TOKYO MXの人気バラエティ番組「バラいろダンディ」で、玉袋筋太郎(以下:玉さん)&RHYMESTER 宇多丸(以下:宇多さん)の映画好きコンビが、月に一度とっておきの映画を解説するコーナー「水曜バラいろショー」。
2017年も春到来! 4月のテーマは「言い訳映画」。話題のあの「言い訳映画」を宇多さんと玉さんが解説しました。
「言い訳」からイメージする映画といえば⁉︎
玉:さあ、今日のテーマはこちら「言い訳映画」。
宇多:そんなジャンルはあるのかね。
玉:ないよね(笑)
宇多:最近、ジャンル立てが狭まってますからね(笑)
玉:何かのネタに向けて、だんだん狭くなっているという。
宇多:さあ、TSUTAYAさんがオススメする国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」による「言い訳映画」ランキング!
玉:どうでしょう!?
「言い訳映画」FilmarksランキングTOP10
1位: ? ? ?
2位:『セッション』(2014年/アメリカ)
3位:『プラダを着た悪魔』(2006年/アメリカ)
4位:『ガタカ』(1997年/アメリカ)
5位:『アメリカン・スナイパー』(2014年/アメリカ)
6位:『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008/アメリカ)
7位:『ゴーン・ガール』(2014年/アメリカ)
8位:『ビリギャル』(2015年/日本)
9位:『駆込み女と駆出し男』(2015年/日本)
10位:『アニー・ホール』(1977年/アメリカ)
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宇多:ということで、みんなね全体的に「言い訳映画」というのにあまりピンときてない感じがね。
玉:2位の『セッション』って、なんか言い訳したかな。
宇多:「リズムが走ってんのか」みたいな言い訳ですかね。7位の『ゴーン・ガール』は、多少言い訳感があるのかもしれないけれど、ちょっとよくわからない。5位の『アメリカン・スナイパー』は、作品全体が言い訳みたいなことなのかな。
玉:そっかそっか。
宇多:変なお題出してスイマセンでした(笑)。 それにしても、さすが!「言い訳映画」ということで、ランキング1位に、見事狙った通りの映画がランクインしております。今回おすすめする「言い訳映画」はこの作品です。
『永い言い訳』(2016)
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宇多:というわけで、1位は西川美和監督の『永い言い訳』。「言い訳」ってついてるからね。
玉:うん(笑)
宇多:『永い言い訳』は、昨年公開された日本映画。西川美和さんが、ご自分の直木賞候補になった小説を映画化した作品でございます。
(『永い言い訳』の映像を観ながら)
宇多:モックン(本木雅弘)演じる人気作家の幸夫が、奥さんをバス事故で亡くしてしまって、同じ事故で奥さんを亡くした家族と交流をするんですけれど…、モックン演じるこの人気作家が、基本的にはクズ野郎なわけですよ。
玉:うーん、そうなんだね。
宇多:非常にダメ人間なわけですね。なんだけど、その家族や子供たちとの交流を通じて、いろんなものを掴んでいくのだが…というような話でございますね。モックンが本当に素晴らしい演技でございました。
(幸夫は)忸怩たるものを抱えているのでね。家族と一緒に仲良くやっているんだけど、そういう中でも段々と疎外感を感じて、ちょっと感じの悪い態度を取ってしまったりすると。
玉:(それも)言い訳だなぁ。
※以下より『永い言い訳』の内容・ネタバレに触れる箇所があります。
まさに西川美和作品ならではのゾッとする瞬間
宇多:『永い言い訳』の見どころポイント! 西川美和監督作品といえば、『ゆれる』とか『ディア・ドクター』とか『夢売るふたり』とかありましたけど、全てこういうことだと思うんです。
宇多:「こうだと思っていた人が、実はそうじゃなかった。それでも残る何か」。(登場人物の)キャラクターが、思い込んでいたのとは実はまったく違う内面を持っていたということが途中でわかって、ショックを受けたり、ちょっと不安になったり、怖くなったり。ワーッてなるんだけれども、残る何かが必ずある。これが、西川監督の作品じゃないでしょうかね。(もうひとつの)見どころはこちらでございます!
宇多:モックンが、さっきクズ野郎と言いましたけれど、オープニングシーンで「こいつダメだ」とわかる夫婦の会話のシーンがあります。奥さんが亡くなる直前の会話なんですけど。奥さん役は深津絵里さんですね。
(再び『永い言い訳』の映像を観ながら)
宇多:モックンの役は作家で、ペンネームは津村なんだけど、本名は「衣笠幸夫」っていう。それを口外するなってことで言い訳するわけです。
玉:国民栄誉賞の衣笠祥雄(と同じ名前)なんだよね。
宇多:まさにその話が出てきます。そのことを(口外するなと)奥さんにネチネチ言うわけですよ。ここのシーンだけで、もうこいつ嫌な奴だと。
玉:で、この後、奥さんがバスでね…。
宇多:そう、このギスギスした会話が夫婦の最後の会話になってしまう。奥さんは事故で亡くなられて、当然悲しいんだけど、(幸夫は)泣けないんですよね、どうしても。というのは、幸夫はずっと浮気してるんです。黒木華さん演じる女性編集者と。
玉:そうそう。
宇多:その浮気してる真っ最中に奥さんが死んじゃうわけですよ。で、いろいろあって、あるところでこの奥さんの真意を知っちゃうんですよね。それがまたゾッとするというか「うわっ、こう思っていたのか!!」と。これは、まさに西川美和作品ならではのゾッとする瞬間です。ぜひ、ご覧ください。
名言?迷言?「芸能界の言い訳」を紹介
「言い訳といえば、芸能界・スポーツ界にもとんでもない言い訳があるんです」と、玉さんが芸能界・スポーツ界の数々の不祥事をピックアップ。「恋愛・不倫編」「不祥事&お騒がせ編」「スポーツ編」で、名言(迷言!?)めいたさまざまな言い訳を紹介しました。
次回5月放送は「車飛ばし映画」
玉:次回のテーマは「車飛ばし映画」。
宇多:ドーンって車が飛んだり、ビューンって車を飛ばす、こういう映画ありますよね。
玉:スピード出す映画はたくさんある、『ワイルド・スピード』とか。どんな作品を取り上げるのか、ぜひ楽しみにしてください。
玉・宇多:以上、「水曜バラいろショー」でしたー!
■オトナの夜のワイドショー!「バラいろダンディ」番組公式サイト
(月〜金曜日 21:00〜21:55放送)
※2021年2月17日時点のVOD配信情報です。
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