これを観ずして映画は語れない?鬼才ギレルモ・デル・トロの魅惑の世界を徹底解剖!

2016.01.08
監督

映画と音楽は人生の主成分

みやしゅん

ギレルモ・デル・トロという名前を聞いて、作品がいくつも思い浮かぶ人はおそらく監督のファンでしょう。おそらく多くの人が「名前は耳にしたことがあるけれど、いまいち知らない…」と感じているはずです。しかし、ギレルモ・デル・トロ監督はアカデミー賞をはじめ数々の賞を受賞しており、映画界では“鬼才”と呼ばれています。 

監督の名前を世に広めた作品が『パシフィック・リム』です。子役で有名な芦田愛菜の演技が絶賛されたことでも話題となりました。監督の独特の世界観は、世界でも高く評価されており「監督の作品を観ずして映画は語れない」と言っても過言ではないほどです。

そんな鬼才ギレルモ・デル・トロ監督の最新作『クリムゾン・ピーク』が本日1月8日、公開となりました。今回は最新作を鑑賞する前に、監督の作品の魅力をいくつかの作品とともにご紹介致します。

 誰もが魅了される魅惑の世界~幻想的な“現実と空想の狭間”~

『パシフィック・リム』で有名なギレルモ・デル・トロ監督ですが、作品の多くはどちらかと言えばホラー要素が強く不気味な印象があります。そのため“ホラー映画”にジャンル分けされることが多く、ホラー映画が好きな人以外はなかなか観る機会がないことでしょう。しかし、それだけで観ることをためらうのはもったいないと私は思います…というのも、監督作品は社会風刺をしているものが多く、安易に恐怖描写をしている訳ではないからです。

まずは、美しくも残酷な世界観、何より独自の世界観で高い評価をされている監督作品の魅力に迫ります。

美しくも残酷な世界~美しさを際立たせる要素~

ギレルモ・デル・トロ監督は、子供の頃からホラー映画が好きだったそうです。そこで、監督はあの『エクソシスト』で特殊メイクを手がけたディック・スミスに師事しました。そのため、監督の作品にはほかに類を見ないほど不気味なキャラクターが数多く登場します。 

そうしたキャラクターをはじめギレルモ・デル・トロ監督作品を構成する不気味さは、美しさを際立たせる要素となっています。最新作の『クリムゾン・ピーク』でも、不気味なゴシック様式の広大な邸宅が登場しますが、その美しさに思わず見とれてしまうほどです。しかし、彼の独特の世界観を彩る美しさは不気味さだけでなく、監督がこだわり徹底された設定…とりわけ時代設定が大きく影響しています。

こだわり抜かれた時代設定と痛烈な社会風刺

アカデミー賞を受賞した監督の代表作『パンズ・ラビリンス』は、1944年の内戦後のスペインを舞台としたダーク・ファンタジー作品です。ダーク・ファンタジーは、空想世界が主体であるファンタジーとは異なり、あくまで現実世界が主体となっています

パン

辛く残酷な現実に直面する主人公オフェリアは、ふとしたきっかけで地下の迷宮へ足を踏み入れることになります。この幻想的な迷宮は、内戦という残酷な時代背景によってその美しさを増しているのです。反対にその美しさがあるからこそ、内戦だけでなく戦争そのものに対する社会風刺としての強い意味合いが感じ取れるのです。

一方で、近未来を舞台とした作品もあります。1997年に公開された『ミミック』では、謎の伝染病が流行っている近未来を舞台に、遺伝子操作をキーワードに物語が進んでいきます。公開当時、遺伝子操作はいわゆる“ホット・ワード”でした。

また、同じ時代設定と言えば監督の名を一躍世界に広めた『パシフィック・リム』も近未来が舞台となっています。

パシ

余談ではありますが、この『パシフィック・リム』は、どちらかと言えばSF映画にありがちな設定です。しかし、突如、海溝の裂け目から現れた“Kaiju(怪獣)”に巨大ロボットで立ち向かうストーリー。何より“Kaiju”というネーミングに多くの日本人がハートを掴まれました。こうした、ちょっとした遊び心も監督の魅力の一つです…

では、他にも監督作品の魅力はあるのでしょうか?

禁断の果実~禁じられた行為と人間の欲望~

監督の作品には必ずと言っていいほど、主人公たちに“禁じられた行為”が用意されています。『パンズ・ラビリンス』では主人公オフェリアに課せられた試練の中に登場し、『パシフィック・リム』では“Kaiju”を研究する生物学者がその禁を破ることで物語が進んでいきます。もちろん、最新作『クリムゾン・ピーク』でも“禁じられた行為”が登場します。

しかし、禁じられていることほどしたくなるのが人間というもの…そうした人間の心理を物語の起爆剤として、監督は作品に組み込んでいるのです。観ている私たちも思わず「それはダメだよ…」と言いたくなるような緊張感を味わうことになります。

けれど、私たちは“怖いもの見たさ”で物語の続きを知りたくなってしまうのです…そう、気づいた時にはギレルモ・デル・トロの作品の世界に引き込まれているのです。

ここまで、監督作品の魅力について触れてきましたが、彼の原点は一体どこにあるのでしょうか?

鬼才の原点~デビュー作『クロノス』と海外ドラマ『ストレイン』~

監督の長編デビュー作は、1993年の『クロノス』という作品です。この作品は、カンヌ国際映画祭の批評家週間グランプリに選ばれ、映画界で一躍脚光を浴びることとなりました。今作が言わば、ギレルモ・デル・トロ監督の原点なのです。

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残念ながら『クロノス』はレンタル等がほとんどされていません。しかし、海外ドラマ『ストレイン 沈黙のエクリプス(以下、ストレインと表記)』はレンタル可能で、監督の原点回帰と言える作品となっています。

『ストレイン』は、デビュー作『クロノス』を彷彿させるだけでなく、これまでの監督作品のアイディアが全て詰まった作品となっています。やはり映画とは異なり作品を縛る制約が少ない海外ドラマのため、監督が本当に描きたい世界が描かれており、まさに傑作と言えるでしょう。

『ストレイン』では、現代における吸血鬼神話をベースに“愛”というキーワードが登場します。思い返せば、これまでの作品にも“愛”がテーマと言える場面が数多く登場します…

しかし、私を含め、ホラー要素に目が行きがちで本来のテーマが見えていない人が多いのではないでしょうか?監督が本当に描きたいものが“愛”だったとすれば、最新作『クリムゾン・ピーク』はとても重要な作品となります。

最新作『クリムゾン・ピーク』とは?

本作は監督作品史上最も美しい映画と謳われており、不気味ながらも美しい邸宅、そして登場人物たちを彩る豪華な衣装がポイントです。その美しさは「アカデミー賞にも絡んでくるのではないか」と話題になっています

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(C) Universal Pictures.

あらすじ

野心溢れる作家イーディスは、謎に包まれた英国紳士トーマスと恋に落ちる。そんな彼女は、幼い頃から死者の魂と通じ合う力を持っていた。ある日、彼女は10歳の頃に亡くした母親の霊から不思議な警告を受ける。

  クリムゾン・ピークには気をつけなさい―。

父の死をきっかけに、トーマスと結婚したイーディスは彼の屋敷で暮らすことに。その場所こそ「クリムゾン・ピーク(深紅の山頂)」だったのだ…。

冬になると地表の赤土が雪を紅く染める丘にそびえる不気味な屋敷で、彼の姉ルシールと暮らすことになったイーディスは不可解な現象を目にすることになる―。

独特の世界観の中で描かれる“愛”とは?

恐怖描写や美しい描写など数多くの見所がある中で、本作はイーディスと実業家のトーマス、眼科医のアランの恋の三角関係も見どころのひとつと言われています。屋敷に隠された秘密が明らかになるとき、彼らの運命はどうなるのでしょうか?それは是非、ご自身の目でたしかめてください!

