グレタ・ガーウィグ出世作『ハンナだけど、生きていく!』8年越しの公開へ

2015.07.25
洋画

映画好きをこじらせLAへ

MaryK

渋谷シアター・イメージフォーラムにて2015年9月19日から2週間限定で公開される『ハンナだけど、生きていく!』 。本国アメリカでは2007年に公開された映画です。

大学を卒業したばかりの主人公のハンナが無職の彼氏と別れ、職場にいる男性2人と恋をし自分探しをしていくといった作品。 

8年経った今年ようやく日本で公開されることになったのですが、なぜ今なのでしょうか?

実はこの作品、2002年から続くゼロ世代のインディーズ映画ムーブメント「マンブルコア」作品の中でも特に重要な一本なのです。

主役を務めるグレタ・ガーウィグ"マンブルコア界のミューズ” と呼ばれているくらい、彼女の初期の作品にはマンブルコアが多く、今ではメジャー作品でも活躍する彼女が注目されるきっかけとなったのが今作品です。

grete_gerwig_1

出典: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Greta_Gerwig_at_TIFF_2014.jpg

そもそもマンブルコアとは一体何なのか?

マンブルコアという呼び方は英語のmumble (ぶつぶつ呟く) からきています。ぼそぼそと呟くようなセリフで成り立っているためそのような呼び名がついたそうです。

ルーツは1960年代のフランスにおける映画運動のヌーヴェルヴァーグ。特にエリック・ロメール監督の作品に影響をうけているのではと言われています。

夏物語

マンブルコアのゴッドファーザーと呼ばれているのがアメリカ人監督アンドリュー・バジャルスキー。2002年の彼の作品『Fanny Ha Ha 』がはじめてのマンブルコア作品と言われています。残念ながら彼の作品は一本も日本では見ることができません。

また、マンブルコアと呼ばれる作品に共通しているのが

  • 「超低予算で作られる」
  • 「主人公はフツーにどこにでもいそうな20代」
  • 「脚本は使わずアドリブが多い、かつどうでもいい会話が続く」
  • 「通常主人公は将来や恋愛といった人生の悩みを抱えている」

といったもの。

見る人によっては『まるで私の人生と一緒!こんな悩み抱えているなー』と共感できる場合と、『そのあたりにいる人の日常をカメラで追っただけじゃないの?』という感じ方まで様々。 好き嫌いがはっきりわかれるジャンルであることも間違いありません。

ちなみに私はというと... 紹介しているだけあってもちろん大好きなジャンルです!

日本でも見れるそのほかのマンブルコア映画

フランシス・ハ

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『ハンナだけど、生きていく!』 で主演のグレタ・ガーウィグ主演作。日本で劇場公開されたマンブルコア映画としてはおそらく初でしょう。20代の将来に悩める女性にぜひ見て欲しい作品です!

ドリンキング・バディーズ 飲み友以上、恋人未満の甘い方程式

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『ハンナだけど、生きていく!』 を監督しているジョー・スワンバーグによる作品。『ピッチ・パーフェクト』 や『イントゥ・ザ・ウッズ』のアナ・ケンドリックに『トロン:レガシー』や『her/ 世界でひとつの彼女』のオリビア・ワイルドが出演。

ラブ・トライアングル

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姉妹の微妙な三角関係を描いた作品。イギリス人女優のエミリー・ブラントに、マンブルコア界でははずせないマーク・デュプラスも出演。

監督のリン・シェルトンは最近はマンブルコアの味を生かしたメジャー作品も撮るようになってきており、2014年の『Laggies』ではキーラ・ナイトレイが人生に悩むこじらせ女子、そのアラサー女子と不思議な友情を育むこととなる高校生をクロエ・グレース・モレッツが演じ話題となりました。

日本未公開だけど一押しマンブルコア作品

Tiny Furniture

海外ドラマ『Girls』 で主演・監督・脚本を務めるレナ・ダナムの監督デビュー作。この作品がきっかけでジャド・アパトウに見出され、社会現象にまでなっているGirlsを生み出すこととなりました。この映画があったからこそGirlsのハンナが生まれたのね!と思えるもので、将来と恋愛に悩む若者をレナが演じています。彼女の実の母親も登場。

参照:ドラマ『Girls』のレナ・ダナム2010年の監督作品『Tiny Furniture』

In Search of a Midnight Kiss

LAの大晦日を舞台。ネットで知り合い実際には会ったばかりだが一夜という限られた時間を過ごすこととなった男女を追ったストーリー。他愛もない話をしながらLAをドライブする二人... この設定、とある映画を思い出しませんか?実は 『恋人までの距離』や『ビフォア・サンライズ』 のアン・ウォーカー・マクベイがプロデューサーなのです。 あちらはヨーロッパでしたが、LAダウンタウンも負けないくらい素敵に撮られています。

参照:ビフォアシリーズのプロデューサーによるLA舞台のモノクロ映画『In Search of a Midnight Kiss』

 

まだまだ日本ではマンブルコアはマイナーなジャンルではありますが、『ハンナだけど、生きていく!』を筆頭に今後はもっと日本未公開だった作品が見れるようになることを期待しています!

