TOKYO MXの人気バラエティ番組「バラいろダンディ」で、玉袋筋太郎(以下:玉さん)&RHYMESTER 宇多丸(以下:宇多さん)の映画好きコンビが、月に一度とっておきの映画を解説するコーナー「水曜バラいろショー」。
3月のテーマは「シン・映画」。といえば、誰もが思い浮かべるあの映画と思いきや、Filmarksのランキングでは意外な映画が1位に! 思わぬサプライズも交えて、宇多さんと玉さんがシン・映画を解説しました。
映画好きが高く評価する「シン・映画」とは!?
玉:今日のテーマはこちら!「シン・映画」。
宇多:そんなジャンルはあるのか!という(笑)
玉:こういうテーマはあっていいんでしょうか(笑)
宇多:もう完全に1本の映画に的を絞ってますね。
玉:カタカナで「シン・映画」!
宇多:さあ「シン・映画」というジャンルで、世の中の皆さんはどんな作品を思い浮かべるのか。国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」による「シン・映画」ランキング。今回はTOP20まで用意いたしました。これが、めちゃめちゃ面白い。
玉:Filmarksやるね〜!
宇多:Filmarksはやっぱり映画好きな人が使っているサービスだから、とても気の利いたランキング結果が出ました。見てみましょうこちらです、ジャン!!
「シン・映画」FilmarksランキングTOP20
1位:『シング・ストリート 未来へのうた』(2016年/イギリス)
2位: ? ? ?
3位:『シンデレラマン』(2005年/アメリカ)
4位:『シンデレラ』(2015年/アメリカ)
5位:『シングルマン』(2009年/アメリカ)
6位:『新宿黒社会チャイナ・マフィア戦争』(1995/日本)
7位:『新・仁義の墓場』(2002年/日本)
8位:『新・男はつらいよ』(1970年/日本)
9位:『シンドバッド七回目の航海』(1958年/アメリカ)
10位:『新・女囚さそり701号』(1976年/日本)
11位:『新座頭市・破れ!唐人剣』(1971年/日本)
12位:『新・座頭市物語』(1963年/日本)
12位:『新仁義なき戦い』(1974年/日本)
14位:『親切なクムジャさん』(2005年/韓国)
15位:『シン・シティ』(2005年/アメリカ)
16位:『新網走番外地』(1968年/日本)
17位:『新・猿の惑星』(1971年/アメリカ)
18位:『シン・レッド・ライン』(1998年/アメリカ)
19位:『深呼吸の必要』(2004年/日本)
20位:『新ポリス・ストーリー』(1993年/イギリス)
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宇多:「シン・映画」なのに、あの映画がまさかの2位なんですよ。1位は『シング・ストリート 未来へのうた』というイギリスの映画。これ、去年上映された素晴らしい作品です。
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宇多:他にも、“シン”がついてたら何でも。3位の『シンデレラマン』、4位の『シングルマン』とか。
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玉:『新・男はつらいよ』なんかも8位に入ってるね。
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宇多:他にも『シン・シティ』、『シン・レッド・ライン』とかね。もう気が利いている。
玉:たしかに、どれもシンだね。
宇多:お題出したら、こんなに気の利いた結果に。しかも1位がね。
玉:そう、アレが1位じゃねぇーんだよ!
宇多:多分ね、「どうせ、あの『シン・◯◯◯』を1位に誘導したいんだろ」っていう気持ちがあって、映画ファン的にはそんな簡単に入れさせてたまるかっていう。
玉:入れさせないよつって(笑)
宇多:Filmarksで投稿していただいた皆さん、ありがとうございます。ということで、今回解説する映画は残念ながら2位になってしまいましたが(笑)、 いってみましょう、2位はこちらでございます!
『シン・ゴジラ』(2016)
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宇多:『シン・ゴジラ』!!!
玉:このためですよ「シン・映画」って。
宇多:昨年の大ヒット作ですね。こちら予告映像ありますので、見てみましょう!
(『シン・ゴジラ』の予告映像を観ながら)
宇多:「エヴァンゲリオン」でお馴染みの庵野秀明監督が、これまでのゴジラ作品を完全に全部リセットして、1954年の初代ゴジラ以来初めて「ゴジラが存在しない世界」を描いた、全く新しいゴジラですね。大ヒットいたしました。のちほどポイントも紹介します。玉さん、観ました?
