ミステリーであり、同時にある女性の自己解放・再生を描いた作品『パーソナル・ショッパー』

2017.05.09
特集

FILMAGA編集部

フィルマーくま

ファッション業界を舞台に、新感覚心理ミステリー映画として誕生した、カンヌ国際映画祭受賞作『パーソナル・ショッパー』が5月12日(金)、公開されます。

パーソナル・ショッパー

鬼才オリヴィエ・アサイヤスが監督し、主演を務めるのは、同監督による『アクトレス 女たちの舞台』にも出演したクリステン・スチュワート

超多忙なセレブに代わって彼女たちの服を買い回る“パーソナル・ショッパー”という仕事をしながら、ある理由があってパリで孤独な生活を送るモウリーン(クリステン)。わがままなセレブに振り回される日々のなか、彼女は見知らぬ人物からとあるメッセージを受け取り、事件に巻き込まれていきます。

 

“シャネルの顔”が選ぶ、煌びやかなファッションアイテムの数々

今作で注目したいのは、劇中に登場するファッションたち。シャネルが衣装協力をしているほか、クリスチャン・ルブタンやカルティエといったハイエンドなブランドの数々が、作品をゴージャスに盛り上げます。特に全体にスパンコールが散りばめられたシャイニーなカクテルドレスは、劇中でもキーとなっています。

パーソナル・ショッパー

パリの街を有名ブランドのバッグを引っさげて、バイクに乗りながら颯爽と買い付けにまわるモウリーンの私服にも注目。ボア付きのレザージャケットに合わせたセーター、ジーンズにスニーカーとシンプルながらエッジの効いたスタイルはパリジャン顔負け。ナチュラルなメイクと、オールバックで軽くウェットな質感でまとめたヘアスタイルが、クリステン・スチュワートという女優のもつ本来の美を際立たせています。

パーソナル・ショッパー

実は彼女の私服は劇中であまり変化がないのですが、どの煌びやかなドレスと比べても、“頑張りすぎていない”そのお洒落さは、思わず真似したくなってしまうほど。ミニマリストな雰囲気が抜群に良い!

■憧れや自己表現方法としてのファッションを描いていると感じました。この映画でも色味を抑えた服を着るモウリーンと煌びやかなラグジュアリーブランドを着るキーラが対照的に撮られてます。(Katymarieさん)
■クリステンがとにかくキレイ。CHANELの洋服にも劣らない美貌。(chiyoeさん)
■CHANELなどのハイブランドを着ている時もドキッとして好きだけど、ラフな格好であれだけ格好良く着こなせるの流石(ke-fxさん)

ファッションと霊能力、2つのテーマが複雑に絡み合う違和感

さて、今作はある意味、鑑賞中にずっと違和感を感じるような、少しギャップのある作品と言えるかもしれません。

得体の知れない人物から送られるメッセージ、そして殺人……とミステリアスでヒッチコックを思わせるようなサスペンス要素が高いながらも、それ以前に描かれているのは主人公の苦悩と解放・再生の物語。

双子の兄とモウリーンには“霊能力”という共通点があり、先に死んだ方が残された方へ何かしらのサインを送るという約束をしています。ファッション業界という物質主義な世界にいる時、彼女の身の回りの人間はその痛んだ心などを知る余地もなく、欲望だけを引き出そうとする。反対に兄のかつての恋人は、モウリーンの未だに癒えぬ傷に寄り添い、彼女の行動を静かに見守るという精神主義な描かれ方がされています。

パーソナル・ショッパー

それ故に、緊迫としたサスペンスと同時並行で、“パーソナル・ショッパー”である彼女が自分自身の生活を精神的な意味で取り返すまでの、自己解放をテーマにしたヒューマンドラマが存在するのです。

その2面性を考慮したうえで今作を鑑賞すれば、より理解が深まり、その結末により心打たれることとなるでしょう。

■サスペンスにホラーが混ざった感じのジャンル。でもシャネルやルブタン、カルティエなどたくさんの煌びやかなものが出てくる。そういった煌びやかなものと、クリステン演じるモウリーンの闇?みないなものが対照的すぎて、キレイなんだけど、ゾッとする不思議な作品でした。(Kayococoさん)
■シャネルやカルティエなどのハイファッションの世界と心理サスペンスを映し出すクラシックなカメラワークがお洒落。(mpcatさん)
■てっきりファッションメインの映画かと思っていたのですが、スピリチュアルだったり、サスペンスだったり、少しホラーな要素もあり当初の期待を覆す映画でした。(runaemmaさん)

