アカデミー賞ノミネートはじめ各国で40を超える賞を受賞した『ありがとう、トニ・エルドマン』。既に公開されたドイツ・フランスでは異例の大ヒットを記録し、本作を観て、惚れ込んだ名優ジャック・ニコルソンが、ハリウッド・リメイクを熱望した話題作が、いよいよ6月24日(土)より公開されます。
不器用な父の愛情表現に、困惑しながらも向き合おうとする、娘の心の葛藤がせつなくも笑える映画ファン必見の作品です! 先日Filmarksではユーザー向けに試写会を開催。いち早くご覧になったユーザーの皆さんの感想とともに本作の魅力をたっぷりご紹介します。
《人生について考えさせる》仕事を頑張っている“あなた”に観て欲しい映画!
仕事に支配され、自分というものを抑え付けて必死に努力して生きる、キャリアウーマンのイネス。彼女はコンサルタントの仕事をしており、人との駆け引きや顔色を伺う日々で、笑顔を失いつつあった。そんな娘を心配した父ヴィンフリートは、”トニ・エルドマン”という別人に変装して仕事場にコッソリ登場する。
父と娘の物語の背景に浮かび上がる、現代のグローバル化された資本主義社会への疑問。戦後世代の父とキャリア志向の強い娘を描きながら、孤独、世代ギャップ、価値観の相違、社会格差という、世界が直面する問題から、「幸せとは何か?」という身近で大きなテーマを扱うことで、生きづらい世の中に生きる私たちへ、温かいメッセージを贈ってくれる映画です。
- ■父と娘の単なる感動物語ではなく、生きることの意味やテーマの深さをジワジワ感じる内容でした。人間関係やルーマニア情勢の描き方、限られた音楽と音の効果、などあり得ない場面も含めて印象深かったです。トニ・エルドマン、愛すべき親父でした(あーるさん)
- ■父娘の関係、人生の意味、女のキャリア、資本主義の行き着く先、人と人との触れ合い、女の友情、老いた父の生きざま、ユーモア……などなど、見る人によってそれだけのテーマが見つかるでしょう(hesheme412さん)
- ■仕事は生活の糧であり、社会的な自己実現の場ではあるけど、日々の業務に追われると消耗してしまい、身を削る思いで泣きたくなることも。この作品に、若いうちに出会えたら良かったのかなぁと思ってしまった。今後の人生という広義のキャリアビジョンについて考えようと思う(のnきちさん)
《ぶっ飛んだラストの展開も必見!》父と娘の愛と笑いが溢れる物語に共感の声多数!
本作は、舞台は違えども誰もが知っている身近なお話。クールな娘に対し取ったお父さんの行動に、笑いや悲しみ、怒りなどの感情をありのままをぶつけてしまう娘。
トニ・エルドマンが娘に対して行う行動は、思わず目を手で覆ってしまうほど恥ずかしい「親父ギャグ」ですが、ユーモアがあるからこそ、笑いを堪えずにはいられません!
そんな父親に感化されて、娘イネスが選んだ人生とは? 試写会場でも笑いに包まれた衝撃的な展開も必見です。
「親と子供の関係は別れに満ちている。子供にとっての始まりは、親にとっての終わりである」という監督の思いの通り、本作では度々「別れ」が印象的に表現されています。大人になり、時にうっとうしく感じてしまう父親に対して、子供のころ感じた温かな父親をふと思い出し、涙してしまう方も。
笑いと感動を交互に仕掛けて来る、誰もが共感できる父と娘の愛の物語です。
- ■帰っていく父親を見送って、姿が見えなくなった瞬間にブワッと涙が溢れ出て号泣してしまうあたり、まるで私そのまんまでした。監督も同じ経験があるのかな。笑って泣けて、そして内省させられる、良質な作品です(sunflowerさん)
- ■162分の中にたくさん詰め込まれててシーンごとになにを伝えようとしてるのか考えながら見るととても面白いと思った。真面目な映画の流れだったけど最後は腹筋割れるぐらい笑えた(ありさん さん)
- ■分かりやすさが嫌いな方にも、ユーモアをこよなく愛する人にも、女のやけっぱちにエールを贈りたい貴方にも。是非おすすめしたい作品です(hesheme412さん)
- ■こんなパパがいたら胸の中で泣き崩れてるね。生きる為に働かなくてはいけないけど、生きる為につまらない人間にはなりたくない。眉間に皺が寄りそうな時はトニエルドマンを思い出そうと思う。可笑しな事をしてみようと思う(minorityさん)
町山広美さんによる解説「単に長い162分ではない。“人生”という時間を描いた映画」
試写会では、上映終了後トークショーを開催!「有吉ゼミ」「幸せボンビーガール」などの放送作家として知られ雑誌「InRed」などで映画連載を持つ放送作家・コラムニストの町山広美さんが登壇されました。
