【綾野剛×杉咲花】『悪人』『怒り』『64 -ロクヨン-』に続く“サスペンス大作”遂に公開!『楽園』

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悪人』(2010)、『怒り』(16)と映像化が続くベストセラー作家・吉田修一の新たな最高傑作「犯罪小説集」が、『64 -ロクヨン-』(16)を大ヒットさせた瀬々敬久監督により映画化。容疑者の青年、傷ついた少女、追い込まれる男―。3人の運命が、二つの事件を軸に絡みあっていく衝撃のサスペンス大作!主演の綾野剛、そして杉咲花が作品の魅力を語った。

信じた人は殺人犯なのか―

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「心の深い部分で引かれ合う二人はとても強烈な関係」綾野 剛さん

GO AYANO/2003年俳優デビュー。『夏の終わり』(13)、『横道世之介』(13)で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞。『日本で一番悪い奴ら』(16)で第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。主な出演作に映画『新宿スワン』シリーズ、『怒り』、ドラマ「コウノドリ」など。

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「そばに行って一緒にいたい豪士は放っておけない存在」杉咲 花さん

HANA SUGISAKI/2016年『湯を沸かすほどの熱い愛』で第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・新人俳優賞、ブルーリボン賞ほかで助演女優賞を受賞。18年、「花のち晴れ~花男 Next Season~」で連続ドラマ初主演。NHK大河ドラマのほか、映画出演作も多数。

偶然の出会いから変わっていく二人

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─12年前、地方の小さな集落で起きた少女失踪事件。その犯人と噂される豪士(綾野剛)と、消えた少女の親友だった紡(杉咲花)が出会うことから物語は動き出します。事件の真相は、真犯人は誰かという謎を追うサスペンスであると同時に、登場人物の繊細な心の揺れを丁寧に描く人間ドラマとしても見応えがあります。難しい役をどのように演じましたか。

綾野:豪士は外国に生まれ日本に渡ってきた移民で、もともと地域に受け入れられていたとは言い難い。むしろ集落の人にとっては、ずっと「見えない」存在だったと思います。母親さえも異国で生きることに必死で、本当の意味では息子を見ていない。でも紡だけが、彼を見つめてくれた。彼女に会って初めて豪士は、自分が存在していることを実感できたんだと思います。

杉咲:紡についての最初の印象は、いろんなことを「諦めている」子。親友がいなくなった責任をずっと背負っていて、自分だけが幸せになってはいけないという思いが強い。だから、ただ今日が終わって明日が来て……ということのほかには何も期待していないように感じました。

綾野:二人とも、自分が暮らすコミュニティーに居場所がない点で共通している。どこか似た部分を持つ人たちが引き付け合うというのは、吉田修一さんの作品に特徴的な構図かもしれません。

─二人の関係をどう捉えていましたか。

杉咲:紡は豪士に対して、どこか母性的なものを感じていた気がします。「大丈夫じゃない」人が目の前にいる。その人を包み込んであげるほどの余裕は自分にもないけれど、そばにいて一緒に立っていたい、というような。二人の出会いが、彼女が周囲に少しずつ目と心を開いていくきっかけを作ったんだと思います。

綾野:杉咲さんとは一度、彼らの関係はlikeなのかloveなのか、というような話をしたことがあります。はっきりした答えは出なかったけど、もしも豪士が一緒にどこかに行こうと言っていたら、彼女はどこまでもついてきてくれた気がするんです。少なくとも彼らは必死でどこかにたどり着こうとしたし、全然違う場所に行ける可能性もあった。作品を客観的に見られるようになった今では、ここに描かれた二人の関係はとても強烈なものだと感じます。

紡はどこかでまだ楽園を信じている

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─俳優としてのお互いをどうご覧になりますか。

杉咲:綾野さんは自分を厳しく追い込んで、現場でも一人で役と向き合う時間が長い方なんだろうというイメージを勝手に持っていたんです。だからあまりお話もできないと思っていたら、クランクインの日にお会いしたとき「こっちへおいでよ」とそばに呼んでくださって。いろんなお話をさせてもらって、すごくうれしかったです。

