もっと映画について知りたいあなたへ。知っているようで知らない脚本のこと。

2016.01.29
雑学

映画館に頻繁に出没する横分けメガネゴリラ

YMG

「映画の8割は脚本で決まる」

情婦』や『アパートの鍵貸します』などで知られる巨匠ビリー・ワイルダー監督は、脚本について上のように述べています。 脚本がいかに重要であるかは、誰の目にも歴然です。

しかし脚本は、漫画や小説などの書物とは異なり日常生活では中々お目にかかれません。 ぼくも学校で脚本について学ぶまで、実際のところ「脚本がどういうものか」全く知りませんでした。

今回は「面白い脚本とは?」という件ではなく(未熟なぼくにはわかりません!)、もっと根本的な「脚本とはどういう媒体なのか」を簡単にご紹介したいと思います。

脚本は何のためにある?

例えばストーリーが抜群に面白い10巻で完結した漫画を映画化するとします。これを脚本化せず、そのまま映像化しようとしたらどうなるでしょう。無論大変な長尺な作品になります。

映画は第七、第八芸術と言われる一方で、商業的な側面を絶対に切り離すことのできない産業です。収益で言えば制作費の3倍回収しなければ利益が出ないとも言われています。

予算を抑え、より多く回収する為には尺を映画用に納めなければならないのです。それゆえにまず、脚本化をすることはさけられない作業といえます。

上映時間と脚本

time

脚本は20×10の原稿用紙で約30秒に計算されます。脚本を書く際、あらかじめ上映時間に寄せて脚本は書かれます。 多くの映画が約90分〜120分で作られますが、それは1日の上映回数を保つのが目的です。短ければ短いほど上映回数が増え、収益が増えます。

とは言っても物語が面白くなければなりませんので、短すぎて駄作ではおはなしになりません。 その上映時間の妥協点は、監督(面白さ)とプロデューサー(経済)の戦いによって決まります。その決定によって作品の尺が決まり、脚本は書かれるのです。

脚本と制作費

漫画を映画化する場合、作品が内包するスケールによって予算は大きく異なります。 極端に言えばSFやファンタジー、時代ものなどの非日常的な要素が入っていれば大作にならざるを得ませんし、逆に学園内での成長劇などであれば予算は控えめになります。

プロデューサーは、あらかじめスケールに応じて予算を立て、そこに収まるように脚本家とありとあらゆることを練り合わせて脚本化していきます。 また日本では90分〜120分の大作映画を撮る場合、撮影スケジュールは往々にして1、2ヶ月ほどです。また撮影前には準備期間、撮影後には編集期間が想定されます。

なぜ期間が決まっているかといえば、製作期間中はスタッフ、及びキャストを拘束する人件費が掛かります。 さらにスタジオ利用料、車両費、機材費、美術装飾費などのレンタル代も撮影期間が長ければ長い程増していきます。 時間を多く要するシーン、大変になるであろう柱、そういった全てのことを考慮して脚本は書かれています。

漫画にはない柱とは?

SC1

例えば漫画のなかに「渋谷のスクランブル交差点で銃を乱射する」という件があったとします。 プロの映画制作は公道で撮影を行う場合、必ず道路使用許可申請書を警察に届けなければなりません。それが受理されて初めて撮影が行えます。

しかしスクランブル交差点をはじめ、新宿の歌舞伎町などはまず受理されません。東京都内にはそういった撮影ができない場所が山のようにあります。 ではどうするか。

  1.『スクランブル交差点っぽく見える場所を日本中ロケハンして探し、作り込んで撮影を行う』
  2.『CGで作る』
  3.『許可なく撮影を行う』
  4.『脚本でその件を変える。または除外する』

考えられる選択肢は以上の4つです。

残念ながら上2つは時間とお金がかかり過ぎます。(ハリウッド並の超大作なら可能かもしれませんが) 3つ目は、言語道断。つまり4が妥当といえます。

学校などの、どこかの施設の構内や渋谷に拘らないなどのジャッジ、あるいはシーンのテーマだけをスポイトして全く新たなシーンを作ります。 そして決まるのが「どこで撮影するか」という柱です。

漫画はどこで物語が進もうと自由ですが、映画は違います。実際に映像化されてしまうので、「本物に見える」ことが求められます。 簡単に思える「道」と書かれた柱でさえ、その選択肢は無限にあり、そういった全ての柱が作品のテーマと経済を踏まえて描かれるのです。

漫画や小説にあるけど脚本にないもの

漫画や小説などと脚本が最も異なる点は、映像化(物理化)されることを前提として書かれているかどうかです。 本質的に映画は、映像で物語を語る表現です。漫画や小説で頻繁に描かれる心の声や頭の中で起きる回想は、文字ズラで存在したとしても物理的に存在するものではありません。

