何だか眠れない夜。目をつぶっても頭は冴えてしまって、むやみに時間だけが過ぎていく。そんな夜は、頭を空っぽにして映画を観るのがオススメ。映画に身を委ねているうちに、自然と眠くなってくるはず。
そこで今回は、眠れない夜に入眠のお供になるような映画を10作品ご紹介します。
『ノスタルジア』(1983)
『惑星ソラリス』などの巨匠アンドレイ・タルコフスキーが、ソ連国外で初めて制作した映画。第36回カンヌ国際映画祭にイタリアから出品し、監督賞と国際映画批評家連盟賞を受賞した。
18世紀にイタリアを放浪したロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を追うロシアの詩人アンドレイは、通訳女性エウジェニアを連れてイタリアのトスカーナ地方を訪れた。そこで周囲から狂人扱いされている老人ドメニコと出会う。彼はアンドレイに1本のロウソクを託し「ロウソクの火を消さずに広場を往復することができたなら、世界はまだ救われる」と言うのだが……。
幻想的で美しいノスタルジックな映像と、詩的な台詞が印象的。火や水など、自然的なモノによる癒し効果が溢れる作品。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】
『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)
『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』などのウディ・アレンが監督を務めた、大人のロマンティック・コメディ。出演はオーウェン・ウィルソン、レイチェル・マクアダムスなど。
ハリウッドで売れっ子脚本家のギルは、婚約者のイネスとパリを訪れる。作家への夢を諦めきれないギルは、少しずつイネスとすれ違いはじめていた。そんな夜、市街で迷子になっていたギルは、レトロな車に乗り込む。しばらく走った車を降りるとそこは、1920年代の芸術家達が集うパリだった!
美しいパリの街並みとビンテージな雰囲気がたまらない。ジャズ音楽に包まれて、夢見心地になること間違いなし。
『I am Sam アイ・アム・サム』(2001)
『クーパー家の晩餐会』などジェシー・ネルソンが監督を務めた、知的障害を持つ父親と幼い娘の愛情を描いたヒューマンドラマ。父親役のショーン・ペンはアカデミー主演男優賞にノミネートされた。
7歳の知能しか持たない父親のサムは、コーヒーショップで働きながら、娘のルーシーを育てている。周囲の理解もあり幸せに暮らす二人。しかしルーシーが7歳を迎える頃、サムは父親としての能力に欠けていると判断されソーシャル・ワーカーによってルーシーを奪われてしまう。ルーシーを取り戻したいサムは、敏腕弁護士とともに、裁判に挑むことを決意する。
サムがルーシーを愛するように、ルーシーもまたサムを愛している。二人の関係に心が温まる。様々なアーティストによるビートルズのカバー曲も心地よい。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】
『はじまりのうた』(2013)
『ONCE ダブリンの街角で』『シング・ストリート 未来へのうた』のジョン・カーニー監督が描く、音楽の力で心が癒されていくヒューマンドラマ。出演はキーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロなど。
イギリスからニューヨークにやってきたのに恋人に浮気されたグレタ。失意の中、友人に誘われたライブハウスで曲を披露したところ、偶然居合わせた音楽プロデューサーのダンに見出され、アルバムをつくることに。しかもダンが提案したのはスタジオ収録ではなく、ニューヨークの街角で次々とゲリラレコーディングをしていく方法だった。
地下鉄、セントラルパーク、チャイナタウンなど、ニューヨークの街並みが、音楽の力で輝いて見える演出に感動。明日に向けた元気をもらえる作品。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】
『きょうのできごと a day on the planet』(2003)
『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』などの行定勲監督が、大学生のなんてことのない一日を描いた青春ドラマ。出演は、田中麗奈、妻夫木聡、伊藤歩、池脇千鶴、大倉孝二など。
