この二人、本当の親子だったの…?リアルな空気感漂う親子共演映画14本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

最近二世俳優の活躍が目覚ましいが、親が有名な現役俳優である場合、映画で共演することもある。

その子供がまだ若くて演技の経験が少なければ、たとえばデビュー作で親が援護射撃のように出演したり、または親の主演映画の脇役で出演したり。

中には、今は子供の方が知名度が高いというケースもあるだろう。

彼らが実生活でどんな親子関係なのか、そんな情報も知れ渡っていたりすると、ミーハー的な興味が湧いてしまうのも人情かもしれない。

何にしても、親子共演は話題となるもの。

そこで今回は、親子で共演している映画14本をご紹介しよう。

村上淳&村上虹郎

2つ目の窓』(2014)

二つ

奄美大島で行われる八月踊りの夜、入れ墨をした溺死体を発見した男子高校生はそのことを黙っていたが、海に行くところを同級生の女の子に見られていた。

当時17歳だった村上虹郎のデビュー作。美しいサンゴ礁の海とマングローブ林の風景が広がる奄美大島を舞台に、2人の高校生が見つめる肉親の死を通して、人間の生と死を描いた作品である。

村上淳と虹郎は、実生活と同じく離れて暮らす父子を演じている。なので、久しぶりに会った息子から離婚の理由を聞かれ、夫婦の出会いなどをボツボツと語る父ちゃんのセリフにドキリ。アドリブというだけに、リアルで胸に残るシーンだ。その後、銭湯で父ちゃんの背中を流す虹郎。会話がなくても自然な空気感が、やっぱ親子だなあ。

クリント・イーストウッド&アリソン・イーストウッド

運び屋』(2018)

運び

実話を基に、成り行きで麻薬の運び屋をすることになった90歳の老人が、麻薬取締局に追われながら、壊れた家族関係を修復しようとする姿を描く。

一見枯れているが口が悪くて気骨があり、大金を稼ぐのはちょっと楽しいものの、自分の生き方を後悔している。そんな複雑な主人公を演じたクリントンが、自身の監督作に出演するのは10年ぶり。

アリソンは、家庭より仕事を優先してきた父親を許せない娘を演じていて、実はこれは自分たち父子の関係と重なるのだという。父ちゃんにも、この主人公みたいな時期があったのね。期待と失望の間で葛藤し、恨みつらみを口にする段階を過ぎて今は存在を無視。なかなか手厳しいのう。でも、和解の仕方が大人。

ウィル・スミス&ジェイデン・スミス

幸せのちから』(2006)

幸せ

新型医療機器のセールスマンが、仕事の失敗によって家と財産を失い、幼い息子を連れてホームレスになってしまう。

彼が売るのは、骨密度を測る新型医療機器。当時は値段が高いうえに需要も低く、なかなか思うように売れない。長時間労働で疲れ果てている妻とはケンカが絶えず、結局彼女は出ていってしまう。のちに証券会社を立ち上げて億万長者になった男の実話だが、チャンスをつかんで努力する姿に胸が熱くなる。

彼はよく走る。片手に大きな医療機器を持ち、もう片方の手で息子の手を握って保育所へ、また今晩の寝床を探して走る走る。そんな彼の息子役を演じたジェイデンは、実の親子なので息もピッタリ。普段の日常会話を聞いているみたいだ。父親にとって最もつらい時期を一緒に切り抜けた息子。この子がいたから頑張れた。本当にそう思える。

緒形拳&緒形直人

優駿 ORACION』(1988)

優

北海道で小さな牧場を営む父と息子は、自分たちが育てた馬でダービーを制覇することを夢見ていたが、ある日伝説の名馬の血をひく仔馬が生まれる。

その馬の名前は、オラシオン(祈り)。オラシオンは和具工業の社長に大金で買い取られるが、そこにはオラシオンに託した切実な夢があった。牧場主や馬主、調教師、厩務員、騎手たちの様々な人生と、彼らが胸に秘めている“祈り”を一身に受けて、オラシオンは走る。名馬の美しさも見どころの1つ。

緒形直人の映画デビュー作で、父ちゃんとは牧場主とその息子という親子の役。オラシオンに優勝してほしいという同じ夢に向かい、やるべきことを黙々とやる父と息子だ。途中からオラシオンは他の牧場に移ってしまうが、それでも遠くから見守り続ける二人。親の夢は子供の夢。そんな関係が自然に伝わってくるのは、やはり実の親子だからか。

メリル・ストリープ&メイミー・ガマー

幸せをつかむ歌』(2015)

幸せ

家庭を捨ててロック歌手になる夢を叶えた女性が、娘の離婚を知らされ、20年ぶりに家族のもとを訪れる。

54歳になってもなお、落ち目になったバンドを率いて小さなライブハウスで歌う彼女。家族を犠牲にしてまで得た生活だったが、実際は厳しい経済状況である。そんな彼女がお金をはたいて駆けつけたのに、過去を恨んでいる家族から冷たく扱われてしまう。

