想像を超える名作の誕生!リメイクだと思ったら大間違い!〜宮本亜門〜

宮本亜門さん

演出家
宮本亜門さん

1958年東京都生まれ。ニューヨークでブロードウェイミュージカル初の東洋人演出家として演出。以後、国内外でミュージカル、ストレートプレー、オペラ、歌舞伎や能など多様な作品を手がけている。

号泣しっぱなし! 完全にノックアウトされました

完成度の高さに言葉を失った

やられました! ノックアウトです!
人間の切なさ、孤独と愛情の描き方が実に見事! ディズニー映画も「ここまできたのか!」というくらい素晴らしく、観終わった後、その完成度の高さに言葉を失いました。
ディズニーの「美女と野獣」はアニメーション版、舞台版と観ていますが、今回の実写版は単なるリメイクではない、正に新たな名作の誕生です。

僕は、つい演出家の癖で、作品が創られていく過程を読み解きながら観てしまうのですが、今作は、役者やスタッフなど関わった人全員が、細部までそれぞれの愛情を最大限注いでいるのがひしひしと伝わってきます。でなければ、これだけの作品は創れない。

美女と野獣

今の時代にぴったりな作品

まず脚本が素晴らしい! キャラクター作りが実に練られている。登場人物一人ひとりの心の奥を丁寧に読み込み、組み立てていて、今までのバージョンより緻密。だから誰もが知っている物語が、新しく深い作品となっています。

人を目ではなく、心で見るべきだという、今作の根源的なテーマが浮き彫りになって輝き、観る人それぞれに「生きることは辛く矛盾に満ちているが、愛は、それを越える凄まじさがある」を教えてくれます。それだけに、誰にでも必ず未来はあるという力強いメッセージが伝わり、「あらゆる人が、共存してこそ美しい」という、この激動の時代に必要な、とても大切で力強いメッセージが、観る者の心をわしづかみにします。

力のある役者たちの演技に号泣!

役者陣も最高です。舞台で主役をはれる演技力も歌唱力も見事な実力者たちが、しっかりと脇を固めている。CGを多用していながら、誰もそれに頼らず攻めの演技をしています。

例えば、物に変えられた召使たち。声だけなのに、あの表現力はさすが。ガストン役のルーク・エヴァンスは、二枚目だが、次第に手に入らないものへの欲求で自分がコントロールできなくなり、狂気にはまっていく様を生々しく演じているし、野獣役のダン・スティーヴンスは、目の演技が凄まじい。一瞬たりとも瞳に嘘がなく、本物の演技力で魅了します。

そして、何といってもベルを演じるエマ・ワトソン。近年これほど魅力的な女優はいないのではないでしょうか? 容姿端麗だけど孤独で、でも自分らしく生きたいと願う、少し変わり者のベルという女性像を見事に演じきっています。その内面に分け入っていく演技は正に秀逸。必見です。お陰で僕は物語の後半からは号泣しっぱなし! 大人も、子どもも、誰もが満足できる新たな名作が、ついに生まれたと確信しました。(談)
※本記事は2017年4月14日の朝日新聞東京本社版朝刊の特集を転載しています。

美女と野獣

STORY
魔女によって野獣の姿に変えられた美しい王子。呪いを解く鍵は、魔法のバラの花びらが全て散る前に誰かを心から愛し、そして愛されること―。絶望のなか、彼はベルという女性に出会う。自分らしく生きながらも心に孤独を抱えるベル。はたして彼女は、王子の運命を変えることができるのか?

エマ・ワトソン主演
美女と野獣

「ハリー・ポッター」「スター・ウォーズ」「ロード・オブ・ザ・リング」の豪華キャストが夢の競演!
エマ・ワトソン、エマ・トンプソンユアン・マクレガーイアン・マッケランケヴィン・クラインほか

ストーリーを彩る珠玉のミュージカルナンバーの数々!
アリアナ・グランデ&ジョン・レジェンド:主題歌「美女と野獣」/セリーヌ・ディオン:エンドソング「時は永遠に」

4月21日(金)全国公開
Disney.jp/BeautyandBeast

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※2022年7月30日時点のVOD配信情報です。

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