ニッポン製不良映画の最新モード『HIGH&LOW THE MOVIE』の魅力

2016.07.23
邦画

Why So Serious ?

侍功夫

人気ヒップ・ホップ/R&B集団「EXILE」の中心人物HIROが企画・製作を担当した、不良抗争ドラマ「HIGH & LOW」の劇場用映画HIGH & LOW THE MOVIEが公開中です。

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(C)HiGH&LOW製作委員会

EXILEメンバーたちのアイドル的人気にかこつけたエクスプロイテーション映画なワケですが、本項では「非EXILEファン」の筆者から見た『HIGH & LOW THE MOVIE』を紹介しようと思います。「え~エグザイルゥ~!?」と、食わず嫌いするにはもったいない魅力に迫ります。

ヘイ! YO! チェケラッ!

不良グループ、それぞれのルーツ

本作では東京と思わしき地区が5分割され、5つの不良グループがそれぞれ1区画を統括しています。その地域一帯はグループそれぞれの頭文字を取って「SWORD地区」と呼ばれています。その5つの不良グループにはそれぞれ個性があり、作品をカラフルに彩っています。

「S」ワイルドなバイカー~山王連合会

物語の核になる“ムゲン”の後継チームで、そのスタイルは大型バイクに揃いのレザー・ベストの『爆走!ヘルズ・エンジェルスに代表されるバイカー・ギャングです。本家のバイカー・ギャングたちはドラッグ売買や売春、恐喝などに携わる普通のギャングですが、ボグダノヴィッチマスクなどでは「気のいいバイク好きな連中」といった側面が描かれています。本作の山王連合会も地元に根ざした地域密着型のバイカーで、性根のいい連中といった設定がされています。

山王連合会の地区は、東京に当てはめると葛飾区、墨田区、台東区(浅草)あたりになるでしょう。寅さんや両さんなどで有名な、いわゆる“人情溢れる東京下町”です。

「W」華麗なスカウト集団~White Rascals

繁華街でキレイな女性をスカウトしていく彼らはその名の通り白づくめで、いわゆるピンプ・ファッションに身を包んでいます。しかし、彼らのファッション・アイテムである山高帽やステッキ、白のタイトなズボンにエンジニア・ブーツを合わせる辺りから時計じかけのオレンジが源泉にあると窺えます。本作の彼らは「女性は絶対に守る。女性を傷つける奴はゆるさねえ。」という身上で、女性に対してだけは優しい一面を覗かせています。

White Rascalsの地区は東京で言うと新宿区、渋谷区、豊島区(池袋)あたりで、ホストやホステスさんの多い歓楽街です。

「O」瞬間湯沸し不良~鬼邪高校

偏差値低めだが暴力団からのスカウトひっきりナシな定時制の高齢不良学生集団で、いわゆる「DQN」なヤンキーです。ただ、彼らのファッションとテーマ曲「JUMP AROUND ∞」(オリジナルはアイリッシュ系ラップ・グループ「ハウス・オブ・ペイン」の曲)からイギリスの不良スタイルであることが解ります。ビールとタバコとサッカーをこよなく愛し、ステゴロ(素手のケンカ)も大好物というトレインスポッティングのベグビーがステレオタイプなイギリスの不良像になるでしょう。

鬼邪高校の地区は足立区、北区、板橋区あたりになります。ビートたけしが「足立区で割り算が出来るとババアに拝まれる。」と出自を卑下した鉄板の自虐ギャグがあったように、昔は札付きの不良が多い地区として有名でした。

「R」エクストリーム・スポーツ不良~Rude Boys

移民・難民たちが身を寄せ合うスラム「無名街」の不良で結成された彼らは、パルクールで縦横無尽に駆け巡り、ケンカ相手を翻弄します。パルクール自体は古い歴史があるスポーツですが、近年ストリート・カルチャーと融合したことで特に取りざたされています。スプレー缶でいたずら書きをするグラフィティ・アーティストたちが警察に追われる中、パルクールを駆使して逃げていく様子が、ドキュメンタリー映画イグジット・スルー・ザ・ギフトショップに収録されています。

Rude Boysの地区は江戸川区、江東区、中央区あたりになります。湾岸沿いということもあり、古くから外国人街が形成されてきた地域で、現在では江戸川区のインド人村が有名です。

