才能あふれる若き映画監督グザヴィエ・ドラン。何故人々は彼に惹き付けられるのか

2016.08.11
監督

映画と現実を行ったり来たり

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映画監督グザヴィエ・ドラン、FILMAGA読者の皆様の中にもファンの方は多いと思います。

8月6日に公開された『神のゆらぎ』に合わせ、初めて彼を知る方はもちろん、既にグザヴィエ・ドランワールドにどっぷり浸っているファンの方にも、彼の多岐にわたる活動をご紹介。その魅力をお伝えしていきたいと思います。

監督としての華麗なるデビューから現在までの活動

グザヴィエ・ドランは2009年、初監督作品『マイ・マザー』が第62回カンヌ映画祭にて上映され、19歳という若さで華々しいデビューを飾りました。

マイマザー

(c)2009 MIFILIFILMS INC

その後の制作作品は軒並み様々な映画祭で賞を受賞。世界中で上映され、今世界で最も注目されている若手映画監督の地位を確立しています。(以下制作作品と主な受賞履歴)

2010年『胸騒ぎの恋人』(第63回カンヌ国際映画祭、ある視点部門上映)

胸騒ぎの恋人

(c)2010 MIFILIFILMS INC

2012年『わたしはロランス』(第65回カンヌ国際映画祭ある視点部門上映、クィア・パルム受賞)

2013年『トム・アット・ザ・ファーム』(第70回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門上映、国際批評家連盟賞)

2014年『Mommy/マミー』(第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門上映、審査員賞)

今年2016年のカンヌ映画祭では『juste la fin du mondo/It's Only The End Of The World(原題)』がグランプリを獲得しました。

日本でも2017年の2月11日に公開が決定していますが、先日フランス版予告編が公開され、彼の作品ではおなじみのアーティスティックな映像美、これまでに無い豪華なキャスティングに注目が集まっています。

彼の受賞歴をざっと紹介しましたが、ご覧頂いた通り、2009年のデビューから、制作した全ての作品がカンヌをはじめ世界各国の映画祭にて上映、名だたる賞を獲得しています。

そして彼は2016年の現時点で26歳。現在はハリウッドデビューとなる次回作『The Death and Life of John F. Donovan(原題)』の撮影を行っており、日々進化を遂げるその才能に目が離せません

監督だけではない、溢れ出す才能

そんなグザヴィエ・ドラン、監督以外にもその活動は多岐にわたります。

自身の作品では監督以外にも脚本、制作、主演、編集、衣装、ヘアメイク、音楽を手がけ、エンドロールでは彼の名前がズラッと羅列されています。

色彩や音楽、各シーンにおける絵画的な画面の切り取り方へのこだわりはどの作品にも共通し、一つの映画作品の中にちりばめられた何十ものアート作品を観ているかのようです。

自身の監督作品以外でも幼い頃から俳優として活躍しており、映画やテレビ番組に出演していました。

昨年日本でも彼が主演を務めた『エレファント・ソング』が公開されています。

エレファントソング

(C)Sébastien Raymond

ドランは「この役は自分自身だ」と言っており、精神病棟で起きた失踪事件で周りの人間を言葉巧みに翻弄する青年を演じています。

母親との確執で心に闇を抱える青年が周りの人間を巻き込んでいく様子、彼の不気味ながらも寂しげな表情、ドランが自身の体験と重ね合わせて演じた役柄に、引き込まれる事間違い無しの作品です。

そして8月6日に公開された『神のゆらぎ』。

神のゆらぎ

(C)2012ProductionsMiraculumInc.

「自分が出演したい作品が無いので監督を始めた」と言う程に自身の出演する作品に対してこだわりを持つ彼が出演を熱望し、信仰する宗教と愛の間で揺れ動く青年の役柄を演じています。

グザヴィエ・ドランが自身の活動を通じて世界に伝えたいこととは?

