常識破り!ダークでホラーなクリスマス映画『クランプス 魔物の儀式』

2016.12.23
洋画

劇場未公開作品を愛してやまない田舎人

フレスコの傘

1年に1度の大イベント、クリスマス。聖なる夜に悪いことなんて起きやしないと思っていませんか? 

10月5日よりレンタルが開始された『クランプス 魔物の儀式』は明るく楽しいクリスマス映画ではなく、80年代のホラー映画のスタイルと精神で作られたクリスマスのダークな側面を描いた作品です。

クランプス

(C)2015 Universal Studios.All Rights Reserved.

今年のクリスマスには、ぜひともこのちょっぴり変わったクリスマス映画を鑑賞してみてはいかがでしょうか?

『クランプス 魔物の儀式』あらすじ

少年マックスの家では今年もクリスマス・イブに親戚が集まった。いとこにサンタへの手紙を見つけられた挙げ句、その内容をみんなの前で暴露されたマックスは悔しさから手紙を破り捨ててしまう。

すると翌朝から豪雪が降り続き、彼らは家の中に閉じ込められてしまう。やがて、不審な物音に皆が怯え始めるなか、マックスの祖母オミは静かに語りだす・・・。

この話をする時がきたわ。始まりは、嵐の夜だった・・・

クランプスとは?

タイトルにもなっているクランプス( Krampus)とは、ドイツ、オーストリア、ハンガリーなどの一部の地域に古くから伝わる伝説の怪物のこと。子供たちにプレゼントを与えるサンタとは正反対で、悪い子供たちを罰するために存在する、言わばサンタの影のようなものです。

クランプスの伝説はクリスマスより古いと言われていますが、一説ではサンタやクリスマスに対抗して17世紀に生まれたとも言われていますし、その逆でクランプスに対抗してサンタが作られたとも様々な説が存在しているようです。

アメリカではこういったクリスマスの暗い側面が浸透していないためか、本作は大変ウケが良かったそうです。

Wetaワークショップによる魔物たちの造形がすごい!!

クランプスとその手下たちの造形は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや「ナルニア国物語」シリーズなどの特殊メイクやミニチュア製作を手掛けたWetaワークショップの職人たちの手によって緻密に作り上げられ、非常にクオリティの高いものに仕上がっています。

全てにおいてCGを使うのではなく粘土、石膏、ゴム、ラテックスなど初期の映画で使われた旧式のフィジカル・エフェクトを使用することで、生き生きとした魔物たちの姿を楽しめる点には注目して欲しいところ。

衣装ももちろんひとつひとつ手作りで、特にクランプスが羽織るサンタをイメージした巨大なガウンは圧巻。なんでも約30メートルの手染めした重いベルベットで作ったそうで、芸術的な美しさを放っています。こういった魔物たちが身に着けている衣装や小道具なども細部まで凝っているので、ぜひじっくりと観察していただきたいです。

また、魔物たちのリアリティ溢れる動きも必見! 熟練の人形師たちが、手動や棒を使用した単純な技法のみで生み出すその動きは、CGでは絶対に出せないものです。違和感のない動きと、どこか懐かしささえ感じる魔物たちの描写には誰もが釘付けになるはずです。

でも一番怖いのは・・・

大きくて邪悪なクランプスももちろん恐ろしいのですが、マックスの母親を演じたトニ・コレットの絶叫顔もそれに負けないくらい怖い。本当にものすごい顔で絶叫しているので、ある意味では一番怖いかも?

しかしこの素晴らしい絶叫も、職人たちの手によって作られたリアルな魔物たちを前にして最大限に引き出されたものなのではないでしょうか。改めてWetaワークショップのすごさが分かるかと思います。

トニ・コレット

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Toni_Collette

クリスマスの精神を忘れた大人たちへ・・・

クリスマス

「まだサンタを信じてる?」
「もちろん」
「でもサンタの解釈はあなた次第なのよ サンタを信じるのはクリスマスの精神を信じること 優しさと犠牲の精神をね」

というマックス少年と祖母オミのやり取りは、大人になった今だからこそ胸に響くものがありますよね。

子供の頃に夢見ていたことや、純粋に信じていたことが「奇跡なんて信じるな」とまわりの大人たちから囁かれ、少しずつ打ち砕かれていく。これは心の成長という意味では避けて通れない道なのですが、本当に儚いことです。

