女優メラニー・ロランと楽しく学ぶ「より良い社会」へのライフスタイル作り

クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』、また『グランド・イリュージョン』や『複製された男』などにも出演して活躍中のフランス人女優メラニー・ロラン。監督としてもカンヌ国際映画祭で作品が上映されるなど評価が高く、ファッション誌の表紙も飾る女性たちの憧れの存在です。

そんな彼女が、活動家・ジャーナリストの友人のシリル・ディオンと一緒に、未来を幸せに暮らすためのライフスタイルを求めて世界へと旅に出る姿を描いたドキュメンタリー映画が、12月23日(金・祝)より日本でいよいよ公開されます。

フランスで公開されるや口コミが広がり、観客動員数は100万人を突破、フランスで最も権威のあるセザール賞にも輝いた注目作をご紹介します。

幸せに暮らすためにはどんな「ライフスタイル」を送ったらいいか?

パーマンネントライフを探して1

「未来永劫、今のような暮らしができるのか?」「未来の暮らしは今よりもっと豊かになっているか?」「生まれてくる未来の子供たちは、安心して暮らせる世界になっているか?」 そんなことを問いかけられたとき、「何の問題はない」と即答することはできますでしょうか。

「今のライフスタイルを続ければ人類は滅亡する」という衝撃的な事実を知ったら、あなたならどうしますか?

2012年、イギリスの学術雑誌ネイチャーに上記のような主旨の論文が掲載されました。気候変装による地穀の破壊と人口増加などといった問題が挙げられますが、このような問題が起きないためには、今あるライフスタイルを変えることが求められます

未来の生き方を“楽しく学ぶ”「ロードムービー」?

パーマンネントライフを探して2

その直面された問題に衝撃を受けたメラニー・ロランは、共同監督を務めるシリル・ディオンとともに、未来の子供たちのために何とかしたいと新しいライフスタイルのあり方を探るべく、世界中の新しい暮らしを始めている人々に会いに行きます。

ロランは、ヨーロッパ、アメリカ、そしてインドー世界への旅を終えて、本作を作ることで伝えたいことを以下のように述べています。

「誰だって、大変なことを率先してやりたいとは思わない。でも、きちんと向き合うほかない。そうするしか方法はないの。問題に対処するだけの力を得るためには、できるだけ取っつきやすく、しかも楽しんでできる解決法が必要だと思うわけ。

だからこそ、むしろ楽しみながら問題に取り組んでいるような人たちを紹介してゆこうとしたの。全てを捨てる必要もなければ、人生を変える必要もなく、また農場に孤立して自給自足生活をするような必要もない。

映画の中で示した先駆者たちは皆、私たちの手の届くところにいて、私たちと同じような暮らしの中から未来を生み出しているのよ」

映画では、世界で起こっている様々な試みが現地の人のインタビューともにテンポよく、時に手描きの図解やイラストによって効果的に挿入され、楽しく、そして分かりやすく映し出されます。

また、オリジナル楽曲を提供した、今注目のジャズ・シンガー、フレドリカ・スタールの叙情的なメロディと歌声が何とも心地良い気分にもさせてくれます。

そうしたロランとディオンの巧みな編集によって、今世界中のいくつかで起きている未来に対してのポジティブな行動を楽しく学べるかつてない提案型ドキュメンタリーになっています。

ロランが、旅で出会った自然の美しさが何とも美しく、またそこに生きる人々のひたむきな表情や無邪気な子供の笑顔に胸を打たれます。本作は、女優メラニー・ロランが新しいライフスタイルを変えるべく、世界中を旅するロードムービーを見ているかのような気持ちにもさせるのです。

《今実践されていること》世界の「新しいライフスタイル」とは?

本作の魅力は、未来に対して危機感を抱かせるのではなく、それらの解決に向けて力強く前に進もうとしている具体例を見せている点にあります。

「農業」「エネルギー」「経済」「民主主義」「教育」の5つの分野を5章で構成し、パーマカルチャー、トランジション・タウン、ゼロ・ウェストなど世界中の新しい取り組みを行っているパイオニアたちが続々と登場。各分野のカリスマの日常的な姿や彼らの金言を受け取れることも本作の見どころの一つです。

章の終わりには、ロランとディオンの“トーク”が入り、内容のまとめと新たな疑問が提示され、次の章へと流れる必然性が示されます。

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「農業」「エネルギー」「経済」「民主主義」「教育」、それぞれで起こる問題を切り離して取り扱うことはできず、実は全てにおいてつながっています。「農業」モデルを変えることは、同時に「エネルギー」モデルを変えることであり、それを変えるためにはコストがかかるため、「経済」の分野を考える必要が生まれます。

経済の仕組みについて考えると、社会的格差の問題まで波及し、「民主主義」が正しく機能しているかという政治についても学ばなくてはなりません。さらに正しい民主主義を機能するためには、自由で整った「教育」システムが必要になる、といったように5つのことはどれも、より良い社会にするための行動に密接につながっています。

