本当に作りたかった映画に限って日本劇場未公開…そんなマイケル・ベイ新作がリリース

2016.09.08
監督

気づいたら映画ファンになっていた

松平光冬

超メガヒットシリーズ「トランスフォーマー」に代表されるように、とにかくド派手なアクションや爆発シーンがてんこ盛りな作品を多数発表しているマイケル・ベイ監督。

プロデューサーとして参加した最新作の『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影<シャドウズ>』も、4匹の亀忍者が目まぐるしく大暴れする安心安定のベイ作品となっている。

タートルズ

(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

そんなベイが監督した最新作『13時間 ベンガジの秘密の兵士』のブルーレイとDVDが、9月7日にリリース&レンタルされた。

「あれ?そんな映画あったっけ?」とピンとこない人がいるのも理解できることで、実は日本では劇場公開されることなくDVDスルーとなってしまった作品なのだ。

マイケル・ベイ版『ローン・サバイバー』

『13時間 ベンガジの秘密の兵士』

ベンガジ

この作品は、2012年9月11日に中東国リビアの都市ベンガジで起きた、イスラム過激派によるアメリカ領事館襲撃事件を映画化したもの。救出に駆けつけた6人の元特殊部隊兵士と、テロリストたちによる13時間の攻防戦を描く…という、戦場ものだけあってベイ作品にしてはかなり骨太な内容となっている。それまで頑なまでにフィルム撮影にこだわっていたベイが、夜のシーンを際立たせるためにデジタル撮影を取り入れたのも特徴。

また本国アメリカでの公開時は、オバマ&ヒラリーの民主党体制を批判した内容だとしてちょっとした物議も醸した。

キャスト陣の大半が無名ということと、アメリカでの興行成績が今一つだったことなどから日本での劇場公開が見送られたようだが、『ローン・サバイバー』や『アメリカン・スナイパー』などにひけを取らない実録戦争ドラマとしてチェックしてみるのもまた一興かも。

ブラックユーモア満載なもうひとつの未公開監督作品

日本ではDVDスルーとなったベイ監督作品は、実はほかにもある。

2011年の『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』の次に撮られた『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』がそれ。

『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』

ペイン

退屈な毎日を送っていたマイアミのスポーツジムのトレーナーが、同僚や友人を巻き込み、金目当てに裕福なジム会員の誘拐を企てようとするという、実際に起きた誘拐強盗事件をベースにしたクライムドラマ。

バッドボーイズ』シリーズを思わせるバイオレンス描写が満載だが、実行犯3人の突出したマヌケぶりが巻き起こすコメディ要素も盛り込まれているのが特徴。特に、実際に犯したという犯罪行為のシーンで「これでもまだ実話」というテロップを出すという、ブラックすぎるにもほどがある演出を盛り込むあたりが、ベイらしいというかなんというか。

ベイ自身、この作品の構想自体は2000年頃からあったものの、『トランスフォーマー』の製作に参加したことで延び延びとなっていた。それでもどうしても作りたいという思いから、自身の監督作としては最も低予算の2200万ドルで製作(なお、この次に撮った『トランスフォーマー ロストエイジ』は製作費2億1000万ドル、『13時間 ベンガジの秘密の兵士』は5000万ドル)。

DVDの特典映像でこの作品に対する並々ならぬ思いをベイ自身が語っているあたりからも、彼の本気度がうかがえる。

他にもいる、自分の作りたい映画をローバジェットで撮った監督たち

超大作を作る合間にポツンと小規模な作品を撮る監督は、何もマイケル・ベイだけではない。

今やアメコミヒーローの代名詞となった「アイアンマン」シリーズで大ヒットを飛ばし、最新作の『ジャングル・ブック』も話題の監督ジョン・ファヴロー

彼もまた、2011年の『カウボーイ&エイリアン』の次作として、インディペンデント体制で『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』を監督している。

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

シェフ

(C)2014 SOUS CHEF,LLC. ALL RIGHTS RESERVED

大規模な製作費を投じたにもかからわず、批評的にも興行的にも芳しくなかった『カウボーイ&エイリアン』の失敗を取り戻そうとするかのように(ファヴロー本人は否定するも)、自身で一から企画を立てて、なおかつ主演も務めた意欲作として高く評価された。

