実はアカデミー賞の常連だった!トムとジェリーの受賞・ノミネート作品を見てみよう

2015.07.04
まとめ

俺は木こりだいい男よく眠りよく働く

谷越カニ

みんな大好きトムとジェリー。今もシリーズは続いており、スラップスティックアニメ界の巨匠の人気は衰え知らず。

日本ではテレビ放送されていたこともあって、トムとジェリーを「映画」と捉えている人はほとんどいませんが、実は1940年代のアカデミー賞短編アニメ賞の主役だったんです。受賞作品はなんと7本!ノミネート作品も6本あり、大人からも高い評価を受けていたことがわかりますね。

この記事では、これらの作品を動画・解説付きで紹介していきます。ハズレ無しの作品リストとしても活用してください。

そもそも、なぜアカデミー賞にノミネートされていたのか?

トムとジェリーを制作していたのは偉大なアニメーター、ジョセフ・バーベラとウィリアム・ハンナの二人。彼らが制作に携わっていた1940年から1958年がシリーズの全盛期とされています。

アメリカでテレビ放送がスタートした1941年当時はテレビは裕福層のもので、今ではテレビで放送される内容の映像も映画館で映画として上映されていました。ニュース映画という言葉は今では使われませんが、当時の大衆は映画館でニュース映画を見て世の中の流れを追いかけていたんです。

トムとジェリーはテレビ放送されることなく映画館で上映されたので、アカデミー賞にノミネートされることになりました。

1つのシリーズが19年間で13回作品がアカデミー賞にノミネートされるのは驚異的で、ディズニーの名物キャラクターでもミッキー、プルートが複数回ノミネートされた程度。ワーナーのルーニートゥーンズでさえ2回ノミネートされただけです。ずば抜けてクオリティの高いシリーズだったことがわかりますね。

アカデミー賞受賞作品

1.勝利は我に (1943年公開)

第16回アカデミー賞受賞作品。最初のアカデミー賞受賞作品です。第二次大戦下だったこともあり、トムとジェリーが戦争ごっこを繰り広げます。戦意高揚になったかどうかは…よくわかりません。

2.ネズミ取り必勝法 (1944年公開)

第17回アカデミー賞受賞作品。トムの元に届けられた「ネズミの取り方」という本を実践していくお話です。ことごとく返り討ちにされてしまったトムが初めて喋る作品であることが特徴。

3.ただいまお昼寝中 (1945年公開)

第18回アカデミー賞受賞作品。ブルドッグのスパイクが登場。昼寝を邪魔したら容赦しないぞ!とトムを脅すスパイクの言葉を聞いたジェリーがイタズラの限りを尽くします。

4.ピアノ・コンサート (1947年公開)※制作は1946年

第19回アカデミー賞受賞作品。ピアノコンサートに挑むトムがピアノの住人ジェリーのイタズラに翻弄される姿が笑いを誘います。私にとってトムとジェリーといえばこの作品。トムの演奏と音楽がシンクロしていることが高く評価されました。

5.台所戦争 (1948年公開)

第21回アカデミー賞受賞作品。大食い小僧のニブルスが感謝祭を祝う豪華な食べ物でうめつくされたトム宅のテーブルを食い散らかします。いつもはトムを翻弄するジェリーがニブルスに振り回される姿が印象的。

トムがインディアンに扮してジェリーとニブルスに襲いかかるストーリーは差別的で、当時の映画界がいかに差別に無関心だったかを示す作品でもあります。子どもに大人気のアニメだろうが関係なしだったんですね。

6.パーティ荒し (1952年公開)

第24回アカデミー賞受賞作品。『ただいまお昼寝中』と『台所戦争』を足したようなストーリーで、ニブルスが大暴れします。

『台所戦争』までは登場人物がセリフを発するのは特別なケースのみでしたが、この作品が制作された頃には平気でセリフが登場するようになっており、ハンナ=バーベラが制作から離れてからのシリーズに通じるものがあると言えるでしょう。