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英国マンチェスター近郊では、町の真ん中に花壇や公共の土地に自由に食べられる野菜やハーブを植え、みんなでシェアするというもので、インクレディブル・エディブル(みんなの菜園)と呼ばれるものができました。病院や駅前通り、警察の敷地でさえ、街の人が自由に何百種類もの果物の木、豊富な種類の大量の野菜を植え、結果地元の自給率が上がるという成果を上げています。楽しく会話できる場所作りという点があるからこそ、街の人はこれに賛同し、このやり方は数十カ国と数百の町にも波及しました。見知らぬ人同士が野菜について会話して楽しんでいる姿が素敵です。

機械や石油を一切使わないパーマカルチャーを行い、フランスでオーガニックの農場として最も成功しているル・ベック・エルアンの試みは、地域コミュニティの合理性をも説いています。

また、トランジション・ネットワークの創始者ロブ・ホプキンスは、彼が暮らす町トットネス独自の通貨(地域通貨)を作り、無利子で貸し出しを行い特定の地域内のビジネスを促進するために積極的にお金が使われ、地域コミュニティを創出する価値を作り出しました。デビッド・ボウイの紙幣などもあったりして、地域の人が楽しみながら作り上げた仕組みになっています。経済がこう回っていくのかと勉強になります。

さらに、小学校に統一テストはないが、学力は世界トップレベルと言われるフィンランドの教育の実例も紹介され、教育関係に携わっている方にも興味深い内容になっています。

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本作で紹介される持続可能な社会を作るための解決策は、きっとこれからの社会のスタンダードになり得ることであるし、地球を救おうという大きなことでなく、私たち一人一人が身近な所から何ができるのかということを示唆してくれるものでしょう。

カリスマから、ごく普通の市井の人々まで、世界を変えようと楽しみながら実践している人がこんなにもいるのだということに喜びと驚きと胸を揺さぶる2時間です。

こだわりのライフスタイルとは?身近な場所での「行動」を起こすこと

大きなことを変えるためには、身近でできる小さな行動から始めること。

社会をより良いものにするために、身近なことから、自分のライフスタイルをどう変えていくべきかを考え、そして行動させるきっかけを与えてくる本作。面白くて楽しいちょっとした行動が、私たちの生活をガラッと変え、新しい未来を創り出します。様々な気づきを与えてくれる本作を観て、今後の自分の生き方について見つめてみてはいかがでしょうか。

映画『TOMORROW パーマンネントライフを探して』は、12月23日(金・祝)より 渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!

パーマンネントライフを探してジャケット

■『TOMORROW パーマンネントライフを探して』公式サイト
http://www.cetera.co.jp/tomorrow/[リンク
配給:セテラ・インターナショナル

(C)MOVEMOVIE – FRANCE 2 CINÉMA – MELY PRODUCTIONS

Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】

 

※2022年9月29日時点のVOD配信情報です。

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  • omochichi
    3.7
    自給自足とか、むずかしそうだなと感じるけれど憧れる。 自分の食べる分はじぶん達で守っていかないと、いけないんだろうなと感じたよ。 自然だって、簡単に壊れてしまう 何が最善なのか、多くの人が考えているけれどまだまだ足りないんだと思う。 沢山の大きな企業が 内部まで踏み込んで率先して行動してくれたらよいのに無理なのかな。
  • hiroko
    3.5
    勉強だと思って観るのが良い。 フィンランド良いなぁやっぱり。 黙食の給食を思うとこのわちゃわちゃと食べてる様子...普通と思うけどもう普通じゃない。 ひとりひとりが小さな行動でも起こすべき。
  • Ryoma
    4.2
    フランス🇫🇷の女優メラニーロランが監督を務めたドキュメンタリー。 【食料】【経済】【政治】【教育】などの様々な側面から、環境や時代に則したよりよい生活様式を提起する構成になっていて、一つ一つの内容も重厚なこともあり、とてつもない満足感☺️ 特に、【教育】面では、またしても北欧の国フィンランド🇫🇮が登場〜。学力が世界一といわれる所以が所々に散りばめられており、私たち日本人をはじめとした多くの人の常識を覆す教育方法に純粋に驚いた。でも、よく考えるとその独自と呼ばれる教育方法も、ひとりひとりを本当に大切にしている姿勢が窺えたし、その根底には国民を第一に考える国の方針や考えがあるんだと感じた。やっぱり幸福度ランキング5年連続1位という肩書きも単なる飾りじゃなく見掛け倒しじゃないなあと改めて納得した。 学力一位と呼ばれながら混じり気のない笑顔😊で楽しそうに学習している子供たちも垣間見れてなんかいいなあと思った。羨ましいくらいだな😅コロナが落ち着いたらフィンランド🇫🇮行ってみたい🎶 memo📝 ヨーロッパやアメリカをはじめとした先進国34ヵ国で構成されている経済協力開発機構(略称OECD)が3年ごとに各国の15歳を対象に実施する「学習到達度に関する国際調査(通称:PISA)」にて、フィンランドが「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」分野において、それぞれ2000年に1位・4位・3位、2003年には1位・2位・1位、2006年には2位・2位・1位という結果を収めた。
  • smiley7
    -
    すばらしい
  • saatom
    3.4
    説教じみた映画なのかな〜と思いきやポップで実験的な雰囲気がありおもしろかった。 景色がきれいで、今まさにぶっ壊れている様子ですらうっとりしちゃった
TOMORROW パーマネントライフを探して
のレビュー(837件)