『ビッグ・アイズ』

もう一人、『アリス・イン・ワンダーランド』や『ダーク・シャドウ』といったディズニー製作の大作を立て続けに撮っているティム・バートンも、非ディズニー体制で『ビッグ・アイズ』を監督。

アイズ

(C)Big Eyes SPV,LLC

コレクションを豊富に所有し、交際していた当時の女優リサ・マリーの肖像画を描いてもらう程のファンで、プライベートでも交流のあった画家マーガレット・キーンの半生を、バートンはリスペクトを込めて描いた。

ジョニー・デップヘレナ・ボナム=カーターといったおなじみの常連キャストが出ていないことも、バートンのパーソナルな面がより際立った作品となっている。

監督自らが作りたいと思う作品の多くは、内容的にも難しかったり、テーマ的に商業的成功が見込みづらいとして実現するのに時間がかかることが多い。だからファヴローやバートンのような著名な監督でも、上記の作品を作るにあたって自ら資金集めをしている。

“爆発大好きおじさん”マイケル・ベイにもっと光明を

ただ、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』も『ビッグ・アイズ』も、日本ではちゃんと劇場公開されているのに、マイケル・ベイのローバジェット作品だけ立て続けにDVDスルーされているのはちょっと悲しい。

確かに彼の作品はアクが強いので観る人を選ぶ感じがあるし、評価も「外面だけ派手で中身がカラッポ」と揶揄されることが多い。

おまけに言動も自意識過剰だったりする。『トランスフォーマー』のDVDコメンタリーでは、「『ダイ・ハード4.0』で出てくる戦闘機のF22はニセモノだが、僕は『アルマゲドン』でアメリカ空軍とのコネができたから、ちゃんと本物を撮影できたんだぜ」という、聞いてもいない自慢話をしたりする。

でも、そうした大人になりきれないヤンチャな子供っぽさが、本人及び彼の作品の魅力だったりする。

『13時間 ベンガジの秘密の兵士』にも爆発、破壊、そしてカーアクションシーンがある。実際の事件を鑑みればシリアス方向に作ってもいいようなものの、そうした派手なシーンをあえて盛り込むあたり、これはもうベイの作風として認知すべきといえる。

次の監督作『トランスフォーマー:ザ・ラスト・ナイト(原題)』を経ての、マイケル・ベイの作家性が発揮された新作に早くも期待したい。

(C) 2015, 2016 Paramount Pictures.

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  • Fshi
    3.9
    amazon
  • shuma
    3.5
    日本はどれだけ平和なのか。
  • Hayato
    4.3
    記録 ciaの過酷さ、それぞれにそれぞれそれの思惑。
  • チョップさん
    4.2
    お腹が痛くて眠れないのでしっかり見ちゃった。 他の軍事物よりもかなりリアルに感じた。いつも見ているものはどこかSFじみているというか、別世界で起きているような感覚に。 と思って調べたら実在する事件を元に作られているんですね。 こんな事が同じ地球の自分が生きている時に起きているかと思うと、本当に平和に過ごさせて貰っているなと思う。 暑い、寒い、疲れた、そんな事を言って居られる幸せ。 ああ、明日も仕事張り切って頑張ろう!
  • tom
    3.6
    実話の迫力! チーフなにやってんねん と公開後に言われそう。 やばい、パールハーバー以外 ベイ作品全部観てた。
  • nicole
    3.0
    チーフがムカつく
  • Chiho
    3.6
    目が話せない緊迫感があり、ドラマティックな脚色が少ない作品かなと。 やはり実話ベースなのが良い。 しかし 展開が早く登場人物が多いので誰が誰だか分からない。
  • ヨッシー
    3.1
    あのマイケル・ベイが実話を基にした映画を撮った!と聞くだけで興奮するじゃない?惹かれるじゃない? 結局実話だろうがなかろうが、やってることは普段通り。爆発🙌米軍🙌スロー🙌色っぽい姉ちゃん🙌重火器🙌車🙌あとは、爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発(以下略)また、度重なる試練での緊張感も凄い。いつ攻めてくるか解らないからね。 前半の無駄話なんて聞くんじゃねぇ!と云わんばかりの激しい戦闘シーン。しかし、暗闇の中繰り広げられすぎて正直何してるのか解りづらい。 監督の人気シリーズ「トランスフォーマー」を意識してると車が出る度に変身しないか別の意味でドキドキする。これはしょうがない。 人間不信な髭ゴリ共がとにかく撃ちまくってくれれば良いものの、やはり実話、それも他国での出来事であるが故に、少々抑えてた気がする…………オレ流なベイに実話映画はただの縛りにしか思えない。 本当に戦闘シーンは中々エグいもので敵味方解らない極限状況下での心理的不安も描いていて良かったが、日常的な場面がかなり退屈。呑気に家族と連絡を取るシーンは1人だけならまだしも、主要キャラ全員分描くのはハッキリ言ってうざい。そこに家族から引き剥がされる心の葛藤があればいいのに、戦闘中は家族について考えるシーンは皆無。おまけに贅沢なCGを使うわけでもないので、斬新な映像表現は無く、とにかく銃ぶっぱなしてる。 約140分近くと中々の長尺だが、かなり長く感じてしまった辺り、あまり楽しめなかったのだろう。いつものベイ映画とは少し違うので注意。ラストもイマイチ。この手の作品は「ローン・サバイバー」の方が断然オススメ!
  • ezfm
    3.1
    みんな髭で見分けがつかなかった。 実話なので緊迫感はあったけど長い。
  • jnk
    3.5
    この作品の中で映画イノセンスオブムスリムとそれに抗議したデモの話が出てくるあたり、ある程度国際的に配慮したポーズは見えるけど、まあ総合的にはいつものマイケルベイバランス。 ただ、ちゃんと戦場の事を見せないで皮肉かますより、真面目に何かを信じてる人がやりすぎてる方が面白いし、その方が問題点も浮き彫りになりやすい。 マイケルベイの特徴である意味不明な戦闘シーンとフッテージ風の映像を交えた編集、揺れ動くカメラとチラッと映った時に見える人体切断描写、もろもろこの手の実際にあった戦場映画にマッチしてる。 なによりマイケルベイ映画を見た後の虚脱感はイラク戦争からこっちの「私達は何と戦ってるんだろう」という雰囲気にぴったり!
  • どみ
    4.0
    アメリカンスナイパー的な要素がちらほら 緊迫感もすごく良い感じでした
  • まー
    3.5
    マイケル・ベイ監督安定のクオリティ。面白かった。 ただ、ハリウッドの嫌なとこ…ブラックホークダウン然り、アルゴ然り、一方的なのは相変わらず。 得体の知れない怖い敵がうじゃうじゃ、アメリカは悪くないのに、襲ってくる。冒頭の説明だけだとそう見えてしまう。 問題となった映画の描写も一瞬だし。
  • TheGEARTH
    -
    マイケルベイ版「ブラックホークダウン」 実話物としても面白いし やっぱりマイケルベイだな〜ってところ満載。暴力描写もなかなかすごい。 しっかりカーチェイスまで出て来てさすがだなと。 特殊部隊ものとしてよくある 超男子部室感もマイケルベイにぴったりだったなと。 誰かよくわからないまま戦って 誰かわからないまま死ぬ。 そんなの嫌だよ
  • ハリー
    3.5
    ジャンボーってサイン出すまでは誰が味方か敵の区別がつかないなんて怖すぎるよー(^_^;) 6人の精鋭部隊強し。
  • HitoshiAoki
    4.0