ギレルモ・デル・トロ監督自身が「世界で最も美しい映画」だと語る『クリムゾン・ピーク』は、2016年1月8日から公開です。

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  • EmiTakahashi
    2.5
    確かにゴシックサスペンスだった。オバケが悪いやつじゃないのに、見た目が(笑)諭したいならもう少し見た目をどうにかして出てくればいいんじゃないかなと終始思う。さすがデルトロ。 画は言わずもがな、素敵でした。
  • はま
    3.6
    ずっと観たかったの〜〜観終わった〜〜いやぁ〜〜面白かっt… 吹き替えに阪口周平さんがおるッッッッッッッッッ(字幕で観てしまった) たまーにあるこのパターン… 今度吹き替え版の放送があったら録画しとこうと思います。最初からキャスト調べて録画すればいいのにね。 でも普通に面白かったのでもう一回観るのも良し。 ゴシックホラー、って言われてるのはよくく聞くけど意味は理解してなかったです。 「ヨーロッパなどの古城を舞台にしたホラー作品」ってことみたいですね。まさにその通り。 序盤は『パンズラビリンス』っぽい怪奇現象というか化け物というか、不気味な何かの存在に「ウワッ」って目をそらす感じ(怖かった…)。 でもそれがだんだん変わってくるのが今作のとても面白いところ。 なんなら最後なんかお化けがめっちゃ心強い存在ぐらいにまでなってしまってました(!) これはすごい、人の心を動かす映画だ…。 舞台も舞台だし、設置や衣装のデザインも素敵。 でも一番素敵だったのはチャーリー・ハナム!お前だーーーーー!!!(声を大にして言いたい) どうせみんな、トムヒかっこいいって思うんでしょ、でも私は思うよ、トムヒファンの何割かは絶対ハナムくんにも揺らいでるはず(はず)。 もう王子様だったよ。 ハナムくん、王子様だよ。 大事なことだから2回言ったよ。 お化けも人間もちょー怖かったけど、ハラハラドキドキ、面白かったです。
  • yu
    3.0
    トム・ヒドルストン目的で観賞。 ずっとかっこいい、綺麗、好き!!!状態 なぜ彼はこんなに難あり貴族が似合うのだろうか。 衣装も似合うし、紳士な対応も優しい笑顔も切なげな表情もいいし、ロウソクの火を消さずに踊るのもかっこいいし、おしりも綺麗だし、トーマスにぴったり!!!!!!! トム・ヒドルストン好きならおすすめしたい。 それは置いておいて、 見終わった感想は辛いし人間って怖いし痛いしグロいし、好きな人が出てるからといっても、苦手なジャンルはやはりダメだということ(笑) ゴシックホラーといっていたけど、ホラーというより、ロマンス要素が強いのかな。 ホラー耐性のない私はゴーストにも充分ビクビクしてたけど。 最終的には人間の方が恐ろしかったけど。 深い愛情って怖くて痛い。 しかも、それを美しい人達が演じているからなおさら怖い。 トム・ヒドルストン ジェシカ・チャステイン ミラ・ワシコウスカ って、、、 美しいしかないでしょう、、、 衣装もすごく綺麗だし、なによりこの3人が住む廃墟のようなお屋敷が手が込んでいて美しい。 外観だけでも暗く、悲しい。 玄関ホールは屋根が朽ちていて、落ち葉が積もっていたり雪が降っていたり。 シーンにあわせて色々な顔を持っていて、屋敷が生きているようだった。 家具であったりちょっとしたセットにもすごく手が込んでいてそういう見方をしても面白いなと。 ちなみに衣装は、イーディスの喪服とネグリジェがかわいいのでポイント。 ホラーもそうだけど、痛い+グロいは、やはり私の管轄外(笑)
  • Taki
    2.9
    綺麗で少しグロテスクな映像とミア・ワシコウスカ。ただストーリーは何とも辛かった。
  • hideharu
    2.8
    2017.12.8 DVDを再見。 イギリス劇場公開時には映画館で鑑賞。 ゴシックホラー+ロマンスって感じになるのでしょうか。 デロトロは監督作や製作に回ってる場合にも純粋なホラーよりは母子の愛情や恋愛要素を盛り込むことが多いと思います。 悪いとは言わないです。それに寄って普段ホラーを見ない客層も映画館に来るかも知れないから。でも自分はあまり好きじゃないかも。単純に怖いのが見たいんですよね。 ヒロインが頭悪くて結構イライラします。新しい女性のあり方、人権などについて意見する割にはやはり世間知らずといったらイイのでしょうか。かと言ってそれ以外の登場人物も魅力が乏しい。 ジェシカチャスティンはいい演技していますが、それは共感が持てるということでもないですし。 唯一の良心であるチャーリーハムは出番が少ない。 幽霊はあまりにもグロい。頭に出刃包丁の様なものが刺さったままだったり、頭蓋骨の一部が欠損しているものだったり。 チョッとやり過ぎかなって思います。 ホラーとしては119分は長い方ですが取り敢えず飽きる事なく見ることができたのは脚本はあまり良くなくても演出が良いということか?まあ俳優もイイけどね。 たかだか幽霊物語なのに製作費は約80億円。どこにそんなお金がかかっているのか。セットや衣装は素晴らしいけど。
「クリムゾン・ピーク」
のレビュー(5909件)