【人工知能からクローンまで】様々な近未来の姿を映画を通してのぞいてみよう!

2015.12.27
映画

ミニシアター好きな大学生

Moca

近未来の様子

2015年も終わりに近づき、今年一年を振り返ったり来年に向けて新たな目標を立てたりと、いつもより「時」を意識して過ごす季節になりましたね。

特に2015年10月21日は『バック・トュ・ザ・フューチャー』の中で近未来として描かれた日で話題となったことが記憶に新しい方も多いのではないでしょうか?12月のはじめには、1968年にスタンリー・キューブリックが製作した『2001年 宇宙の旅』のオーケストラ付き上映が都内で行われて、私自身足を運んだこともあり個人的にも未来への思いが募るこの頃です。

そこで今回は未来に想いを馳せて、近未来が描かれた映画をご紹介します。人々が思い描く様々な近未来の形を映画を通してのぞいてみませんか?

her/世界でひとつの彼女(2013)

her

近未来のロサンゼルスを舞台に、主人公の男性セオドアがAI(人工知能)型OSサマンサに恋をしてしまう物語です。

現代人にとってユートピア的な世界が描かれた今作ではスパイク・ジョーンズ監督のセンスが随所に光っていて視覚的にも大いに楽しめること間違いなし。これから実現しそうな未来への憧れがぎゅっと詰まっています。

セオドアが恋をするOSサマンサのハスキーで人間らしい声はとてもOSとは思えないようなテクノロジーの発達ぶりですが、その声の正体はスカーレット・ヨハンソン。声だけの出演ながら抜群の存在感で高い評価を受けました。実は当初別の女優で撮り終えていた声を後からすべて彼女の声に変更したという裏話があるから驚きです。

また、興味をそそられるのがセオドアが暗闇の室内でやっているRPGゲームの進化版。キャラクターがあたかもすぐそばにいるような感覚になるつくりになっていて、まるで人間同士で話しているような自然なやり取りにも驚かされます。

ゲームのキャラクターに本気で恋愛相談をする中年男性セオドアがかわいいです。ただこのキャラクター、見た目はとても可愛らしいけれどかなりの毒舌。ちなみに声は監督自身が担当しています。

最後にスパイク・ジョーンズ監督の世界観を作り出すのを支えているグラフィック・デザイナー、ジェフ・マクフェトリッジさんについても少しご紹介。彼はカナダ・カルガリー生まれのロサンゼルス在住で、監督の『かいじゅうたちのいるところ』(Where the Wild Things Are, 2009)のタイトルシークエンスやビジュアルイメージも担当しました

本作ではオフィスで見かけるドローイングをはじめデスクトップ上のマルチタスク、人工知能OSのサマンサの筐体、彼女がローディングされた際に画面上に現れるモジュール、さらにイヤホンなどのデザインを手掛けているので注目してみてください。

嗤う分身(2013)

嗤う分身

『her』が近未来のユートピアを描いたのに対してこちらはディストピアの世界

冴えない主人公の前にある日いきなり"容姿がそっくりだけれど性格は正反対のもう一人の自分"が表れ、翻弄されていってしまうというストーリー。ドイツの文豪ドストエフスキーの小説の映画化です。

ジェシー・アイゼンバーグが一人二役を演じ、ミア・ワシコウスカが彼が想いを寄せる女性を可憐に演じています。ちなみに2人は今作をきっかけに交際を始めたそう。独特な空気感が似ていてうなずけますよね。応援したくなってしまう素敵なカップルです。

始めから終わりまで一貫して暗い画面が特徴的で近未来と言ってもいつ頃なのか場所もどこなのか全くわからず、難解な内容も相まって不気味な異様さを放つ今作。好き嫌いが別れそうな作品ですが、はまる人にははまってしまうと思います。

そしてこの映画には意外にも日本とのつながりがあり、坂本九の「上を向いて歩こう」など日本の昭和歌謡が使用されています。全編英語の映画にもかかわらず作品の世界観に合っていて全く違和感を感じさせないから不思議です。日本人なら思わずおっとなってしまう嬉しいポイントですよね。それもあってか、東京国際映画祭でも注目された作品です。

わたしを離さないで(2010)

わたしを離さないで

近未来的な世界が描かれたカズオ・イシグロの小説の舞台を1990年代のイギリスに移して映画化。臓器提供のためにクローン人間として生まれてきた若者たちを描く衝撃作です。

主人公のクローン人間たちは特別な寄宿学校で育てられ15歳ころになると自分たちは自らの臓器を提供するためだけに生まれてきたということを告げられます。臓器提供は死ぬまで続けられ、3~4回の提供で命を終える間合いが多いですが1回で命を落とすこともあり、臓器を提供するたびに体は弱っていきます。

原作者のカズオ・イシグロさんはこの作品について『クローンや臓器提供をテーマにしたかったわけではなく、長くは生きられない若者たちの“生”を描くことが主眼だ』と言っています。

自分自身がクローン人間だということを知らずに人間と同じように過ごしてきたけれど、ある日いきなり残酷な運命を告げられその抗えない使命に翻弄されていく若者たち。彼らが怒りとも悲しみとも言えない救いようのない想いにさいなまれる姿や作品中に漂う閉塞感に胸が苦しくなりますが、限られた時間の中で”生”と向き合う中で見た世界を知りその儚い美しさに触れたとき言葉にならない思いがこみ上げてきます。

ただ、人によっては後遺症が残るので見るタイミングには要注意です。

おわりに

未来に想いを馳せてどこまでも広がっていく想像の世界に浸るのはとても楽しいし素敵なことですよね。いつの時代も人々を惹きつけてやまないその魅力は変わりません。

ただ、科学技術の発達とともにその弊害についても懸念されている近年。人工知能に人間が世界を乗っ取られてしまうという題材をテーマにした映画など、ただ単に未来に想いを馳せるだけでなく以前よりも問題提起も伴って描かれているようになっている気がします。

そう思うといろいろ考えさせられるとともに、人々の心に喚起を促す政治的な側面も持つ映画の力の偉大さを改めて感じます。

今から10年、20年後に一体どこまで映画の世界が現実になっているか、楽しみでもあり怖くもあります。

Photo courtesy of Warner Bros. Pictures、(C)Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Alcove Double Limited 2013(C)Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Alcove Double Limited 2013

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