メイミー・ガマーは娘役で、言われてみれば鼻が母親にソックリ。決して美人ではないが一筋縄ではいかない独特の雰囲気があり、そこらへんも母親譲りかも。“イタイ”母親を持つ娘。空回りする母親に優しくできず、自分を励まそうとして戻ってきたことを素直に喜べない。そんな複雑な関係をめんどくさそうに演じていて、リアリティあり。

樹木希林&内田也哉子

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007)

東京タワー

1960年代オトンに手を焼いたオカンは、主人公を北九州の実家に連れて帰り、小料理屋を手伝いながら女手一つで育て始める。

原作は、ベストセラーになったリリー・フランキーの自叙伝。高校から大学、そして社会人になっても自堕落な生活を送り続けていた主人公が、心を入れ替えて仕事が順調になった矢先、オカンが重い病気だと知る。時代を見守り続けてきた東京タワーが、もう1つの主役。いい加減で頼りないボクをオダギリジョーが好演。

内田也哉子は樹木希林の若い頃を演じたが、実の親子でもここまで顔と雰囲気が似ているケースはそうあるまい。苦労に苦労を重ねて息子を育てていた昭和の時代に、見た目もマッチ。樹木希林の存在感が強いので、いわゆる“からみ”のない共演にしたのは正解だろう。

ダスティン・ホフマン&ジェイク・ホフマン

バーニーズ・バージョン ローマと共に』(2010)

バーニー

テレビ番組の制作会社で働きながら、悪友たちと気楽な生活を送ってきた主人公は、自分の結婚式で運命の女性と出会い、一目惚れしてしまう。

3度も結婚を繰り返し、ついにたどり着いた真実の愛。恋人が自殺した過去があったり、妻が親友と不倫したりと波乱万丈な過去のある彼だが、ドロドロにならないのはこれが基本的にコメディだから。彼が人殺しの疑いをかけられるという思わぬ展開もあり、着地点が見えないという点でハラハラする。

親子共演と聞けば親子の役だろうと思ってしまうわけだが、この作品では祖父と孫という変化球。主人公の父親と息子として出演し、奔放で気ままな主人公に振り回される気の毒な二人である。そして父ちゃんは変わり者の役だから目立つが、息子の方は登場シーンが少なく、知らなければわからないようなひっそりとした共演だ。

ジョン・ヴォイド&アンジェリーナ・ジョリー

トゥームレイダー』(2001)

トゥー

幼い頃に父を亡くしたヒロインは、父が残した邸宅の中で時計を発見し、その中に光のトライアングルを探すカギを見つける。

人気アドベンチャーゲームの映画化。世界中の遺跡から宝物を発掘するトレジャーハンターである主人公が、時を支配できる光のトライアングルを悪党の手から取り戻すアクション映画。彼女はそのトライアングルを使い、5000年に一度の惑星直列時に亡き父親と再会する。続編『トゥームレイダー2 』(03)あり。

実生活では長い間疎遠だった父親と娘。その確執が有名だっただけに、この作品で夢の初共演を果たして大変な話題となった。しかも役柄は親子。二人の関係を知っていると、娘が亡き父親をいつまでも愛していたり、彼女が「寂しかった」とつぶやく再会シーンには複雑な気持ちになる。映画の中ではいい父親なのね。

富司純子&寺島しのぶ

待合室 -Notebook of Life-』(2005)

待合

東北の小さな駅の待合室に置かれた“命のノート”には、旅人たちのいろいろな想いが綴られていたが、1人の女性がそれを読んで返事を書き続けていた。

岩手県の小繋駅を舞台にした実話を基に、そこを訪れる人たちと駅前の酒屋を経営する女性との心温まる交流を描く。常駐している親切な駅員や、駅に活気があった時代がノスタルジックに映し出され、東北の厳しくも美しい自然に目を見張る。彼女はなぜ、見ず知らずの旅人たちの苦しみや心の叫びと向き合おうとするのだろうか。

実は彼女自身にもつらい過去があり、生きる希望を失いかけることもあった。生きていればきっといいことがある。自分にそう言い聞かせるためのノートでもあるのだ。人生の悲しみを乗り越えようとする女性を富司純子が演じ、若い頃を実娘の寺島しのぶが演じているが、顔が似ていないので共演という感じがしない。

ジョニー・デップ&リリー=ローズ・デップ

コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』(2016)

▶︎画像入れる

ヨガが大好きな2人の女子高校生が、ひょんなことから地中に埋まっていたソーセージ・ナチスを解放してしまう。

ソーセージ・ナチスとは、見た目は愛嬌があるが古代の邪悪なもので、オモチャみたいなのに危険な存在。そこで彼女たちは探偵の助けを借り、得意のヨガを駆使してソーセージ・ナチスと立ち向かう。今時の女子高生が主人公ということで、絵文字やメールの文面がスクリーンに映し出されるなど、ポップで楽しい作品になっている。