「この作品は主人公が語る人生の話。冒頭では父の愛犬が亡くなって、それ以外にも「死」や「別れ」をイメージさせる場面がある。この監督はテーマの中に「時間」を据えているから、ただ単に162分になったのではなくて、始めからしっかりとしたビジョンがあったんだと思います。
なかなか誰もフレームインして来ないファーストシーンにしても、一般的な映画の紡ぎ方じゃなくて、自然な時間の流れでわざと「時間をみせる」という仕掛けなんだなと。そう見るとたくさんの仕掛けがこの作品にはあるなと思いました。」と、映画の上映時間の尺について解説。
「大きなテーマを持っているのに、柔らかい印象を持つ映画になっているのは興味深く、「時間」というテーマを知ってから改めて見返すと、一度観た時では気付けなかったことが理解でき、良い人生を描いた162分だと感じました。」
- ■父が娘を思う気持ちがあたたかくて、何度も泣いてしまった。生きる意味とは何か、だったり、愛とは何かだったり、考えさせられることがたくさんありました。ただ感動だけじゃなく、ルーマニアの日常を垣間見れるシーンだったり、爆笑できるシーンだったり、2時間42分とっても見応えがありました(Kayococoさん)
- ■個人的にはムーンライトを観たときと似たような感覚で、2回目以降また違った味わいが出てくるような緻密で奥深い作品に間違いないと思います(ぱんぷぱんくさん)
- ■向き合うべき現実がある中で、それでも「ユーモアを忘れるな」というトニ・エルドマンの姿勢は、とても温かいものに感じました。長尺の映画ではありますが、リアリティとユーモアと刺激、そして静寂がうまく織り込まれており、まるで人生の日々が過ぎていくかのように、あっという間の時間でした(Yunさん)
女性監督ならではの「きめ細かなリアルな描写」と「映像美」にも注目!
さらに町山さんは、ポスターなどのビジュアルにも出てくる精霊「クケリ」の印象的な登場シーンについてお話されました。
「1テイクで、マジックアワーの時間に撮っているんだと思うのですが、あの淡い空気感の映像が素晴らしい。物語が終わることと、昔の記憶がシンクロする美しいシーンだと思います」とマジックアワーを利用したほんの一瞬のシーンに心を捕まれた話も熱弁。
最後に監督のマーレン・アーデについて「30代でこれだけのアイデアを貯め込んで、映画を撮っているのって本当にスゴイ人。ダメなところがほとんどなくて。プロデューサー経験はあるものの、監督作はこれがまだ3作目というので、今後も本当に楽しみです!」と期待を込め語りました。
- ■父と娘との温かい雰囲気の中で話が進むので、”押し付けがましさ”を感じることなく、そのテーマがストレートに心に響きます。映像も綺麗(特に、毛むくじゃらを追うシーンは美しくて泣ける)で、ほんとにオススメの作品!(ひーろさん)
- ■親子の対立を描きながら対峙する主義や立場など普遍的な関係を見せてくれます。人生の岐路にたっていたり迷いを持っている人に勧めたいです(深澤久美子さん)
- ■お父さんの娘に対してだけでなく、まわりのみんなへの優しさがとても印象に残っています。とても慈悲深いお父さん!!とても素敵でした!!(てらうえまきさん)
思春期を過ぎて、なんとなくよそよそしくなってしまった世界中の親子に捧げる、観た人の心を打つ映画『ありがとう、トニ・エルドマン』。 ぜひ自身の家族を想いながら、ご覧になってみてはいかがでしょうか。
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あらすじ:
ヴィンフリートとコンサルタント会社で働く娘・イネス。性格も正反対なふたりの関係はあまり上手くいっていない。たまに会っても、イネスは仕事の電話ばかりして、ろくに話すこともできない。そんな娘を心配したヴィンフリートは、別人<トニ・エルドマン>となって、イネスの元に現われる。職場、レストラン、パーティー会場――神出鬼没のトニ・エルドマンの行動にイネスのイライラもつのる。しかし、ふたりが衝突すればするほど、ふたりの仲は縮まっていく・・・。
上映時間:162分
〈6月24日(土)、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次公開〉
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/tonierdmann/
(C) Komplizen Film
※2022年1月21日時点のVOD配信情報です。