グレタ・ガーウィグ出世作『ハンナだけど、生きていく!』8年越しの公開へ

映画好きをこじらせLAへ

MaryK

渋谷シアター・イメージフォーラムにて2015年9月19日から2週間限定で公開される『ハンナだけど、生きていく!』 。本国アメリカでは2007年に公開された映画です。

大学を卒業したばかりの主人公のハンナが無職の彼氏と別れ、職場にいる男性2人と恋をし自分探しをしていくといった作品。 

8年経った今年ようやく日本で公開されることになったのですが、なぜ今なのでしょうか?

実はこの作品、2002年から続くゼロ世代のインディーズ映画ムーブメント「マンブルコア」作品の中でも特に重要な一本なのです。

主役を務めるグレタ・ガーウィグ"マンブルコア界のミューズ” と呼ばれているくらい、彼女の初期の作品にはマンブルコアが多く、今ではメジャー作品でも活躍する彼女が注目されるきっかけとなったのが今作品です。

grete_gerwig_1

出典: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Greta_Gerwig_at_TIFF_2014.jpg

そもそもマンブルコアとは一体何なのか?

マンブルコアという呼び方は英語のmumble (ぶつぶつ呟く) からきています。ぼそぼそと呟くようなセリフで成り立っているためそのような呼び名がついたそうです。

ルーツは1960年代のフランスにおける映画運動のヌーヴェルヴァーグ。特にエリック・ロメール監督の作品に影響をうけているのではと言われています。

夏物語

マンブルコアのゴッドファーザーと呼ばれているのがアメリカ人監督アンドリュー・バジャルスキー。2002年の彼の作品『Fanny Ha Ha 』がはじめてのマンブルコア作品と言われています。残念ながら彼の作品は一本も日本では見ることができません。

また、マンブルコアと呼ばれる作品に共通しているのが

  • 「超低予算で作られる」
  • 「主人公はフツーにどこにでもいそうな20代」
  • 「脚本は使わずアドリブが多い、かつどうでもいい会話が続く」
  • 「通常主人公は将来や恋愛といった人生の悩みを抱えている」

といったもの。

見る人によっては『まるで私の人生と一緒!こんな悩み抱えているなー』と共感できる場合と、『そのあたりにいる人の日常をカメラで追っただけじゃないの?』という感じ方まで様々。 好き嫌いがはっきりわかれるジャンルであることも間違いありません。

ちなみに私はというと… 紹介しているだけあってもちろん大好きなジャンルです!

日本でも見れるそのほかのマンブルコア映画

フランシス・ハ

frances_ha

『ハンナだけど、生きていく!』 で主演のグレタ・ガーウィグ主演作。日本で劇場公開されたマンブルコア映画としてはおそらく初でしょう。20代の将来に悩める女性にぜひ見て欲しい作品です!

ドリンキング・バディーズ 飲み友以上、恋人未満の甘い方程式

drinking_buddies

『ハンナだけど、生きていく!』 を監督しているジョー・スワンバーグによる作品。『ピッチ・パーフェクト』 や『イントゥ・ザ・ウッズ』のアナ・ケンドリックに『トロン:レガシー』や『her/ 世界でひとつの彼女』のオリビア・ワイルドが出演。

ラブ・トライアングル

your_sisters_sister

姉妹の微妙な三角関係を描いた作品。イギリス人女優のエミリー・ブラントに、マンブルコア界でははずせないマーク・デュプラスも出演。

監督のリン・シェルトンは最近はマンブルコアの味を生かしたメジャー作品も撮るようになってきており、2014年の『Laggies』ではキーラ・ナイトレイが人生に悩むこじらせ女子、そのアラサー女子と不思議な友情を育むこととなる高校生をクロエ・グレース・モレッツが演じ話題となりました。

日本未公開だけど一押しマンブルコア作品

Tiny Furniture

海外ドラマ『Girls』 で主演・監督・脚本を務めるレナ・ダナムの監督デビュー作。この作品がきっかけでジャド・アパトウに見出され、社会現象にまでなっているGirlsを生み出すこととなりました。この映画があったからこそGirlsのハンナが生まれたのね!と思えるもので、将来と恋愛に悩む若者をレナが演じています。彼女の実の母親も登場。

参照:ドラマ『Girls』のレナ・ダナム2010年の監督作品『Tiny Furniture』

In Search of a Midnight Kiss

LAの大晦日を舞台。ネットで知り合い実際には会ったばかりだが一夜という限られた時間を過ごすこととなった男女を追ったストーリー。他愛もない話をしながらLAをドライブする二人… この設定、とある映画を思い出しませんか?実は 『恋人までの距離』や『ビフォア・サンライズ』 のアン・ウォーカー・マクベイがプロデューサーなのです。 あちらはヨーロッパでしたが、LAダウンタウンも負けないくらい素敵に撮られています。

参照:ビフォアシリーズのプロデューサーによるLA舞台のモノクロ映画『In Search of a Midnight Kiss』

 

まだまだ日本ではマンブルコアはマイナーなジャンルではありますが、『ハンナだけど、生きていく!』を筆頭に今後はもっと日本未公開だった作品が見れるようになることを期待しています!

