もしも他人の脳や心の中が覗けたら...。単純なSF映画を超えた味わい深い作品たち

2016.07.18
まとめ

突然ですが、みなさん、一度は思ったことありませんか。

「あんな発想がポンポン出るなんて、あの人の頭の中どうなってんの!?」と。

筆者も頭のいい友達やアイデアマンの著名人を見る度に「同じ世界に住んでいるのに、この差ってなに?」と思ってしまいます。アイデアが次々と湧き出る賢い方というのは、たとえば難解な犯罪事件を前にして、こう考えるらしいんですね。

「犯罪者の脳を見ることができたら、一発で事件解決しちゃうんじゃない?」

これさえ実現できれば、黙秘権やウソ発見器とオサラバしてサクッと事件が解決できる、のか。それとも、予想だにしない知らない世界が見えてしまうのか…。

それは、2016年8月6日公開の『秘密 THE TOP SECRET』で確かめることができそうです。

秘密

(C)2016「秘密 THE TOP SECRET」製作委員会

新人捜査官の青木(岡田将生)が配属されたのは、死んだ人の脳をスキャンし、その記憶の映像を見ることで、事件の謎を解決する糸口を探す特別捜査機関「第九」。

青木は、類稀なる美貌と高いIQを併せ持つ室長の薪(生田斗真)とともに、死刑囚・露口(椎名桔平)の脳を見ることになるのですが、それが過去の事件と絡み合い、また未来の事件につながっていきます。

秘密-THE TOP SECRET- シーン2

(C)2016「秘密 THE TOP SECRET」製作委員会

岡田将生の持つ「異常性」

原作は清水玲子の同名漫画。第1巻が出た時の衝撃は覚えていますが、調べてビックリしました。

えええっ、1巻が出たのがもう15年前ッ!?

絵が素晴らしく緻密で美しい。だからこそ、犯罪者の頭の中にある残酷な世界が、読者に挑んでくるかのように繊細に描かれていて「怖い!だけど見たい」のせめぎあい。

これ、ヘンに実写化すると単にグロくなって終わりという危険も大…。そんな賭けに果敢に挑戦したのは映画「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督。同じ漫画の実写化とは言え、全く違う類の今作。大友ワールドがどんな風に炸裂するのか、期待が高まります。

主人公の薪を演じる生田斗真は、マンガのイメージと比べると、いささか背が高すぎる? いやいや、そんな体格のイメージは気にならない! 予告を見るだけでも、ガラスのような繊細さがビリビリと伝わってきます。

ちなみに彼は『脳男』でも主役を演じており、脳や記憶をテーマにした映画は生田斗真にお任せ!という感じでしょうか。 整い過ぎたビジュアルゆえ、真顔が怖い。それが、心を忘れた喪失感の役につながるのかもしれません。

そして、新人捜査官・青木を演じるのが岡田将生。今作では誠実な捜査官で殺人鬼を追う側ですが、個人的には悪役として出てほしかった! 彼は口元の端から一瞬にして「悪」を出せる、稀有な俳優さんなのです。『告白』や『悪人』では、片方の口端を上げた引きつり笑顔のみで凄まじいほど「嫌な奴」オーラを出していました。

彼の凄いところは「自分がやっていることを悪いと自覚していない」キャラクターを演じられること。年配の大俳優さんでもあまり見ない演技で、心の闇を表現します。今作でもその「歪みの演技」がどこかで活かされているのか!? 楽しみです。

心の闇は美しい? 『ザ・セル』のトラウマ風景

ザ・セル

同じく、犯罪者の脳を見て捜査する映画として注目したいのが『ザ・セル

人気絶頂期のジェニファー・ロペスが、連続殺人鬼の心に入りこむ心理学者・キャサリン役を演じています。ストーリーは「犯罪者の中にあるトラウマ」。まあ、王道ですね。

猟奇連続殺人犯スターガーの心に入り込んだ彼女が見たのは、スターガーが幼い頃から受けていた「父親の虐待」と、彼の心を支配する闇の王の存在。そのトラウマの心象風景があまりにも美しすぎて、視覚的にも精神的にもガンガンくるのです。まさに閲覧注意。

キレイは怖い。怖いはキレイ。まさにその繰り返し。監督はインド出身のターセム・シン。衣装を手掛けたのは、ビョークのミュージックビデオの監督を務めたことでも知られる日本の故・石岡瑛子。そのせいか、画面に広がるのはオリエンタルで独特な暗さのある美しさです。

乾ききった心と、不眠の体を覆うシーツの波をシンクロさせた砂漠の茶。
漂白剤に漬けられた死者の白。
心の闇の王が纏う黒とゴールド。


そんな美しい配色に彩られた悪夢に目を覆いつつ、でも指のすき間から見たくなる、そんな世界観。『秘密 THE TOP SECRET』を見る前にチェックすると面白いかもしれません。

ちなみに、ターセム監督が『ザ・セル』の次に発表した『落下の王国』。こちらは手足が利かなくなったスタントマンが少女に聞かせるおとぎ話の世界。それが現実の「病院での風景」と交互に描かれ、やはり心と深くリンクします。

自分の中にある悪や弱さと戦い、時には殺してしまう。『ザ・セル』と同じ美術・映像メンバーということで、やはりとんでもなく“不気味美しい”ですが、ただし、こちらには泣けるほど優しい「救い」が用意されています。

落下の王国

『インセプション』が描く、醒めない夢の恐怖

インセプション

最後に、これを紹介せずには終われないでしょう!名作『インセプション』!!

こちらは、『秘密 THE TOP SECRET』とは逆です。潜在意識に入り込んで犯罪を解決するのではなく、アイデアを盗むのです

そんなとんでもなく卑怯な手を使い企業スパイをするゴブを演じるのが、レオナルド・ディカプリオ。レオも素晴らしいのですが、なんといっても特筆すべきは、ゴブの相棒・アーサーを演じるジョセフ・ゴードン=レヴィット。彼の無機質な佇まいが、インセプションの仮想世界観や夢の世界を際立たせています。

そして、『インセプション』の魅力はなんといっても映像。夢のイメージがここまで見事に表現された映画は無いと言い切っていいでしょう!

現在公開中のDVD公式サイトでMENU内のコンテンツをクリックしてみてください。夢と現実が混乱する錯覚が味わえます(読み込みにすこし時間がかかる場合があります)。これを映像化したクリストファー・ノーラン監督の頭の中は一体どうなってるんでしょうか? 彼の頭の中こそ一度覗いてみたいですね。

未来では「人の脳を覗く」ことも現実に?


人の夢や心の中というのは、確かに興味深く、覗きたい好奇心をかきたてられます。あんな情報こんな情報、まさに宝の山かもしれません。ところが、今回ご紹介した映画のどれを見ても、共通して感じるメッセージは、

「人の心に入り込み過ぎると、ロクなことはない」。

入り込む理由は何であれ、待っているのは苦悩と混乱。「知らない方がいいことって、たくさんあるんだよ」とでも伝えているかのように、人の心や意識に深く寄り添いすぎる危険を警告しています…。

秘密 THE TOP SECRET』は2060年の設定ですが、実際に「人の脳を覗く」技術が実用化される日はもっと近いかもしれません。気づけば人工知能が当たり前に存在する、科学技術の進化がハンパない時代ですからね。

見ることができたら、あなたはどうする。そしてどうなる?

秘密 THE TOP SECRET』。単純なSF映画では済まない、深い深い後味を期待できそうです。

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS