ただのアニメ映画と侮るなかれ!『聲の形』はリアルな心情を描いた、究極の人間ドラマ

2016.10.09
アニメ

悩んだ時は、とりあえず映画

やのしん

公開から1ヶ月以上が経過した現在でも、連日話題になり続けている『君の名は。』。興行収入では『風立ちぬ』の120億円を超えて、邦画アニメで歴代5位にランクインし今もなお話題の映画となっています。

そんな『君の名は。』の裏で、密かに(!?)話題になっているアニメ映画、『映画 聲の形』。「別冊少年マガジン」から始まり、「週刊少年マガジン」で連載された大今良時によるマンガを映画化した本作。

イラストだけ見ると今風の青春アニメなのかなと思う方もいるかもしれませんが、"身体障害""いじめ""罪悪感"を始めとした非常にシリアスなテーマをもとに、「過去の過ちとどう向き合うか」「友達とは何か」「人と理解し合うことの難しさ」について非常に考えさせられる作品です。

聲の形 ポスター

主人公たちの現在(高校生)と過去(小学生)が舞台となっているので、自分自身の過去の体験と照らし合わせながら共感する点、改めて考えさせる点も多いはず。そんな本作の見どころを、かいつまんで紹介します!

『映画 聲の形』のあらすじ

聲の形 シーン1

マンガから始まった「聲の形」

冒頭でも紹介したとおり、「聲の形」はマンガを原作としたアニメ映画です。聴覚の障害という難しいテーマを扱っているだけに少年誌へ掲載するまでもスムーズにはいかなかっという本作。

それでも読み切り版を経て、2013年より「週刊少年マガジン」で連載が開始。2015年にはマンガ大賞で第3位に、(1位は「かくかくしかじか」2位は「子供はわかってあげない」)『このマンガがすごい!2015』オトコ編 では第1位になるなど、大きな反響を呼びました。

そんな同作が、山田尚子監督(『映画 けいおん!』など)のもとでアニメ映画化されたのが『映画 聲の形』です。

『映画 聲の形』のストーリー

物語の中心にいるのは、石田将也と西宮硝子という2人の高校生。

2人は小学6年生の頃、将也の通っていた学校に硝子が転校してきたことによって出会います。聴覚に障害を持っていた硝子はクラスで徐々に浮いてしまい、主に将也からいじめられる存在に。

それをきっかけに硝子は学校を転校。将也もその罪を自分1人になすりつけられ、今度は自分自身がいじめの対象に。次第に周りの同級生と上手く関係を築けなくなり、孤立していきます。

そんな小学生の時から5年が経ち、高校生になって再会する2人。当時の同級生をはじめ個性的なキャラクターとともに、過去の過ちを含め様々な「人間関係」に関する問題と向きあっていくというストーリーです。

とにかくリアルに描かれる、登場人物の心情や行動

聲の形 シーン3

この作品は将也と硝子を始めとした個性的なキャラクターと、彼ら彼女らの非常にリアルな心情と行動が大きな特徴です。

例えば序盤に描かれる小学生時代のシーン。障害を持つ硝子に対する言動は、胸が痛くなり思わず目を背けたくなる箇所もあります。「ここまでやるのか」そう感じる方もいるくらい、とにかく容赦ないです。硝子が転校してしまった後も同様で、お互いの罪のなすりつけや、それまでは友人と思っていた人物からの冷酷な仕打ち。過去に似たような経験がある方は辛い思いをされるかもしれませんが、それほどまでにリアルに描かれています。

だからこそ、余計に共感してしまう部分や思わず感情移入してしまう部分も多々あるのではないでしょうか?

「罪滅ぼし」「罪悪感」過去の過ちとどう向き合っていくのか

聲の形 シーン2

この物語の大半は、高校生になってからの将也と硝子を中心としたキャラクター達の日常が舞台となります。

そこで大きなテーマとなっているのが、将也が「過去の過ち」とどのように向き合っていくのかということ。硝子と会話をするために手話を覚え、硝子がいる場所に頻繁に通う将也。硝子のために、硝子が会いたがっていた1人の同級生を探して一緒に会いにいく将也。

周囲の人間からは「自分を満足させるため」「偽善者」「罪悪感」と言われ、何度も悩みながら毎日が経過していきます。

一度も"失敗をしたことがない""人を傷つけたことがない"という人はほとんどいないのではないかと思いますが、その失敗・過ちとどう向き合い、どのように乗り越えていくのか。そう簡単なことではありません。

将也や登場人物の様子、セリフの1つ1つがとても身にしみます。

お互いを理解するということの難しさ

聲の形 シーン4

そして最後にストーリー全体を通して改めて感じさせられるのが、お互いに気持ちを伝えること、お互いに理解し合うことの難しさです。

過去の同じ出来事に関してもそれぞれが別の見方・捉え方をしていて気持ちが通じ合えないことは日常的にもありますよね。今作でも「過去のいじめ」について、各々が違った捉え方をしていて衝突が起こります。

「あなたもわたしのことを理解しようとしていなかった」という趣旨のセリフが非常に印象的でしたが、相手のことを理解しようと思っていても実はそれができていなかったこと、伝わってなかったこと。多くの人が日々直面しているであろう人間関係の難しさを感じるシーンが、何度もありました。

これについては公式サイトに掲載されている漫画家・諫山創氏のコメントが非常に共感できたので、引用させていただきます。

原作を読んだ時に、すごく心をかき乱されました。
人間というのは人のことを完全に理解したと思っていても、全然わかっていなかったりする。「聲の形」は普遍的なテーマを描いていて、誰にも思い当たる部分を突き付けてくる。
自分が変えられてしまう怖さを感じる作品でした。
(漫画家・諫山創氏のコメント 『映画 聲の形』公式サイト より)

難しい問題と向き合っていく中での成長

聲の形 シーン5

ここまで紹介してきたように、『映画 聲の形』はそのイラストに似合わず非常にシリアスなテーマを扱った作品で、最後まで「人間関係」について考えさせられる内容です。

だからこそ「普段はアニメはあまり見ない」というような方にも見て頂きたいですし、約2時間のお話の中で共感できる点、見て良かったと思える点があるはず...。

難しい問題に直面した登場人物がそれとどのように向き合い、成長していくのか。是非その様子をご覧になってはいかがでしょうか?