なお、『ハンナだけど、生きていく!』 を配給している IndieTokyo は「世界のインディペンデント映画シーンにコミットする映画人を日本から生み出す」という素晴らしい目標に掲げているということで、今後の配給作品が楽しみです!インディペンデント映画好きとしてはどんどん世界中からおもしろい作品を持ってきて欲しいです。

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS
  • フクイヒロシ
    4.5
    ■金なし、恋人なし、家なし、夢はあるけどプランなし 主人公のフランシスは27歳の見習いダンサー。ニューヨークのアパートで親友のソフィーと同居していて、当初は彼氏もいました。 しかしその彼と別れて、親友ソフィーからは別居を言い渡されてしまい、家なし恋人なしの状態に。お金もなくて、あるのは「プロのダンサーになる」という夢だけですが、本気でダンスレッスンをしている感じでもなく……。 ***** 『フランシス・ハ』 四コマ映画→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2709  ↑ 私ってハテナね… ****** ■憧れのオシャレライフ! しかしダンサーに賭ける覚悟いまだなし その後フランシスは男性2人の部屋に転がり込むことに成功! ここはセンスのいい家具や写真が飾られていて、アート系の仲間たちも集まってくるオシャレライフの象徴のような部屋。 ここでさらにフランシスのモラトリアム癖に拍車がかかります。ダンサー志望だってのに全然練習シーンがない……。 要するにフランシスは、ダンサーという夢に本気で向き合う勇気を持てずにいるのです。結果が出ちゃうのが怖いから。だからモラトリアム仲間との刹那的なオシャレライフに溺れてしまっているのです。 ***** ■さすがに心境の変化が…… 親友のソフィーが人生の選択をしたり、プロのダンサーと自分の実力の差を見せつけられて、少しずつ彼女の気持ちは変化していきます。そして、あることをきっかけに「地に足のついた」選択をするのです。初めての人生の選択。※本当に「地に足をつける」シーンがありますのでお見逃しなく。 目標があるならそれに向けてなんかやりゃいいのにやらなかったり、周りには調子のいいウソなんか言っちゃって変な空気にしちゃったり。フランシスを観ているとまるで自分の鏡のようで痛い……。 filmarksのレビューでも「自分と重なる……」という感想が多いのもうなずけます。てことは、みんなフランシス的要素を持っているってことです。 フランシスのキャラクターはかなり痛々しいのですが、なぜか可愛らしく憎めないのは、主演のグレタ・ガーウィグの名演のおかげでしょう(本作の演技が評価され、ゴールデングローブ賞主演女優賞候補)。 ***** ■『ラ・ラ・ランド』との共通点 この映画、『ラ・ラ・ランド』に似てると思いました。“ラ・ラ・ランド”ってのは、スクリーンの中でラララ〜♪と歌って踊りたいというドリーマーが集まるロサンゼルス(L.A.)のこと。憧れと自意識が強くてプロになる覚悟ができていない主人公たちの挑戦と失敗が描かれる映画です。 『ラ・ラ・ランド』も『フランシス・ハ』も最後には覚悟を決めて人生の決断をします。特にフランシスのささやかな(本人にとっては大きな)決断には心揺さぶられるものがあります。 ***** ■フランシス・ハの「ハ」の意味 「ハ」って何だろう?  珍しい苗字だなと思いながら観ていると、ラストでなぜ「ハ」なのかが明かされます。その理由がちょっとかわいいし感動もします。 この「ハ」の意味は今まで自意識が強かったフランシスが……。おっとネタバレ厳禁。 まずはちっちゃくてもいいから一歩踏み出してみようかなと思える映画だと思いますので、ぜひどうぞ! **** 『フランシス・ハ』 四コマ映画→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2709 フィルマガ連載記事→https://filmaga.filmarks.com/articles/1421/
  • いつみ
    3.6
    空回りするフランシスの痛さが自分に刺さりすぎて共感性羞恥がしんどかったけど、とってもチャーミングな映画だった!クレカ使えなくてATMまでガンダするフランシス愛おしい!
  • さくら
    2.2
    白黒映画だからって理由で見るの躊躇ってたけど意外と面白かった。あとアダムドライバーがかっこよかった
  • ワン
    3.7
    はじめて入ったコーヒー屋さんにこの映画のポスターが貼ってあって観てみた☕️ ストーリーに起伏は無いけど、映像がかわいくて流しておきたい感じ 主人公の人間っぽさが私は好きだったし、急にパリにも行っちゃいたいし、友達と喧嘩ごっこもしたい
  • andy
    -
    このこはいつまでもこの子で、 どこいったって ちょっと変わったりしても、 わらえそう
フランシス・ハ
のレビュー(20947件)