2017年3月25日(土)公開予定のアドベンチャー超大作映画『キングコング:髑髏島の巨神』の日本最速試写会をFilmarks(フィルマークス)ユーザー限定にて行われ、上映前に映画評論家であり在米ジャーナリストの町山智浩さんが登壇。「町山先生が教えてくれる! 20 分でわかる“キングコング”講座」と題して、ライターのマフィア梶田さんをMCに迎えたトークショーが行われました。
町山さんは、先日行われたアカデミー賞授賞式について「大変でしたね。会場のその場で(作品賞についての)カンペやテロップを作り直していたりしていましたから」などと振りかえってから、『キングコング:髑髏島の巨神』の魅力を大いに語りました。その模様を以下にお伝えします!なお、以下のトーク内容は、本編の大きなネタバレのない範囲ですので、ご安心ください。
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1.サミュエル・L・ジャクソンのファンにはたまらない、こだわりの字幕監修とは?
—町山さんは『キングコング:髑髏島の巨神』の字幕監修をされたということで、どのあたりに手を加えられたのでしょうか?
実は4箇所しか字幕を直していないので、これでお金をもらうのが申し訳ないんです。『テッド』の時は字幕に“星一徹”を出して「ふざけるな! アメリカに星一徹はいないだろうが!」とさんざん怒られてしまったのですが、今回は監修の方向性がまた違いましたね。
しかし、1箇所だけ、“サミュエル・L・ジャクソンが好きだったら、絶対にこうしてほしい”と思うところをしっかり直しました。サミュエルが映画の中でほぼ必ず言うセリフをご存知ですか?
(会場の方が答えて)そう、「MOTHERF××××R」ですね。だけど、その言葉を言ってしまうと、レーティングがR指定になっちゃうんですよ。これまでサミュエルはヘビやサメと戦って(『ディープ・ブルー』や『スネーク・フライト』のこと)、さらにコングと戦うという桃太郎みたいな人ですが、今回は映画会社との戦いでもあるんです(笑)。
サミュエルがいかにして「MOTHERF××××R」を言うか、そこにもご期待ください。全国に46人くらいいるサミュエルファンには、このこだわりがわかっていただけると思います(笑)。
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2.これまでの怪獣映画とここが違う!
—『キングコング:髑髏島の巨神』は、これまでの怪獣映画と違うところがあるそうですが?
ずっとクライマックス! ずっと戦い続けることですね!(会場から拍手)また、ベトナム戦争当時の軍人とキングコングが戦うという、夢のような光景が繰り広げられるんですよ。また、これからゴジラ主演の映画や、ゴジラとキングコングが共演する映画が公開されることはご存知ですよね。本作を含めこの一連の作品群は、いわば怪獣たちによる勝ち抜き合戦、リーグ戦なんです。別のリーグもあって、両リーグのワールドシリーズが展開するって、もう僕が小学生だったら興奮しすぎて頭がおかしくなっちゃいますよ(笑)。
—しかも本作のキングコングは、まだ“成長期”なんですよね。
すでにハリウッドの怪獣の中でトップクラスの大きさなのに、まだ中学生くらいなんですよね(笑)。でも、ゴジラとの決戦に向けて体を作っているでしょうし、思春期ですから人間の女への興味も出てくるでしょうね(笑)。
3.怪獣映画マニア垂涎のオマージュも盛りだくさん!
—作中にはマニアックなネタもたくさんあるのだとか?
1933年版『キング・コング』の怪獣が出てきますし、“Skull Island(髑髏島)”という名前もそのころからありましたからね。ほかにも、東宝の『キングコング対ゴジラ』のとある“寿司ネタ”もあったりしますよ(笑)。さらに、『地獄の黙示録』があったかと思いきや『博士の異常な愛情』のオマージュもぶち込んでいますし、コナン・ドイルの『失われた世界』もあるし……もう本当、この監督はどうしようもないですね(笑)。映画監督にならなかったら、中野ブロードウェイで一生暮らしていますよ(笑)。
そうそう、ネタバレになっちゃうので明確には言いませんが、エンドロールの後が大変なんですよ。こんなの、心が小学生になってしまって、夜に眠れなくなっちゃいますよ(笑)!
