『彼らが本気で編むときは、』ロケ地はどこ?プロデューサーが語った撮影秘話

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2017年2月に公開され、第67回ベルリン国際映画祭では「観客賞(2nd place)」とLGBT(性的少数者)をテーマにした作品に贈られる「テディ審査員特別賞」(日本初)をダブル受賞した、荻上直子監督最新作『彼らが本気で編むときは、』。今回、本作のプロデューサーを取材。東京都内でのロケ地撮影やフィルムコミッションとの連携について、お話を伺いました。

※本記事には『彼らが本気で編むときは、』の内容に触れる箇所があります

都内各地でロケ撮影を敢行。満開の桜のシーンはあの場所で

—『彼らが本気で編むときは、』では、プロデューサーとしてどんなことをご担当されていたのでしょうか?

主に製作全体の予算やスケジュールの管理から、公開後の宣伝まで担当していました。私はキャスティングの段階から参画しまして、撮影ロケ地の検証・選定にも加わっています。

—東京都内でのロケ撮影が多かったと伺っています。

そうですね、日野市、稲城市、多摩市、国立市、立川市、町田市。23区内では、渋谷区、豊島区、千代田区(神保町)、足立区(綾瀬)といったあたりです。他にも、神奈川県や千葉県でのロケ撮影もありました。

−相当いろいろな場所で撮影されていたんですね。メインビジュアルに使われている桜のシーンはどちらで?

東京都稲城市です。すでに「東京ロケたび」アプリにもロケ地情報と荻上監督の撮影エピソードを掲載していますが、桜の開花が当初の予測よりだいぶ遅れまして…。当時、毎日スタッフと現地へ行って開花状況を確認していたのですが、撮影日が近づいているにもかかわらず、桜はまだ充分に咲いていない状況でした。
そこで、撮影2日前あたりに監督と相談しまして、「5〜6分咲きでは撮れない」という判断になり、1週間後に桜のシーンを撮るスケジュールになんとか組み直したんです。そして迎えた1週間後、桜は満開になっていて、いい絵を撮ることができました。妥協しなくて本当によかったなと。とても思い入れ深い撮影ロケ地です。

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−苦労の末に生まれたシーンだったんですね。桜が本当に見事でした。他には、どのロケ地でどのようなシーンを撮影されたのでしょうか?

例えば、リンコ(生田斗真)とマキオ(桐谷健太)が暮らす公団住宅の外観は日野市の高幡不動、小学生のトモ(柿原りんか)がフミコ(田中美佐子)たちと行ったお蕎麦屋さんは国立市、佑香(門脇麦)が白無垢を着て神前式を行う神社は立川市、サユリ(りりィ)がいる介護施設の池のシーンは渋谷区といった感じですね。

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−なかでも特に、ご本人的に印象深いロケ地はありますか?

トモが小学校の行き帰りに通る橋ですね。ここは町田市です。ここでも桜が出てくるのですが、作品の序盤では咲いていなかったのが、やがて咲いて、それから散ってというように、あの場所で季節の移り変わりを表現することができました。いいロケ地を見つけられたなと思います。

−一般的に、制作費(車両費・移動費など)の関係で、ロケ地はできるだけ近隣でまとめるのがセオリーかと思います。その点、本作はかなり大変だったのではないでしょうか。

そうですね。ただ、制作費とのバランスをとることは重要ですが、監督が思い描くモノをつくるために、できる限りのサポートをすることが、私たちプロデューサーの役目のひとつであり、大切にすべきことです。
本作は、荻上監督の5年ぶりの新作で、また、私自身脚本を拝見して「素晴らしいオリジナル脚本。これは実現したい」と感じたこともあって、絵づくりにはできる限りお金も時間もかけたいと思っていました。

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地元を知るフィルムコミッションならではの心強いサポートがあった

