今さら聞けない【IMAX】って何!?50万ドルのカメラをぶっ壊した男

2015.06.22
雑学

映像の編集とか演出やってます

ホンダカット

新しくできるシネコンに「IMAXムービーシアター導入!」「IMAX3Dで臨場感あふれる体験を!」などという宣伝文句を見たことがありませんか?IMAXで撮影された映画にはどんな効果があり、IMAXシアターとは何が凄いんでしょうか。

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出典 : https://www.imax.com/ja/corporate/

IMAXという規格

IMAXとは、IMAX社が作った映画を観る環境の規格の一種であり、また、元は大判フィルムそのものの規格でもあります。通常の35mmフィルムの面積比4倍もある70mmの大きさ。つまり、撮影用フィルムとしても、上映用フィルムとしても、超高解像度の画が得られます。日本の映画館で採用している上映用システムはその高解像度の技術をデジタル化したIMAXデジタルシアターという規格です。

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出典 : https://en.wikipedia.org/?title=IMAX

 

世界で4台しかないIMAXカメラをぶっ壊したノーラン

撮影用フィルムカメラとしては、今までは実験映画や環境記録などで使われていましたが、カメラ本体が巨大になってしまうので、通常の映画の撮影で使われる事はほとんどありませんでした。何せ、カメラを手持ちで撮影するのすら大変な大きさです。

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※ インターステラー撮影時の撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマさん

出典 : http://www.studiodaily.com/2014/11/for-the-love-of-film-interstellar-imax-featurette/

その常識を覆したのが、クリストファー・ノーラン監督『ダークナイト』。果敢にもカメラを動かしまくるアクション映画に使用し、その緻密な画で描く冒頭の銀行強盗シーンやカーアクションなどは、今まで感じ得なかったヒリヒリした不思議なリアリティのあるフィクションを描くことに成功しています。特に、パトカーを奪った後のジョーカーが窓から顔を出しながら走るカット。大判フィルムならではの被写界深度の浅さ(後ろのボケの綺麗さ)も相まって、ジョーカーの開放感のある芝居に鳥肌が立ちました。

また、当時世界に4台しかなかったIMAXカメラを、カーチェイスの撮影中にクレーンに乗せ、別の車が突っ込んでしまい、ぶっ壊した様子がメイキング映像から見て取れます。当時1台50万ドルはしたとか…。

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出典 : http://www.joblo.com/movie-news/thoughts-after-seeing-the-six-minute-dark-knight-rises-prologue

IMAXデジタルシアターの何が凄いのか

現在の日本のシネコンのIMAXデジタルシアターはやや小ぶりなサイズ。(成田が最大で縦14m。世界最大はシドニーの縦30m!)ただし音響や画面の明るさ、そして3D作品における立体感(IMAX3D)は他の映画館の追随を許しません。IMAXカメラで撮影してない映画であってもその差は歴然なのです。

3D映画のエポックメイキングである『アバター』公開の際、最初は別の3Dシステムの映画館で観た後、IMAXで再鑑賞しました。まず3D眼鏡をしても画面が明るい!映画冒頭の目のアップからの「手前に浮いている埃」がちゃんと認識でき、こんな形で、こんな立体感があったのか!と驚いたくらいです。

3D作品だけでなく2Dの作品もたくさん上映しています。『ミッション:インポッシブル4』は2D作品としての上映でしたが、ドバイの高層ホテルのシーンはIMAXカメラで撮影されていたので、トム・クルーズのスタント無しの高層アクションは、大迫力でした。

縦横の比率が違う

IMAXで撮影といっても、現在ではなかなか全編撮るのは難しく、台数の確保もできないため、シーンによってIMAXカメラだったり通常の35mmカメラだったりと混在している事が多いです。そして、その場合多くは縦横比が違うフィルムが混在することになります。

例えば『トランスフォーマー』の3作目、4作目では、トランスフォーマーたちが戦うカットはIMAX(ちょっと縦長)、それを見ている人間のカットは35mm(シネスコサイズ)という、同シーン内でころころ変わる変則でした。Blu-rayで観ても、画面の上下を良く見ればどのカットがIMAX撮影かひと目で分かります。

IMAXフィルム(70mmフィルム)上映という特別

また『インターステラー』においては実験的な事をやっていました。IMAXフィルム撮影の際のフィルムの上下幅いっぱいいっぱいまでの画を全部活かしているため、IMAXデジタル上映版と、一部で特別に上映されたIMAX70mmフィルム上映版のふたつは、全然違う画角で上映されていました。これはBlu-rayで確認する術もなく、その特別上映でしか観れない画がそこにありました。まさにこのデジタル時代にあえて反抗するような、【映画館で映画を観る】事に対する製作者側たちの想いの現れだと思います。

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※ 実際に見えてる範囲がこんなにも違うのです!!

出典
http://www.reddit.com/r/interstellar/comments/2rg2gs/is_70mm_imax_praised_simply_because_of_the_the/

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※上映用フィルムも巨大!

