【7月上映】代官山 蔦屋書店コンシェルジュ一押し!<ドキュメンタリー>映画特集

2016.07.07
まとめ

代官山蔦屋書店 シネマ・コンシェルジュ

上村敬

月に1回、公開される映画のオススメをさせていただいております代官山 蔦屋書店の上村です。私がオススメする7月上映の映画ラインナップは、題して<ドキュメンタリー>の映画特集です!

ドキュメンタリーといえば、小川紳介監督!

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日本には世界に誇るべき国際ドキュメンタリー映画祭があります。それは2年に1度、開催される山形国際ドキュメンタリー映画祭

昨年も開催されたこの国際映画祭は、1989年に山形市制施行100周年記念事業として始まりました。著名な映画作家が世界中から駆けつけるような日本の国際映画祭は、日本ではこの映画祭だけでしょう。

では、なぜこのアジア初の国際ドキュメンタリー映画祭が、山形で生まれたのか? それは、偉大な一人の日本人ドキュメンタリー映画作家が、山形に住みこんで映画を撮っていたからです。その人こそ、成田闘争などを描いた「三里塚シリーズ」や、『ニッポン国 古屋敷村』、『1000年刻みの日時計 牧野村物語』などのドキュメンタリー映画の傑作を遺した小川紳介監督です。現在では、彼の功績を讃えて、山形国際ドキュメンタリー映画祭に小川紳介賞が常設されています。

小川紳介監督の作品は、ほとんどレンタルになっておらず、彼の映画が劇場で上映されれば、駆けつけるのが常でした。しかし、6月から順次、彼の映画がレンタル化され、今月は「三里塚シリーズ」もレンタル化されます! この偉大な日本のドキュメンタリー作家の作品を、ぜひご覧いただきたい!

そして、劇場でも1つの素晴らしい日本のドキュメンタリー映画が7月に公開されますので、ご紹介させてください。

『カンパイ!世界が恋する日本酒』

カンパイ!世界が恋する日本酒

7月9日(土)より公開される『カンパイ!世界が恋する日本酒』です。

監督は映画ライターの小西未来さん。映画ファンであれば、ハリウッドの現地の情報などを届けてくれる小西さんの記事をよく見かけると思いますが、何本か短編映画を撮っていて、今回の『カンパイ!世界が恋する日本酒』が長編デビュー作となります。

このドキュメンタリー映画は、日本酒に魅了された3人の男たちを描いています。その内、2人は外国人。それも外国人初の酒造りの職人集団の責任者である杜氏となったイギリス人のフィリップ・ハーパーさんと、日本酒伝道師といわれるアメリカ人のジョン・ゴントナーさん。

特に映像作品に出演することがNGであるハーパーさんの姿が見ることができるのは大変貴重とのこと。興味深いのは、同じ年の同じ日に来日した二人が日本酒に魅了されていくのが、まるで運命的なものに感じます

日本人以上に職人的な姿勢で酒造りをしているハーパーさんの姿は、胸を打つものがあります。また、日本酒についての書籍発行やセミナーを開催し、世界中にファンを持つゴントナーさんは、「酒プロフェッショナルコース」を国内外で開催し、そこの卒業生がアメリカで日本酒造りをしている様子が描かれていておもしろいです。

そして最後の1人が、“南部美人”五代目蔵元の久慈浩介さん。小さい頃から、どこに行っても「南部美人の息子だ」と言われ、蔵元になるという運命に甘んじることなく、古い酒職人たちと闘いながら、新しい手法で酒造りに挑戦し、見事金賞を受賞し、世界中を飛び回り日本酒の魅力を積極的に伝え、売り込んでいる姿が描かれます。

久慈さんは、特にしゃべり方に人を惹きつけるものがあるのですが、東日本大震災の時のことを語る姿は、涙なくしては見ることができません

自粛ムードの中、たった一人で立ち向い、彼が切り拓いたという新しい復興支援の形。そして、多くの人が「それならできる。」と言ったというものは、なんだったのか? ぜひ劇場でお確かめください。

『ラスト・タンゴ』

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2本目のオススメ映画は、同じく7月9日(土)から公開される『ラスト・タンゴ』です。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』というドキュメンタリーの傑作を持ち、最近では、『Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』、『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』と、立て続けにドキュメンタリー映画を発表しているヴィム・ヴェンダース監督が製作総指揮で挑んだ作品です。