7.ワルツの王様 (1953年公開)

第25回アカデミー賞受賞作品。本作が最後のアカデミー賞受賞作品になります。トムがピアノを弾くシーンがあることから、『ピアノ・コンサート』の派生作品だと言えるでしょう。

この作品に登場するネズミの名前はジェリーではなくヨハン。とはいえジェリーと同一人物のように描かれますので、違和感はないです。

以上が短編アニメ賞受賞作品です。ハンナ=バーベラのコンビは1958年まで作品制作を続けますが、アカデミー賞を受賞できなくなったのは作品がマンネリ化してしまい、クオリティが低下したからです。テレビが普及した1950年代後半も依然として人気は高かったものの、見比べると40年代の作品のほうが圧倒的に面白い。

後期はセリフやナレーションが平気で登場するようになり、1920年代に活躍したチャップリンやバスター・キートンへのリスペクトに溢れるスラップスティック・アニメからの脱却を目指しましたが、MGMのアニメーション部門閉鎖に伴って二人は独立し、以降トムとジェリーシリーズは別の作家たちによって制作されていくことになります。

アカデミー賞ノミネート作品

1.上には上がある (1940年公開)

トムとジェリーのデビュー作にして第13回アカデミー賞ノミネート作品。いきなりアカデミー賞にノミネートされていたとは、さすが巨匠です。当時の2匹の名前は「ジャスパーとジンクス」。次作『夜中のつまみ食い』で名前がトムとジェリーに改められ、定着します。

2.メリー・クリスマス (1941年公開)

第14回アカデミー賞ノミネート作品。クリスマスの夜を舞台にドタバタ劇が繰り広げられるいつもの作品ですが、初めてトムとジェリーが休戦し、「仲良くケンカした」した作品でもあります。

3.あべこべ物語 (1947年公開)

第20回アカデミー賞ノミネート作品。ジーキル博士とハイド氏が元になった作品で、普段の2匹の関係があべこべになってしまうストーリーが特徴的です。ムキムキになったジェリーを観ることができますよ!ジェリーファンは見逃せない!

4.いたずらきつつき (1949年公開)

第22回アカデミー賞ノミネート作品。脇役としてキツツキの子が登場し、ゲスト回のお約束通りトムが仕留められるストーリーです。

5.ごきげんないとこ (1951年公開)

第23回アカデミー賞ノミネート作品。ジェリーにそっくりのいとこ「ミスターダイナマイト」が登場し、トムをボッコボコにする愉快な作品です。ジェリーの出演時間が極端に短いのが特徴。

6.武士道はつらい (1954年公開)

第27回アカデミー賞ノミネート作品。最後のノミネート作品です。おそらく『パーティ荒し』と同じ世界が舞台になっていて、ニブルスが再登場します。トムの身体が切断されまくるので、苦手な人は苦手かも。

 

以上が短編アニメ賞ノミネート作品です。受賞作品よりもノミネート作品のほうが少ないのは、それだけ作品が高く評価されていたことを示しているともいえるでしょう。

セリフ無しの時代のほうがアカデミー賞にノミネートされており、作品のクオリティも高いことを考えると、やはりトムとジェリーは無声映画的な魅力が大きい。トーキー移行後も人気者ではあったものの今ではそれらの作品が語られる機会の少ないバスター・キートンに通じるものがありますね。

久しぶりにトムとジェリーを見たくなったという方は、この週末に是非お気に入りの作品を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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  • 夏茄子
    4.0
    宇宙人の子がかわいくて好き👽
  • Kism
    3.0
    あたしはこんな遠くまで行くのよりそこらへんうろちょろしてる感じがいい
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    記録
  • ChiTown
    3.8
    めちゃくちゃ面白いんだよね
  • KazuyaNagato
    1.7
    トムとジェリーではない。
「トムとジェリー 火星へ行く」
のレビュー(240件)