大学院に進学する友人・正道の引越し祝いのため、京都にある彼の新居に集まった仲間たち。お酒を飲みながら他愛もない時間を過ごしている間、テレビの向こうでは色々な事件が起こっていて……。
何か大きなことが起こるわけではない一日も、世界のできごとと繋がっている。ゆったりした、他愛もない一日に身を任せてみたくなる作品。深夜から明け方までのお話なので、夜更かしして観ると良いかも。
『おとぎ話みたい』(2014)
『溺れるナイフ』『ホットギミック ガールミーツボーイ』などの山戸結希が監督を務めた、田舎で暮らす少女の初恋の物語。MOOSIC LAB 2013ではグランプリ、最優秀女優賞、ベストミュージシャン賞の3冠を受賞した。
高校3年生の冬、田舎で暮らすしほは、卒業後に東京に進学してダンサーになる夢を持っていた。しかし田舎ではダンスを理解してくれる人はいないと思い、夢を言えずに過ごしていた。そんなある日、東京の大学院から戻ってきて就職した新見先生に出会う。新見先生はしほのダンスを褒め、社会資料室でDVDと哲学書を貸してくれた。その出会いは彼女にとって初恋だったのだが……。
物語のあいだに挟み込まれるロックバンド「おとぎ話」のライブ映像と、詩的なで甘美な台詞がまるで“おとぎ話”みたいな世界に誘う。映画初主演を務めた趣里の弾けるような演技にも注目。
『ジ、エクストリーム、スキヤキ』(2013)
劇団「五反田団」主宰で、『横道世之介』の脚本などで知られる前田司郎が、自身の同名小説で初監督を務めた脱力系青春ドラマ。
フリーターの大川のもとに突然、絶縁状態だった学生時代の友人・洞口が現れる。大川はあきれながらも言いくるめられ、同棲相手・楓と、洞口の昔の恋人だった(?)京子を巻き込み、海へ向かう。目的があるのかないのか分からない旅の終着点は……?
主演の井浦新(ARATA)と窪塚洋介は『ピンポン』以来、11年ぶりの共演。二人が織りなす独特な空気感と、行き当たりばったりでゆるーい展開がたまらない作品。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】
『百万円と苦虫女』(2008)
『ロマンスドール』『ふがいない僕は空を見た』などのタナダユキが監督を務めた、アルバイトを転々としながら少しずつ成長していく女性を描いた青春ロードムービー。主演は蒼井優。
短大を卒業したものの就職できず、アルバイトをして暮らしていた鈴子は、とある事件に巻き込まれてしまう。実家にも居づらくなってしまった鈴子は、「100万円貯まったら次の場所に引っ越す」という生活をすることに決めて各地を転々としていくのだが……。
海、山、街と色々なところで様々な人に出会う鈴子と同じように、観ている側も少しずつ勇気をもらえる作品。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】
『街の上で』(2019)
『愛がなんだ』『mellow』などの今泉力哉監督が、下北沢を舞台に、変わりゆく街と恋と友情を描く群像劇。主演を若葉竜也が務め、穂志もえか(保紫萌香)、古川琴音、萩原みのりなどが出演。
下北沢の古着屋で働いている荒川青は、ときどきライブに行ったり、古本屋に行ったり、飲みに行ったり。生活圏は下北沢で事足りていた。そんなある日、「自主映画への出演」を依頼され、これまでとは違う日常が始まる予感がしていて……。
登場人物たちのやり取りが心地よい。まるで本当に下北沢にいるような空気感を味わえ、街に溶け込んでいる気持ちになれる作品。
『死霊の盆踊り』(1965)
アメリカの映画レビューサイトで脅威の満足度0%をたたき出し、最低映画の金字塔としてカルト的人気を誇るZ級映画。脚本は『プラン9・フロム・アウタースペース』のエドワード・D・ウッド・Jr。
ある夜、ホラー小説家のボブは恋人とドライブをしていたが、事故を起こして墓場に迷い込む。そこで二人は突然ミイラ男と狼男に拉致され、墓石に縛り付けられてしまう。彼らの前には次々と蘇った女たちの霊が現れ、豊満な肉体を揺らしながらヌードになる裸踊りを延々に見せられることになるのだった……。
想像を絶する映像に「いったい何を見せられているんだ」という気持ちになる作品。深夜に横になりながら観れば、気が付いたら眠れているに違いない。
※2021年10月15日時点の情報です。