    実際の事件に基づく映画。 映画では描かれて無いものの、預言者ムハンマドを中傷する内容の映画への反発が発端となり、暴動から領事館襲撃へ発展してしまいます。この隙あらばすごいスピードで徹底的に暴力に訴えてくるあたりイスラム教を丸ごと批判するつもりは無いけど、野蛮過ぎやろこいつらと思いつつ、脱出への闘いが始まる! 支援の望めない孤立した状況で、現地の友軍の混乱の中言葉も通じないから、誰が味方か誰が敵か分からない状態で戦闘になります。今すれ違ったあいつにいきなり撃たれるんちゃうかみたいな。 この緊迫の修羅場をトランスフォーマーの監督がスリリングに表現してます。 おっかない。暴力反対すわ。
  • クニオ
    4.5
    大使館や基地を襲う人がいたり、アメリカ人と共に戦う人がいたり、戦闘してるそばでスポーツ中継を観てる人がいたり、通訳として仕事してる人がいるけど、敵味方がパッと見でわからないのが怖い。
  • che
    3.8
    緊張感を感じます
  • deepsky
    3.8
    良かったよ
  • kazuki
    4.0
    記録
  • いわけん
    3.5
    全員ヒゲで誰が誰やら。
  • ぶん
    3.6
    なかなかの緊張感。 危うい状況の中に皮肉ユーモアを忘れないのは、やっぱりアメリカ兵だからなのか、ちょっと安心して観ていていいのかなぁーなんて思っちゃうけど、いやいやかなりの激戦でした。 ゾンビランドって言うけど、あの武装集団はゾンビよりかなり怖くて不気味。 でもって攻撃して良いのか悪いのか、本人達が敵味方を見ただけじゃ分からないって言ってる位なんだから、観てる方はもっと分からなかった。 最後は、敵とされた彼らにも悲しむ家族が居るんだよなぁーと戦争の愚かしさを再認識した。
  • マリアンヌ
    3.4
    秘密の兵士「た・い・し・かん!… おっ✨(°o°C=(_ _;セーラー服と機関銃の薬師丸ひろ子さんの言い方まねただけでしょ‼️
  • えりみ
    4.2
    WOWOWで。 ホンマに爆発させるマイケル・ベイ大好き♪ 実話系戦争アクション映画なのにビデオスルーってどういうこと!?CIAをディスり過ぎて圧力かけられた? 誰かが忖度(そんたく)した?? 襲撃応戦の13時間どころか襲撃前から丁寧に描くので2時間以上の大作(?)に。 規模の小さいブラックホークダウンって感じ。 民間軍事会社G.R.S.のメンバー6人が孤軍奮闘。 拳銃から重火器、最新型からカラシニコフまで様々な銃器が登場するので戦争アクション好きは飽きない。しかしここで迫撃砲の威力を体感することになるとは((ノ゚⊿゚)ノ しかし天下のアメリカが「予算不足」を理由に世界有数の危険地域に護衛無しで大使を送り出す、っていう有り得無さに目が点。CIAと軍が連携してないってのも「お役所仕事」って洋の東西を問わず縦割りなんやなぁ、と。 シールズを出てようがデルタフォース上がりだろうが軍のエリートも退役すればタダの人。戦場以外じゃ稼げないっていうのも切ない。 敵味方の区別がつかない中での防衛戦って怖いやろうなぁ。全然懲りずに何べんも攻めてくるし。 実話ネタだけにエンドロールでその後と本人映像アリ(一部顔が消されてた)。 腕がもげた人、ちゃんとくっついたとのことで良かった、よかった。 CIAのチーフはホンマに退職時に勲章貰ってるだと!(`Д´) 「ロンとグレンに捧げる」の最後が泣かせる(><)
  • Roxmaster
    3.2
    記録
  • onitan99
    3.8
    戦闘のリアル感がよかった。
  • うのすぱー
    4.0
    銃撃戦が始まってからの緊迫感臨場感ハンパじゃない。極限の状況の中生き残り家に帰ることができた隊員達と、 敵として描かれ殺された人々の家族が悲しむシーンはとても印象的でした。 でもなによりも、映画だから誇張された可能性もあるかもしれないけどあの左手が手術によって回復した事実に一番驚き。
  • ヒラツカ
    2.9
    ・マイケル・ベイのアメリカ至上主義な感じは ・フィクションだからまだいいけど、 ・実話原作でもやられると、なんかなあ
  • ハンコ課長
    3.0
    情勢不安な国の大使館が襲撃され、それを食い止めようとする兵士たちの戦闘アクション。 周り敵だらけの四面楚歌の状況が『ブラックホークダウン』を連想させる。 しかし平和を訴えるといいつつ、ノコノコとやって来る大使がお花畑過ぎて笑えない。 銃撃戦迫力ありました。 迫撃砲って凄い頼りになるんだって実感できました。 しかし軍用改造されてる車って半端なく頑丈なんだね。何発撃たれても走り続ける。
  • c3po
    3.0
    記録
  • おかトム
    3.3
    マイケルベイ監督ということでどういう風に実話を描くのだろうといろんな構想、妄想を膨らまして、観ました。 ドキドキの臨場感。生と死の駆け引きなど緊張感、伝わる作品。はじめに実話です!というテロップが流れたのが、かえって引き込まれる容易になったと思います。フィクションだとあり得ない演出もあったりするものですし。 オススメの実写映画の1つ。もっとたくさんの人に観てもらいたい。
「13時間 ベンガジの秘密の兵士」
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