仕事で行き詰まったらシンプルに考えよう。偉大な経営者を描いた2つの映画に学ぶ

映画好きなサラリーマン。

柏木雄介

仕事をするに当たり、何を優先的に考えるかということは大事なことだと思います。この時、その優先順位が一体”誰の”ためなのかを意識することもまた大事なことです。今していることが、顧客のためなのか、社員のためなのか、株主、会社全体、社会のためか?業務に追われ、本質的なことが抜け落ちしてしまうことはよくあること。その本質を意識し、決してブレることなくその1点に集中し実践している人こそが、たくさんの人に支持されるものをこの世の中に生み出しています。

今回は、現在様々な年代に認知され受け入れられている商品、サービスを創りだした経営者を描いた映画を2本ご紹介します。きっとそれを観れば今を代表する企業のトップが何を考え乗り越え成功したかがみえるはずです。

『ソーシャル・ネットワーク』

ソーシャルネットワーク

ハーバード大学の19歳の学生が寮で「Facebook」を開発し時代の寵児になるまでを描く映画。創業者のマーク・ザッカーバーグがFacebookを作ったきっかけは、「大学の気になるあの娘のことが知りたい」という単純な想いからでした。恋人とも友人とも、うまくコミュニケーションが取れない彼が生みだしたサービスがオンラインでのコミュニケーションツールです。

様々な利権を抱えた複雑な人間関係に囲まれながら理想を追い求め、若くして億万長者となった男を、Facebookの成長とその結果生まれた裁判との2軸に沿って描かれています。ザッカーバーグが本当に追い求めたものを手に入れたかどうかはラストに分かりますが、いろいろな利害を持つ人間関係の中それでも惑わされず持ち続けたものがあるからこそ、ここまでのユーザーを持つサービスになったのだと思います。

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『スティーブ・ジョブズ』

スティーブ・ジョブズ

こちらは本土アメリカでもアップル信者の方からもすこぶる評判が良くない映画ですが、ライブドア創業者で起業家のホリエモンが賞賛しているのも納得できる映画です。これは実はいわゆる”伝記映画”とは趣が異なるからです。先を見通して、それを実現させようとする経営者としての物語として観てて面白いのです。

最低な男が、最高の未来を創った。”というコピーがこの映画の全てを表していると思います。大学時代である1971年から、Apple Computerを創業し、解任され復帰を遂げMacを発表するまでを描いてます。アップルを取り巻く仲間の存在、功績は深く描かれてません。

”最低な男”であるスティーブ・ジョブズが、”最高の未来を創ろう”としていたのが感覚的に伝わる映画。今までにはないものを創りだせると思ったあの輝き。それを必死に売ろうとする熱心さ。誰もその魅力を分かってくれないときのいらだち。資金調達のときのあの自信の眼。一緒に働く社員のことより、第一に商品のみを観るまなざし。それを手に取る消費者を想像する顔。その全てが全面に表現されています。きっと、ここで描かれているスティーブ・ジョブズの一面はシンプルに顧客のことを最優先に考えた眼だったのだと思います。

完璧主義による独裁的な経営で周囲の働いている人からは孤立していきますが、「まだ世界で、誰も観たことのない物を創りたい」という情熱こそが画期的な商品を生み出し、それに魅了された私たちがいるのです。それは真実です。

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本当に大切な1%を知ること。

シンプルに考える

元LINE(株)CEO森川亮著書「シンプルに考える」を最近読みました。上記で紹介した、FacebookやAppleと同じく、LINEも私たちの生活に欠かせないものとなっています。そんな元社長の仕事論がこの本で書かれています。

私がこの本を読んで初っ端から印象に残ったことが、会社にとって一番大切なことは「ヒット商品をつくり続けること」と言い切っていることでした。よくあるビジネス本で書かれているような、「会社の利益」「社員の幸せ」「ブランド」「戦略」「ビジネスモデル」とは言わず、シンプルに本質を見ての一言。もちろん、それらのことを考えることがダメとは述べてはいません。むしろ、一番大切なことを常に意識して実践することで、その他の大事なことも自然と実現されている気がします。現場はひたすらユーザーのために全力を尽くす。経営は、現場が仕事にとことん集中できる環境を守るとシンプルに考えられているからです。