そもそもクリスマスってなんだっけ? この作品はクリスマスの精神を忘れてしまった大人たちへ贈る、クランプスからの唯一のクリスマスプレゼントなのかもしれません。

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    2017/10/16 ほどほどにいい作品だった。まずクリスマス映画ってだけで高評価。クリスマスにホラーって個人的にあまり観たことなかったので新鮮だった。 中盤まではホラーを観ているなんて忘れるくらいのファミリードラマムービー。 まぁこの作品はホラーというよりホラーファンタジーって感じで、少し子供向けかもしれない。怖くないし、モンスターたちが可愛くて結構クスッとする。 子供も楽しめるホラーとしてはいい映画かな。結構伝えたいことがクリスマス映画らしく道徳的なので家族みんなで楽しめる映画だと思う。 親戚の寄り合いって嫌だよなあ。でもクリスマスぐらいはやっぱり希望に溢れていたい日だよね。クリスマスを信じるかどうかは世間一般とかそういう意味でなくて、自分の中の解釈の仕方なんだよっていうオミの言葉は、主人公だけじゃなくわたしにも響いた。 amazonプライムビデオ
  • おしん
    3.6
    正直、大人には向いてないかな。 あと、ホラーとして見ないほうがいいかな。
  • Gomez
    3.0
    なかなかしっかりしたホラー演出 B級感に惹かれてジャケット借りでした。 低予算感満載で、これにお金がかかればもっとキャラ作りもCGも使えて、なかなか良いものが作れたのではないかな?とか思ったり。 冒頭の、与えられるはずのクリスマスの喜びが奪われているかのような地獄絵図から始まるのが全てを物語っているw いつかいつかと待ってやっとモンスターとご対面したのはいいけど、奪う側のサンタの見た目はさておき、ジンジャーブレッドはそのままで、せめて『逆』側のキャラクターデザインでどこか反転していたりした要素があれば、説得力も世界観もぐっと引き込まれるのになー。エルフなんかお面かぶったもろ人間味ありすぎて、低予算感マックス。 家族と親戚と協力するのはいいけど、個々の個性が無く、主人公に至っては終盤まで特に見せ場もないので、最後の最後あの展開でも「ああ居たな主人公!」ってな具合で影が薄かった…。 おばあちゃんも見せしめで〜とかで残されてたけど、あとで取ってつけた感バリバリで全然説得力なし…。そんな描写あったっけ…?主人公が親戚の子と喧嘩した後も姿無く、ただ普通にクリスマス過ごそうとしてたような…。 最後の終わり方はダークメルヘンチックでなかなか好きでした。胸糞は悪いけど…。
  • Rino
    3.4
    ホラーというよりファンタジーに近い作品 終わり方は私の大好きな終わり方で見終わった後いい映画だったと思った! グロテスクな描写とかもあまり無いから子どもでも見れる子は見れると思う 気の合わない親戚が集まるっていうのは万国共通かな... 今じゃなくてもっとクリスマス時期に見たかった(笑)
  • 垂直落下式サミング
    4.2
    スローではじまるオープニングが最高。 嫌いな親戚が家に集まる憂鬱なクリスマスパーティに嫌気がさした少年が、「家族なんていなかったら良いのに」とサンタクロースにお願いをしたことで、サンタよりも古くからいる邪悪な精霊クランプスを呼び寄せてしまう。サンタはクリスマスを信じるものに希望と幸福を与えるが、クランプスというのはクリスマスの本来の意味を忘れたものに戒めを与えるため大切なものを奪って行くというのだ。 登場人物がみんな性格に難があっていけ好かないんだけど、実在感があり人間臭い。この絶対的な悪人が不在な寄る辺なさが、親戚の集まりが如何にクソかを上手いこと表現している。教養のある厳格なお父さんと、できる主婦っぷりをみせたくて気取った料理なんぞを作るお母さん。そのお母さんの妹で、人当たりは良いけど他人の心情に無配慮なおばさんと、その旦那のガハハオヤジでタカ派なおじさん。そして、馬の合わない従兄弟たち。極めつけは、どっちの家族からも鬱陶しがられている子供嫌いな小言ババアまで着いて来てしまう。お姉ちゃんは思春期だし、主人公の味方は父方のおばあちゃんしかいない。 彼等は、みんな内心は顔をあわせるのが嫌なのに、クリスマスだからという理由で義務的にパーティを催し参加しなければならない。そんなことだから、食事中も誰に原因があるわけじゃないのに何だか空気が重くて、嘘をつけない正直者がそれに耐えきれずさらに空気が凍り付く。この不毛な光景は誰でもお盆とか正月にみたことがあるだろう。 中盤までは本当にホームドラマ風で、後半の展開は子供向けホラー作品の『グレムリン』や『学校の怪談』を彷彿させてくれるし、描かれる主張もテーマとして誠実。小学校の道徳の授業でみせたっていいはなしだ。何が気にくわなくても、みんなにもうちょっと優しくなろう。
「クランプス 魔物の儀式」
のレビュー(703件)