母親のヴァネッサ・パラディにソックリなリリー=ローズ・デップ。この作品にはヴァネッサも出演しているのだが、肝心の父ちゃんはどこ? と思ったら、彼女たちの力になる髭を生やしたヘンな探偵……全くの別人である。なので、ガッツリ共演しているのに全くわからず。でもそこが、気が散らなくてよい。

三國連太郎&佐藤浩市

美味しんぼ』(1996)

美味し

新聞社の記念事業として“究極のメニュー”が企画され、希代の美食家が監修者に選ばれるが、彼は担当記者の名前を知ったとたん、その役から降りてしまう。

原作である人気マンガの設定を大幅に変更しているので、ほぼオリジナル作品。実は親子であり、死んだ母親をめぐって長い間確執のある二人は、結局ライバル社が主催するグルメ料理対決で戦うことに。至高VS究極。憎みあっていても血は争えず。本当に美味しい料理とは何かを考えさせられる。

原作者の要望で、モデルとなった北大路魯山人にイメージが近い三國連太郎が美食家を演じ、なんとその三國連太郎が、実生活で役柄そのままに仲の悪かった息子を相手役に指名。現場は気まずかったであろうが、それが功を奏して、二人のリアリティあふれる演技が説得力ありという評判であった。

アンジェリーナ・ジョリー&ヴィヴィアン・ジョリー・ピット

マレフィセント』(2014)

マレ

オーロラ姫の誕生パーティーに、招かれざる邪悪な妖精マレフィセントが現れ、オーロラ姫に永遠の眠りにつく呪いをかける。

アニメーション映画『眠れる森の美女』(59)のリメイク作品。オーロラ姫に呪いをかけた悪役マレフィセントの視点から物語が再構築され、彼女の謎に包まれた過去とオーロラ姫を永遠に眠らせようとした理由(悪役の言い分)が明らかになる。続編『マレフィセント2』(2019)が公開予定。

アンジェリーナ・ジョリーの衝撃的なビジュアルが話題になったが、もともとワイルド系美女なので、悪役メイクが映えて見ごたえあり。まだ幼い実娘ヴィヴィアンがオーロラ姫の幼少時代を演じ、そのあまりの可愛さにマレフィセントが「子供なんか嫌い」とつぶやいてしまうシーンが微笑ましい。

麿赤兒&大森南朋

まほろ駅前多田便利軒』(2011)

まほろ駅前

東京郊外にあるまほろ市駅前で便利屋を営む主人公は、元同級生とたまたま再会するが、彼はそのまま事務所に居候してしまう。

彼らは中学時代の苦い思い出を共有し、どちらも深いワケありのバツイチ。力の抜けた微妙な距離感がいい二人が、仕事を通して出会う奇妙な人たちの人生に関わっていく。こんな駆け込み寺のような便利屋稼業も悪くない。続編『まほろ駅前狂騒曲』(14)やテレビドラマ『まほろ駅前番外地』(13)あり。

便利屋の常連客である麿赤兒。弁当屋の主人である大森南朋。この二人が実の親子というだけでなく、監督が大森南朋の兄なので、いわばファミリー共演というべき作品である。存在感が突出している父ちゃんに比べ、息子の方は子供をおんぶしながらせっせと接客していてほっこり。

キーファー・サザーランド&ドナルド・サザーランド

ワイルドガン』(2015)

ワイルド

19世紀のアメリカでガンマンとして名をはせていた主人公は、母の死を知って牧師の父が暮らす故郷に戻り、銃を捨てる約束をする。

久々に帰郷した彼を待っていたのは、相変わらず溝が埋まらない父親との関係と、彼の帰りを待たずに他の男と結婚してしまった恋人。これを機に暴力を捨て、まともな生活を送ろうと決心したものの、町の人々がギャングに苦しめられているのを目の当たりにし、再び銃を手にするのであった。

名優で知られる父親と海外ドラマ「24シリーズ」で人気の息子は、過去にも共演作はあるが、この作品のように同じシーンに登場することは珍しく、しかも本格的西部劇ということで注目された。わだかまりのあった息子に対し、最後の最後で思わず本音を口にする父親の心情にグッとくる。

いかがでしたか?

親子共演は、作品の中でもそのまま親子役だったり、親の若い頃を実の子供が演じていたりするケースが多く、当然顔が似ているので違和感なし。

また、二人が同じ画面に登場しないこともあるので、共演といっても観客が期待するイメージとは違うことも多い。たとえガッツリ共演していたとしても、「この二人は実の親子」という先入観が鑑賞のジャマになることも……親が有名俳優で演技派であればあるほど、子供もやりにくいだろうし、う~ん。悩ましい。

それでも親子そろっての出演となれば話題となり、注目せざるを得ないのも事実。映画ファンとしては、見ごたえのある演技対決を楽しみにしたいところである。

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