なお、『ハンナだけど、生きていく!』 を配給している IndieTokyo は「世界のインディペンデント映画シーンにコミットする映画人を日本から生み出す」という素晴らしい目標に掲げているということで、今後の配給作品が楽しみです!インディペンデント映画好きとしてはどんどん世界中からおもしろい作品を持ってきて欲しいです。

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  • dramatica
    3.4
    大人の青春映画である。いついかなる時でも主人公となりたいフランシスの悲喜劇と「成長」。
  • ずんこ
    3.9
    ストーリーや演出に壮大な仕掛けがあるわけではないけど、見ていて楽しかった。ちゃらんぽらんだったり嫉妬深かったりもするんだけどとにかくパワフルで前向きなフランシスは人間味があふれててすごくチャーミングでした☺︎ BGMよい!
  • yumiko
    -
    「 ハ 」・・・って何??? 主人公のフランシスは 体格なんかも良く、パワフルで、親友とルームシェアしてて、カレシもいて、好きなダンスも頑張ってて・・・って 日々エンジョイしている女の子なんだなーって。 とにかくパワフルなことに間違いはないのですが、ただ、あまりにも親友ソフィーに 気持ちが傾倒している感じが出てきます。 だんだん、ちょっとしたことで 親友とギクシャクしてきて、それ以外のことも、うまくいかなくなる時期がやってきて、どっぷり落ち込むのですが、根がパワフルなフランシスだから、そこら辺は・・・ 。 そして 「 ハ 」とは何なのかの謎も、最後まで観ればスッキリ解消!
  • sakura
    -
    記録
  • netfilms
    4.2
     ニューヨーク・ブルックリン、流行の発信地とも呼ばれる街に暮らす27歳のフランシス(グレタ・ガーウィグ)は、プロのモダン・ダンサーを目指し、修行の日々を送っていた。家賃の高い一等地にルーム・シェアするのは親友で編集者見習いのソフィー(ミッキー・サムナー)。朝から太極拳でじゃれ合い、「飼い犬は食べない」と冗談を交わす2人は理想の友人関係を構築していた。「猫と俺と住もう」というボーイフレンドからの言葉に首を横に振ったフランシスとソフィーの姿は、まるで若年性のレズビアン・カップルのようにも見える。そんな平和なある日、突然ソフィーはマンハッタンのトライベッカでリサとルーム・シェアするからと宣言し、部屋を出て行ってしまった。住処をなくし、途方に暮れたフランシスは友人たちの間を転々とする中で、周囲の成長に焦りを覚え、自分の人生について見つめ直していく。『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』で初めての起用となったグレタ・ガーウィグを再度ヒロインに据えた日常の物語。ヌーヴェルヴァーグのような自然主義、低予算と手持ちカメラの使用、ロケーション主体の撮影スタイル、現代口語的な日常の会話劇はまさに「マンブルコア」映画の様相を呈す。  ノア・バームバックの映画では住居の移動が精神的影響を伴い、その度に主人公の成長を促した。『イカとクジラ』では母親ジョーン(ローラ・リニー)との不和によりバーナード(ジェフ・ダニエルズ)は今の家から5駅先に仮住まいを設け、兄弟はその間を行ったり来たりした。『マーゴット・ウェディング』や『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』では、止むを得ぬ理由からかつての生家に戻った主人公たちマーゴット(ニコール・キッドマン)やロジャー(ベン・スティラー)に自分自身の闇と向き合い、成長を促す。今作においてもソフィーとの安全地帯に逃げ込み、平穏に暮らすフランシスは突如住処を失い、途方に暮れる。恋人の代わりに、親友を選んだヒロインの悲哀、長年追ってきたモダン・ダンサーという夢の挫折。チャイナタウンの男友達の家に身を寄せていたヒロインの焦燥感は、クリスマスにサクラメントの両親の元に帰っても治らず、しまいには貯金を切り崩し、大見栄を張ってパリへ飛ぶ。途中、銀行に走るフランシスの裏ではフランソワ・トリュフォーの59年作『大人は判ってくれない』の「L'Ecole Buissoniere」の印象的なフレーズが流れる。モノクロ映像に包まれた青春群像劇、LAでもパリでも東京でもない生粋のニューヨーカーたちの青春の光と影。ラストのDavid Bowieの『Modern Love』に思わず涙腺が緩む。
「フランシス・ハ」
のレビュー(7411件)