漫画や小説は読むことはそれ自体が主体的な行為ですので、書かれた文章を読めば脳内で反芻され、個人の心と同化して脳内で具現化されます。

一方、映画を観るという行為はあくまで受動的です。心の声を闇雲にナレーション化してしまうとそれは情報でしかなく、右から左へ流れて鑑賞者の頭には残りません。 知らず知らずにもっと知りたい、早く次が知りたいと観客をのめり込ませる(主体的にする)必要があるのです。

どうしても伝えたい心の声があったとしても、脚本の場合は、台詞にせず映像で表現できるよう工夫した方が賢明な場合もあります。

脚本は設計図

blueprint

脚本は、小説や漫画などのようにそれ自体が独立した媒体ではありません。

ゆえにただ面白ければ良いというものでは無く、経済的側面や映像化されることを加味して描かれることがおわかり頂けたかと思います。 そしてスタッフ、キャストが映画という建設物を作り上げる為に読むものです。

あくまで脚本は設計図ですが、そこには多くの考慮と思案が組み込まれています。 「大好きな映画をより深く理解したい」そんな時は映画の出発点である脚本にそれが印されている場合があります。

脚本には書かれていなかった役者の動線、カメラワーク。脚本にはあったのに、本編では無くなっているシーン。 その全てに意図があり、その一つ一つの積み重ねが映画を作り上げています。

