【まとめ】ジャッキー・チェン本人自選!マイベストスタント映画8本

2016.02.11
映画

気づいたら映画ファンになっていた

松平光冬

アジアを代表するスター、ジャッキー・チェンの新作『ドラゴン・ブレイド』が2月から公開されます。

およそ2000年前のシルクロードで、中国の多民族で構成された連合軍がローマ帝国と戦っていたという史実を映画化した歴史超大作で、共演者にジョン・キューザックやエイドリアン・ブロディといったハリウッドスターが名を連ねているのも話題です。

ブレイド

 

現在のジャッキーは、『ライジング・ドラゴン』で派手なアクションを見どころとする作品制作に区切りをつけ、ドラマ性を重視し、アクションも必然性を要する内容の作品選びをしています。『ドラゴン・ブレイド』もそれと同様に、それまで争いが絶えなかった民族同士が、なぜ一丸になってローマ帝国軍との戦いに臨んだのかといった経緯を丹念に描いています。

今までジャッキー作品に触れてこなかった人も、この『ドラゴン・ブレイド』から観始めても問題ないとは思いますが、これを機に過去作にも目を向けてみてはいかがでしょう。

といっても、日本で公開された主演作だけでも60本、ゲスト出演作なども入れると100本を超えるので、どれから観ればいいか分からない、となるかもしれません。

ならばここは一つ、彼本人による自伝やインタビュー内でよく述懐する出演作品を参考にしてみるのはどうでしょうか。

ジャッキー自選のベストスタント映画

ジャッキーが発表した二冊目の自伝『I AM JACKIE CHAN―僕はジャッキー・チェン 初めて語られる香港帝王の素顔』では、自ら「危険スタントを行った作品10選」および「激しいファイトシーンを撮った作品10選」を挙げています。

それをベースに、ここではそのうちから数本抜粋してご紹介します。

『プロジェクトA』

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20世紀初頭の香港を舞台に、海賊軍団の討伐に向かう警察の活躍を描いた、全編見せ場だらけのアクション活劇。ジャッキーの代表作は何と聞かれたら、おそらく多くの人が挙げる作品がこれでしょう。

一番の話題となったのが、時計塔からの落下シーン。NGも含め都合3回も実行しており、スタントランキングでも第3位にしています。これ以外にも爆弾(火薬)を使った危険なスタントを披露しています。

そもそも一連のジャッキーのスタントは、彼が敬愛するチャールズ・チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイドといったサイレント映画時代のスターの影響を受けています。

人々が忘れがちなのは、この偉大な喜劇王たちが、ある意味では最初のアクション・ヒーローでもあったということだ。(中略)僕が古い無声映画に夢中になったのは、ストーリーのほとんどが肉体を使って語られていたからだ。

『僕はジャッキー・チェン』より

その考えを、ジャッキーなりに体現したのがこの『プロジェクトA』なのです。

要心

H・ロイドの『要心無用』(1923年)の時計塔シーンを、ジャッキーはオマージュとして引用した

画像元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ハロルド・ロイド

ポリス・ストーリー 香港国際警察

ポリス

ジャッキーが至る所で「僕の一番好きなアクション映画だ」と公言しているのがこの作品です。なお、『ドラゴン・ブレイド』出演のエイドリアン・ブロディも、好きなジャッキー映画の一本に挙げています。

ベストスタントの第1位に挙げる「車でバラック集落を猛スピードで駆け降りるカースタント」、2位の「デパート内でのガラスまみれの大バトル&電飾ポールにつかまっての急降下」など、常人では思いつかないスタントが山盛りです。他にも、走行中のバスに傘を引っかけて乗り込むといった細かなスタントも見逃せません。

『WHO AM I?/フー・アム・アイ?』

フー

南アフリカで記憶喪失になった男(ジャッキー)が、自分が誰なのかを追求していくスパイ・アクション。

サファリラリーやカーチェイスなど見どころ満載の作品ですが、何といってもクライマックスでの、ロッテルダムにある90mのヴィレムスワーフビルのガラス張りの急斜面を、命綱なしで滑り落ちるシーンが圧巻。しかも、撮影前にスタントマンが試しに滑った階よりも高い位置から本番を滑ったというから脱帽です。

自分の遊園地を持っていたら、間違いなくこのスタントをライド(乗り物)にするだろう。

『僕はジャッキー・チェン』より

と述懐していますが、ジャッキープロデュースの遊園地が本当にあっても、怖すぎて客が来ずにすぐ閉園するでしょう。

こんな危険なスタントでも、自選ベストスタントの第5位です。

Willemswerf2

撮影で使われたヴィレムスワーフビル。この斜面部分をジャッキーが滑り落ちた!

画像元:https://en.wikipedia.org/wiki/Who_Am_I%3F_(1998_film)

ジャッキー自選のベストファイトシーン作品

ここからは、ジャッキー自選のベストファイトシーンがある作品です。

『スパルタンX』

スパルタン

スペインでオールロケを敢行し、『プロジェクトA』で名トリオを組んだサモ・ハンやユン・ピョウと再結集した作品。3人が、ある女性の遺産相続のトラブルに立ち向かう姿を描きます。

ジャッキーは、この作品でアメリカン・キックボクシングのチャンピオン、ベニー・ユキーデとのファイトシーンを第1位に挙げており、トータルで5分に及ぶ闘いは緊迫感あふれるものとなっています。

両者は『サイクロンZ』でも“再戦”していますが、その後に作られたドキュメンタリー映画『ストロンゲスト/史上最強の映画スターは誰だ!?』内のインタビューでもユキーデを絶賛していたほど、ジャッキーにとっても印象深い相手だったようです。

『酔拳2』

酔拳

実在した中国の武術家、黄飛鴻(ウォン・フェイホン)を主人公とした、日本で初めて劇場公開されたジャッキー映画『ドランク・モンキー/酔拳』の続編。といってもあらすじは前作と繋がりはありません。

この作品でジャッキーはムエタイ(タイのキックボクシング)の選手だったロー・ワイコンとのファイトシーンを第3位に挙げています。酔拳VS.ムエタイの異種格闘技戦を見るようなこのシーンは、4か月もの期間をかけて撮影されました。

ジャッキーは前作『ドランクモンキー』のラストの対決もベストファイトの第4位に挙げていますが、最近では若い頃に出演した一連のクンフー映画について、「暴力的すぎて子供たちに悪影響を与えてしまったかも…」と後悔する発言をしたりしています。

『ヤング・マスター/師弟出馬』

ヤング

ジャッキーが初めて単独で監督を務めた作品(『クレージーモンキー/笑拳』は共同監督)。獅子舞を使ったアクロバティックな技から、扇子やベンチなどの小道具を駆使したコミカルなアクションなど、今のジャッキー作品にも通じる要素がここで生まれました。

必見はラストの20分近くに及ぶ、ハプキドー(韓国合気道)の名手、ウォンインシクとの対決。ベストファイトとしては第9位ですが、リアルさを出すために、両者とも口にマウスピースやスポンジを含んで本当に殴りあっています。また、当時としては新鮮だった関節技の応酬も、観ていて痛々しさが伝わる迫力です。

その他、ジャッキー自身思い入れの強い作品

『ミラクル/奇蹟』

ミラクル

僕が作った映画の中では、これが一番のお気に入りだ。(中略)この映画については、役者として、また特に監督として誇りに思っている事がいろいろある。

『僕はジャッキー・チェン』より

と、自伝などでジャッキー本人がベストに挙げる作品。フランク・キャプラが『一日だけの淑女』『ポケット一杯の幸福』として2度映画化した、デイモン・ラニヨン原作の人情物語をリメイクしたものです。

アクションシーンは抑え目ですが、ひとつひとつの完成度が極まっており、ホテルなどの舞台セットも豪華。使用するカメラも、東洋人の肌がよく映えるとされるテクノヴィジョン製を導入するほどのこだわりを見せています。

ヒロイン役を務めた、40歳という若さで夭折したアニタ・ムイも魅力的です。

ラスト・ソルジャー

ラストソルジャー

紀元前227年の戦国時代の中国を舞台に、戦を好まない兵士(ジャッキー)と敵国の将軍(ワン・リーホン)の逃走を描いた人間ドラマ。

立場の違いから衝突しあう二人が共に旅をするバディ・ムービーでありながら、「戦いからは何も生まれない」というジャッキーならではのメッセージが込められており、中国で公開された歴代の主演作としては最高の興収成績を上げました。

構想を20年間温めた末の完成→ヒットという事もあってか、近年のインタビュー等でも制作に関するエピソードを度々語っており、本人の中でかなり思い入れがある作品となっています。

世界観や内容的に『ドラゴン・ブレイド』に通じるものがあるので、併せて観ると良いと思います。

ちなみに自伝といえば、ジャッキーが新たに執筆した三冊目の自伝「永遠の少年―ジャッキー・チェン自伝」が先頃刊行されたばかり。

『僕はジャッキー・チェン』出版以降の出来事はもちろん、これまで明言されなかったプライベート事情や、『WHO AM I?』での高層ビル滑り落ちスタントを決行した理由などの撮影秘話が記されており、読み応え十分です。

CG全盛の今だからこそ、ジャッキー作品を観よう

現在の映画制作においては、CG技術で何でも描けるようになり、それこそ危険なスタントもCGでカバーできてしまいます。

その一方で、極力CGに頼らない映画作りをする人たちもいます。

『マッドマックス/怒りのデス・ロード』が今なお各地でリバイバル上映されているのは、リアルなカーチェイスやスタントが観客を惹きつける要因の一つとなっているのは間違いないですし、トム・クルーズが『ミッション・インポッシブル』シリーズでジャッキーばりの体を張ったスタントをするのは、CG全盛の映画界に対する一種のアンチテーゼなのかもしれません。

香港と諸外国の映画制作のシステムの違いがあるとはいえ、そうした事を数十年前からやってきたジャッキー作品を、今こそ見直されるべきでしょう。

年齢が60代に入ったジャッキーですが、引退時期を決めているかという質問に、「常に考えている。アクションシーンの撮影が怖くなったり、重傷を負った時が『辞め時』になるだろう」と語る一方で、現在撮影中の中国とインドの合作映画クンフー・ヨガ(原題)や、ピアース・ブロスナンとの共演作も予定しているため、

少なくともあと5年は引退できないし、映画作りは若さをキープする大きな原動力になっている。

レコードチャイナ 2015年03月09日 

とするジャッキーの今後も期待せずにはいられません。

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