綾野:なんだか彼女がすごく所在なげだったもので(笑)。誰にでもそんなふうに声をかけるわけではないですが、俳優さん一人ひとりが芝居しやすい環境を僕はなるべく作りたいんです。この現場でいえば、むしろ僕も杉咲さんに助けられた部分が大きいと思っています。彼女の目線と言葉に素直に反応しているだけで僕も豪士という役を生きられたし、紡を演じたのが杉咲花で本当によかったと思っています。

─彼らにとっての『楽園』とは何だったのだと思いますか。

杉咲:演じる間それをずっと考えていて思ったのは、少なくとも紡は楽園をどこかで信じているんだなあということです。それを探す最後の力が残っていたからこそ、明日が来ることを受け入れられた。物語を理解して役を考えるうえで、私はこのタイトルにすごく助けられました。

綾野:豪士にとっては残酷なものですよね。彼はずっとそれを探していて、でも結局どこにもないことも知っていて。ただ僕のそんな理解の仕方も、時間が経てばまた変わるかもしれない。いろんな受け止め方のできる映画ですので、多くの人に観て、感じて、考えてほしいです。

◆『楽園』information

楽園

■STORY■ 孤独な青年・豪士(綾野剛)は、12年前にY字路で消息を絶った少女の親友だった紡(杉咲花)と知り合う。次第に心を通わせる二人だが、再び同様の失踪事件が起こり、周囲は豪士に疑いの目を向ける。善次郎(佐藤浩市)は近所の人とともに少女の捜索に加わり、怯えたように立ちすくむ豪士の姿を見つける……。

10月18日(金)全国ロードショー

出演:綾野 剛、杉咲 花/佐藤 浩市
主題歌:上白石萌音「一縷」(ユニバーサルJ)
作詞・作曲・プロデュース:野田洋次郎
原作:吉田修一「犯罪小説集」(角川文庫刊)
監督・脚本:瀬々敬久
配給:KADOKAWA
公式サイト:rakuen-movie.jp
(C)2019「楽園」製作委員会