「D」お祭り野郎~達磨一家

古いお寺を拠点に、揃いの法被を着込んで太鼓を打ち鳴らすお祭り野郎たちです。日本オリジナルな不良集団に思えますが、ピン・ストライプが施された古いアメ車を乗り回す姿からは、チカーノ(メキシコ系)・ギャングのスタイルが見てとれます。解り易い例としてはスーサイド・スクワッドに登場する、炎を操る怪人「エル・ディアブロ」がステレオ・タイプなチカーノ・ギャングのスタイルです。

達磨一家の地区は品川区、目黒区、世田谷区あたりになります。お祭り野郎としては東京で一番荒っぽい三社祭りのある台東区浅草あたりが相応しいですが、なぜか高級住宅街に拠点を構えています。

敵対組織/ヒップホップ・ギャングスタ~MIGHTY WARRIORS

(語尾上がりの)クラブ「FUNK JUNGLE」を根城にするギャング団で、主要メンバーは舞台でラップを披露するほどの芸達者です。彼らの源泉は西海岸のアッパーな黒人ヒップホップ・アーティストになるでしょう。特に悪名高きシュグナイトの蛮行はストレイト・アウタ・コンプトンウェルカム・トゥ・デス・ロウでも詳らかにされています。また、現在ハリウッドで大活躍しているアイス-Tも実在する超有名ギャング団クリップスの「ハスラー(ギャングの中でも頭脳労働をする人)」だったことが知られています。

敵対組織/無個性が個性~DOUBT

九龍グループ直下で、女性をさらって売り飛ばす極悪非道な集団です。その性質上「SWORD」のWhite Rascalsとは犬猿の仲となっています。本作ではMIGHTY WARRIORSの下部組織として、中心メンバーですら薄い印象しか無い、人数だけはやたらと多い「ショッカー戦闘員」役を担っています。

MIGHTY WARRIORSとDOUBTの拠点はSWORD地区から河を挟んだ北東側、実際の関東に照らし合わせると、江戸川の対岸で千葉県になるでしょう。

中央にある空白の謎

SWORDたちの5区画は中央にあるスペースを、それぞれ含まずに形成されています。ここは東京で言うと千代田区になります。霞ヶ関のある官庁街ですが、不可侵である理由はおそらく、“やんごとなき”御方の住む場所、つまり「皇居」のある地区だからでしょう。

“ニッポン製不良映画”最新モード

劇中に登場するグループそれぞれの元ネタになったヘルズ・エンジェルスやチカーノ・ギャングらが実際に敵対組織と抗争になった場合、必ず銃撃戦が起きます。しかし「HIGH & LOW」世界では基本的に殴り合いでの戦いになります。

これは架空とはいえ舞台を「皇居」の存在までにおわせた“東京”とした所以でしょう。銃器規制の厳しい日本では、ヤクザ同士の抗争ですら弾丸をばら撒く銃撃戦は滅多に起こりません。本作でも基本はステゴロで、武器も鉄パイプや特殊警棒など殴打用が中心になります。柳葉刀はもちろん、ナイフですら劇中世界では「卑怯」な印象を与えます。

これらの設定は石原裕次郎が主演した青春映画から、近年の「ビー・バップ・ハイスクールシリーズや「クローズ ZEROシリーズへ連綿と受け継がれてきた由緒正しい“ニッポン製不良映画”の系譜と言えるでしょう。

しかし、本作ではそこから更に踏み込み、進化を遂げています。巨大なスクリーンを埋め尽くす、100人は下らない大人数が一斉にケンカを始めるという、大スペクタクルが繰り広げられるのです。しかも、その個々の戦いで、SWORDメンバーそれぞれのカラーを出した色とりどりな格闘技が披露されます。

山王連合会のオールド・スクールな殴り合い。White Rascalsの武器を使った切れのある打撃戦。鬼邪高校はフーリガンの様な暴動を見せ。Rude Boysが混戦の中を飛び回りかく乱します。達磨一家が間接技を決めながら転げまわり。MIGHTY WARRIORSはMMAの打撃スタイルでSWORDたちをはじき飛ばしていきます。

『HIGH & LOW THE MOVIE』は様々な格闘スタイル、様々な不良スタイルのショーケースになっているのです。

更に加えて、本作には大スペクタクルの大ケンカを枕に、ほとんどコントの域にまで達した、「もーええよ!」とツッコミたくなるほど繰り返される大友情話がクライマックスになっています。この歪で奇妙な構成は、“ニッポン製不良映画”の最新モードだと言えるでしょう。

そんな『HIGH & LOW THE MOVIE』、すでに続編の公開も決定され、更なる進化を遂げていくハズです! 見逃す手は無いかもしれないと、誰かが言ってると思いますよ! たぶん!