−各地の撮影で、フィルムコミッションについて感じたことはありますか。

ひとつはエキストラの募集ですね。小学生のエキストラを、限られた予算の中で集めなければならないという状況がありました。どうやって探そうかという時に、地元のフィルムコミッションが撮影の数ヶ月前から、サイトで募集をかけて集めてくれたんです。地元の方たちと最も近いところでコンタクトできるフィルムコミッションの存在は、本当に頼りになりました。

−地元でのネットワークを持つ、フィルムコミッションならではですね。

それから、ロケ地って、きっといい場所がたくさんあるんでしょうけど、制作部だけでは絶対に探しきれない。そこで、フィルムコミッションから、こちらの要望に合わせた的確な場所をご提案いただけたというのは、やはり地元ならではの強みだなと思います。

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−フィルムコミッションのスタッフが撮影現場に立ち会ったりも?

本作で言うと、例えば、東京都の日野市(NPO法人日野映像支援隊)さんです。ご担当の方がとても熱心で、撮影現場にもずっと来てくださっていました。撮影後の宣伝に関しても、「情報解禁のタイミングで私たちも告知しますね」とおっしゃっていただいて、HPやSNSで定期的に映画の情報発信をしていただきました。撮影時だけではなく、できあがった後のことまでご協力をくださって。本当にありがたいことです。

−実際の撮影ロケ地としての日野市については、どんな印象ですか?

高い建物もないですし、絵が撮りやすいのではないかと思います。距離的にも都心から遠くないですから、車で少し走ってインターチェンジを降りたらすぐという立地の良さもありますね。

ロケ地を通じて映画も街も盛り上げる。双方に実りのあるプロモーションを

−「映画×ロケ地」というテーマですと、特定の地域を舞台にして製作される、いわゆる「ご当地映画」もありますね。

とても魅力に感じます。プロデューサーは映画をつくるのが半分で、もう半分は売ることだと思っているので、つくり終わった後のことまで考えた時に、地元の方にも応援していただける「ご当地映画」であるという点は強いですね。
実は、本作のロケ地のアイデアを出す段階では、個人的に神戸のイメージもあったんです。海も山もあり、私自身神戸で長い間生活していたこともあって、土地勘があったので、「このシーンはあの場所がいい」という風にパッと浮かびました。

宣伝についても、神戸のご当地映画ということで、街と映画を一緒に盛り上げるキャンペーンができればいいなと、ロケ地探しのブレスト段階では考えていました。ひとつの地域と密着するのは、すごくメリットがあると感じています。

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−地域の活性化に貢献できるという側面も強いですよね。最後に、各自治体やフィルムコミッションがロケ誘致を活用した地域活性や観光振興のプロモーションを行うにあたり、プロデューサーの視点からアドバイスがありましたら、ぜひ。

双方にとってよりいいカタチでプロモーションを行うために、タイミングがとても重要だと思っています。私たちとしては、映画の公開前に盛り上がりをつくって動員につなげたい。それに合わせて告知・露出できるものを優先して取材を組んだり、関係各位に告知用の素材の手配を進めます。

それが公開後になると、監督・キャストも稼働が終わってしまって、どうしても動きづらくなってしまうところがあるんですね。ですので、宣伝告知のピークとなる公開2週間前くらいのタイミングに重ねて、各自治体さんやフィルムコミッションさんにプロモーションを行っていただければ、お互いにとってより良いものになると思います。

−お忙しい中、取材を受けていただきありがとうございました!

■映画『彼らが本気で編むときは、』公式サイト

http://kareamu.com/

■「東京ロケたび」アプリで『彼編む』のロケ地情報を掲載
荻上直子監督が語る『彼らが本気で編むときは、』ロケ地エピソードを、東京の映画・ドラマロケ地ガイドアプリ「東京ロケたび」(無料)でお楽しみいただけます。

https://tokyo-app.com/lp/

(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

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※本記事はロケ地と人をつなぐポータルサイト「FCP フィルムコミッションポータルの特集記事を転載しています。

※2022年3月7日時点のVOD配信情報です。

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