玉:観ましたよ〜。
宇多:小池百合子防衛大臣を思わせる余貴美子さんの「総理、打ちますか? 打ちますか? いきますよ!」ってあの場面、最高ですね。
玉:良かったなぁ、あれ。
宇多:石原さとみさんの英語の発音が、いろんな意味でたまらんっていうのも話題を呼んでいましたけれどもね。非常に素晴らしい作品です。
※以下より『シン・ゴジラ』の内容・ネタバレに触れる箇所があります。
日本人のトラウマを刺激するのがゴジラの本質
宇多:僕はラジオでも評論したんですけどね。あらためてやりますと、ここが見どころポイント!
宇多:「(アニメ的に)完全にコントロールされた画面・演技・編集」。やっぱり、庵野秀明監督がキャストのセリフスピードまでも完全制御してやったので、いまどきの日本映画とはちょっと違う感じのスピード感がありましたね。
玉:確かに。
宇多:非常にテンポがいい。そして、さらにこちらですね。
宇多:「ゴジラの本質に立ち返った」ということ。1954年の初代『ゴジラ』は、敗戦とか、空襲とか、原爆を落とされたという、当時の日本人のトラウマをグリグリと刺激したわけです。
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宇多:今回の『シン・ゴジラ』は当然、東日本大震災で原発事故が起こって、日本はいざとなったら世界から見捨てられてしまうんじゃないかとか、アメリカコンプレックスとか込みで描いている。このあたりがとても興味深い。
(再び『シン・ゴジラ』映像を観ながら)
玉:今回のゴジラがまたデカいんだよね。
宇多:作品の3分の2は、東日本大震災が起こって、政府の反応が後手後手に回ったりというような、我々が「こういうことがまた起こったら嫌だな」って思うような(トラウマを突いてくる)。当然ね、ゴジラだから放射能も関係していますしね。
玉:嫌だね。
宇多:やっぱりちょっと刺激されるよね、トラウマを。だから、1954年当時の観客がゴジラに感じた恐怖を、あらためて現代の日本に置き換えると、こういうことになるよねっていう。アメリカへのコンプレックスとか、そういう嫌なところをきちんとグリグリ突いてくるわけですよ。日本だけじゃ何もできないのか!? みたいなね。
玉:なるほど!
宇多:政府の対応もすごくおかしいんですよ。ずっと「こんなのは想定内だ」って言っているんだけど、ゴジラが出てきた途端に「この大きさは想定外だ」って(笑)。 これは、素晴らしいギャグになっていると思います。
玉:風刺がね。
宇多:ラスト3分の1からクライマックスにかけては、一気に日本人性というか、チームワークと日本的インフラを使ってゴジラに逆襲をしていくというね。そこに、すごいカタルシスがある。要するに「日本はダメだ、日本はダメだ、日本はダメだ → いや日本いけるじゃん!」みたいな展開。
玉:わかるわかる。
宇多:それから、最後にゴジラを殺すわけじゃないところが日本っぽいの。あえて言えば「お鎮(しず)まりください」という。
玉:うんうん。
宇多:ということで、2017年3月22日にBlu-rayとDVDが発売されるので、ぜひみなさんこの機会にご覧ください!
芸能界の「シン・◯◯」とは!?
「芸能界にもシンがつく人がいるんです!」と、今回は玉さんがゴジラとあの芸能人を比較! スタジオが驚くエピソードの数々を紹介。第1形態から第5形態までを比較し終えたところで、次回のテーマを発表!
次回4月放送は「言い訳映画」
玉:さぁ、次回の4月のテーマはこちらでございます「言い訳映画」。
宇多:これいいでしょ「言い訳映画」って。
玉:こんなジャンルも聞いたことないよね。
宇多:Filmarksのランキングも楽しみですよね。ということで、一体どんな映画を取り上げることになるのか、ぜひ楽しみにしていてください。
玉:おー!
宇多・玉:以上、水曜バラいろショーでしたー!
■オトナの夜のワイドショー!「バラいろダンディ」番組公式サイト
(月〜金曜日 21:00〜21:55放送)
水曜バラいろショー過去放送分 書き起こし
- 宇多丸おすすめのフィルム・ノワール新傑作『マジカル・ガール』
- 男性必見!悲哀なプレイボーを描いた名作『カサノバ』
- Jホラーを代表する2大巨頭のデスマッチ映画『貞子vs伽倻子』
- 日本警察史上最大の不祥事を扱った実録映画『日本で一番悪い奴ら』
- 映画本来の面白さに満ちた完全映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
- 日本人のトラウマを突く映画『シン・ゴジラ』
- 西川美和監督ならではのゾッとする映画『永い言い訳』
- ものすごいカースタントを淡々と見せる実験映画『マッハ’78』
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※2022年3月27日時点のVOD配信情報です。