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  • ひこぼし
    4.8
    信じたゆえの傷、信じられなかったゆえの傷。そうして傷だらけになりながらも同じことを繰り返してしまう人間の業の深さ。吉田修一さん原作の作品は本当に心ゆさぶられる。 「楽園」というタイトルにもあるように登場人物はそれぞれの楽園を求めていた。しかし、その楽園を築くため、守るために弾き出される人々や踏みにじられる想いがあるということを強く感じた。万人にとっての楽園とは幻想なのだろうか。 ストーリーが腑に落ちないことを嫌う人にはお薦めできないかな…
  • さくら
    3.2
    わたしが追ってるのはずっと少女失踪の謎だったのですがその間の人間ドラマが多すぎて濃すぎて長く感じたし引き延ばしたわりにぬるりと終わった気がする もう少しメリハリというかボコボコになるだけじゃなく何か、欲しかったなという印象 でも久しぶりに映画で泣いた 犬いるのでああいうシーンは悲しくなっちゃうし全員ギタギタ過ぎて可哀想。環境に対して共感とかは全くできなかった
  • マーチ
    3.6
    フィルマの更新が滞っていることを言い訳するためにTwitter始めました。よろしくどうぞ→マーチ( @manekinekogroup ) ーーーーーーーーーーーーーーーーー まあこれはこれで“あり”というか、最初こそ単調でいやにじっくり傍観的に映し出す演出と、言わされているようにしか見えないセリフに「これは“なし”かなぁ…面白くなるのか?」なんて思っていたものの、終わってみれば“あり”に転じた。 短編小説集の原作のうち2編を半ば強引に繋げているので、3章それぞれの繋ぎ目で時制が変わることでストーリーが跳んだり、脈絡がなくなってしまっているのが最大の難点。それなりに脚本を練っての判断だろうけど、いざ映像化するとそこはやっぱり気になってしまう。 役者陣の演技は良いし、撮影も美しい。特に暗がりで映える綾野剛の顔面は、撮影と照明が彼の表情をストーリー上の危うさと共に引き立てていた。Y字路の撮り方も、時制によって同じ構図でも経年を感じさせるものになっていて印象的。後半は、結末に向かうに従って明らかになっていく真実と些細なそれぞれの物語の連結が小気味良いものとなっている。 原作未読なので原作がそうなのかは分からないけど、ただのエモーショナルなサスペンスだと思っていたら意外にも現代日本を批評的に描写している作品で驚いた。高齢化社会と限界集落が起こす軋轢…着実に日本の今と未来の姿がそこにはあったし、あの村はそれと重なるようにメタファー化されている。誰もが誰もを信用しないし、疑わしきも罰する業の深い時代へと歩みを進めている現在、貧しい国の人々たちからすれば「楽園」のように見えるであろう日本という国も、もはや安住の地ではない。移民は閉鎖的な村社会で異物扱いをされ、村の発展を願って新たな試みを取り組もうとする者は小社会のトップで胡座をかく保守的な支配層によって居場所を追われる。日本という名の楽園は幻想であり、その地で生き残り続ける者はシステムを改良しようとはせず、よりその縛りをキツくする。これから楽園が堕ちていくのではなく、もうすでに楽園は堕ちてしまっているのに、のうのうと生きていていいのだろうか…今や失楽園となってしまったかつての楽園は、この先どうなってしまうのだろうか。解決する術は、あの村の若者たちのように逃げ出し、自らの楽園を探し求めるか、楽園を失墜させた癌をある人物のように葬り去ることでまた一から始めるしかない…2つに1つとはいえ、財政的に逃げ出したくても逃げ出せない者、その土地に他者にとってはなんて事なくても亡き人との想い出や記憶が根付いている者もいる。弱者にそれに縋ることすら許さない、この社会の同調圧力と愚劣な仲間意識のなんと卑劣なことか。 小さな村社会に法律や正解など通用せず、見たいものを見たいように見ることで有力者の声が絶対的な“正しさ”となり、シナリオは思うように書き換えられ、村のルールが社会のルールよりも強い効力を持つ。 瀬々敬久監督の『64 ロクヨン』以降、最近なら『友罪』でも見せた、自主製作で撮る時とは違ったソリッドな演出によるサスペンス面での作家性。その集大成的な部分が今作にはあった。
  • クマヒロ
    4.2
    非常に緻密で、考えさせられる作品。 Y字路と万屋善次郎の二つの事件の扱い方や、社会的弱者が生まれる過程が見事。 誰もが弱者になりうる。 社会によってのけものにされ、弱者になってしまう善次郎と豪士。 悪いことはしていないが、現代社会において本当に弱者になりかねない二人。 善次郎は皆から羨ましがられ、同時に毛嫌いされてしまう。 豪士は一言で言ってしまえば人との付き合い方が下手なだけ。 このリアルな設定により、現実の社会に重ね合わせてしまう。 綾野剛さんの挙動のひとつひとつや、非力で、なにもできない姿、佐藤浩一さんの徐々に排除されやつれていく姿がよりこの社会性を際立たせていた。 人生は選択の連続で、楽園にたどり着くのは難しいのかもしれない。辿り着けないのかもしれない。 でも楽園を求めて生きていくのが人間で、人それぞれの楽園を壊してしまうのも人間。非常に恐ろしい。 Y字路やT字路がよく登場するが、これもまた人生の選択を表現している。 どちらに進むのかによって後の人生がこんなにも変わってしまう。 一縷の望みをかけて生きていく。糸を辿っていく様な意味でも主題歌は非常にマッチしていた。 瀬々敬久監督は社会的テーマをだれに起こってもおかしくないというところから捉えることがとても上手な監督だと感じた。 友罪など他の作品にも興味が湧いた。
  • まつけん
    3.8
    個人的にはおもしろかった! 犯罪小説集を読んでいたので、ほぼストーリーのままですが、 ・北関東連続幼児誘拐事件を元にした青田Y字路 ・津山事件を元にした万屋善次郎 の二つの話に被せるようにもう一つ話を加えることで、二つの話を共存させつつ、繋ぎ合わせてた。(どちらかと言うとY字路の誘拐されなかった子にフォーカスを当てることによって繋げた感じかもだけど) 結論はお任せしますよっていう内容なので、ストンとは落ちないと思います。 彼が犯人だっ!とも思えるし、あの骨みたいなのはもしや?とも思えるし、都会のあのシーンは実は別の答えも?とも思えるし。 村八分の方は辛いねぇ、、それしかない。 ただ万屋善次郎の方は小説の方が良かったかも。
「楽園」
のレビュー(906件)