そのヴェンダースの愛弟子にあたるヘルマン・クラル監督は、大学の卒業制作『不在の心象』が山形国際ドキュメンタリー映画祭において、大賞を獲得した逸材です。その彼が描くのが、アルゼンチン・タンゴに革命を起こした伝説のタンゴダンサー、マリア・ニエベスファン・カルロス・コペス。タンゴに人生を捧げた二人の半生を、時に貴重な過去の映像で、時にドラマで再現しつつ、二人のインタビューを基調に、その愛憎の人生を浮き彫りにしていきます。

とにかく、二人のタンゴの情熱もさることながら、目にもとまらぬステップに魅了されます。14歳と17歳で出会った二人が、どのようにコンビを組み、そしてどのように恋に落ち、最後にはコンビを解消していくのか。そして二人は知ることになります。二人でしか成しえない最高峰のタンゴがあることを。1997年の日本公演を最後に、コンビを解消した二人の背後に何があったのか?そして、二人はもう二度と顔を合わせることがないのか? この伝説のタンゴダンサーの“ラスト・タンゴ”を、ぜひ劇場でご覧ください。

『フィレンツェ、メディチ家の至宝 ウフィツィ美術館』

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3本目のオススメ映画は、7月9日(土)より公開される『フィレンツェ、メディチ家の至宝 ウフィツィ美術館 3D・4K』です。

世界遺産の街フィレンツェを舞台に、中世において煌びやかにルネッサンスが花開いた時代にメディチ家がどのように関わったかを描きながら、たっぷりと美術作品を堪能できる映画です。それも3D上映なので、高精細かつ時に、絵画の人物像が浮き上がってみえる作品となっています。

ウフィツィ美術館の芸術作品を中心に、ミケランジェロラファエロカラヴァッジョティツィアーノボッティチェリといった、美術史に燦然と輝く偉人たちの作品の数々。特に、目玉なのが2011年から修復が進められてきたレオナルド・ダ・ヴィンチの「東方三博士の礼拝」が映像では初公開になります。

ルネッサンスとは、何だったのか? そして、数々の芸術作品に秘められた真実や想いとは? 街そのものが芸術作品とも言えるフィレンツェに残る建築や彫刻、絵画の貴重な姿にうっとりしていると、アッという間に終わってしまう極上の97分を、ぜひ劇場でご覧ください!!

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    3.5
    日本酒を飲みたくなる映画。良い作品です。311のシーンは観てて辛いなあ。
  • だいち
    3.7
    一瞬も同じ味にならない❗ 日本酒にとりつかれた男達のドキュメンタリー映画です。 一人は、有名蔵本の息子として産まれ、自分の人生の進路に迷っている中で飛び込んだ留学先で、日本酒の魅力を再発見した。 一人は、教師として働き、日本酒の魅力に気付くと共に酒造に転職。初の外国人杜氏として、今もなお美味しい日本酒作りに邁進している。 一人は、何気なく飲んだ一杯の日本酒にあてられ、以来日本酒を飲み歩き、研究し、日本酒の魅力を世界に向けて発信し続けるジャーナリストへ。 新潟出身なので、日本酒けっこう好きです。最近飲んでなかったので、無性に飲みたくなりました! 特に、熱燗でクイッと行きたいですね☺ 日本酒への思いが伝わってきて、日本の文化をまたひとつ好きになりました!
  • turitez
    3.1
    WOWOW
  • まぐらいだあ
    -
    南部美人を中心に酒造りに精を出してきた男たちの物語。 「日本酒ーSAKE」日本を代表する文化であり、世界に向けて自信を持って発信できるものである。 酒造りに真摯に向き合ってきたからこそ、今おいしく酒を飲める人間がいることを忘れてはいけない。そんな気持ちにさせるいっぽん。
  • FutosiSaito
    3.6
     日本酒の魅力に取りつかれたのが、外人つまりアメリカ人とイギリス人というのが面白い。  片や日本酒伝道師となり弟子がアメリカで日本酒を醸造し、片や蔵人となり杜氏にまで上り詰めた。さらに、「南部美人」の、英語が好きで海外にも売り込んでいる社長。酒造りもする。  グローバルに見ても、日本酒が面白く美味しいということだ。  特に、杜氏となったイギリス人が語る、日本酒の魅力にはいちいち頷いてしまう。  最初に蔵人として勤めていた蔵の社長いわく「彼ほど大和魂を持った男は見たことがない」と。  出自は関係ない。情熱だということを教えてくれる。  日本酒が飲みたくなるのはあたりまえだが、つい微笑んでしまうドキュメンタリーだった。
「カンパイ!世界が恋する日本酒」
のレビュー(159件)