そういった映画の側面を知ることで映画の内面の理解が深まるのは疑いようもありません。

もっと映画について知りたいと思っている方は、日本映画の脚本だと比較的入手しやすいのでぜひご覧になってみて下さい。必ず新たな発見があるはずです。

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  • sawato
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    2017
  • Kism
    3.5
    もっと楽しいかと思ってたけどいい人ってゆーのかなんかずっとかわいそうってばっかり思って楽しくはなかった。 自分じゃないって隣の人くらいは言いたい。パスタに水かけたらいかん
  • dandelion
    3.8
    ラストが良かったです。 中だるみもせず、古い感じもせず、終始楽しめた。
  • ryoco
    4.5
    ポーカーをやりたくなる。 ラストシーンは秀逸。 何回見ても絶対ニヤニヤしてしまう。 小道具の使い方が凄い。 特にテニスラケット。
  • マック44
    4.5
    ラストシーンが秀逸!
  • 2.8
    うーん。男ってのは。
  • ひろ
    4.0
    製作・監督・脚本ビリー・ワイルダーによって製作された1960年のアメリカ映画 ・ 第33回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、脚本賞など、5部門を受賞した ・ 20世紀最高の監督の1人であるビリー・ワイルダーの傑作ロマンティック・コメディ。この作品の前に監督した「お熱いのがお好き」など、コメディの傑作も撮りながら、「サンセット大通り」のようなフィルム・ノワールの傑作も監督しているからすごい。この作品で3つのオスカーを、プロデューサー、監督、脚本家として受賞したけど、この快挙は未だにビリー・ワイルダーしか成し遂げていない。 ・ この作品の魅力は「お熱いのがお好き」などでもコンビを組んだI・A・L・ダイアモンドとの共同脚本につきるだろう。こっそり浮気をするために部下の部屋を借りる上司たちに、上司にごますって出世しようとする主人公、泥沼の不倫に苦しむ不幸な女など、ろくな登場人物がいない。でも不幸な女を好きになっちゃって、恋と出世の板挟みになる主人公。ハッピーエンドなのか疑問の残るオチといい、完璧なコメディの脚本だ。 ・ 主人公バドを演じたのは、戦後アメリカ最高の喜劇役者と言われ、ビリー・ワイルダー作品の常連であるジャック・レモン。この作品では、コミカルな動きで笑いを取るというより、しっかりとした演技でユーモアを感じさせていた。ヒロインを演じたシャーリー・マクレーンは、現在でも女優として現役の大女優だけど、この頃はまだ可愛らしい。 ・ アメリカのコメディ映画の歴史を語る上で欠かせない作品だから、これは観ておく価値がある。ビリー・ワイルダーは映画史に残る傑作を何本も作った神様みたいな監督だから、その作品は安心して観ることができる。現代映画で外れが続いたら、ビリー・ワイルダーを観れば問題なし。
  • はる
    3.3
    白黒映画とは知らなかった。 人生初でした。笑 それでもお話がしっかりしていて、 結構面白く見られました☆ かっこいいわけじゃないけど、 どこかカッコよさを感じさせる 主人公の男性に気持ちよく 見終わることができました
  • あわた
    4.7
    途中まで理不尽さにモヤモヤしたけど、後半がめちゃくちゃ良かった。 英語の言い回しがオシャレなのに、字幕だと伝わらなくて勿体無い。 お気に入りはテニスラケットでパスタの湯切りと、一瞬しか映らないけど大家さんのウエストハイランドホワイトテリア。 ラストがとにかく最高だからみんなに観てほしい!!
  • 三味線状態
    4.0
    レンタルDVD 60年近く前の映画が今でもダサく見えないってどういう魔法使ってんだよ
  • Hideki
    5.0
    脚本・演出が超一流の映画!
  • ちゃたろう
    4.0
    いい奴は馬鹿を見る…なんてことはないってことを、優しいだけじゃダメなの…なんてことはないってことを証明してくれるとても素敵な映画だった。俺も人に部屋を貸してみようかな…いや、暖かくなってからにしよう。
  • かなた
    3.7
    台詞のセンスが抜群。インテリアだとかファッションも素敵。 60年代って、ラブホテルの文化があまりなかったんだろうか?と思ってしまうくらい皆鍵を借りにくる。 あと、お隣の先生の奥様のパンチがなかなか。パワフル。
  • luna
    5.0
    こういう物語だったのかと・・・ 前々から気になっていて やっと観れました! ヒロイン役の方が可愛いったら パッケージ遠近法でガタイ良く見えるけど、実際そんなことないし すんごい可愛い! バクスターの優しさも溢れ出てて、、、 カミソリ隠すシーンとか 思いやりありすぎるでしょっ!て 観てよかった♪
  • MinekoOka
    5.0
    好きです!
  • SGR
    3.5
    2017 鑑賞記録 22
  • SakikoOkura
    3.8
    頑張れバクスターさん!!!
  • Miyuu
    4.5
    シャーリー・マクレーンが素晴らしく可愛い!!!! 8ヶ月の早産で黄疸のために立ち会った看護婦から「黄色いレモン」みたいと言われたということからレモンと名前のついたジャック・レモンとシャーリー・マクレーンのコンビがもう可愛いのなんのって♡ カラーでもない昔の作品だけど今の時代に見ても面白いと感じるって凄いよね。 先日のアカデミー賞でもとてつもなく可愛かったシャーリー・マクレーンだけど若い頃こんなに可愛かったんかい!!!ww 可愛すぎやろ!!w ミシェルウイリアムズのショートってシャーリー・マクレーンの似せてるのかしらw でもなんていうのかな、シャーリー・マクレーンの目の輝き?やっぱり女優だなぁと。 話の内容はよくある話としてw でもテニスのラケットでパスタのお湯をきるのは斬新ww出世のために上司に自分の部屋を貸すジャック・レモンにも好感が持てるし社内不倫は今の時代に始まったものじゃないってことよねww 1960年の作品やでこれww この作品がアカデミー賞をとったのは納得だ!!素敵な作品でした♡
  • 水橋謙志郎
    3.3
    想像と違った作品でした。 独身の男は自分の家を会社の上司に貸している。 上司はその部屋で愛人と過ごす。 男はその見返りに昇進を約束される。 そんなある日、男がほれた女が上司の愛人だと知る。 複雑な思いと昇進の言葉。彼の中の葛藤を描く。 上からの圧と自分の気持ち。 ラストでの最初で最後の反抗が印象的でした。 ノー鍵は渡せません。
  • ほーりー
    4.6
    ラストのジン・ラミーについて、あまり解説されてないように思う。 10枚ずつ配ってからはじめるゲームなのに、いつまでも配り続けるバクスター、そしていつまでもカードを受けとるキューブリック。 好きだという言葉さえなくても、二人の心が一つに結ばれていることを見事に表している。社会の規程に束縛されない二人だけの世界を勝ち得た男女の姿を見たような感がする。
  • ななこ
    4.0
    映画で女性が好きな人の元へ走るシーンがすごく好き。
  • つな
    4.3
    ジャックレモンにはやっぱりうだつの上がらない男の役が似合う。 トランプゲームのシーンが素敵。
  • an
    4.5
    いい。テニスラケットでスパゲッティの湯切りをするなんて!オーマイガッ
  • yui
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    記録
  • myyy
    4.1
    ジャックレモンが好き。
  • ruu
    3.0
    鍵渡すの断るシーンが一番すき 七年目の浮気と同じ監督_φ(・_・
  • longcake
    -
    ビリーワイルダー監督のアカデミー賞受賞スピーチが忘れられない。 「ナチスから逃げてアメリカへ渡った。税関で祖国での職業を聞かれ、映画の脚本を書いて生活していると答えた。係官は私の周りを歩いた。沈黙が続き緊張で汗が止まらなかった。ああ、ビザは下りない。また逃げてきたあの場所に戻るのか。。。 すると彼は「いい映画をつくれよ」と言って僕のパスポートにハンコを押したんだ。 彼のおかげで僕はこの場所にいるんだ。」
  • Konny
    2.8
    白黒。 うーん。 とにかく上司たちに猛烈な嫌悪感。
  • 瓶覗
    4.8
    脚本 配役 とても良いです とても悲しい話をオシャレな会話で楽しく観られる ワイルダーの傑作です
  • Katongyou
    4.3
    名作。かわいい(2人とも)。素敵。最高。上司最低。笑
「アパートの鍵貸します」
のレビュー(3287件)