彼は自身がゲイである事を公表していますが、上述した通りこれまでの制作作品においても自身の体験に基づいたものが多く、社会的弱者や、自分自身とは違う存在に対して理解を示す事(否定するのではなく容認する事)の難しさ、大切さが作品のテーマになっている事が多いです。

以下は2015年、『Mommy/マミー』の審査員賞受賞スピーチで彼が語った言葉の抜粋です。

誰しも自分が好むことをする権利があるにも関わらず、あなたのやることを嫌悪し、あなたを忌み嫌う人たちもいるでしょう。でも夢を持ち続けてください。そうすることで一緒に世界を変えられるからです。人々を感動させ、笑わせ、泣かせることで、人々の意識や人生を、ゆっくり変えていくことができるのです。政治家や科学者だけでなくアーティストも世界を変えられるのです。望むことに限界はなく、夢を抱き、挑戦し、努力し、あきらめなければ、どんなことでも実現可能なのです。

このスピーチからも彼の強い信念を感じる事ができ、何故これほどまで彼の作品が人々を惹きつけるのかが分かるのではないでしょうか。

『神のゆらぎ』はシネマカリテでの特別公開から全国順次ロードショーです。グザヴィエ・ドランがこの作品において、俳優として表現したかったテーマは何だったのか。そんな視点で作品を観てもおもしろいかもしれません。是非劇場で体感して頂きたいです。

 

『神のゆらぎ』についてはこちらの記事でも解説しています。ぜひ合わせてチェックしてみてください!
若き天才グザヴィエ・ドランが惚れ込み自ら出演を熱望!『神のゆらぎ』の秀逸な脚本

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  • おかっぱ
    4.8
    観た後もずっと考えていた。群像のひとつひとつを反芻しながら、未熟ながらも丁寧につなぎ合わせる作業をしていた。 それぞれの選択がひとつの結果に辿り着く過程が描かれている中で、エホバの証人が取り上げられていることにすごく移入して観ることができた。 「神はなぜ苦しみを赦しておられるのか」 聖書の知識として理解してはいるものの、この世界に生きている以上、その理解を超える感情が湧き上がる出来事と葛藤し、日々闘い続けながら救いを待つ彼らの描写。お互いを兄弟姉妹と呼び合う信仰で結ばれた家族。でもそこに疑問や反発は許されず、背けば斥ぞけられる。それでもその選択をした彼女はただ教えに従って生きるのではなく、本当の自分自身の選択をした。"血"を巡ってのそれぞれの葛藤が苦しかった。 人は生きていれば誰もが罪を犯す。その罪にどうやって折り合いをつけて生きるか、まだまだ結論は出そうにないけど、日々考えて生きないと。 今年観た映画で一番刺さった作品かも。 ドラン最高でした。
  • さえ
    3.8
    この映画で描かれる選択は、思いがけないところで誰かの人生を左右する。 愛する不倫相手と旅行を計画しなければ。夫婦円満のためにキューバ行き飛行機に乗っていたら。ドラッグ密輸の罪から逃れるために飛行機に乗らなければ。信仰に背き輸血しなければ…。 他人と自分が、どう交差しているのか。面白い焦点だと思いました。 輸血のできない宗教観について目に付きがちになりますが、あくまでも他人を左右する自分の選択がテーマで主軸となる映画です。 人の考え方は無限だということを表しているのではないでしょうか。 ゆっくりとでも確実に一点へ収束するストーリーに、どうエピソードが混ざり合うのか、とても集中して見ることができました。
  • Nodoka
    3.5
    宗教の理由で病気なのに治療できない、ちょっと信じられないような内容だった 本人は生きることを諦めているけど、恋人は彼にもちろん生きていてほしいわけだし そこの意見の食い違いが生まれてしまう 現実では考えられなさすぎて入り込めなかったかもしれない でもドランの演技はやっぱりすごい 監督してもすごいのに、あれだけ演技できるなんてずるい 観客を引き込む才能とカリスマ性をひしひしと感じる
  • saori
    3.6
    信じるってどういうことなんだろう。
  • ぴろもーど
    3.5
    マミー鑑賞以来、グザヴィエドランのファンです。 グザヴィエドラン監督の作品かと思いきや、監督は別人なのですねw グザヴィエドランは主演でした。 今作、考えさせられるとかではないんです。 今作は、感じさせられると言いますか。訴えかけてくるんですよww ---飛行機が落ちた。 墜落したキューバ行の飛行機。 その機に乗るまでの人々を描きつつ、主軸であるのは白血病になった主人公の婚約者に輸血をしたいがしてはいけないというエホバの証人である看護師です。 軽はずみで観る作品ではない。
「神のゆらぎ」
のレビュー(2028件)