と、いうことでSAMURAI KUNG FU Out! Peace!

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  • はちまん
    1.0
    ドラマ部分が全部なくなったら、見られるかも。でもドラマのないアクションだけって、退屈だ。
  • YK
    4.0
    これは映画として、内容重視で見たらダメ ドラマ、漫画、SNS、オリジナルアルバム、飲食(THE BASE)、そしてその世界観を表現するドームツアー 他に類を見ないこの超エンターテイメントの中の一部として見たらお祭り感覚で見れて楽しかった あと、LDHファンの人以外もハマってる人も少なくなくてそういう面で成功と言えるでしょう 応援上映は参加できてないけどお祭りの一環としては良い企画だったと思う ちなみにEXILEの歴史に沿った内容が琥珀となり、龍也となり、九十九となり、コブラとなり描かれている
  • ミズキ
    3.0
    正直、こんなん作る金の余裕があるのならもっと違うのが見たいなー、っと思ってしまった作品。 ドラマシリーズからの展開はほとんどなくて、戦闘が少し大規模になったくらい。 現実感は全くない。 だが、その世界観にさえ、慣れてしまえば十分に楽しめる映画です。 悪くはないかな。
  • みたに
    1.8
    見ていてバカバカしくなって全部見るのがしんどかった。 琥珀強すぎて笑った
  • ひな
    3.3
    記録
  • etsumine
    3.0
    ストーリーに凝りがなくて退屈だった(眠気がすごい) 冒頭の設定紹介はアガった。というか、中身なくてアホすぎて笑った。そこからありきたりなストーリーが続く。窪田正孝とそのキャラクターがタイプすぎたから3点付けちゃう。これが“作画が良い”ってやつなんだ…よく分かった。
  • みるくてぃー
    3.8
    完全なるスモーキー目当てで内容は期待してなかったけど、面白かった。ソードが協力して戦う感じがとてもすき。
  • Reo
    -
    応援上映のノリで見るとめちゃくちゃテンション上がるし楽しい。
  • sat3tas
    -
    log
  • f
    2.7
    エグザイル感のゴリ押し。 琥珀強すぎてわらった笑
  • ゆっこ
    4.0
    実力派俳優とEXILEとアガる曲と半端ねぇ予算で作られた高クオリティな不良映画。戦隊ヒーローやアクション映画が好きな人はぜひ見てね!
  • くらぼっこ
    3.3
    中身はないけど楽しいという点において実質スポンジボブ
  • はらなつ
    -
    喧嘩ばっかりであんまり好きではなかった
  • mig
    3.0
    トーキョートライブからエログロとラップを抜いて、歌謡曲とエグザイル、それからときめくものい〜っぱい❤️を入れたらできた…。そんな感じ。 話し合えば解決するのにそれをしないのでおおげんかになる…。そんな感じ。 うわ〜〜この絵が録りたかったんやね!のシーンがたくさんあっていっそ痛快。 イーガールズの子が意外と可愛く見えました。面白かった。おたくにウケてるのがなんとなくわかった。わたしは男女厨だからそんなにハマらなかったけど。
  • へぶたん
    4.5
    いつの日からだろう。格闘アクション映画好きの間で「ハイローはヤバイ」という声がちょいちょい出始めたのは。とはいえザイルは好きじゃないんだよ。でも気になってつい見てみたらね…どハマりしてしまったあああああああ!!!ブルーレイまで買ってしまったああああああああ!!! 人をここまで熱くさせるハイローとは一体なんぞや!?説明してたらものすごく長くなるのでようつべでプロローグ見てください。いやほんとハマる人はプロローグ見ただけで「あかん…これ絶対ハマるヤツや…」となるんですよ!!特にヤンキー漫画黄金世代ならこーゆーのたまらんと思うよ!!私的には「クローズ」や「湘南純愛組」あたりの各勢力抗争や最強暴走族や最強の二人組とかのヤンキーエッセンスにヤクザや海外マフィアやマッドマックス要素までふちこんでるカオスっぷりです。そこに最強ヒップホップグループや最強暴走族初代総長まで絡んできて最終的に何百人クラスの超絶大乱闘ですよ。しかもアクションは日本アクション映画の中でも屈指レベル。特にハイパーヤンキーパルクールアクションと言われるルードボーイズの動画は必見なのでマジ見てください。そしてハマってください。ただアクションがすごいだけじゃないんだよ。格闘アクション映画を散々見てきたせいで殴り合いの完全決着が当然の身体になってしまった自分を恥ずかしく思います。殴った方の拳が痛いこともあるんだよ…そうじゃないんだ…ただ…いぎででほじいんずよおおお…!!琥珀さああああああああん!!!収拾つかなくなってきたので要約します。ザイルはやはり好きにはなれません。でもハイローは大好きです。それで全然よいと思います。