(c)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS
  • ryofilms
    5.0
    記録
  • かおり
    2.8
    聾者の映画ってどんな映画だろ?しかもアニメだし 観てみたら意外と音楽も映像も良かった!あんな青春いいなぁー
  • にんじ
    3.5
    主人公は誰なのか
  • yayaya
    4.2
    号泣。 ちょっと音楽は個人的に合ってないと思うとこも。 色々心苦しかったりするけど、うん、また見たい。
  • FUKI
    2.8
    同時期に公開されていた君の名は。の流れで。
  • toyomiskngk
    3.9
    記録用
  • 藤本礼
    3.6
    原作大人買いした。
  • Mizuki
    3.5
    めちゃくちゃ良い映画やのに、終わり方が微妙すぎた… 終わり方も良ければ4.5あげたいくらい。
  • ぴよ
    4.5
    こういうことはあるだろうなと思った。 障がいについて美化して伝えるものはたくさんあるだろうけど、目をそらしたくなるような現実や絡まってしまった周囲との関係などをしっかり伝えていて良かった。 見ていて辛くなるところもあった。
  • マングローブ
    3.9
    人間関係の距離感を間違えて傷付く少年少女 手話の描写が細かくて良かった ふとしたシーンでいろいろ思い出して泣いてしまった
  • China
    -
    記録
  • よしき
    2.5
    映画だけで見るのであればすごくいい作品だと思いますが、マンガを読んでいるとこっちの方がわかりやくすなっているので微妙かなーという印象です。 ただ泣けます笑
  • ミカ
    -
    かたち
  • manners林
    5.0
    心に傷がある人にほどオススメします。
  • わい
    3.6
    普通によかったです! ナガシマとか出てきておー!ってなりました笑 特に最後のシーンが大好きです ただ、川井さんが最後までイライラする存在でした笑
  • レスリー
    3.4
    ほぼ予備知識無しで見ました。 冒頭でThe Whoの「My Generation」が流れ、明るい青春映画かと思ったら、とんでもなかった。 せつない。。。。。 小学生時代の出来事を高校生まで引きずるものかな。 多感な時期の少年少女が、わからなくなってしまっているおじさんです。 こうやってみんな大人になっていくんだね、と軽く言えない雰囲気もあった。 エンディングのAikoの歌でなぜかホッとした。
  • ぱるこ
    3.5
    前半部分はなかなか辛いものがあるけど、心を閉ざす描写は分かる〜!って感じだった。 ふたりのすれ違いがもどかしくもあったけど、結果ほっこりさせられた。
  • あるく
    4.0
    明確なハッピーエンドを求めているならこの作品は役不足になるだろう。 ただし主人公やヒロインの心情を見事に手の動きや間の取り方で表現していると思います。 手話をよく知らなくても心動かされます。 ラストは客観的に見ると分かりづらいですが、主人公視点で見ると世界が180°広がった感じになります。 私は好きです。 追記 冒頭部分は漫画を読んでいないと置いてかれた気分になるでしょう。 漫画を読んでると綺麗にまとまってると思うでしょう。
  • しおこんぶ
    4.6
    最後のあのシーンで一気に涙が溢れてきました。 ただ、途中イライラしてしまうところがあったのが少し残念です。
  • yukina
    3.1
    aikoの歌う主題歌が好きで見にいった。君の名は。と異なり終始重たい空気はあったものの全てが綺麗に終わり過ぎる君の名はよりこちらの方が個人的には断然好み。
  • take
    3.7
    記録
  • elmornin
    3.0
    記録
  • 龍侍
    4.1
    漫画読んでからの鑑賞。 映画なりの進み方で、私は好きでした。 過去の事が邪魔して、踏み出せないとか。 死って何か生物の死骸の写真を撮るとか。 それが人間って感じで、泣けました。
  • 黒蜜きなこ
    5.0
    人間関係で悩んだ時、元気でる
  • いざわ
    5.0
    丁寧に削り出した世界でふわーっとゆっくり浮かんでいる瞬間と、自分が生きている世界を押し広げられる瞬間がもう本当に好きだ。
  • tonton88
    -
    映像も音楽も気持ちいいのに、とげとげ、チクチクくる感じ。 いい映画でした。
  • ゆきぴ
    3.7
    aikoの曲がマッチしていい。漫画が読んでみたくなった。
  • ばっち
    4.1
    映画化してよかった! いろんな感想わくけど、しょうこがかわいんだよとにかく。
  • mocco
    3.5
    ひとり映画館デビュー作。不器用さが心に刺さる映画。冒頭がおしゃれだし、aikoだし、アニメ界先進感がありました。顔に×がついたりはがれたりの演出がすごくよかった。心を閉ざす描写、わかるわかるよ~ってなった。 新海作品もそうなんだけど、アニメのほとんどにある独特な味…というか中二病感?ナルシストっぽさ?がぬぐえないのはなんでなんだろう?アニメを全く見ずに育ったので、その異質な空気がどうしても苦手。みんなはそうでもないんだろうか~子供向けにつくったものはぜんぜんうさん臭くないのにな~
「映画 聲の形」
のレビュー(12052件)