そして、開田裕治さんが描かれた、海外からも「使わせてくれ!」ってオファーが殺到している、この素晴らしいポスターがありますよね。ここ(ポスター中央のやや右)に“スカル(髑髏)クローラー”という怪獣がいるんですが、『新世紀エヴァンゲリオン』の“使徒”に似ていて、しかも監督に聞いたら『千と千尋の神隠し』の“カオナシ”の要素も入っているそうですよ。
—先ほども少しお話されていましたが、ベトナム戦争の軍人とキングコングと戦うことになるわけですよね。これもある意味オタク監督らしいというか、“観たいものが観られる!”という感じですね。
そうですね。2014年版の『GODZILLA ゴジラ』の監督であるギャレス・エドワーズっていう方がいますよね。彼は『スター・ウォーズ』をベトナム戦争のようにするため、ベトナム戦争と『スター・ウォーズ』の写真を自分でコラージュして売り込んだんですよ。それで、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のクライマックスの戦闘が『地獄の黙示録』の海岸でのシーンみたいになっているんですね。
そして、この『キングコング:髑髏島の巨神』も、先ほど言ったように『地獄の黙示録』のオマージュがあるんです。会場の皆さんも『地獄の黙示録』好きですよね?(会場から半分くらい手が挙がる)やっぱり大好きですよね! 「今の若い人は『地獄の黙示録』は観ていないですよ」みたいな話も聞いていたんですけど、ほらほら、観ているじゃないですか!
—最後に、『キングコング:髑髏島の巨神』の見所をズバリ教えてください!
見どころなんて(ネタバレになるから)言えないですよ! もう観てください! まあ先ほども言ったように、映画が終わった時に大変なことが起こるんですけど!とにかく、自衛隊と怪獣とのバトルを観たことがあっても、1970年代のベトナム戦争当時の装備を持った軍人と怪獣が戦うって、今まで誰も観たことがないでしょう!いったいどうなるか! これはもう夢の映像ですよ!
そうそう、劇中でサミュエル・L・ジャクソンは“顔”でコングに勝っています(笑)! そんなサミュエルがコングを倒せるかどうかにも、ぜひ注目してください!
4.これからのシリーズ展開とは?
ここからは記者たちに向けて、町山智浩さんが解説した“今後のシリーズ展開”についてご紹介します。
—今後『キングコング:髑髏島の巨神』を初めとした、怪獣たちが戦うシリーズの概要を教えてください。
2019年にゴジラの“リーグ戦”のような映画、2020年にキングコングとゴジラの両者が激突する映画が公開されること、レジェンダリー・エンターテインメントが東宝からゴジラのほか、モスラ、ラドン、キングギドラの権利を獲得していることは発表されていますよね。
この怪獣映画のシリーズは“モンスターバース”と仮に呼ばれています。マーベルコミックのアイアンマンやキャプテン・アメリカなどのヒーローが1つの世界の中で戦うマーベル・シネマティック・ユニバースや、スーパーマンとバットマンを中心にシリーズが展開しているDCエクステンデッド・ユニバースと同じように、ゴジラとキングコングを中心に、いろいろな怪獣たちのバトルが延々と展開するという作品世界を予定しているようです。
—2014年の『GODZILLA ゴジラ』とも同じ作品世界になっているんですよね。
そうですね。あの時のゴジラと戦うため、『キングコング:髑髏島の巨神』のコングはさらに成長してくるでしょう。
そうそう、『キングコング対ゴジラ』という映画が1962年に作られているんですけど、実はこれ、元々はアメリカの企画だったんです。最初は“キングコングとフランケンシュタインの怪物が戦う”という企画が1933年のキングコングの続編として発表されていて、その版権が売られ売られていくうちに、東宝のほうに話を持ってこられて、『キングコング対ゴジラ』でやっていこうという流れになったんです。さらに、『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』という別の映画も作られることになりましたね。
つまり、キングコングがいろんな怪獣と戦っていくっていうアイデアは、もうその時点からあったんですよ。1933生まれたキャラクターが、2020年になってもいろいろな怪獣と戦ってるって、ものすごい話ですよ!
まとめ
『キングコング:髑髏島の巨神』は怪獣映画ファンにとってたまらない内容になっていながらも、今までのキングコングや怪獣映画を観たことがない人も大興奮しながら楽しめる内容です。
映画『キングコング:髑髏島の巨神』は、3月25日(土)全国ロードショー。
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/kingkong/
(C)2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED
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