美への執着と憧れを描く『ネオン・デーモン』N・W・レフン監督インタビュー

neondemon_int1

ライアン・ゴズリング主演の『ドライヴ』で一躍注目された、デンマークの俊英ニコラス・ウィンディング・レフン監督。その独特のセンス溢れる映像で、世界的に注目を浴びる同監督の最新作『ネオン・デーモン』がついに公開となります。

カンヌを湧かせた『ドライヴ』以来の再びロサンゼルスを舞台にした本作ではレフン監督がこれまで描いてきた男の世界ではなく、美を追求する女性たちの欲望うずまくファッション業界を描いています。主演に『マレフィセント』のエル・ファニングを迎え、女性たちの美への執着、憧れをレフン監督ならではといえる美意識で撮りあげた注目の一作です。

そのレフン監督に本作の見どころについて語ってもらいました。

Neon_Demon4

美へ執着する”恐怖”を描きたかった

—今回の映画は「美」が重要な要素になっています。監督がこの美というものを撮りたいと思った理由は何でしょうか。

ニコラス・ウィンディング・レフン監督(以下レフン):人間にとって、美への執着というものは、とても巨大なものであると思いますが、現代は美の寿命がどんどん短くなっているように思います。若ければ若いほどいいという、若さに美しさを求める傾向が強くなっているように感じています。このままいけば、美というものが存在し続けるためには、蛇のウロボロスの輪のように、己を食い尽くすしかなくなってしまうのではないか、そしてそれは映画として、非常に面白いテーマじゃないかと思ったんです。

—監督は美というものを、どういうものだと捉えているのでしょうか。

レフン:世の中には美しい人と、美しくない人がいる、これはすごくバツが悪いというか、残酷な考え方です。僕も2人の娘の父親として子供たちに、この現実の社会の中で美が持つ力を本当は認識させたくないですが、美によって階級が生まれ、美しさによって損得が生まれてしまうというのは事実としてありますよね。

僕は、美しさは不完全にあると思いますが、完璧な美しさを求める執着や欲望というものは理解できますし、美はそういった感情も含めた複雑なものであるとも思います

neondemon_int3

美は社会の中で、いろんな問題の火種になりうるものですが、だからといって美しさにこだわるのは浅はかだ、と言うだけなら簡単です。実際に美しいものを求める心が人にあるのは確かだし、どんなに健全な思考の人間でも、虚栄心や美しさに対する欲望は持っていると思います。現代ではSNSなどを通じて、そうした欲望が力を増しているようにも思えますね。

neondemon2

カメラが恋するエル・ファニングという女優

—エル・ファニングを美しく撮るために、撮影面で何かこだわられたことはありますか。

レフン:それが特にないんです。どのアングルから撮っても素晴らしく、本当に撮ることが快感になるような女優でした。

彼女は生まれつき女優として素晴らしいものを持っていて、カメラが恋をするという言い方があるんですが、まさに自然にカメラが彼女に向かってしまうような、そんな魅力を彼女は持っています。それは彼女の内なる美しさからくるものだろうと思いますね。

完璧な骨格を持っている人でも、魅力を感じるかというとそうでもない場合もあります。美の本質は、内面にあるのだと思いますが、エルの場合は内も外も備わっています。肌も雪のように美しく、シルクのような肌ですし、もしかしてエイリアンかもしれませんね(笑)

Neon_Demon5

—監督の過去の作品は、たとえば『ドライヴ』など男性同士のぶつかり合いを描いた作品が多く、必然的に男性キャストを演出することが多かったと思うんですが、今回は女性キャストが中心ですね。女性キャストを上手くのせるコツ、上手く演出するコツで何か掴んだことがあったら教えてください。

レフン:女性か男性かは関係なく、必要なことは個々の役者によって違います。その日のムードでシンプルに演じてもらったり、少し変えてみたりしています。

ナルシシズムを祝福する映画

—エル・ファニングがとても透明感があって、美しかったんですが、ジェシーという役を演じるにあたって彼女に対してどういったものを求めたのでしょうか。

レフン:何か要求したというよりも、むしろこういう映画を作りたいんだよね、と映画の話をしていたら、彼女も一緒にやりたいと言ってくれたんです。

年齢的には僕は彼女の父親でもおかしくないくらいですが、それぞれ理由は違えども、お互いに美というものへの執着に対して興味を持っていました。

この映画は美に対する執着を含めて、それらを祝福する映画でもあるんです。言い換えれば、ナルシシズムを奨励する作品なのですが、そういうところに2人とも興味を持っていました。今回、いくつかのシーンで鏡を使った演出を試みていますが、鏡は、この映画の中ではナルシシズムを祝福するものです。ナルシシズムというものは、すなわち自分自身に恋に落ちるということですから。鏡に写った自分自身にね。

—冒頭からすごく死の匂いを感じ、死と美が隣り合わせであるかのような印象を受けました。

レフン:死と美というものはドラマの中の対局にあるものだからです。感情をそれぞれ別方向に極端にした先にあるものが美と死です。僕が作り手として過激なものを好むせいか、極端なものがあればあるほどワクワクするんです。

neondemon1

本作『ネオン・デーモン』は、1月13日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国順次公開。

■参考記事:【試写会速報】美しさの真理を追究した衝撃作『ネオン・デーモン』の魅惑の虜にされる人続出!

neondemon_p

公式HP:http://gaga.ne.jp/neondemon/​

(C)2016,Space Rocket,Gaumont,Wild Bunch

Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】

 

(取材・文:杉本穂高、撮影:柏木雄介)

※2022年7月28日時点のVOD配信情報です。

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS
  • NKNKT
    3.5
    新鮮な表現が多かった 特に主人公が業界に魂を売るシーンと冒頭の宣材写真を撮るシーン 内容はうっすいけど、映像作品として楽しめるかなぁって感じ
  • こっぺぱん
    4.5
    このとち狂ってる感じ嫌いじゃない私は変人なのだろうか?ルッキズムな世の中だけどモデル業界だと格段に重要視されるようになるもんね…異常な世界だ!!20過ぎたら賞味期限ってマジですか?泣きたい
  • ももんが
    2.4
    ・不穏、映像美、百合以外なんもない ジャケットにもなっているグリッターが散ったような顔と服に惹かれただけにそこが作品としてMAXだったのが残念 映像としてはすごく美しいのに何が言いたいのか全然わからない キアヌリーブス要らんやん 顔周りキラキラしてるのって可愛いよね! ・美しさを物理的に取り入れる話になるとカーミラの話が思い浮かぶものの(女優さん自体は綺麗だと思う)ぶっちゃけなぜ主人公がそこまでちやほやされるのか分からないため、周りの男女のやっかみ具合が謎 田舎から出てきてわいわいされたからポッと出で調子こいたようにしか見えない主人公になんの感情も湧かない 人間の思う美なんて移り変わるもので不安定なんだなあ ・色々描きたかったのかな(もしくは描いてるのか)と思うもののおしゃれ一本で全部風呂敷広げっぱに見えるのが残念 最初でワクワクしただけに本当に勿体無い モデルとして洗練されていって垢抜ける様とかあれば面白かっただろうにそれもそんなにない 日頃のおしゃれちょっと頑張ろっかなとは少し思える
  • そにあ
    3.6
    この女優いいよね好き ヘルタースケルターとかライトナイトインソーホーとかと同じ匂いする
  • akaka108
    -
    ん。。。?てなる瞬間が多かった。
ネオン・デーモン
のレビュー(30204件)