド』(2013)

全てがダーク

オンリー

巨匠アレハンドロ・ホドロフスキーに捧げられているということなので、目指すところは推して知るべしだが、内容は似ても似つかず。

殺された兄の復讐を果たそうとする弟と、彼の行く手を阻む謎の男との血みどろ攻防戦。ムエタイによる本格的アクションがみどころだ。

ダークな映像。複雑に絡み合う人間模様。陰惨な暴力シーン。そもそも兄が殺されたのは自業自得なので、憎しみが憎しみを呼ぶ裏社会での出来事である。ゴッドマザーつまり母親から命令されて復讐に向かう弟も、内心気が進まないのでは? 怒りに突き動かされているというよりも、ただ戦っているだけみたいに見える。 

その弟を演じたライアン・ゴズリングは、またもや寡黙で感情を表さず。しかし彼には父親を殴り殺したというウワサがあり、兄を溺愛していた母親との関係も複雑なようで、たまに幻覚に襲われたりするなど何だか訳ありだ。彼がじっと抱えてきた苦難とは一体……好き嫌いがはっきり分かれるであろう衝撃作。

L.A.ギャングストーリー』(2012)

最後に正義は勝つのか

L

1940年代からロサンゼルスで繰り広げられたギャングと警察の攻防戦。警察内にも悪がはびこる中で、正義を貫き通そうとした男たちの熱い戦いを描く。

ギャング撲滅の極秘任務に選ばれたのは、特殊作戦の経験がある元軍人や投げナイフの名手、スゴ腕のガンマン、盗聴工作のプロである元軍諜報部員という笑っちゃうほどポイントを押さえた特殊メンバー。でもこれは実話なのだから、笑ってはいけない。信頼できる仲間を1人1人集めていくワクワク感は、黒澤明監督の時代劇のようだ。

ライアン・ゴズリングは、そんな風には見えないが元軍人。ギャングのボスの愛人と道ならぬ恋に落ちてしまう役どころである。相手のことは、最初からわかっていたのにねえ。でも、その葛藤や悩ましさがさほど感じられないのは何故? ショーン・ペンの磨きがかかった悪人顔に、ロバート・デ・ニーロを思い出す。 

ラ・ラ・ランド』(2016)

黙ってピアノを弾く

ラ

ラストの余韻はかなり違うが、ライザ・ミネリとロバート・デ・ニーロが共演した名作『ニューヨーク・ニューヨーク』(77)を彷彿とさせる切ないラブストーリー。夢と恋の狭間で揺れ動く青春ドラマである。

オーディションを受けては落ちまくっている女優志望の女性と、やりたい音楽が時代遅れなのでいつまで経っても売れないジャズピアニストが出会い、お互いの夢を尊重し励ましあいながら愛を育んでいく。ゴージャスな音楽とダンスが圧倒的なエンターテインメント作品で、ロマンチックでクラシカルなストーリー展開にも心が躍る。

ライアン・ゴズリングが踊れるとは。役作りのためにピアノも特訓したという。夢で成功するため、二人は何を犠牲にしたのだろう。一体どちらを選べばよかったのか。その答えは風の中。それでも二人はきっと幸せ。一緒に過ごした時間は、永遠なのだから。

ナイスガイズ!』(2016)

お茶目な探偵

ナイス

いい加減でパッとしない私立探偵が、示談屋の男に無理やり誘われ、行方不明になった少女を捜していくうちに、巨大な陰謀に巻き込まれてしまう。

軽い気持ちで関わった事件が思わぬ事態に発展し、想定外の闇が芋づる式にズルズルと……映画にまつわる連続不審死なので、映画ファンとしてはちょっと興味をソソられたりして。シリアスな内容を軽快なノリで描き、タイトル通りのナイスな凸凹コンビが、カッコ悪くもしぶとい活躍をみせる。

ぼってりと太ったヤンチャなラッセル・クロウと共演したライアン・ゴズリング。窓ガラスを割って侵入しようとしてケガをするというドジぶりが、何とも探偵らしからぬところだが、小さい娘がしっかりしているので安心だ。キャラにもう少しパンチが効いていたら、シリーズになったかも。

ブレードランナー 2049』(2017)

人間として

ブレード

旧型レプリカントを抹殺する任務を担うKは、出産したレプリカントが存在することを知り、その子供を捜すように命じられる。

カルト的人気を誇る映画『ブレードランナー』(82)の続編であり、前作で主演を務めたハリソン・フォードが引き続き出演したことでもうヒット間違いなし。一見レプリカントと人間の区別がつかない中で、彼だけは確実に人間。なので、ちゃんと年を取っているんだなあという安心感を与える存在でもあり。

世界中から大注目のKに抜擢されたライアン・ゴズリングは、相変わらず独りぼっちが似合う男。AIの恋人に慰められ、己の出生の秘密をめぐって一喜一憂しながら謎に迫る。しかし、悪役ジャレッド・レトの妖しさが強烈すぎるし、レイチェルの懐かしい姿が感無量だしで、いろいろ目移りしてしまって存在感が霞みがち。でもまた、それはそれでよし。

いかがでしたか?

正直言ってイケメン顔とは言えないのに、どうにもカッコいいライアン・ゴズリング。ヒット作品では寡黙で孤独な男を演じているせいか、感情を抑えて背中で語るようなイメージが強いが、意外と病んでいたり、ニヤけていたりするキャラクターも演じており、それはそれで様になっている。

最近の注目度を考えると、今後もハイウッド大作に出演するだろうが、たまにはミニシアター系映画にも出演してほしいものである。

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