仕事をしていると、大事なことが分散されてしまうことはよくあると思います。立場が上になればなるほど、それが顕著になるかと思います。お客さんのことを考え、社員のことを考え、上場している社会的に影響力のある会社ならば当然株主の利益を最大化するために優先的に考えざるを得なくもなってきます。そして、何を優先的に考えるか、悩んで決断に時間がかってしまい行動が遅くなってしまいます。責任を分散させることも内部統制上の観点からももちろん必要なことですが、スピードと本質を忘れがちになります。表面的な価値観に惑わされず、「何が本質か?」を考え、それ以外を捨て去る。シンプルに考えること。

森川さんは、「ユーザーのニーズに応える」ということ、人々を喜ばせる努力を怠らないことを徹底しています。その目的の達成のために、年齢や職歴、役職などに関係なく人を集め仕事を進めています。そしてそれ以外のことを、今までの常識と思われていたことは排除して、以下のように考えています。

「戦わない」
「ビジョンはいらない」
「計画はいらない」
「情報共有はいらない」
「偉い人はいらない」
「モチベーションはあげない」
「成功を捨て続ける」
「差別化は狙わない」
「イノベーションを目指さない」
「経営は管理ではない」

大切なことは常に顧客のことを考えること。

『ソーシャル・ネットワーク』『スティーブ・ジョブズ』を見ると、Facebook創業者であるマーク・ザッカーバーグ、アップルのスティーブ・ジョブズも顧客(ユーザー)のことを最優先で考えていたことが分かります。

『ソーシャル・ネットワーク』では、ユーザーはクールなものを求めていると、広告を掲載することに反対するシーンがあります。『スティーブ・ジョブズ』でも、ジョナサン・アイヴ(現在の主要アップル製品のデザイン担当者)とデザインについて話している時の、キラキラとした目をした二人が印象的です。

大事なことを見極め、それに集中することで生まれる問題はもちろんあります。両作品では働いてきた同士との軋轢も描かれています。こだわりのある経営者としての人物像を深く描いているので、その言動などによりその価値観がいたるところで垣間見れます。

その点も両作品の面白いポイントです。いわゆる伝記映画とは異なります。伝記映画では、その中心となる人物の内面や偉業などを全面的に好意的に描き出されるのが通常かと思いますが、この2つの映画を見るともしかしたら2人の経営者のことが嫌いになってしまうかもしれません。けれども、2人が思い描く実現したい未来だったり、それを追い求める情熱に観る人を魅了する何かがあります。特にゼロから1を作り出している人に刺さる内容かもしれません。

もちろん仕事をするに当たり大事なことはその人やその環境によっても異なります。一概にこれが正しい、他は捨てるべきだとは言えません。ただし、それを意識しブレないで行動しているか、それを再認識できる映画です。仕事に行き詰まってしまったときこそ、自分にとっての大事なことをシンプルに考え、それを追求し考え実行することが大切なことかもしれません。

ちなみにスティーブ・ジョブズに関しては、ウォルター・アイザックソン氏が書いたスティーブ・ジョブズ氏の公式伝記を原作とした映画『スティーブ・ジョブズ』が『スラムドッグ$ミリオネア』『トレインスポッティン』のダニー・ボイル監督により公開されます。

全米では2015年10月9日に公開される予定です(日本公開は未定)。今回紹介した2013年公開のアシュトン・カッチャー主演『スティーブ・ジョブズ』とは異なる、”ジョブズ氏の半生を描いた” 新たな一面が描かれた”伝記映画”になるかと思います。こちらも楽しみです。

 

※2021年12月28日時点のVOD配信情報です。

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スティーブ・ジョブズ
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