出典 : http://evergreenmuseum.org/behind-the-scenes-at-the-imax

ぼくのIMAX体験記

そんな特別なIMAXフィルム上映だけでなく、IMAXデジタルシアターのような上質な映画体験というのはDVDやBlu-rayでは感じ得ないものだと思います。いずれ過去のIMAXの名作をもう一度映画館でリバイバル上映して欲しいものです。特にIMAX3Dは体感という言葉が正しい映画体験だと思います。

『ゼログラビティ』では本当に宇宙にいるような感じで手に汗と握りました。『プロメテウス』ではリドリー・スコット監督特有の【大画面の中に米粒のように映る宇宙船や人間】というしびれる構図を楽しみました。『パシフィック・リム』では一緒にコクピット内でイェーガーを操縦してる気分でした。

また、『サンクタム』という3D映画は流石にジェームズ・キャメロンが製作してるだけに、本当に水没した洞窟内に閉じ込められたような息苦しさをも体感しました。これもいつかIMAX3Dで観てみたい作品のひとつです。

今年観るべきIMAX映画!

公開されたばかりの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』はその音の爆音っぷりも含めてIMAX3Dシアターで観るのに相応しい作品でしょう。その他、今年2015年は大作続編やリメイクが目白押しの年。なんだかんだ楽しみなものです。『ジュラシック・ワールド』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』はIMAX公開も決定。「恐竜がいるパークは危険だよ」ってあんだけ言ってるのにまた作った人々が襲われる様をIMAX体験しにいきましょう!やはり大作ならではの迫力は映画館で体感したいものです。

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※2015/6/24 8:28 修正 ) 記事内にて、『ザ・マスター』でもIMAXカメラが使用されている旨の記載がありましたが、こちらは誤りであったため削除致しました。大変失礼いたしました。

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  • 骨太郎
    5.0
    文句無し、最高にブチ上がれるアクション映画。本当に2時間半もあったのか?というレベルであっという間に話が目紛しく進んでいって気が付いたら終わっていた。ストーリーやメイク、アクションのクオリティもすごく高くて退屈しない。最初の銀行強盗のシーンからどっぷりのめり込んでいた 何よりジョーカーという人物、個人的にもしかしたら色んな作品の悪役の中でトップクラスに好きかもしれない。用済みとなれば味方をも殺し、金とかの利益を必要とせず札束をも燃やすような、金や地位などに固執しているわけではなくただ自らの本能と衝動のままに動く悪役が大好き。 それでいてバッドマンとジョーカーの関係性がめちゃくちゃ良い。正義のヒーローと悪役、お互いがお互いの存在あってのもので言わば共依存的な関係、本質的には2人とも同じでお互いにお互いを殺せないってのでエモさが爆発してしまった。 なんか人がめちゃくちゃ死んだりする厨二映画が観たいとか思ってこれを借りて観たけどその希望は思っていた以上に満たされたし、関係性的な部分やストーリーの厚みも凄すぎる。モヤモヤ感も何もなく、本当にただ凄い映画を観たという感覚だけが残っている。 これは定期的に観たい映画、色んな賞を取ってたりするのも納得の傑作。 最高だ!!!
  • HK
    3.9
    クリストファー・ノーランによるDCコミックスの「バットマン」の実写映画作品。「ダークナイト・トリロジー」の第2作に当たる。 アメコミにも縁がない自分。映画に興味を抱いてこの作品が映画史に残るという傑作という理由で前作の「バットマンビギンズ」すら見ずにこれから見てしまった。 ジョーカーを演じたヒース・レジャーの演技は流石としか言いようがない。行動一つ一つがどれも冗談でやっているとか思えないあの狂気に満ちた演技が素晴らしい。自分の命も含めて人を駒としか見ておらず用が済めば息をするように殺すあの描写も素晴らしい。 しかし、その目的は金でも権力でもましてや快楽殺人でもない。人間の本性をさらけ出すこと。人間誰もがモラルや正義というもので性悪説的な本質を隠しているから、それを無惨にはぎ取って高みの見物をしてやろうというのが目的。まさに純粋な悪という以外形容しがたい凄い悪役だった。 バットマンにどっちを殺すか選ばさせるあの取調室のやりとりもヒースレジャーのどこかおどけた物言いからも余裕しゃくしゃくなところが窺えてある意味カリスマ性すら感じられた。 また、レイチェルを失い失意のどん底に落ちたハービーデントに対して銃を頭に押し付け殺させようとするのも素晴らしい。自分を殺したければ殺せばいい、でもそうすればお前の負けだ。相手の正義を利用してここまで弄ぶことができる悪役もそうそういないだろう。 しかし、最後にゴッサムシティの住民と囚人全員に囚人のジレンマ的な仕掛けをして、船を爆破しようとしたが、結果的に失敗した後もあまり落ち込んでなかったから、意外と人間を完全には見捨ててないかもしれない。 トゥーフェイスの最後でまさにバットマンが望んでいたゴッサムの正義のシンボルをずたずたにしたジョーカーは勝負には勝ったと言える。しかし、最後のバットマンの自己犠牲も良かった。全ての罪を背負ったバットマンがどうなるのか次回が楽しみになった。 なんかジョーカーのレビューみたいになってしまったが、それほどにこのジョーカーの存在感は大きかったと思う。ヒースレジャーが亡くなってしまったのが悔やまれえる映画であった。
  • にしおか
    4.5
    記録
  • filmgoer
    3.2
    これだけ賞賛されてる理由がわからない ヒース・レジャーの演技は確かに素晴らしいが
  • さわだ
    3.7
    ひょえ〜〜って言いながら初めて観たバットマンシリーズだけど、銀行強盗のシーンからジョーカーがたまらなくカッコよくて全部持ってかれた。そんなヒース・レジャーが亡くなって10年経つ、彼を超える悪役が観たい。
「ダークナイト」
のレビュー(54213件)