モウリーンを体現するクリステンのどこまでもリアルな演技

なにより、クリステンのほかにこの役を演じられる人物はいないと思ってしまうほど、モウリーンにリンクした素晴らしい演技を見せる作品です。クリステン自身もまた、現実では華やかなセレブ社会に身を置きつつも、どこか居心地が悪そうで、アイデンティティについて模索している。そういったモウリーンとの共通点が、もはや演技ではなく、モウリーンそのものだと思わせるのかもしれません。

■クリステン・スチュワートの震える演技とミステリーに引き込まれ、時間を感じなかった。(ayakosさん)
■クリステン・スチュワートの体当たりの演技もありリアルな感覚。(ke-fxさん)
■この作品のシンプルかつ孤高な彼女は、私の大好きなドラゴンタトゥーのリスベットを連想させる所があって、最初から一気に惹かれた。心情の現れる呼吸や、指先までのお芝居が本当良かった。(mamepommさん)

シンプルなファッション映画では決して終わらないアサイヤス監督の世界観。冒頭から受ける衝撃は、ラストまでおさまることはありません。

◆映画『パーソナル・ショッパー』 information

パーソナル・ショッパー

忙しいセレブに代わり服やアクセサリーを買い付ける“パーソナル・ショッパー”としてパリで働くモウリーンは、数カ月前に最愛の双子の兄を亡くし、悲しみから立ち直れずにいた。なんとか前を向き歩いていこうとしているモウリーンに、ある日、携帯に奇妙なメッセージが届き始め、不可解な出来事が次々と起こる― 果たして、このメッセージは誰からの物なのか? そして、何を意味するのか?

上映時間:105分

5月12日(金)公開

公式サイト:http://personalshopper-movie.com/
配給:東北新社
(C)2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR

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  • SZissie
    3.5
    ひさしぶりのクリステン・スチュワート。109分たっぷり拝顔した。満足。前作アクトレスと同様、人が自分ではない誰かになる(なりたい)という欲望がテーマと思う。雇主の服を着る。亡くなった兄の霊と交信する。謎の人物とのメールは、内なる自己との会話そのものだ。なんて考えすぎか。気のせいかも。 ちなみに、前半に出てくる抽象画の歴史は本当に興味深い。「抽象の力」で検索すると読める岡崎乾二郎氏の論考が素晴らしいので、ぜひ一読をおすすめする。といいつつ、途中で挫折してたのでまた読み始めよう。
  • Nちゃん
    3.0
    忙しいセレブのために服やアクセサリーの買い物を代行する「パーソナル・ショッパー」としてパリで働くモーリーン。 私生活では数カ月前に双子の兄を亡くし、悲しみから立ち直れない一方で、仕事で鍵を預かり他人の家に出入りし、時にはプライベートをものぞき見ることに、欲望をふくらませていた。 そんな彼女の隠された欲望が不可解な出来事を引き寄せ、彼女に謎のメールが届き始める。 ジャケットとタイトルからして、ファッション業界の官能作品だと思っていたら全然違うのねびっくり! まさか幽霊と交信ができる体質で、亡くなった双子の兄と交信しようとする映画なんて、そんな話だとは想像もしてないよ! プラネタリウムみたいじゃん! クリステンスチュアート演じるモーリーンがパーソナルショッパーをしていて、シャネルやらお金持ちの高級品店や煌びやかなアクセサリーを選ぶシーンはとても華やかで美しいのに、ファッション業界で生きる苦悩を描くのかと思いきや曖昧に終わってくし、兄の例と交信できたのかと言わればポルターガイスト的なオカルトちっくな場面もあって、兄とは断定されないまま曖昧な感じで終わっていくし。 かと思ったら、モーリーンの雇い主のセレブは殺されるし、しかも犯人はそのセレブと不倫していた男だし、全部が中途半端な曖昧で終わった。なんだこれ。何も解決してない話なら最初から作るな。 見る側の想像力に任せる的なオチでもないし、このストーリーの曖昧さほうがサイコスリラーだわ。
  • オダガスカル
    3.0
    男性的な役のクリステンスチュワートのカッコよさと、この後何か起こりそうという期待感で最後まで観れましたが。終わってみればそこまで意外な展開もなかった。表面だけで楽しめるタイプの作品ではなく、奥を読む・考える的な作品ですね。解説を読んでみましたが、もう一度見ようとは思わなかったですね。
  • non
    -
    思ってたのと 全然違う話と展開で驚いた それをおいておいても 映画の主題が 定まっていないかんじで なんだかなー 主人公を パーソナルショッパー という職業にして ましてタイトルにするなら もうちょっとなんかこう… ねえ? うーん…
  • ミキミニ
    3.0
    1回観ただけでは分からない…
「パーソナル・ショッパー」
のレビュー(2373件)