蘇る70’sブラックスプロイテーション魂!『Black_Dynamite』

Why So Serious ?

侍功夫

【未公開映画傑作選】

Black Dynamite

1960年代後半から70年代のアメリカ。法の上での人種差別には終止符が打たれましたが、差別感情だけは根強く残っていました。そんな風潮にアメリカ黒人たちの鬱憤はメキシコオリンピックでのブラック・パワー・ソリュート事件やブラック・パンサー党の台頭といった形で現れます。差別をめぐる環境が目まぐるしく変わっていた時代、映画界にも黒い新風が吹き抜けます。

ブラックスプロイテーション映画の興廃

黒人探偵シャフトが、マフィアの麻薬戦争に立ち向かう『黒いジャガー』。イカス改造車に乗るピンプ兼麻薬ディーラーが、ゲットーから抜け出すために一世一代の賭けに出る『スーパー・フライ』。廃人にされた妹の仇を討つためパム・グリアがダイナマイト・ボディでギャング団に潜入する『コフィー』。

Shaft Super Fly Coffy

出典:
http://www.amazon.co.jp/dp/B00EPPQAPK/
http://www.amazon.co.jp/dp/B000MQ588G/
http://www.amazon.co.jp/dp/B00CP0YDYW/

ブッといファンクやクールなジャズに乗せて黒人主人公が悪い白人たちをブン殴る、不良感度ストップ高突破のブルータルな映画がヒットを飛ばすと、とたんに多くの映画製作者が群がり、アッと言う間に大量の黒人映画が誕生することとなります。ブラックスプロイテーション映画の誕生です。

しかし、ステレオタイプなピンプ・ファッションの黒人ギャングが殴りあうような活躍に黒人地位向上委員会などの良識的な団体から泣きが入り、銀幕から姿を消していくこととなってしまいました。

しかし、振り切った作風にファンも多くいます。アメリカの黒人俳優マイケル・ジェイ・ホワイトもその一人です。

 

パロディでもリメイクでも無い! それが『Black Dynamite』!

2009年にアメリカで公開された『Black Dynamite』。屈強かつ絶倫な肉体に凶暴なカラテのスキルを纏わせ、巨大なキャデラックを駆って街を流し、弱きを守り強きをコテンパンに殴り倒す正義の男、ブラック・ダイナマイトが、殺された弟の仇を討つために悪の組織に果たし状を突き付ける!

古い映画スタイルを模倣してギャグにするパロディ映画は数多ありますが、本作がそれらと一線を画しているのは、スタイルの模倣はしてもパロディを志してはいないところです。

もちろん極端過ぎて笑える場面も多く、コメディ的ではあります。しかし、襟のデカいシャツや派手なスーツはカッコ良く着こなされていますし、空手有段者のマイケル・ジェイ・ホワイトのアクションは格闘映画としても全く遜色無い仕上がりです。オチャラケる余裕が無いほどの真剣な愛が伝わってきます。

その愛の深さが「21世紀に作られた新作の70年代ブラックスプロイテーション映画」という、異次元に突入した傑作を生んだのです。

【公式トレイラー】https://www.youtube.com/watch?v=96Y24a0cyCE

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