  • an
    4.5
    計4回鑑賞。 めちゃくちゃバカな映画。頭空っぽにして最高にハイになれる。 1回目鑑賞時は「なんだこいつら…なんでこんな訳わからん理由で喧嘩してるんだ…というかここ本当に日本かよ…」という感想だったが、三代目JSBの山下健二郎の顔が観たいがために2回目の鑑賞。 「相変わらずストーリーは意味不明だけど喧嘩シーンとかめちゃくちゃカッコいいじゃん…」と気づく。日本が舞台なのではなく、ここはLDH県EXILE市なのだ…と思えば現代ではありえない北斗の拳のような環境にも納得がいった。 山場の喧嘩シーン観たさに3回目鑑賞。「SWORDの祭りは達磨通せや」達磨一家最高じゃないですか…。日向さん……。 4回目、応援上映会に参加。ハイローはシャブ。「琥珀さァん!!!!!!!!!!」 ハイローは考えながら観てはいけない。頭を空にして最高なキャラ、最高な喧嘩アクションを楽しむ作品。
  • wim
    -
    🏍鑑賞記録
  • troy
    -
    「アクションは割と良かった」 ストーリーは微妙だけど、登場人物はキャラ立ってたと思う。 お、ARATA出てるじゃん→即死亡はちょっと変な笑いが出た
  • しょうへい
    5.0
    もう、配役もストーリーも言うことなし。 本当に面白かった。こはくかっこよすぎ。 つくももやばい。本当に見た後の鳥肌がすごかったからおすすめ!ドラマのハイアンドロー見てから見たほうがたのしめるかも。
  • ああああ
    5.0
    クライマックスのSPL2的な長回しにも驚いたけど時折挿入されるスコセッシ的俯瞰ショットに泣いた。 ワンカット長回しの影響で制限されてしまう照明を美術の一つとして処理する手腕にも脱帽。 ただ、おにぎり云々は余計だった。
  • ぴっけ
    3.8
    アクション映画で日本捨てたもんじゃないと心底感じました。凄い 勧めてくれた友人の「ハイローは二次元」という言葉は格言 脚本は置いといて、アクションシーンは観る価値ありです!!
  • yuria
    4.0
    いま日本で最高峰のアクション映画を撮ろうと思ったらLDHに任せるしかない、というぐらい良い身体と良い顔を持った男たちがぐるぐる回るカメラのパンに次々映し出され派手に喧嘩を起こすから、しばらくすると癖になってくる。欠点としては圧倒的男尊女卑の世界しか描けず、レディースは室内でおにぎり作って男の帰りを待つってしている部分が最もでかいがこのご時世そんなこと堂々とやる人も少ないので、やっぱりHIROの頭の中ってやばいなって思う。バカだから笑えて面白い。文芸坐の三作一挙上映に映画学科の友人6人で横並びで参戦して盛り上がったのも良い思い出。
  • ガチまゆちゃんねる
    1.9
    大人数での喧嘩シーン、味方の印とかなんも付いてないから敵か味方かわからなくなりそうやなっと考えていたら映画が終わってました。
  • うどーん
    2.9
    ストーリーは琥珀さんがずっとどうかしちゃってるだけという二の次以下でしたが、映像的には飽きないので楽しかったです。もっとアクションシーンだけでも良かったぐらい! 邦画でこれはすごいな…と思うアクションは、ドラマのシーズン1で出し尽くしちゃったかなぁと思ったり。初めてドラマを観たときはこれはすごい…って驚いたよ…。
  • kneee
    -
  • ふくちゃん
    3.8
    さすがEXILEの金力映画だ アクションは文句なしにすごい 最初のOP映像はかっこよすぎて邦画とは思えない どうしちまったんだよ 琥珀さん!笑
  • kuro
    5.0
    最高にテンションの上がる映画
  • dye
    5.0
    2016年の最高峰。人生を変えた一本。 起承転承転転結とか作品に横たわる深淵なテーマとかしゃらくせぇことは全部拳一つに吹き飛ばされました。 映画に必要なのは情熱! 以上!解散!
  • ナナセ
    3.0
    人多すぎて敵か味方か分からん とりあえず喧嘩するんやったら拳でせえ
「HiGH&LOW THE MOVIE」
のレビュー(1850件)